「親日」という危険なモノサシ。

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東亜+でやっかいな固定観念の一つに、「台湾は親日」というっていうのがある。暗黙の諒解、というかもはや一般常識に近い前提が出来上がっちゃっているかもしんない。おっと、別にそれを否定するつもりは無いし、別に東亜+以外で一般常識となっていないっていうわけじゃないんです。それこそ例えば、
【コラム】 どうして台湾は、こんなに親日なんですか? [08/05]
なんていうスレも立つように、つまりニュースが成立するように、あまねく知れ渡った事実なのだから。ところが、この「国としての風潮」というアバウトなくくりの「台湾は親日国」というのが、時に行き過ぎるのが東亜+のよくないところで、後述するけどいつかこれが裏返しになるんじゃないかと懸念せざるをえません。

まず、「台湾は親日国」であることを逆手にとって、なんだかよくわかんないけど台湾を高評価する傾向があること(あでも、これがよくわかんないことに、そういう人でも「尖閣諸島は別」って一線を引くんだよね)。で、これを逆手にとって「台湾=親日=是」であって「反日=非台湾人=非」という考えがあるみたい。いたって単純なリトマス紙だし、それで掲示板で盛り上がるのは別にいいんだけど、一抹の怖さみたいなのは感じちゃいます。というのも、その無防備さは、いつか自分たち(not日本。あくまで無防備な発想の人たち)にとって都合のよくない方向に台湾が向かったときに、「裏切られた」と思うんだろうなあっていうもの。単純な人ほど、いったんそうなると思い込みが強いから怖いなあ。

その最たる例が、来年3月に行われる予定の中華民国総統選挙。ネットの力というのは怖いね。11月に来日した、中国国民党の総統選挙候補者馬英九は、東亜+をはじめもっぱら「反日」の印象が強く残ってます。あ。自分で立てたスレが多いので我田引水みたいな指摘はあるだろけどさ。

【台湾】 「わたしは反日ではない」 台湾総統候補の馬氏 [11/21]
【日台】馬英九は「反日」のレッテルを貼られたまま日本へ~国民党の7年間の怠慢が招いたもの[11/21]
【台湾】国民党の総統候補・馬英九が帰国 「反日イメージの払拭に躍起で台湾人民の利益を蔑ろ」~自由時報[11/24]
【台湾】馬英九氏、「反日」を否定…尖閣列島で「日本と一戦辞さず」を軌道修正、平和解決訴える[11/24]

それとは正反対な印象が強いのが12月に来日した謝長廷。
【日台】台湾の与党・民進党の総統選挙候補者、謝長廷が16日に訪日 日本語で講演も[12/14]
【国内】台湾総統選候補の謝氏が来日、日台関係強化への期待表明〔12/16〕
【台湾】謝・民進党総統候補、馬・国民党候補の中国寄り批判~「馬氏の言動は中国共産党の言うがまま」[12/17]

とまあ、馬英九が反日のイメージを拭いきれない(それ以前に政治家の資質としておバカさんだからどうでもいいんだけど)のとか、謝長廷の知日家っぷりが光った(光るのはコンビを組む蘇貞昌の頭だけど)とかはわりとどうでもいいんです。実際問題として、台湾にとって親日か反日かというのは(心理的なものではなく)施政の面で二の次なはず。本来であれば彼らが内政にしろ外交にしろどういう政策を持っているかを見なくちゃならなくて(それこそ外交問題にしても海峡問題だけじゃないしね)、であれば単純に「反日の馬英九が総統になれば台湾は終わる」というのは間違いなんです。もっとも、結論として馬英九が総統になったら終わるっていう結論は結局一緒になるだろうけど。

ことに、謝長廷という人は政治屋(せいじ・や)としてはイマイチだけど、政治家(せいじ・か)としてはすごいという印象を持ってます。あ、見た目もなんかイマイチだけどね。見た目と言えばどことなく福田フフン康夫に近いけど、謝長廷は国を傾かせないためには多少のゴタゴタも厭わないけど、福田はゴタゴタ回避のためには多少国を傾かせるのも厭わない方ですから。印象として。知日である分、謝長廷はきっとするべき時が来たら日本と利害がぶつかってでも(王金平ほどじゃないだろけど)主張を貫くと思う。「愛されているから」とタカを括っていて思いもよらぬところでぶつかった時に、逆切れするのは余りにカッコ悪いけど、どうも今の東亜+を見ているとそんなフラグが立っているような気がしてならない。


そして、も少し怖いのは、台湾を高評価するあまり正しい見方ができなくなっちゃうこと。今の東亜はたぶんこれについては危険水域だと思う。どこでどう判断したのかわからないけど、「台湾はどこぞの国よりまとも」というのが定説になっている節がある。怖いね。しかも、「台湾は」って一緒くたに扱うのが怖いよね。南北の問題しかり族群の問題しかり、いろいろあるのに政治的スタンスや地域性を考えずに見ると、ニュースが隠し持っている意図を汲み取り違えかねない。最近それを強く感じたのは、那覇空港で中華航空機が爆発炎上した事故の関連スレ。
【速報】那覇空港で中華航空機が炎上中 [08/20]
【中華航空機事故】台湾で機長を英雄視する動き 呂秀蓮副総統は「感動」と称賛 [08/22]
【台湾】中華航空機事故で日本が警鐘を鳴らす「災禍に慣れた台湾」 事件事故や汚職に感覚が麻痺している~聯合報[08/27]
3つ目の聯合報の記事は、日本のメディアが中華航空機の事故への対応、特に呂秀蓮・副総統が機長らを持ち上げたと伝えたのを秀逸に使った報道。一つは日本のメディアという切り口、つまり外からの目という第三者っぽさを使うことでコテコテの聯合報色を消した点がニクい。もう一つは、事件事故の話からいつの間にか善悪の判断、つまり陳水扁周辺の汚職にまつわる疑惑の話に華麗に話を持っていくという点が上手すぎてニクい。一見すると、陳水扁の汚職は世界の目から見ても恥ずかしく写っているとも言わんばかりだよね。

とは言いつつも、結局終わってみれば強引な展開で阿扁を叩いて結ばれているわけだし、そもそも「何は無くとも阿扁叩き」な印象の強い聯合報だもの、きっとスレの展開でも速攻で見破られるんだろうなと思っていたら、あららららな状態に。「さすが台湾」「自ら反省するところがいい」とか、マジでこれを拾っているレスが多くて、っていうか大半でびっくり。前々から「台湾のことってあんまり知られてないよなあ」(っていうか自分もよくわかってない方に入るんだけど)とは思っていたけど、「これはヤバい!」とすごく思ったのは、この時がたぶん最初だと思う。それは「知られていないこと」への恐怖ではなくて、なまじ知らないだけに「作り上げていた(理想の、というか都合のよい)台湾像が崩れた時のこと」への恐怖。

最初にも書いたけど「台湾は親日国」というのは間違ってないです。でも台湾を見る目として、台湾のニュースを読んで判断するときの物差しとて、「親日か否か」というのが過剰に用いることにとてつもない危機感を感じるんです。

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このページは、◆YAUCHInowAが2007年12月25日 18:19に書いたブログ記事です。

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