Break the Record Successor馬英九は何処へ行ったの?
今日7月13日は、馬英九総統にとって就任後初となる五十何回目かの誕生日なんですが、あまりHappyなBirthdayにはなりそうにありません。本来であれば、国民党が安定多数を占める立法院を背景に、またいちおう過去最多得票率となった総統選挙の結果を自信にして歩んでいるはずなのに、立法院の国民党団はアンコントローラブルだし、支持率はそろそろ得票率の半分まで落ち込みそうな勢い。9日に台湾団結聯盟が発表した世論調査では、馬英九政権に満足していると答えた人が34.8%、逆に不満があるという人は51.3%という結果に。あれあれ?新記録を作った後継者はどこへ行っちゃったのかな?
http://www.udn.com/2008/7/9/NEWS/NATIONAL/NATS5/4419347.shtml (聯合報)
という、強引な前フリで、強引に頭文字だけ引き継いだ英語に結び付けてみた。っていうか、たぶん正しい英語だとRecord-breaking Successorだし。無理にBRSにしたのがバレバレだ。いいんだもん、halyosyさんかっけーからいいんだもん。おっとぉ、今日も脱線した。
特にこの「どこへ行ったの?」について辛辣かつストレートだったのは、総統選挙で争った謝長廷。9日の三立電視台のインタビューで、「韓国の李昭博大統領は果敢にいろいろやっているが、馬英九は何もしていない」と対比させたうえで、総統選挙での政権公約がどこにも見られない状況を揶揄し「この馬英九は偽者なんだろうか?他人の名を騙っているのだろうか?あの時、誰と私は争ったのだろうか?」と理解できないさまを語っています。
http://www.udn.com/2008/7/9/NEWS/NATIONAL/NAT1/4419397.shtml (聯合報)
馬英九が前に出てこないありさまは、先の聯合号のときにも予感はあったけど、あの時は単に馬英九と行政院の連携が取れてなかっただけかと思ったました。ところが、実際には馬英九と行政院、そして党との間の関係はかなりうまくいっていない様子。「実際の政策実行は行政院がやるので自分は一歩退くものだ」なんて言っていたけど、どうもそればかりじゃないっぽい。
馬英九が実は立法院(というか国民党)をコントロールしきれていないのは、先々週以来の監察委員の指名投票でも既に露呈していたところだけど、どうもここにきて力関係が拮抗、というか逆転の兆候すら見え隠れしているような気がします。特に日本では、総統と立法院のやりとりなんてあまり伝えられていないから、未だに「馬英九は議会多数を背景に好き放題」とか思われているかもしれないんですが。本当なら、この監察委員の指名に関する話を掘り下げて馬英九と国民党の関係について書くべきなのかもしれないけど、そこまで知識がないというのと、とりあえずはここ数日の動きをさらっと読みすることを今回は優先しちゃいます。
さて、そんな国民党のセンセイたちが狙いをつけたのが、劉兆玄行政院長が率いる学者さん内閣。国民党長老の王作榮元監察院長が、馬英九に対して行った指摘の要点は、支持率回復・株価回復のための「内閣改造」と「もうちょっと国民党のことも顧みないとダメだよ」というもの。さらにこれに与野党から「あいつを換えるべきだ」「いやあいつだ」という声が乗っかり、一方で「まだ早すぎる」という意見も出て、ちょっとしたカオスに。
ただ、後述のとおり、馬英九が「浮いた」状況に立法院・行政院が手をこまねいているのも事実なわけで。ねじれで浮いていた陳水扁の時とは違い、政党政治の本質という観点から立法院や行政院との関係が見直されるかもしれないですね。
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/9/today-fo3.htm (自由時報)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/9/today-fo4.htm (自由時報)
http://www.udn.com/2008/7/9/NEWS/NATIONAL/NATS5/4418550.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/7/9/NEWS/NATIONAL/NATS5/4418629.shtml (聯合報)
中でも槍玉に上がっているのが経済政策の関係なんだけど、ご存知のように馬英九が総統に就任した5月20日をピークに、市場の株価は下落を続け、この2ヶ月弱で2,200ポイント、率にすると世界最大の-24%という大暴落っぷりを見せています。ええ、実は上海なんか目じゃありません。
ここで追撃の的というか笑いの的になっているのが尹啓銘経済部長。この方、5月7日に「両岸の産業が協力すれば、将来は2万ポイントにも達する」と株価倍増を豪語、ところが逆に、就任時の株価を一度も回復することのないまま相場は坂道を転げ落ち続ける涙目状態に。いちおう「新政府の経済の青写真ができあがった後のことだ」と前提条件の話で釈明しているけれど、はたしてここからV字回復させる青写真を描けるものなんだろうか。民進党の邱議瑩は「馬政府は中国市場に期待しているようだが、中国に進出した企業はおしなべて壊滅状態にある。よもや中国に台湾の市場を救ってくれと頼むのではあるまい?」と言っているけど、なんだか冗談になっているようななっていないような気さえしてきます。
台湾経済において両岸関係を切り離すことはもはや不可能だとは思うけれど、かと言って両岸関係だけでは経済回復はできないのはわかっているはず。さて、どうするつもりなんだろ。
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/9/today-t1.htm (自由時報)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/10/today-fo4.htm (自由時報)
http://www.udn.com/2008/7/9/NEWS/NATIONAL/NAT1/4418824.shtml (聯合報)
展開が面白くなってきたのは11日。かつて、劉内閣で入閣の噂すらあった民進党の沈富雄前立法委員が、馬英九政権に対する「処方箋」として、これまでの総統府資政や国策顧問に代わって7~11人程度の「顧問団」を置くことを建議しました。爆笑したのはその前段で、相変わらずロングステイなど「お前、今そんなことやってる場合じゃないだろJK」という行動を繰り返す馬英九について、「宅男(台湾の宅男って訳すのに本当に困る。オタクとも引きこもりとも微妙に違うし)の身の回りには、正確な戦略を提供する『軍師』がいないのだから」というのが理由だとか。
それはいいアイディアかもしれないけれど、かえってカオスになるような気がしなくもないんだけどね。そんなものを置いても、馬英九がびしっと前面に立つことがなければ意味がないんだもの。迷走を続けるか、誤った方向に邁進するかという究極の選択になっちゃうかもだけど。
http://www.udn.com/2008/7/11/NEWS/NATIONAL/NATS5/4422135.shtml (聯合報)
その沈富雄が現在の内閣でいちばんのダメ出しをしたのは、おいらがかつて「で、実際んとこ劉兆玄行政院長以下の閣僚はどうなのか?っていう。」で
> アンジェラ・アキそっくりな史亞平新聞局長。
と書いた史亞平(史亜平)新聞局長。沈富雄いわく、新聞局長でありながら多くの重要な政策について理解していないことが多すぎる、というわけ。っていうか、今写真を見るとあんまし似てないね。
もっとも、本人が記者会見で「ご意見や指導には出来るだけ耳を傾け、謙虚に改善していきたい」と発言したほか、これには劉行政院長や民進党の女性立法委員である管碧玲からも「彼女はよくやっている」というような擁護が出ており、あ、こっちはやぶへびだったかなという感じ。
特に11日の聯合晩報では史亞平について、政府の政策を広報する立場であることから、昨今の突き上げにかなり参っている様子を報じています。その激務っぷりが書かれていて、かなり同情に値する内容なんですが、「翌日の朝刊が内閣に対して強い批判の報道やコラムを載せていないかどうか心配になり、寝付けないことがしばしばあると語っているという」なんて書いているのを読んでしまうと、これがもし本当であったら、同情を通り越して、やっぱり交代したほうがいいと思う。どっちかを。
と、思っていたら自由時報によれば、史亞平は局内の人事に手をつけ始めたそうで、えええそっちを代えちゃうのかよっていう意外な展開に。
http://www.udn.com/2008/7/11/NEWS/NATIONAL/NATS5/4422153.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/7/11/NEWS/NATIONAL/NATS5/4422440.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/7/11/NEWS/NATIONAL/NATS5/4422155.shtml (聯合報)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110502+112008071200322,00.html (中国時報)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/12/today-fo3.htm (自由時報)
12日になってようやく馬英九が劉内閣を擁護、とりわけ史亞平についても「改造の必要はない」と発言したんですが、そもそもこの人が史亞平の仕事を増やしているような気がしなくもない。もっとも今回の一騒動、やれ馬英九による観測気球だとか、実はそう言っても馬英九と行政院は上手くっているんですよとか、いろいろ否定的な意見がちょこちょこと散見されます。まあ確かにありえなくはないけど、「な、なんだって!(AA略)」みたいにピンとくるものが無いのでそれもちょっとにわかに信じがたいなあ。
13日には、馬英九のロングステイ再開に痺れを切らしたエバーグリーン(長榮)の張榮發総裁から、「もっと総統府にいて国務にあたれ」と苦言が飛び出す始末。せめて人の「代わらなきゃ」がダメならその人が「変わらなきゃ」にならないと前に進めないっていうことなんだろうね。麻生さんと違った意味でファンタジスタな総統が今からどんな馬英九物語を始めてくれるのか、正直おっかなびっくりです。
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/13/today-p1.htm (自由時報)
http://www.udn.com/2008/7/11/NEWS/NATIONAL/NATS5/4422144.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/7/12/NEWS/NATIONAL/NATS5/4423432.shtml (聯合報)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/13/today-p1-3.htm (自由時報)
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