国民の手品師か、はたまた単なる国民党の詐欺師か。

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近所の漫画喫茶に「テレキネシス 山手テレビキネマ室」が3巻までしかありません。とほほ。

【台湾】「台湾の秋葉原」光華商場が7月19日から新天地でリニューアルオープン[07/07]
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1215525474/
が、オープンを前にしてdat落ちしました。さすが、おいらクオリティ。
そういえば、この記事をきっかけに、中の人の隣の人とEee PCを買うか買わないかでまた揉めたんですが、いつの間にかうやむやになっちゃったな。

うやむやと言えば、うやむやなままに馬英九総統の対大陸経済交流促進がまた一歩、歩みを進めました。はたしてその道の先に世界がうらやむ未来はあるのかな。
【中台】台湾行政院、対中投資規制を大幅緩和~大企業は事実上の撤廃[07/17]
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1216301544/

このへんのスレを見ていて面白いのは、未だに「馬英九=中国との統一を画策している」というイメージが振り払われていないこと。「馬英九=反日」という単純な振り分けと同じく、この見方は変わっていないようです。ああ、実際に画策しているかどうか、反日かどうかっていうのは別問題としてね。これはちょっと不思議なところ。
というのも、馬英九の両岸政策というのは総統選挙時から変わらず「現状維持」、もっと言ってしまえば「日和見」を貫いています。これはたびたび東亜+でも出てきているはずなのに、固定観念が振り切れないのか口先三寸だと判断しているのかわかりませんが、のきなみスルー。
特に記憶に新しいのは、5月20日の総統就任時の演説に示した「3つのノー(統一せず、独立せず、武力を行使せず)」。この時は、特に馬英九が「統一せず」としたことにスポットが当たったし、日本でも共同通信が
> 馬氏は就任演説で、任期中には中国との統一協議を行わないことなどを述べ、
と触れ、現状維持が政権の基本スタンスであることを示した。と、されています。「と、されている」なんです。
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008052001000256.html (共同通信)

この「3つのノー」には、馬英九の真骨頂とも言うべき「逃げ」と「主体性の無さ」が2点存在します。一つは、陳水扁は同じく就任演説で「四不一没有」を提起したけど、その時は前提条件として、「只要中共無意對台動武(中共が台湾に対して武力行使を企図しなければ)」という強い牽制を述べています(事実、後に国統綱領と国統委を終止した際は、この前提が崩れたことを理由にしていたし)。台湾側から手放しで両岸関係で譲歩することは無いという意志を明確に放っていたわけですね。ところが、馬英九はそれどころかその前段で「今日から、共同して平和共栄の新たな歴史の一ページを始めよう」という呼びかけを行う始末。
もう一つは、一般的に「馬英九が『3つのノー』を述べた」=「馬英九がそういうスタンスだと言っている」と考えがちだけど、ここでも彼は日和ってます。もう一度くだんの就任演説を見ると、
> 我們將以最符合台灣主流民意的「不統、不獨、不武」的理念,在中華民國憲法架構下,維持台灣海峽的現狀。
つまり、「我々は台湾の民意の主流である『統一せず、独立せず、武力を行使せず』という理念に最もマッチするよう、中華民国の憲法の枠組みの下で、台湾海峡の現状を維持する」と言っているんです。つまり、馬英九が現状維持を望んでいるのではなく、その選択肢を望んでいるという民意をもとに馬英九は行っているにすぎないというもの。もちろん、一国の宰相が民意をあまりに無視するというのは考えものだけど、この手品師に4年間の国政を預けるのに「民意」だけというのは危険すぎる。そして、一国の宰相としてあまりにセコすぎる。昨今の手練手管の政策の果てに平和的統一しか道が無くなってから、最後に「民意」を問えばどうなるか、というのは妄想が過ぎると怒られてしまうかな。
http://www.president.gov.tw/2_special/2008_0520p/speech.html (中華民国総統府Webサイト)

一方で、これまで衰えなかった人気がにわかにぐらついています。ここ数回で書いているように、国内経済は就任直後から赤信号に向かいつつあり、国民党のカラーでもあるはずの青信号は巡ってきそうにない。総統選挙の際に「馬上好(「馬英九が就任すればよくなる」と「すぐによくなる」をかけたもの)」と言われていたはずなのに、就任直後には「だんだんよくなる」に軌道修正され、今となっては逆に「だんだんっていつからだよ」と言われるありさま。
しかもよせばいいのに16日には「そう焦らないでほしい」と言ったまではよかったが、「馬という苗字で少し損をした」などと言うから困ったもの。お前、選挙であれだけやっておいて何を今さら。というか、損しているのはあなたじゃなくて国民だし。
http://www.nownews.com/2008/07/16/11490-2305575.htm (NowNEWS)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/17/today-p8.htm (自由時報)

頼みの民意とやらの数字については、前々回の「Break the Record Successor馬英九は何処へ行ったの?」で9日に行われた台聯の世論調査(満足が34.8%、不満が51.3%)を紹介したけど、17日に民進党が発表した調査では満足37%、不満56%という数字が飛び出し、特に自営業者や企業主からは不満が71%に達しています。まあそりゃそうだよね。台湾の人のどれだけが中国からの観光客の恩恵を受けるかっていうのを考えてもそうだし、中国との経済交流だけが強まって得をする人なんて限られてくるもの。恩恵とやらが巡り巡れば...という長期的なことを馬英九が1%でも考えているのなら話は別だけど、さもありなんっていう感じ。
面白いのは、同じく17日に藍系メディアのTVBSが発表した「台湾の政治家の満足度ランキング」で、馬英九が7位(30%)になったというところ。30%かよ!しかも馬英九の上を見ると、蔡英文(民進党主席)が49%、王金平(立法院長)45%、呉伯雄(国民党主席)43%、蘇貞昌(元民進党主席)42%、李登輝(元総統)32%、蕭萬長(副総統)31%となっていて、なんか不思議な感じがする。蘇貞昌が馬英九の上にいるって4ヶ月前なら考えられなかった事態だし。って、トップが蔡英文かよ!
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/18/today-fo2.htm (自由時報)
http://www.tvbs.com.tw/NEWS/NEWS_LIST.asp?no=aj100920080717194350 (TVBS)

この総統選挙での人気をバックにした「民意」というオブラートは、つい最近でも出てきたところ。12日に馬英九がドイツ紙の取材を受けた際に、「自分は実用主義者」と嘯いた上で、「大多数の 台湾の人は現状維持を訴えており、独立や統一には賛成していない。もし、彼らが大陸と政治上の統一をよく思わなければ、いかなる政治人物もそれを強要して はならない」と答えています。
一見して、非常に民主的で教科書にありそうな答えなんだけど、「それであなたは何をどうするのか」と問われるとたちまちぼかす主体性の無さと、「現状維持」と言ってお きながら全然現状維持になっていない政策実行のあり方が不可解すぎる。もっとも、これは15日の自由時報が社説で指摘しているとおり、多くの国民そして世界の人たちに見透かされているところなんですが。
日本のネット上における馬英九のイメージ像が、はたして途中経過、つまり本人の主張と政策の食い違いを見抜いた上でのことなのかわかりませんが(たぶん違う)、単に「馬英九は統一を目論ん でそれを日々実行している」などというちょっと古い固定観念で見ていると、狡猾な手品師の仕掛けを見破ることができなくなるような気がしてなりません。
http://www.udn.com/2008/7/15/NEWS/NATIONAL/NATS5/4426637.shtml (聯合報)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110502+112008071500372,00.html (中国時報)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/15/today-s1.htm (自由時報)

満足度が40%を切る低空飛行でもなお民意を振りかざすというのは、同じ低空飛行でもフフンとは根本的に違うところ。ただ、主体性が無いという点ではけっこう近いんですよね、とほほ。
両岸の経済交流促進という点で陳水扁と異なるのは、前政権はまがりなりにも「国と国との貿易」に近い感覚で行っていたということ。馬英九はこの前提でもどっちつかずにしているから歯止めが利かない。おいらは、両岸貿易も「国と国との貿易」の一つ、ということであれば「積極開放、有効管理」というのもアリだと思っています。中国との経済関係が深まるというのと、中国への経済依存度を深めるというのは本来別問題のはずなのに、ニュースを読む人も実際の結果もそうなってしまっているのは残念なこと。これまでの憂慮を振り切ってハンドルを切るのは、確かに政治上は現状をキープしているのだけど、遠い将来に待ち受ける結果ははたしてどうなるのかな。
http://www.udn.com/2008/7/18/NEWS/NATIONAL/NATS5/4431504.shtml (聯合報)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/18/today-fo1.htm (自由時報)
【中台】李登輝前総統「大陸投資比率上限を40%に、専制政権下の経済にはリスク」と対中依存に釘【01/14】
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1137209354/ (dat落ち)

ところがこの切ったハンドル、これで打ち止めかと思ったらそんなことはないみたい。既に今後の交渉も予定されているようで、切ったハンドルそのままに今度はアクセルを踏むようです。
もう一つ危惧しているのは、17日に発表された台湾人が訪中して就学することを認め、逆に中国人が台湾に来て就学をすることを認めるというもの(正確には居留期間を4ヶ月から1年に延長する)。あれ?なんでこれ報道されてないされてないんだろ。いちおう誤解のないように補記しておくと、これまで認められてことなかった大陸での学歴の扱いについては、大陸委員会での議論を待って行うとのこと。資本流出だけじゃなくて頭脳流出までしちゃうのかよ、っていうのと、やっぱり「国対国」っていう前提でやってほしいなあと思います。
http://www.udn.com/2008/7/18/NEWS/NATIONAL/NAT2/4431518.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/7/18/NEWS/NATIONAL/NAT2/4431519.shtml (聯合報)

この政治姿勢、やっぱり誰がどう見ても親中国路線だよなって思ったら、先に取り上げたドイツ紙の話で続報が。行政院新聞局が発表したインタビューの内容は上のとおりなんだけど、実際に載った紙面では、「我々はより多くの相互理解を必要としている―8年の対峙の後、馬英九総統は台湾を親中国路線に向けようとしている」というタイトルになっていた、というもの。わらた。
行政院新聞局の説明によれば、「親中国路線という言葉は使っていない」としているけれど、大意としてはあんまし間違っていないようなあ。
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/18/today-p2.htm (自由時報)

「馬英九は親中国、馬英九は反日」とステレオタイプな見方で論じるのは、結果として間違ってはいないのかもしれないけれど、それだけだったら終わった後を見ればおのずとわかるというもの。ていうか、今の状態って、出てきた結果を見て「やっぱり馬英九は親中国、馬英九は反日」って言っているだけだし。
むしろ、隣国日本がするべきだと思うのは、馬英九がどのようにはぐらかしどのように進行させているのかというのを見ることなんじゃないかと思う。事前になかなか手の内を見せない相手だけに、そこにあるはずのタネを見ないと、結局手品師に翻弄されて終わっちゃうだけな希ガス。

(追記。)
聯合晩報が17日に行った世論調査の結果が18日に出ていたのだけど、馬総統と劉行政院長に対する満足度が、就任1ヶ月後の先月に比べて-10ポイントの40%にまで低下していました。不満足度は逆に+13ポイントの43%(就任直後の10%から比べると2ヶ月でとんでもない伸び!)となり、ついに満足している人よりも不満足な人のほうが多くなってしまいました。あちゃあ。
特に細かい内訳を見ると、いわゆる中間支持層での不満足度が10%→45%と顕著に上昇しているほか、やはりというかなんというか、理由を見てみると庶民の窮状がわかっていないという声が目立っています。特に、台湾の東海岸(宜蘭・花蓮・台東)では56%と他の地区に比べて高くなっており、確かに馬英九の政策を考えてみると、台湾でも格差が拡大するのは避けられない予感。
http://www.udn.com/2008/7/18/NEWS/NATIONAL/NATS9/4432065.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/7/18/NEWS/NATIONAL/NATS9/4432094.shtml (聯合報)

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このページは、◆YAUCHInowAが2008年7月18日 11:45に書いたブログ記事です。

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