名門を崩すことなかれ。

| | コメント(0) | トラックバック(0) | | このエントリーをはてなブックマークに追加 |
いつの間にか9月も後半。気がついたら秋も深まりつつあるし、学校ではいよいよ運動会シーズンが到来ですね。もっとも永田町の人たちは、徒競走よりも迫りくるサバイバルレースに、玉入れよりも票の出入りのほうが気になっているのかもしれないですけど。

22日、自民党の第23代総裁としてファンタジスタ麻生太郎が選出されました。
今月頭にフフンが辞任したときも「おおええああええおおええああええ。」で書いたように台湾からも注目を集めていたファンタジスタ麻生。今回の総裁選挙、そして今後の政局運営についてはどういう風に捉えられているのかな。
本当は、ちょっといつもとスタンスがずれるけど麻生新総理(予定)に求めることとか、代表の無投票3選が決まってから所信表明でいろんな政策を示す白紙委任政党の話とかいろいろしようと思ったんですが、あまりにずれるのと長すぎるのでカット。ま、いいよね。

やれ中国の毒粉ミルク事件だとか、台風の被害の復旧だとか、呉淑珍がまた欠席だとか、WHOがナメた真似をしたとか、ここ数日もニュースが目白押しの台湾。さすがに総裁選の結果の扱いも小さいかなと思ったんですが、麻生太郎のパーソナリティも手伝ってか結構な取り上げられ方。ちょっと驚き。
あ。いちおう断っておくけど、「マンガ好き」とか「オタク」とかっていうイメージだけが流布しているわけじゃないからね。日本でもやたらそのへんが強調されているけど、当の日本人がネタに走っちゃダメだよね。東亜+でも、聯合報→サーチナというコンボで「台湾では『麻生=オタクの人気者』と評価」なんていうスレが立ったけど、よもや台湾人がそんなイメージを普遍的に持っているなんて思ってやしないよね。「馬英九は反日」みたいな東亜+の紋切り型固定観念とは違うよ。

【台湾】麻生氏は「オタク」の人気者 台湾紙が好意的に紹介[09/22]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1222124602/

せっかくなので、たまには聯合報から。聯合報に限った話ではないんですが、今回の総裁選挙については5人の候補者やその争点、民主党との関係、迫っている衆議院の解散なんかについてもけっこう詳しく書いています。官房長官が誰になるか、なんてのも報道されていたりして、これって逆に日本のマスコミが総統府秘書長が誰かなんて報道しないよなあって考えるとすごいなあ。
もちろん、新首相(予定)がどんな人なのか、吉田茂の孫であることやマンガ好きのエピソード、モントリオール五輪に出たことや麻生セメントの話など、これってWikipediaかよっていうくらい詳しく書いてます。って、後で書く中国時報もそうなんですが、マジでWikipedia見て書いてないっすかこれ。
特筆すべきは東京の陳世昌特派員が23日に書いた「麻生は天命を受けて重責を担う 全力で民主党を打倒」っていう記事。実は、サーチナが引っ張った22日の「日本の首相は走馬灯のよう 怪人、病人、老人...闊人」と同じ人が書いてます。例の記事についてもサーチナはその1/3くらいしか紹介していないんですが、例えば蒋経国の次男である蒋孝武が駐日代表を務めていた頃に親交があったとか(これ初耳だなあ)も書いてあり、これはこれで原文を一読しておくべきだと思いますね。
さて、23日の記事なんですが、麻生新総裁がしきりに語っていた「天命」について「民主党を倒してからようやくスタートする」、つまりまずは衆議院選挙というハードルを越えられないと「天命」とやらもそれまでよ、という厳しい分析。それでいて
> 国民年金の問題で参院選挙で敗退し、その年金問題でも改竄のニュースが伝えられるなど
> 国民の不満は極限にまで高まっている。またアメリカの金融危機が日本にも押し寄せ
> 自民党が勝利できる可能性は高くない(超はしょって訳)
とこれまた厳しい指摘。本来であればご祝儀記事であってもいいはずなのに、締めくくりも
> もし麻生首相が選挙で敗北すれば、有史以来最短の任期の首相と言うことになってしまうだろう。
> しかし、幸運にもこの難関をクリアしすれば自民党は再起することができる。
> 麻生と小沢による「生死を賭けた戦い」となるだろう
というありさま。
けっこうというかかなり棘のあること書く人だなあっていうのが印象ですね。もっと平たく言うと、聯合報ってサーチナが引っ張ったような記事の書き方しているわけじゃないんですよ、必ずしも好意的っていうわけじゃないんですよ、っていう話になっちゃいますが。

22日
http://www.udn.com/2008/9/22/NEWS/WORLD/WOR3/4527301.shtml (聯合報ただし21日東京電)
http://www.udn.com/2008/9/22/NEWS/WORLD/WOR3/4527895.shtml (中央通訊社→聯合報)
http://www.udn.com/2008/9/22/NEWS/WORLD/WOR3/4527299.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/9/22/NEWS/WORLD/WOR3/4528189.shtml (中央通訊社→聯合報)
http://www.udn.com/2008/9/22/NEWS/WORLD/WOR3/4527572.shtml (中央通訊社→聯合報)

23日
http://www.udn.com/2008/9/23/NEWS/WORLD/WOR3/4528888.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/9/23/NEWS/WORLD/WOR3/4528880.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2008/9/23/NEWS/WORLD/WOR3/4528778.shtml (ロイター→経済日報→聯合報)
http://www.udn.com/2008/9/23/NEWS/WORLD/WOR3/4529730.shtml (中央通訊社→聯合報)
http://www.udn.com/2008/9/23/NEWS/WORLD/WOR3/4528884.shtml (聯合報)

ちょっと面白かったのは中国時報。前回もちょっと捻った記事を書いていた東京特派員の黄菁菁なんですが、22日電の「自民党総裁に麻生氏、首相就任へ」では、麻生新総裁のことについても書くとともに、小池元防衛相について触れています。
> 小池は小泉改革の流れを受け継ぐものと目され、総裁選では小泉からも支持を得ていた。
> しかし小池は46票にとどまり、地方票は得られなかった。
> 政治評論家は、小池の落選を小泉人気が復活しないことの象徴だと分析し、
> 党内でも影響力がだんだんと失われていくのではないかと見ている。
とは言うものの、地方票も全部足してみれば次点(っていうかずいぶん差がついた次点だけど)だし、議員票も一定数確保していること(石原・石破より上だし)を考えれば、そこまで断じてよいものかっていう気もする。「8年ぶりの非町村派総裁の誕生」だとか、小泉人気だとか案外細かいこと書いてるなあ。
さらに、23日の中国時報は「今回の自民党総裁は、つなぎ」という厳しい見方の記事を書いています。なんか藍系メディア厳しくないっすか。麻生新首相(予定)の目下の役割は衆議院の解散だというところまでは聯合報と同じなんですが、自民党が敗北し下野するだろうというかなり否定的かつ断定的な観測。
もともと今回の総裁選でも、大派閥の領袖クラスが出なかったのはなぜか?(=衆議院選挙での敗北を見越しているからではないか?)という問いかけを行ったうえで、残りの4人についても知名度アップと閣僚入りを狙うための点数稼ぎだという厳しい指摘。うんまあ、間違っていないと思うけど、名乗りを上げるだけでも大変だと思うよ。
この記事、やたら自民党の派閥というものを揶揄して「麻生も、自らが小派閥であることから今回の新総裁も前途が平坦であれば勝てなかったと理解している」「日本の首相は自民党各派閥の制約や財閥のイベント、野党の国会質問、有権者へのアピール、多くのメディアの支持率調査、相次ぐ選挙など、プレッシャーに耐えることが求められる。戦後30人近い首相がいたが、5人が病気で辞職し、1人は在任中に亡くなり、1人は脳溢血で倒れて辞任した」「(義父鈴木善幸の発言を引用したうえで)しかし派閥の力関係というのは面白く、当選すると思った人が必ずしも当選せず、難しいと考えていた人が当選してしまったりもする」と言いたい放題。通しで読んだけど、あれ?この記事って何を言いたいんだろう。

http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110504+112008092300304,00.html (中国時報)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110504+112008092300305,00.html (中国時報)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110504+112008092300306,00.html (中国時報)

自由時報はといえば、東京の張茂森が麻生新総裁のパーソナリティを「金持ちの中の金持ち」や「大嘴巴(ビッグマウス」と形容して伝えてはいるんですが、Web版を見る限りそこまで話が広がる文章ではないなあっていう感じ。政治を射撃に見立てた導入部は上手いとは思うけどね。

http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/sep/23/today-int1.htm (自由時報)
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/sep/23/today-int2.htm (自由時報)

いちおう蘋果日報も見てみたんですが、写真で笑った。党本部前で喜ぶ若者の写真(ロイター電っていうことはこの写真って全世界にばらまかれてるのかあ)とか、秋葉原の店頭で売られている「太郎ちゃんの牛乳カステラ」(いっしょに写っている商品が全力で誤解を招いている)とかの写真は、狙いすぎでしょ。
日台関係がどうだとかもちゃんと書いてあるんですが、写真の使い方にりんごカラーが溢れていて面白いや。

http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&Sec_ID=3&ShowDate=20080923&IssueID=20080923&art_id=30982183&NewsType=1&SubSec=11 (蘋果日報)
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&Sec_ID=3&ShowDate=20080923&IssueID=20080923&art_id=30982195&NewsType=1&SubSec=11 (蘋果日報)

最後に、台湾の主要な人物なんかの反応も適当に集めてみますか。まずは馬英九総統ですが、22日の新総裁選出後すぐに祝電を打ったほか、23日には外交部が「麻生氏と台湾政界は関係が深く、今後台日関係がますます進展することを願っている(超はしょって訳)」という内容のコメントを発表。
一方、22日の民視によれば、沖縄を訪問中の李登輝元総統は麻生新総裁の誕生にかなりご機嫌だったとか。ただ、同時に馬英九を非難したとも書いてあるので、これはきっと過去の麻生発言(台湾を国と呼んだ一件)と馬英九の二国論否定を比べての発言っていう可能性があるけどね。もっとも、台湾の総統が二国論を否定して、日本の新首相が二国論を過去に肯定していたとなれば、そりゃあ提唱者とすれば自然な反応なんだけどさ。

http://www.rti.org.tw/News/NewsContentHome.aspx?NewsID=126929&t=1 (RTI)
http://news.ftv.com.tw/Search_News.aspx?sno=2008922P19M1 (民視)

四大紙を見ていて思ったのは、「名家のボンボンである反面、庶民派なところがある」とか「反中親台な発言が多い」というやっぱり入口な取り上げ方が多いとこですね。いくら関係の深い国とはいえ、さすがに自由と繁栄の弧の話や、消費税の話まで踏み込んだものが無かったのはいたし方の無いとこかな。
とはいえ、今回の総裁選挙や後に控える衆議院選挙が麻生新総裁と自由民主党にとって正念場であることは、台湾のメディアも関心を持っているのは上に書いたとおり。藍系メディアの厳しい見方は意外だったけどね。祖父吉田茂は自由民主党誕生の夜明け前を担った人だったけど、その孫は果たして日没を見届ける羽目になっちゃうのかな。このところちょっと軽くなってしまった自民党総裁、麻生新総裁には重みある責務をしっかりと担ってもらいたいところ。意外なことに福岡県出身の首相というのは72年ぶりなんだって。その72年前に首相となった広田弘毅とは、世界情勢もこの言葉の意味合いも大きく違っているけれど、麻生新総裁にはまさに名門を崩さないよう頑張ってほしいものです。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 名門を崩すことなかれ。

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.yauchi.net/mt/mt-tb.cgi/78

コメントする

このブログ記事について

このページは、◆YAUCHInowAが2008年9月24日 02:09に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「王金平がちょっと乗りそこなった自民党のアリスゲーム。」です。

次のブログ記事は「李登輝の投げた石の行く先は。」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

動画とか。

 

・備忘録。
http://www.angusj.com/resourcehacker/rh_japanese.zip
O→F→object TitleEdit: TEdit→MaxLength


Powered by Movable Type 4.25