カネは選挙の回りもの。
不思議なことに日本では選挙でお金が動くとしこたま叩くくせに、アメリカの大統領選挙におけるド派手なドル集めはむしろニュースになるんだよね。以下、いろいろ言いたいことはあるけど、さっそく本題に。
16日、台湾の監察院が政治献金のリストを公表しました。公表って書くと語弊がありそうだね。政治献金に関する届出のリストを一般の人も閲覧できるようになったっていう感じかな。さっそく各メディアの政治欄が比較的細かく報じてます。藍緑両党にどんな人や会社が献金しているか、っていうのもそうだけど、去年の総統選挙の両陣営への献金についても注目が集まりました。実際には両党への献金についても調べられているし、昨年1月に行われた立法委員選挙で各候補者に配られたお金についても報じられているんですが、今回は総統選挙にまつわる部分だけピックアップ。
ああっ、絶対誰かが言うと思うので先に書いておこうっと。これはあくまで表に出てきている数字です。ってね。水面下の動きがどうこうだとかマスコミが云々っていうのは、各自で好きなだけバイアスかけてどうぞ自分の心の中で語らってください。
結論からばって書くと、まず当選した馬英九と蕭萬長のコンビに対する献金は35,743件で総計6億7,740万元あまり、対する謝長廷と蘇貞昌には9,804件で総計4億0403万元あまり。特に目を引くのが企業からの大口献金で、馬蕭には100万元以上献金は146件(自由時報・聯合報・蘋果日報はこの数字なんだけど、中国時報だけ152件)あったのに対し謝蘇には96件と差がつき、金額でも2.2億元あまりに対し1.7億元とリードしました。中国時報は「この数字が総統選挙当時の藍緑の勢いの盛衰を表している」と総括しています。
ところが面白いのは、同じく個人からの献金を見てみると、馬蕭が1.2億元あまりなのに謝蘇は1.7億元あまりと逆転している点ですね。っていうことは、両陣営とも企業と個人の両方を足すとだいたい3.5億元くらいになるっていうこと。両陣営の支持形態の違いはなんとなく想像通りで面白いんだけど、それより何より残りはどうしたの?っていうところ。
あ、いたって簡単なことです。そう、残りの大半は党が出してます。国民党が馬蕭陣営に出したのは2.7億元弱(自由時報より。聯合報では2.5億元強)と収入の4割近くを占めています。一方民進党が謝蘇に投じたのは3,500万元(同じく自由時報。聯合報では3,000万元あまり)。資金集めという点ではむしろここで差が出た形になった感じだね。じゃあそれが票と直結するかっていうとちょっと違うけど。
台湾各紙がこぞって取り上げているのは、「どんな企業がどっちを支援したか」っていうところ。意外なことに、馬蕭も謝蘇もともにトップだったのは遠東集団(Far Eastern)でした。もはやグループ会社総出って感じなのかな(台湾では、政治献金法の規制上、1会社100万元が上限。グループ企業は子会社ごとに100万元出してたりするのですごい金額に)、馬蕭には4,800万元、謝蘇にも1,900万元が渡ってます(自由時報より。聯合報ではそれぞれ4,400万元と1,800万元、蘋果日報はそれぞれ4,300万元と1,900万元。いずれにしても両陣営で共にトップなのは変わらず)。
これに続くのは、馬蕭で見ると台塑集団(Formosa Plastic)の2,000万元、謝蘇では元大集団の1,000万元といった企業グループ。以下、めんどいので各紙から抜粋すると、馬蕭には中国航運、永豊銀行、新光保険、信義房屋、首都客運、謝蘇には、華固建設、晶華国際酒店、新光産物保険、中華紙漿、遠伝電信、和信電信、三普栄造などなど。両方に渡している企業としては、重複もお構いなしに挙げると、宝来集団、新光産物保険、中繊集団、興富発建設などなど。ただ、自由時報も書いているとおり、両方の陣営に献金している企業でもよくよく見てみると全ての企業で馬蕭≧謝蘇なんだけどね。
とまあ、両者合わせて11億元近くが飛び交ったわけなんですが、それの使い道は?ってなるとこれも両者の台所事情と個性が表れています。まずは支出総額だけど、馬蕭が約6.4億元に対して謝蘇は約4.3億元。っておい、謝蘇サイドは赤字出してるじゃんか。しかもよく考えてみたら1票(有効投票)あたりの支出額って100元いってないんだね。あれ?なんか思っていたより安いんですけど。
このうち宣伝に使った金額はそれぞれ約4.4億元と約2.7億元と、支出のほぼ2/3を広報活動に使っていることがわかります。これはどこの国も同じなのかなあ、やっぱりメディア戦略や全国津々浦々への売り込みっていうのが肝心っていうことなんだろうね。謝蘇の陣営は三立や民視といった緑系メディアに多く投じているのも特徴。
こうやって総統選挙で動いた金額を見てみると、やっぱり国民党のパワーの大きさみたいなのが分かってくる。なんかその結論は当たり前すぎて面白くないけどさ。ただ、そうは書きながらもへえって思ったのは、収入ベースで見ると馬陣営は謝陣営の1.7倍、支出ベースでも1.5倍の格差がありながら、票差はおよそ1.4倍になっているというところ。まあ、電卓弾いて机上の空論を言ったって意味ないんだけどね。日本だって台湾だって、なんだかんだ言っても財力は馬鹿にできないんだろうけど、そればっかりじゃないんだよ、みたいなところに甘ちゃんなおいらはちょっとだけでも光明を見出したいのでした。えへへ。
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/feb/17/today-p1.htm (自由時報)
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740339.shtml (聯合報)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110501+112009021700118,00.html (中国時報)
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&IssueID=20090217&art_id=31398996 (蘋果日報)
ちなみに、これには個人名義による献金も載ってるみたいなんですが、そのとばっちりを食ったのが教育部長(元政治大学学長)の鄭瑞城。なんと、両陣営にそれぞれ5万元ずつ献金していたことが発覚。律儀って言えば律儀なのかもしれないけど、教育部長に抜擢されながら実は総統選挙で敵陣営にも寄付していましたっていうのがバレたわけで、予想通りチクチク言われちゃってます。
まずは国民党サイドを見てみると、立法院教育委員会に所属する洪秀柱立法委員からは「企業が両陣営を『押さえておく』のは珍しいことではないが、いち学者が両方に寄付するというのは『理念が欠けているのではないか』と思ってしまう」と指摘し、江義雄も「商売人のようだ」、呉清池は「個人名義での献金そのものについてはことさら騒ぐほどのことではないが、両方に5万元ずつ行ったとなると、確かに『投機の心理』を思わせてしまう」などとかなり冷たい目線。むしろ民進党サイドの方が寛容だったりします。
その鄭教育部長、17日午前にメディアに囲まれると、「当時は定年を迎えていた身なので、国民のために行動する政治家に対する励ましや感謝という純粋な気持ちで献金したのだ」と釈明し、あくまで「両方キープ」っていう意図や「投機的意思」ではなかったと主張してます。
いやいや、確かに理想論を言ってしまえば、「この人は!」っていう人には党派を超えて応援するっていうのは正しいことなんだけどね。実際んとこ、両方に献金している人は他にもいるみたいだし。見返りどうこうがあったにせよ無かったにせよ、わずかな金額であっても人を疑心暗鬼にさせちゃうお金っていうのは、やっぱり怖いものでっす。
(補記)鄭教育部長なんですが、小政党にも寄付していたことがわかり、どうやら「両張り」っていう騒ぎは騒ぎのまま終わりそうです。
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740330.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740973.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740968.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/2/18/NEWS/NATIONAL/NATS4/4742419.shtml (聯合報)
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/feb/18/today-p6.htm (自由時報)
16日、台湾の監察院が政治献金のリストを公表しました。公表って書くと語弊がありそうだね。政治献金に関する届出のリストを一般の人も閲覧できるようになったっていう感じかな。さっそく各メディアの政治欄が比較的細かく報じてます。藍緑両党にどんな人や会社が献金しているか、っていうのもそうだけど、去年の総統選挙の両陣営への献金についても注目が集まりました。実際には両党への献金についても調べられているし、昨年1月に行われた立法委員選挙で各候補者に配られたお金についても報じられているんですが、今回は総統選挙にまつわる部分だけピックアップ。
ああっ、絶対誰かが言うと思うので先に書いておこうっと。これはあくまで表に出てきている数字です。ってね。水面下の動きがどうこうだとかマスコミが云々っていうのは、各自で好きなだけバイアスかけてどうぞ自分の心の中で語らってください。
結論からばって書くと、まず当選した馬英九と蕭萬長のコンビに対する献金は35,743件で総計6億7,740万元あまり、対する謝長廷と蘇貞昌には9,804件で総計4億0403万元あまり。特に目を引くのが企業からの大口献金で、馬蕭には100万元以上献金は146件(自由時報・聯合報・蘋果日報はこの数字なんだけど、中国時報だけ152件)あったのに対し謝蘇には96件と差がつき、金額でも2.2億元あまりに対し1.7億元とリードしました。中国時報は「この数字が総統選挙当時の藍緑の勢いの盛衰を表している」と総括しています。
ところが面白いのは、同じく個人からの献金を見てみると、馬蕭が1.2億元あまりなのに謝蘇は1.7億元あまりと逆転している点ですね。っていうことは、両陣営とも企業と個人の両方を足すとだいたい3.5億元くらいになるっていうこと。両陣営の支持形態の違いはなんとなく想像通りで面白いんだけど、それより何より残りはどうしたの?っていうところ。
あ、いたって簡単なことです。そう、残りの大半は党が出してます。国民党が馬蕭陣営に出したのは2.7億元弱(自由時報より。聯合報では2.5億元強)と収入の4割近くを占めています。一方民進党が謝蘇に投じたのは3,500万元(同じく自由時報。聯合報では3,000万元あまり)。資金集めという点ではむしろここで差が出た形になった感じだね。じゃあそれが票と直結するかっていうとちょっと違うけど。
台湾各紙がこぞって取り上げているのは、「どんな企業がどっちを支援したか」っていうところ。意外なことに、馬蕭も謝蘇もともにトップだったのは遠東集団(Far Eastern)でした。もはやグループ会社総出って感じなのかな(台湾では、政治献金法の規制上、1会社100万元が上限。グループ企業は子会社ごとに100万元出してたりするのですごい金額に)、馬蕭には4,800万元、謝蘇にも1,900万元が渡ってます(自由時報より。聯合報ではそれぞれ4,400万元と1,800万元、蘋果日報はそれぞれ4,300万元と1,900万元。いずれにしても両陣営で共にトップなのは変わらず)。
これに続くのは、馬蕭で見ると台塑集団(Formosa Plastic)の2,000万元、謝蘇では元大集団の1,000万元といった企業グループ。以下、めんどいので各紙から抜粋すると、馬蕭には中国航運、永豊銀行、新光保険、信義房屋、首都客運、謝蘇には、華固建設、晶華国際酒店、新光産物保険、中華紙漿、遠伝電信、和信電信、三普栄造などなど。両方に渡している企業としては、重複もお構いなしに挙げると、宝来集団、新光産物保険、中繊集団、興富発建設などなど。ただ、自由時報も書いているとおり、両方の陣営に献金している企業でもよくよく見てみると全ての企業で馬蕭≧謝蘇なんだけどね。
とまあ、両者合わせて11億元近くが飛び交ったわけなんですが、それの使い道は?ってなるとこれも両者の台所事情と個性が表れています。まずは支出総額だけど、馬蕭が約6.4億元に対して謝蘇は約4.3億元。っておい、謝蘇サイドは赤字出してるじゃんか。しかもよく考えてみたら1票(有効投票)あたりの支出額って100元いってないんだね。あれ?なんか思っていたより安いんですけど。
このうち宣伝に使った金額はそれぞれ約4.4億元と約2.7億元と、支出のほぼ2/3を広報活動に使っていることがわかります。これはどこの国も同じなのかなあ、やっぱりメディア戦略や全国津々浦々への売り込みっていうのが肝心っていうことなんだろうね。謝蘇の陣営は三立や民視といった緑系メディアに多く投じているのも特徴。
こうやって総統選挙で動いた金額を見てみると、やっぱり国民党のパワーの大きさみたいなのが分かってくる。なんかその結論は当たり前すぎて面白くないけどさ。ただ、そうは書きながらもへえって思ったのは、収入ベースで見ると馬陣営は謝陣営の1.7倍、支出ベースでも1.5倍の格差がありながら、票差はおよそ1.4倍になっているというところ。まあ、電卓弾いて机上の空論を言ったって意味ないんだけどね。日本だって台湾だって、なんだかんだ言っても財力は馬鹿にできないんだろうけど、そればっかりじゃないんだよ、みたいなところに甘ちゃんなおいらはちょっとだけでも光明を見出したいのでした。えへへ。
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/feb/17/today-p1.htm (自由時報)
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740339.shtml (聯合報)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110501+112009021700118,00.html (中国時報)
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&IssueID=20090217&art_id=31398996 (蘋果日報)
ちなみに、これには個人名義による献金も載ってるみたいなんですが、そのとばっちりを食ったのが教育部長(元政治大学学長)の鄭瑞城。なんと、両陣営にそれぞれ5万元ずつ献金していたことが発覚。律儀って言えば律儀なのかもしれないけど、教育部長に抜擢されながら実は総統選挙で敵陣営にも寄付していましたっていうのがバレたわけで、予想通りチクチク言われちゃってます。
まずは国民党サイドを見てみると、立法院教育委員会に所属する洪秀柱立法委員からは「企業が両陣営を『押さえておく』のは珍しいことではないが、いち学者が両方に寄付するというのは『理念が欠けているのではないか』と思ってしまう」と指摘し、江義雄も「商売人のようだ」、呉清池は「個人名義での献金そのものについてはことさら騒ぐほどのことではないが、両方に5万元ずつ行ったとなると、確かに『投機の心理』を思わせてしまう」などとかなり冷たい目線。むしろ民進党サイドの方が寛容だったりします。
その鄭教育部長、17日午前にメディアに囲まれると、「当時は定年を迎えていた身なので、国民のために行動する政治家に対する励ましや感謝という純粋な気持ちで献金したのだ」と釈明し、あくまで「両方キープ」っていう意図や「投機的意思」ではなかったと主張してます。
いやいや、確かに理想論を言ってしまえば、「この人は!」っていう人には党派を超えて応援するっていうのは正しいことなんだけどね。実際んとこ、両方に献金している人は他にもいるみたいだし。見返りどうこうがあったにせよ無かったにせよ、わずかな金額であっても人を疑心暗鬼にさせちゃうお金っていうのは、やっぱり怖いものでっす。
(補記)鄭教育部長なんですが、小政党にも寄付していたことがわかり、どうやら「両張り」っていう騒ぎは騒ぎのまま終わりそうです。
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740330.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740973.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/2/17/NEWS/NATIONAL/NATS4/4740968.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/2/18/NEWS/NATIONAL/NATS4/4742419.shtml (聯合報)
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/feb/18/today-p6.htm (自由時報)
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