空母のための「不沈空母」。
さて、すっかり献金問題で忘れ去られてしまった感じのある民主党小沢代表の「第七艦隊で充分」発言ですが、あのままだったらこれはけっこう東亜+的には面白くなったんじゃないかなあってちょっと残念なところ。かつての中曽根元首相の「不沈空母」発言とは脅威の対象が異なるとはいえ、その考え方の対比としても面白かったんじゃないかと思います。今さっきWikipediaで調べていたらびっくりしたんだけど、中曽根元首相の「不沈空母」発言ってインタビューした記者の意訳だったんですね。
一方、お隣中国では比喩ではなくってマジで空母を作ろうとしているみたいです。1月の国防白書公表から先週の馬国超副政治委員の発言(これはスレがないので共同の記事)まで、単純にスレだけピックアップ。
【中国】中国、初の空母建造へ...来年から着手、2015年までに5万~6万トン級の中型艦2隻の完成目指す[12/30]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1230615893/
【中国】 「強大な海軍力を建設」 国防白書で増強強調[01/20]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1232451724/
【コラム】「空母建造」と中国の軍事戦略...中国軍事専門家・平松茂雄氏[02/04]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1233688415/
【中国】原子力空母2隻の建造計画、2020年以降に西太平洋に展開[02/13]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1234468307/
【中国】海軍上将「中国の航空母艦建造は現実的に必要」[03/06]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1236351438/
中国「近い将来に空母」 海軍幹部が言明
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009030601000877.html (共同通信)
ここで不思議なのは、「作ってどうすんの?」っていうところ。たぶん多くの人がそう思ったと思います。
その狙いについて、上のスレにもなっている2月の朝日新聞の記事を見ると、
って書いてるとおり、東シナ海どころか西太平洋・インド洋まで視野に入れていることがうかがえます。ところが、長時間補給無しで活動できる原子力空母を利活用するためには、っていうか遠洋に出るためには、記事にある「第1列島線」(いわゆる第一島鏈)をスムーズに突破しなきゃなりません。この「外洋に出るのが大変」という点で、中国はインドなんかに比べてかなりハンデを負ってます。むしろ、なんで空母が必要なのかっていうくらい。
っていうことは、「原子力空母を2隻がマジで動く頃までには、外洋に安全に出せる道も作りたい」っていう思惑も当然にあるはず。あるいは、「空母が揃ったらそれ使って航路を確保しちゃう?」みたいな考えかもしれないですけどね。じゃあ、どこにそんな道を切り開くの?って言ったら、そりゃ常々狙っている台湾でしょ。と、こういう推論が働くわけでっす。
中国が「海洋国家を目指す」って言うと「ハァ?」って思う人が多いと思うんですが、それは上にも書いたように第一島鏈というカーテンがある地図での話。緑化と言われてペンキを使う国だから、世界地図の色塗りを変えて海洋国家っぽく出口を作ることも発想のうち。ね。
っていうのを考えると、空母の運用開始のカウントダウンは、そのために必要な航路を確保するための(空母就航の前後は別にして)カウントダウンも兼ねているっていう風に見えてきますね。間違っても中国の中の人は、そんなタイムスケジュールを言わないだろうし、日本のメディアもご丁寧にそんな邪推を報道したりなんかしません。
東亜+では「台湾海峡は日本のシーレーンにとって云々」なんてよく見かけますが、台湾は中共にとっても「確保したいシーレーン」っていうことなんです。こわやこわや。
もっとも、当然そんなことは台湾側も織り込み済みです。というか、上に書いた推論はおいらが考えたものじゃなくって、2006年の時点で既に台湾が想定しているストーリーなんです。
この年、陳水扁政権は安全保障政策のガイドラインとも言うべき「国家安全報告」を作成、公表しました。その中で、「中国には台湾を太平洋進出の『不沈空母』にする構想がある」と述べ、中国の太平洋進出と、その足がかりとしての台湾侵攻を挙げています。
【台湾】 「国家安全報告」を公表 「中国には台湾を太平洋進出の『不沈空母』にする構想がある」と警戒 [05/20]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1148121995/
この日経の記事だとよくわからないので、原文を訳すとこんな感じ。
と。冷戦期には「台湾は西太平洋における反共の不沈空母」なんて言われたこともあったみたいですが、中国もまた戦略的足がかりとして虎視眈々と狙っているんですね。
これについては、2008年版でも同じことが載っています。また、2008年版はこの文章の前段に、「中国の海軍戦略が『沿岸防衛』→『近海防衛』→『遠洋防衛』と変わりつつある」っていう適確な指摘が加わってます。もちろんこの「台湾不沈空母論」には、中国の空母建造なんていうのはかかってこないのですが、遠洋防衛の拠点という目的を考えれば、手段にあたる空母を結び付けることはそんなに無理のある話じゃないでしょ。というか、日本ではここ数ヶ月で盛り上がってきた空母建造の話題だけど、こうやって見てみるとやはり台湾がいちばんよくわかっているのかもしれない。もっとも、これを「アメリカに対する牽制球」って捉えることもできないわけじゃないと思うんだけどね。
なんて持ち上げてみたんですが、この次の項にある日本についての記述が2006年版と2008年版で変わりすぎててわろす。これも日本じゃ報道されてなかったよなあ。
http://www.president.gov.tw/download/nsc/NSC-2.pdf (PDFファイル・該当部分はP16)
http://www.president.gov.tw/2_special/2008NationalSecurity/NSC.pdf (PDFファイル・該当部分はP17-18)
じゃあ、さぞかし6日の「空母建造は現実的に必要」発言は大きく取り上げられたのでは?っていう気がするんですが、これがあまり報道されていません。4日に公表された国防費14.9%増はそこそこ取り上げられたのにね。また、1月以降の一連の報道についても、むしろ日本での報道を転載するような形でしか報道されていません。
でも、それは決して「危機感が欠如してきた」っていうわけじゃないと思う。いちばん上に書いたように、なんだかんだ言って小出し小出しに明らかにされてきたことだし、状況分析についても国家安全報告にあるとおり。結局、今のタイミングでどうこうっていうことじゃない、っていうことなんじゃないかなあ。
一方、お隣中国では比喩ではなくってマジで空母を作ろうとしているみたいです。1月の国防白書公表から先週の馬国超副政治委員の発言(これはスレがないので共同の記事)まで、単純にスレだけピックアップ。
【中国】中国、初の空母建造へ...来年から着手、2015年までに5万~6万トン級の中型艦2隻の完成目指す[12/30]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1230615893/
【中国】 「強大な海軍力を建設」 国防白書で増強強調[01/20]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1232451724/
【コラム】「空母建造」と中国の軍事戦略...中国軍事専門家・平松茂雄氏[02/04]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1233688415/
【中国】原子力空母2隻の建造計画、2020年以降に西太平洋に展開[02/13]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1234468307/
【中国】海軍上将「中国の航空母艦建造は現実的に必要」[03/06]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1236351438/
中国「近い将来に空母」 海軍幹部が言明
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009030601000877.html (共同通信)
ここで不思議なのは、「作ってどうすんの?」っていうところ。たぶん多くの人がそう思ったと思います。
その狙いについて、上のスレにもなっている2月の朝日新聞の記事を見ると、
沖縄、台湾、フィリピンなどを結ぶ防衛ライン「第1列島線」を越え、沿岸防衛からの脱却を目指す。
(中略)中国軍は将来的には日本列島からグアム島、インドネシアに至る「第2列島線」内の西太平洋海域の制海権を確保したうえで、インド洋や太平洋全域で米海軍に対抗することを目標に掲げている。中国、原子力空母2隻計画 20年以降、西太平洋に展開 (朝日新聞)
って書いてるとおり、東シナ海どころか西太平洋・インド洋まで視野に入れていることがうかがえます。ところが、長時間補給無しで活動できる原子力空母を利活用するためには、っていうか遠洋に出るためには、記事にある「第1列島線」(いわゆる第一島鏈)をスムーズに突破しなきゃなりません。この「外洋に出るのが大変」という点で、中国はインドなんかに比べてかなりハンデを負ってます。むしろ、なんで空母が必要なのかっていうくらい。
っていうことは、「原子力空母を2隻がマジで動く頃までには、外洋に安全に出せる道も作りたい」っていう思惑も当然にあるはず。あるいは、「空母が揃ったらそれ使って航路を確保しちゃう?」みたいな考えかもしれないですけどね。じゃあ、どこにそんな道を切り開くの?って言ったら、そりゃ常々狙っている台湾でしょ。と、こういう推論が働くわけでっす。
中国が「海洋国家を目指す」って言うと「ハァ?」って思う人が多いと思うんですが、それは上にも書いたように第一島鏈というカーテンがある地図での話。緑化と言われてペンキを使う国だから、世界地図の色塗りを変えて海洋国家っぽく出口を作ることも発想のうち。ね。
っていうのを考えると、空母の運用開始のカウントダウンは、そのために必要な航路を確保するための(空母就航の前後は別にして)カウントダウンも兼ねているっていう風に見えてきますね。間違っても中国の中の人は、そんなタイムスケジュールを言わないだろうし、日本のメディアもご丁寧にそんな邪推を報道したりなんかしません。
東亜+では「台湾海峡は日本のシーレーンにとって云々」なんてよく見かけますが、台湾は中共にとっても「確保したいシーレーン」っていうことなんです。こわやこわや。
もっとも、当然そんなことは台湾側も織り込み済みです。というか、上に書いた推論はおいらが考えたものじゃなくって、2006年の時点で既に台湾が想定しているストーリーなんです。
この年、陳水扁政権は安全保障政策のガイドラインとも言うべき「国家安全報告」を作成、公表しました。その中で、「中国には台湾を太平洋進出の『不沈空母』にする構想がある」と述べ、中国の太平洋進出と、その足がかりとしての台湾侵攻を挙げています。
【台湾】 「国家安全報告」を公表 「中国には台湾を太平洋進出の『不沈空母』にする構想がある」と警戒 [05/20]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1148121995/
この日経の記事だとよくわからないので、原文を訳すとこんな感じ。
中国の外に向けて拡張しようとする海洋戦略構想の中で、台湾は戦略的に重要な地理的位置に存在している。中国の戦略家の目には、「台湾は、中国が外に展開する戦略における踏み切り板だ」と映っている。すなわち、台湾を手にすれば遠洋拡張戦略の前進基地となると考えている。「(台湾は)3.6万平方キロの大きさの1隻の『不沈空母』であり、......中国が遠洋に出るためのもっとも良い拠点である」というわけだ。逆に、もし台湾を手中に収めることができなければ、「中国は沿岸防衛ができなくなり、脆い南東部の海岸をさらけ出すことになり、至る所で脅威を受けよう」したがって、「台湾を掴みこむができなければ、中国は永遠に外に出ることは難しくなり、永遠に中原大陸に封じ込められるだろう」。
よって、中国がしばしば「統一」をしようとし、武力侵攻も惜しまないというのは、潜在的な目的の一つに、遠洋への拡大という戦略のための前線基地とする狙いがあるためなのだ。中国、原子力空母2隻計画 20年以降、西太平洋に展開 (中華民国総統府/強調およびカッコ補記は引用者)
と。冷戦期には「台湾は西太平洋における反共の不沈空母」なんて言われたこともあったみたいですが、中国もまた戦略的足がかりとして虎視眈々と狙っているんですね。
これについては、2008年版でも同じことが載っています。また、2008年版はこの文章の前段に、「中国の海軍戦略が『沿岸防衛』→『近海防衛』→『遠洋防衛』と変わりつつある」っていう適確な指摘が加わってます。もちろんこの「台湾不沈空母論」には、中国の空母建造なんていうのはかかってこないのですが、遠洋防衛の拠点という目的を考えれば、手段にあたる空母を結び付けることはそんなに無理のある話じゃないでしょ。というか、日本ではここ数ヶ月で盛り上がってきた空母建造の話題だけど、こうやって見てみるとやはり台湾がいちばんよくわかっているのかもしれない。もっとも、これを「アメリカに対する牽制球」って捉えることもできないわけじゃないと思うんだけどね。
なんて持ち上げてみたんですが、この次の項にある日本についての記述が2006年版と2008年版で変わりすぎててわろす。これも日本じゃ報道されてなかったよなあ。
http://www.president.gov.tw/download/nsc/NSC-2.pdf (PDFファイル・該当部分はP16)
http://www.president.gov.tw/2_special/2008NationalSecurity/NSC.pdf (PDFファイル・該当部分はP17-18)
じゃあ、さぞかし6日の「空母建造は現実的に必要」発言は大きく取り上げられたのでは?っていう気がするんですが、これがあまり報道されていません。4日に公表された国防費14.9%増はそこそこ取り上げられたのにね。また、1月以降の一連の報道についても、むしろ日本での報道を転載するような形でしか報道されていません。
でも、それは決して「危機感が欠如してきた」っていうわけじゃないと思う。いちばん上に書いたように、なんだかんだ言って小出し小出しに明らかにされてきたことだし、状況分析についても国家安全報告にあるとおり。結局、今のタイミングでどうこうっていうことじゃない、っていうことなんじゃないかなあ。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 空母のための「不沈空母」。
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.yauchi.net/mt/mt-tb.cgi/132


そうだね、地図を見ると支那が外洋に出るには、我が国と台湾を押さないと出られないね。
台湾としては未だ少し時間が有るという事なのかな?台湾海軍には高速ミサイル艇が多数装備されているし。
ところで今月の18日に、我が国初のヘリ空母となる「ひゅうが」が海上自衛隊に引き渡されたけど、我が国の海洋権益や海上交通路を守る為には、本格的な空母を保有する必要があると思うよ。
> 雨彦さん。
「ひゅうが」の話はニュースで見ました。
とは言ってもここまで来るとおいらにとっては専門外(専門なんて無いんですけど)なので、なんともコメントしづらいところです。すいません。
ただ、漠然とした考えなんですが、おいらはどちらかと言えば空母を持つ必要性に懐疑的なところがあります。空母不要論とまではいかないのですが、あくまでシーレーン防衛という点でいくならば、むしろ東南亜諸国との連携で対応すること(ソマリアは無政府状態だったわけで)のほうが効率的なんじゃないかなと思っています。甘いかな。あはは。