田や沼がよごれた御世をどうすると。
ちょっとした過ちを犯してしまい、先週から日経ビジネスオンラインの「ネットは「中国式民主主義」を生むか?」を読んでました。うん、春休みの宿題みたいなものなんだ。
そもそもおいらは決して中国ヲチャーでもネットヲチャーでもないんですが、振られちゃったらしょうがないよね。「約束は守らなくてもお約束は守ること」「人を裏切らなくても人の期待は裏切ること」というのが人生の二大命題だから、餌には全力で食らいつくし、無理難題は「無理無理無理無理」って言っておいてからやっぱり手を出します。そんな話を中の人の隣の人にしたらが「なんだかエロゲみたいだね」って言われました。思考回路がさっぱりわからないんですが、とりあえず東シナ海の魚のエサにでもなればいいのに、と思ったわけ。
いずれにしても、この話はまた次回以降で。っていうか、昨日ミスドでうんうん言いながら何回もコーヒーお替りして読み終えたんだけど、(おいらほどじゃないにせよ)あっちこっちに話が飛ぶので、何か書こうとするためにはもう一回ペンを片手に読まなきゃいけないっぽいです。今さらながら1日遅れのエイプリルフールだったらよかったのにと思いつつ、本当に取り消されたそれはそれで怒る。基本的にわがままっ子です。えへん。
そういや今年のエイプリルフールでは、いろんな嘘ニュースやダム板、リアルでの騙しあいにはひっかからなかったのに、mixiで2人から計3回ひっかかりました。くっ。しかもちょっとした抵抗のつもりで苦し紛れに編集したタグが、いつの間にかロックされていてびっくりした。先生、タグロックそこじゃないです。っていうか先生じゃなくて(ry
こういう嘘やひっかけは、重音テトもそうだけどまだまだ清々しさがあるんですが、嘘なのかひっかけなのかわからないもやっとした歯切れの悪いニュースもあるわけでして。
台湾では7日、ちょっとショッキングなニュースが流れました。香港にあるリスクコンサルタント会社、亜洲政経風険顧問公司が発表したいわゆる「汚職度調査」みたいなやつで「台湾は中国よりも汚職がひどいと見られている」というような趣旨の結果が出たと報じられました。なんでもアジア+米国+豪州の17ヶ国のうち、台湾が悪いほうから8番目、中国が9番目だったそうです。一瞬、「確かになんだかんだ言ってもクリーンとは言えないよなあ」みたいなことを思ったんですが、それにしたって中国より悪いっていうのは「え?」ってなります。
今回の調査、なんかちょっと変わった調査だなあっていうのが率直な印象。というのも、こういうのって汚職の件数とかそういう資料を基にして考えると思うんですが、この調査は外国人ビジネスマン(or外国企業)によるイメージ調査に近いもののようです。りんごは調査結果を総括して「外国人ビジネスマンの台湾に対する全体的なイメージは中国より良いものの、政治家の汚職問題については中国よりひどいものと映っている」とし、「現在審理が行われている陳水扁の事件が、台湾の汚職問題のレベルを示す指標になるだろう」としています。この書き方もなんだか誘導っぽくて嫌だけどね。とか思ってたら、行政院新聞局の蘇俊賓は「前政権の汚職事件が与えた影響は大きい」とコメントしたもより。こらこら。
RTIの報道には法務部のコメントも載っているんですが、「これは調査の有効標本も非常に少なく、基礎がしっかりしたものとはいえない。しかし、台湾に対する非常に重たいアラートである」と述べています。
また同じく7日の蘋果日報では論評記事で、「以前の我々は韓国と比較をしていたが、今では韓国は我々の上に行ってしまい、フィリピンや中国と比べるような状況になってしまった」と嘆いています。大陸はいいとして、直球で「ダメな国の代名詞」として名前を出されたフィリピン涙目。
http://www.rti.org.tw/News/NewsContentHome.aspx?NewsID=150473&t=1 (RTI)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,130502+132009040701917,00.html (中央通訊社→中国時報)
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&Art_ID=31527906&IssueID=20090407 (蘋果日報)
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&Art_ID=31527909&IssueID=20090407 (蘋果日報)
珍しくこれに速攻で反応したのが馬英九総統でした。翌8日には総統府で会見し、汚職や腐敗の根絶に向けて不正行為の調査を行うことを発表しました。
これについてはさらに珍しく東京新聞だけが報じていた(っていうか他で確認できなかった)ので、本文のみ転載。こんな感じっす。
http://www.president.gov.tw/php-bin/prez/shownews.php4?Rid=15156 (中華民国総統府)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009040902000068.html (東京新聞)
【台湾】馬英九総統が腐敗防止の号令-アジアの汚職度調査で「中国より深刻」と指摘を受け [04/09]
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1239304963/
馬英九にとって「クリーンなイメージ」を狙うというのは、原点回帰とも言うべき作戦です。その一方で、りんごの記事が匂わせたように、やり方によっては前政権の有力者を弾いちゃって、「前政権より今の政権のほうがしっかりしてました」って結論付けることもできるというわな。
なのですが、なんと言っても「あれ?」と思う最大のポイントは、一国の宰相がいち機関の調査、しかも外国人ビジネスマンの目から見た印象で、さらに法務部が「まあ落ちつけ」とコメントした結果に対しダイレクトで触れている点ですね。たとえば景況感みたく、一般市民の感覚が政策の指標になるっていうのは必ずしも間違いじゃないと思うんですが、それにしたって今回の発表は唐突感が拭えません。
さらに上手いなと思うのは、陳水扁前政権時代のことであっても「現政権が責任を回避することはできない」なんてもっともらしく言っているとこ。おいおい、別に今の政権のスタッフが罰せられるわけじゃなくて、訴追なりなんなりの対象は前政権のスタッフにするんでしょ。
どうもこのへんは「国策捜査じゃないよ」「緑陣営のみをしょっぴくわけじゃないよ」っていう事前のエクスキューズにも見えちゃうんですね。考えすぎかな。会見の中でも「藍緑を問わず、役職を問わず、歪みなく放置せず」って指示しているけれど、それをあえて言ってしまうっていうところに、何か妙な勘ぐりにスイッチが入ってしまうのです。
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/apr/9/today-p1.htm (自由時報)
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/apr/9/today-p1-2.htm (自由時報)
http://www.udn.com/2009/4/8/NEWS/NATIONAL/NAT1/4836169.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/4/8/NEWS/NATIONAL/NAT1/4836092.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/4/9/NEWS/NATIONAL/NATS5/4837517.shtml (聯合報)
というのも、馬英九が「これはひどい」ということで立ち上がった根拠の一つである例の「汚職度調査」なんですが、果たしてどこまで実情を表しているのかちょっと怪しいのです。おっと、仮に台湾の汚職度が中国よりもマシだったとして「汚職根絶」っていうスローガンを否定するって言う意味じゃないからね。言い換えれば、やっていること自体は決して否定されるようなものじゃないっていうこと。そこがまた、些かの狡猾さをチラ見せされているようで後味の悪さを招いてるんだけどね。
じゃあまずはその調査結果を見てみようってなるんですが、Webで実物を読もうとするとなぜか全文はパスが必要になって読めない。困った。ところが、同じ組織が実施した「Asian Risk Prospects for 2009」(こっちはサマリーをPDFで読める)では、今回伝えられているものと結果が一致しません。まとめのグラフはこんな感じ。

どうやら、数字が小さいほど清く正しく美しくて、数字が10に近いほど悪いっていう意味みたいです。このグラフだけ見ると台湾の汚職度は数字が小さいほうから6番目。アメリカ(7番目)や韓国(8番目)よりも良く、中国(10番目)より悪いのはむしろ2007年時点での数字のように見えます。
http://www.asiarisk.com/exsum.pdf (亜洲政経風険顧問公司・PDF形式)
なんでこの違いが出たか、ということについて自由時報は上にも書いたように「調査対象がちょっと違う」という点に触れています。確かにそれを考えちゃうと、なんかそこまでカチッとした根拠で数値化されたものじゃないんだよなあ。
逆に、自由時報では世界的な汚職監視のNPO、トランスペアレンシーが去年8月に発表した腐敗認識指数についても書いてますね。こっちの結果では、台湾は世界180ヶ国の中で39位と比較的優秀な位置(それでも過去最悪の順位らしい。ちなみに、トップはデンマークとニュージーランドとスウェーデンが同率で並んでます。このほか日本とアメリカが同率で18位)。目をずらせば韓国が40位、りんごが書いていたようにここでは隣り合わせになっていますね。中国はさらに下のほうの72位、涙目フィリピンはイランなんかといっしょの141位でした。うーん、そうだよね。イメージとしてはこちらのランキングのほうがしっくり来るかなあって思っちゃうおいらがいます。
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/apr/9/today-p1-3.htm (自由時報)
http://www.ti-j.org/TI/CPI/CPI2008_table.pdf (トランスペアレンシー・PDF形式)
台湾のブロガーの中には、調査を行った亜洲政経風険顧問公司のトップが、かつて北京市の知識産権局を訪問したという記事を持ち出して「そら見たことか」みたいなことを言っていますが、(おいらは元々陰謀論が大っ嫌いだしね)それも行き過ぎた推論かなって思うんだよね。今回の調査結果がWebで見られないことにしたって、企業の中にはWebで公開するのとプレスに流すのとで情報量が違うなんていうのはザラだしね。
http://www.bjipo.gov.cn/include/wenzhang.jsp?id=11455188930001 (北京市知識産権局)
さて、急転直下で馬英九の大号令に至った今回の一件、3ヶ月以内っていうその期間のうちに出てくるのは鬼かな?蛇かな?既に台湾では「あの国民党が汚職の一掃に向けて大鉈を振るおうだなんて」っていう意見(っていうか皮肉だね、こりゃ)がけっこうちらほら散見されてます。
ちょっとずれるけどりんご日報は7日にWebでこんな投票をやっていました。
> Q:亜洲政経風険顧問公司が外国人ビジネスマンを対象に行った調査では、
> 彼らが「台湾には高いモラルを持った政党が無い」とも考えていることがわかりましたが、あなたはどう思いますか?
>
> A:
> 総ては陳水扁たちの汚職が世界的なイメージを悪化させたのだ・・・34.0%
> 完全執政に良いことはない、国民党は自省せよ・・・16.6%
> 藍緑両方とももうだめぽ。台湾の国民は本当に不幸な運命だ・・・34.1%
> やった!ついに汚職で中国に勝った!・・・15.1%
上位2項目はなんとなく予想の範囲内なんだけどね。むしろ7人に1人くらいが斜め上っていうのに驚いた。いちばん多かった34.1%の人の回答を「藍緑両方を批判した」って考えると、もちろん「緑や陳水扁を批判する人」が2/3を超えてしまうんですが、一方で国民党に批判的な意見も半数以上あるとも考えられるんですね。
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Inquire&Inquire=TopicResult&GrpID=0&TitleID=977 (蘋果日報)
実際、8日の馬英九総統の会見を受けて政界では様々な反応がありました。民進党の高志鵬は、「馬英九総統が『藍緑の区別無く』と言ったのは、司法が緑に対して動き藍には手を出さなかったり著しく偏らないか、という点に注意することを強調したものだろう。しばらくの間は彼のこの呼びかけを信じて静観し、3ヶ月のうちに緑系狙い撃ちの状況が変わるかどうかを見ることにしたい」と、馬英九の言った「与野党を問わず」がどこまで本気なのか、出来レースになるのではないかと牽制してます。これに対しては国民党の羅淑蕾が「検察官たちは、馬英九が総統になってから就いたわけではない」と、政権による恣意的な捜査は無いと返してます。なんだかこれってどこかで見たような光景だなあ。「SAPIO」の最新号に、「誰が「総理」を殺すのか!?」っていう特集記事の中に検察と政界の関係について書いてあるけっこう興味深い記事があったんだけど、これが8日に出たのは偶然にしては面白いね。
http://www.rti.org.tw/News/NewsContentHome.aspx?t=6&NewsID=150562 (RTI)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,5010588+132009040800903,00.html (中国時報)
今回の一件、おいらの中ではやっぱりなんだかすごくもやもやしてて、馬英九の大号令も額面通り受け取れずにいます。でも、それはともかくも動き出してしまったことに変わりはないです。果たして台湾版「小沢西松騒動」みたいになるのかどうかはちょっとわかりませんが、上に書いたように国民党にとっても分のいい話ではないので、落とし所を間違えるとやっかいなことになりそうですね。って、今から「落とし所」とか言ってどうすんのさ。
そもそもおいらは決して中国ヲチャーでもネットヲチャーでもないんですが、振られちゃったらしょうがないよね。「約束は守らなくてもお約束は守ること」「人を裏切らなくても人の期待は裏切ること」というのが人生の二大命題だから、餌には全力で食らいつくし、無理難題は「無理無理無理無理」って言っておいてからやっぱり手を出します。そんな話を中の人の隣の人にしたらが「なんだかエロゲみたいだね」って言われました。思考回路がさっぱりわからないんですが、とりあえず東シナ海の魚のエサにでもなればいいのに、と思ったわけ。
いずれにしても、この話はまた次回以降で。っていうか、昨日ミスドでうんうん言いながら何回もコーヒーお替りして読み終えたんだけど、(おいらほどじゃないにせよ)あっちこっちに話が飛ぶので、何か書こうとするためにはもう一回ペンを片手に読まなきゃいけないっぽいです。今さらながら1日遅れのエイプリルフールだったらよかったのにと思いつつ、本当に取り消されたそれはそれで怒る。基本的にわがままっ子です。えへん。
そういや今年のエイプリルフールでは、いろんな嘘ニュースやダム板、リアルでの騙しあいにはひっかからなかったのに、mixiで2人から計3回ひっかかりました。くっ。しかもちょっとした抵抗のつもりで苦し紛れに編集したタグが、いつの間にかロックされていてびっくりした。先生、タグロックそこじゃないです。っていうか先生じゃなくて(ry
こういう嘘やひっかけは、重音テトもそうだけどまだまだ清々しさがあるんですが、嘘なのかひっかけなのかわからないもやっとした歯切れの悪いニュースもあるわけでして。
台湾では7日、ちょっとショッキングなニュースが流れました。香港にあるリスクコンサルタント会社、亜洲政経風険顧問公司が発表したいわゆる「汚職度調査」みたいなやつで「台湾は中国よりも汚職がひどいと見られている」というような趣旨の結果が出たと報じられました。なんでもアジア+米国+豪州の17ヶ国のうち、台湾が悪いほうから8番目、中国が9番目だったそうです。一瞬、「確かになんだかんだ言ってもクリーンとは言えないよなあ」みたいなことを思ったんですが、それにしたって中国より悪いっていうのは「え?」ってなります。
今回の調査、なんかちょっと変わった調査だなあっていうのが率直な印象。というのも、こういうのって汚職の件数とかそういう資料を基にして考えると思うんですが、この調査は外国人ビジネスマン(or外国企業)によるイメージ調査に近いもののようです。りんごは調査結果を総括して「外国人ビジネスマンの台湾に対する全体的なイメージは中国より良いものの、政治家の汚職問題については中国よりひどいものと映っている」とし、「現在審理が行われている陳水扁の事件が、台湾の汚職問題のレベルを示す指標になるだろう」としています。この書き方もなんだか誘導っぽくて嫌だけどね。とか思ってたら、行政院新聞局の蘇俊賓は「前政権の汚職事件が与えた影響は大きい」とコメントしたもより。こらこら。
RTIの報道には法務部のコメントも載っているんですが、「これは調査の有効標本も非常に少なく、基礎がしっかりしたものとはいえない。しかし、台湾に対する非常に重たいアラートである」と述べています。
また同じく7日の蘋果日報では論評記事で、「以前の我々は韓国と比較をしていたが、今では韓国は我々の上に行ってしまい、フィリピンや中国と比べるような状況になってしまった」と嘆いています。大陸はいいとして、直球で「ダメな国の代名詞」として名前を出されたフィリピン涙目。
http://www.rti.org.tw/News/NewsContentHome.aspx?NewsID=150473&t=1 (RTI)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,130502+132009040701917,00.html (中央通訊社→中国時報)
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&Art_ID=31527906&IssueID=20090407 (蘋果日報)
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Article&Art_ID=31527909&IssueID=20090407 (蘋果日報)
珍しくこれに速攻で反応したのが馬英九総統でした。翌8日には総統府で会見し、汚職や腐敗の根絶に向けて不正行為の調査を行うことを発表しました。
これについてはさらに珍しく東京新聞だけが報じていた(っていうか他で確認できなかった)ので、本文のみ転載。こんな感じっす。
台湾の馬英九総統は8日、緊急記者会見を開き、行政と司法機関に対して不正行為の有無を徹底的に調査し、改善策を3カ月以内に報告するよう求めたことを明らかにした。
最近、国防部(国防省)などで汚職容疑事件が相次いで発覚。また香港のリスクコンサルタント会社が発表したアジア地区の汚職度調査で「中国よりも台湾の方が状況が深刻」と指摘されたことから総統による異例の号令が下った。馬総統は「中華圏にあって台湾は民主を成し遂げており、腐敗の恥をさらすことは受け入れられない」と強調した。民進党政権時代に起きた汚職事件であっても綱紀の粛正は現政府の責任として、調査の徹底と不正の一掃を指示した。馬総統は、与野党や職位の程度を問わず不正を放置せず、調査の遅れを容認しないという厳しい姿勢を示している。
http://www.president.gov.tw/php-bin/prez/shownews.php4?Rid=15156 (中華民国総統府)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009040902000068.html (東京新聞)
【台湾】馬英九総統が腐敗防止の号令-アジアの汚職度調査で「中国より深刻」と指摘を受け [04/09]
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1239304963/
馬英九にとって「クリーンなイメージ」を狙うというのは、原点回帰とも言うべき作戦です。その一方で、りんごの記事が匂わせたように、やり方によっては前政権の有力者を弾いちゃって、「前政権より今の政権のほうがしっかりしてました」って結論付けることもできるというわな。
なのですが、なんと言っても「あれ?」と思う最大のポイントは、一国の宰相がいち機関の調査、しかも外国人ビジネスマンの目から見た印象で、さらに法務部が「まあ落ちつけ」とコメントした結果に対しダイレクトで触れている点ですね。たとえば景況感みたく、一般市民の感覚が政策の指標になるっていうのは必ずしも間違いじゃないと思うんですが、それにしたって今回の発表は唐突感が拭えません。
さらに上手いなと思うのは、陳水扁前政権時代のことであっても「現政権が責任を回避することはできない」なんてもっともらしく言っているとこ。おいおい、別に今の政権のスタッフが罰せられるわけじゃなくて、訴追なりなんなりの対象は前政権のスタッフにするんでしょ。
どうもこのへんは「国策捜査じゃないよ」「緑陣営のみをしょっぴくわけじゃないよ」っていう事前のエクスキューズにも見えちゃうんですね。考えすぎかな。会見の中でも「藍緑を問わず、役職を問わず、歪みなく放置せず」って指示しているけれど、それをあえて言ってしまうっていうところに、何か妙な勘ぐりにスイッチが入ってしまうのです。
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/apr/9/today-p1.htm (自由時報)
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/apr/9/today-p1-2.htm (自由時報)
http://www.udn.com/2009/4/8/NEWS/NATIONAL/NAT1/4836169.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/4/8/NEWS/NATIONAL/NAT1/4836092.shtml (聯合報)
http://www.udn.com/2009/4/9/NEWS/NATIONAL/NATS5/4837517.shtml (聯合報)
というのも、馬英九が「これはひどい」ということで立ち上がった根拠の一つである例の「汚職度調査」なんですが、果たしてどこまで実情を表しているのかちょっと怪しいのです。おっと、仮に台湾の汚職度が中国よりもマシだったとして「汚職根絶」っていうスローガンを否定するって言う意味じゃないからね。言い換えれば、やっていること自体は決して否定されるようなものじゃないっていうこと。そこがまた、些かの狡猾さをチラ見せされているようで後味の悪さを招いてるんだけどね。
じゃあまずはその調査結果を見てみようってなるんですが、Webで実物を読もうとするとなぜか全文はパスが必要になって読めない。困った。ところが、同じ組織が実施した「Asian Risk Prospects for 2009」(こっちはサマリーをPDFで読める)では、今回伝えられているものと結果が一致しません。まとめのグラフはこんな感じ。
どうやら、数字が小さいほど清く正しく美しくて、数字が10に近いほど悪いっていう意味みたいです。このグラフだけ見ると台湾の汚職度は数字が小さいほうから6番目。アメリカ(7番目)や韓国(8番目)よりも良く、中国(10番目)より悪いのはむしろ2007年時点での数字のように見えます。
http://www.asiarisk.com/exsum.pdf (亜洲政経風険顧問公司・PDF形式)
なんでこの違いが出たか、ということについて自由時報は上にも書いたように「調査対象がちょっと違う」という点に触れています。確かにそれを考えちゃうと、なんかそこまでカチッとした根拠で数値化されたものじゃないんだよなあ。
逆に、自由時報では世界的な汚職監視のNPO、トランスペアレンシーが去年8月に発表した腐敗認識指数についても書いてますね。こっちの結果では、台湾は世界180ヶ国の中で39位と比較的優秀な位置(それでも過去最悪の順位らしい。ちなみに、トップはデンマークとニュージーランドとスウェーデンが同率で並んでます。このほか日本とアメリカが同率で18位)。目をずらせば韓国が40位、りんごが書いていたようにここでは隣り合わせになっていますね。中国はさらに下のほうの72位、涙目フィリピンはイランなんかといっしょの141位でした。うーん、そうだよね。イメージとしてはこちらのランキングのほうがしっくり来るかなあって思っちゃうおいらがいます。
http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/apr/9/today-p1-3.htm (自由時報)
http://www.ti-j.org/TI/CPI/CPI2008_table.pdf (トランスペアレンシー・PDF形式)
台湾のブロガーの中には、調査を行った亜洲政経風険顧問公司のトップが、かつて北京市の知識産権局を訪問したという記事を持ち出して「そら見たことか」みたいなことを言っていますが、(おいらは元々陰謀論が大っ嫌いだしね)それも行き過ぎた推論かなって思うんだよね。今回の調査結果がWebで見られないことにしたって、企業の中にはWebで公開するのとプレスに流すのとで情報量が違うなんていうのはザラだしね。
http://www.bjipo.gov.cn/include/wenzhang.jsp?id=11455188930001 (北京市知識産権局)
さて、急転直下で馬英九の大号令に至った今回の一件、3ヶ月以内っていうその期間のうちに出てくるのは鬼かな?蛇かな?既に台湾では「あの国民党が汚職の一掃に向けて大鉈を振るおうだなんて」っていう意見(っていうか皮肉だね、こりゃ)がけっこうちらほら散見されてます。
ちょっとずれるけどりんご日報は7日にWebでこんな投票をやっていました。
> Q:亜洲政経風険顧問公司が外国人ビジネスマンを対象に行った調査では、
> 彼らが「台湾には高いモラルを持った政党が無い」とも考えていることがわかりましたが、あなたはどう思いますか?
>
> A:
> 総ては陳水扁たちの汚職が世界的なイメージを悪化させたのだ・・・34.0%
> 完全執政に良いことはない、国民党は自省せよ・・・16.6%
> 藍緑両方とももうだめぽ。台湾の国民は本当に不幸な運命だ・・・34.1%
> やった!ついに汚職で中国に勝った!・・・15.1%
上位2項目はなんとなく予想の範囲内なんだけどね。むしろ7人に1人くらいが斜め上っていうのに驚いた。いちばん多かった34.1%の人の回答を「藍緑両方を批判した」って考えると、もちろん「緑や陳水扁を批判する人」が2/3を超えてしまうんですが、一方で国民党に批判的な意見も半数以上あるとも考えられるんですね。
http://1-apple.com.tw/index.cfm?Fuseaction=Inquire&Inquire=TopicResult&GrpID=0&TitleID=977 (蘋果日報)
実際、8日の馬英九総統の会見を受けて政界では様々な反応がありました。民進党の高志鵬は、「馬英九総統が『藍緑の区別無く』と言ったのは、司法が緑に対して動き藍には手を出さなかったり著しく偏らないか、という点に注意することを強調したものだろう。しばらくの間は彼のこの呼びかけを信じて静観し、3ヶ月のうちに緑系狙い撃ちの状況が変わるかどうかを見ることにしたい」と、馬英九の言った「与野党を問わず」がどこまで本気なのか、出来レースになるのではないかと牽制してます。これに対しては国民党の羅淑蕾が「検察官たちは、馬英九が総統になってから就いたわけではない」と、政権による恣意的な捜査は無いと返してます。なんだかこれってどこかで見たような光景だなあ。「SAPIO」の最新号に、「誰が「総理」を殺すのか!?」っていう特集記事の中に検察と政界の関係について書いてあるけっこう興味深い記事があったんだけど、これが8日に出たのは偶然にしては面白いね。
http://www.rti.org.tw/News/NewsContentHome.aspx?t=6&NewsID=150562 (RTI)
http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,5010588+132009040800903,00.html (中国時報)
今回の一件、おいらの中ではやっぱりなんだかすごくもやもやしてて、馬英九の大号令も額面通り受け取れずにいます。でも、それはともかくも動き出してしまったことに変わりはないです。果たして台湾版「小沢西松騒動」みたいになるのかどうかはちょっとわかりませんが、上に書いたように国民党にとっても分のいい話ではないので、落とし所を間違えるとやっかいなことになりそうですね。って、今から「落とし所」とか言ってどうすんのさ。
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