一方、台湾は齋藤代表を取っ掛かりにした。

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NASAが大真面目に「ロシアは鉛筆を使った」について解説記事を書いていた(厳密にはこのコピペに対応する話ではないけれど)というのを知ったときは、びっくりしたものです。

土曜日は中国語検定の勉強して、軽く金曲奨のニュースでスレでも立てて早めに寝ないとね、なんて考えてたら
 【日台】馬政権による「齋藤・交流協会代表外し」で馮寄台・駐日代表が報復に遭う? 日台関係に行き詰まりの様相[06/27]
 http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1246078738/
これだよ。前触れもなく自由時報があんな記事を出すとは思わなかったのでびっくりしたのです。

途中でどっかはしょったら訳がわからなくなるなと思って全文訳したら、(途中の誤訳もいくつかあって文章の日本語がおかしいのも悪いんだけど)余計に読んでもらえなくなったというよくあるパターン。
22 :<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん:2009/06/27(土) 14:49:43
読んでて意味がわからなかったが
最後で分かった

日本としてはかなりの親台湾発言であり、これに言及するのもかなりの勇気がいる問題だが、
台湾にしてみればそうではないことなんだな。
現政権が中国の顔色伺ってるって話しではないってことかな

【日台】馬政権による「齋藤・交流協会代表外し」で馮寄台・駐日代表が報復に遭う? 日台関係に行き詰まりの様相[06/27] (東アジアnews+板)

あうー。なんか違うんですけど、どうやって説明すればいいのかなあ。

既に「詭弁踊りはまたの機会に。」や「どいつもこいつも御都合主義者だ。」で書いているとおり、今年の4月28日に行われた日華平和条約調印57周年記念行事で、馬英九が「台湾の主権は57年前に日本から中華民国に移った」と、台湾地位未定論(リンク先はWikipedia)を否定しました。一方、同条約のもう一方の締結国である日本ではそのような解釈はしていません。5月1日、いわゆる駐台大使に相当する日本交流協会台北事務所の齋藤正樹代表は講演で台湾地位未定論を展開、馬英九の論理を明確に退けました。後日、齋藤代表は「個人的な見解だ」と一歩後退したものの、日本政府の「台湾に対するすべての権利等々を放棄いたしております。したがって、台湾の法的地位に関して、日本として独自の認定を行う立場にはない(H19.04.11麻生太郎外相)」という立場は変わっていません。
 【台湾】馬英九総統、「台湾の主権は57年前に日本から中華民国に移った」と台湾地位未定論を否定[04/28]
 http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1240933722/
 【日本・台湾】台湾外交部、日本代表発言に厳重抗議[05/02]
 http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1241258817/

問題はこの後の台湾側、つまり馬政権の齋藤代表に対する処遇についてです。27日の自由時報は、
 (1) 齋藤代表が台湾側の政府と面会しようとしても会えない状態が続いている
 (2) すると今度は、台湾の駐日代表である馮寄台も日本で冷淡な対応を受けるようになった
 (3) 台湾側は齋藤代表の更迭を求めているが実現しそうにない
 (4) 元々国交が無いという不安定な状況を考えれば、二国間関係は袋小路に入るだろう
と、伝えています。
もっとも、(1)については1ヶ月ほど前の時点で既に報じられていたのですが、27日の中央通訊社によれば、先日馬英九総統が國光生技公司を訪れた際に齋藤代表もその場にいて、短いながらもやりとりがあったとか。
 http://www.udn.com/2009/5/19/NEWS/NATIONAL/NAT1/4914028.shtml (聯合晩報)
 http://www.naruhodo.com.tw/news/search.php?page_num=0&no=8668 (な~るほど・ザ・台湾)
 http://www.cna.com.tw/SearchNews/doDetail.aspx?id=200906270066 (中央通訊社)

また、(2)についても自由時報の記事で外交部・馮寄台とも否定しています。まあ、仮にされたとしても自分のことを棚に上げて言うはずないしね。(3)については齋藤代表に政府見解を大きく逸脱したというような失点も無く、記事にもあるように任期を繰り上げるには早すぎる時期だし、何より日本がそこまで譲歩する理由もメリットも無いのだからありえません。これも発言後一貫されています。ま、友愛の精神とやらであればそれはひっくり返すものなのかもしれないけどさ。
となると、単に(2)だけ(しかも当人は否定している)をもってこれだけの記事を取り上げる、しかもけっこうな分量で、というのは何か狙ってるのかなあと思わざるを得ません。

台湾地位未定論ということであれば、同じ自由時報の21日「星期専論」に載った「齋藤代表の『地位未定論』は、失言でもなんでもない」という記事にもちょっと触れておきましょ。これが前フリって考えてもいいのかな。実に簡潔明瞭なタイトルのとおりなので内容はあえて書くまでもないんですが、いちおうこんなことを言ってます。
今回の騒動は馬英九政権が引き起こしたものだ。国史館館長の林満紅が日華平和条約を曲解したものを馬英九が大勢の前で喋ってしまったのだ。
(中略)サンフランシスコ平和条約と日華平和条約の交渉過程や文言は非常に明瞭で、国民党政府が勝手に解釈することも誤りを正すようなこともできない。
(中略)外交部の夏立言次長は齋藤代表への『抗議』の理由として、齋藤代表の発言内容が不正確だったのではなく『我が国の政府の立場に反している』と言った。それでは馬英九の条約解釈もまた日本政府の立場に反しているではないか。

齋藤代表の『地位未定論』は、失言でもなんでもない (自由時報)

と、まあ「馬英九、逆ギレかよ」という至極真っ当なツッコミをしているんですが、肝心なのは単なる「馬英九やっちまったな」というではなく、
国民党政府にしてみれば、自ずと台湾の法的地位が未定であることは知っていても、これを台湾の国民には知られたくないのだ。なぜなら、台湾の法的地位が未定であれば、蒋介石・蒋経国による台湾統治に合法性を失うからだ。

齋藤代表の『地位未定論』は、失言でもなんでもない (自由時報)

と地位未定論のいちばんのネックである現政権の正当性についてもチクッとやって、
まさに、中国は自らが台湾の主権を主張する法的根拠を持っていないことをしっているから、2つの計略を立てて台湾併呑という目的を達成しようとしている。その1つは「一つの中国」の原則を浸透させること、もう1つは台湾問題の「国内問題化」だ。

齋藤代表の『地位未定論』は、失言でもなんでもない (自由時報)

と、馬英九政権が落ち込んでいる「一中各表」という落とし穴に「中華民国に主権移譲済み」というアホ解釈を足せば、まさに中国の思う壺だと指摘しています。
その上で、
台湾の主権独立を保障するため、最も明快で普遍的な3つの原則がある。『サンフランシスコ平和条約で台湾の主権帰属が定められていないこと』『国際紛争は平和的に解決すべきであること』『国民には自決の権利があること』だ。
最初の2つは日米英や各主要国家が堅持し、台湾にも有利なもの、そして中国の併呑を拒絶するものだ。しかし、各国が今の時点で台湾が自決を行うことには支持しなくとも、勝負時になれば国民自決の権利は最後の解決手段となる。

齋藤代表の『地位未定論』は、失言でもなんでもない (自由時報)

と、台湾地位未定論の最大の問題である「じゃあどうすりゃいいんだよ」に対する(中国による武力的併呑を除いた)教科書的とも言うべき答えを導いています。うん、それは正論だとは思うんだ。っていうか、なんで台湾地位未定論のイントロとして申し分ないこの記事を訳さなかったんだ、先週のおいらは。

さて、27日の自由時報に戻りましょ。「おや?」と思うのは一連の記事の中で
取材によれば、5月1日に齋藤代表が台湾地位未定論を展開した際、馬英九が激しく立腹し、日本側に公に齋藤代表の更迭を要求しようと一度は考えたが、周囲と緊急の相談を行い急ブレーキを踏んだという
しかし総統府職員は、これは『デマ』であって、我が方はこれまで日本に齋藤代表の更迭を求めることに触れたことはない。

馬総統、怒りに震え日本に齋藤代表の更迭を求める 側近が慌てて止める (自由時報)

と、両方の情報を併記して報じています。なんだか危ない橋の渡り方をする記事だなあ。ほぼ同じ内容を中国時報も実名入りで(しかもなぜかノリノリな論調で)伝えているんですが、どうも怪しいと思うのはおいらだけかな。
またこの自由時報の記事では、日本側が齋藤発言を「個人的な見解」にダウンさせたことについて
関係者によると、『日本の政権党も内部で選挙問題を抱えており、台湾にも藍緑の対立がある。したがって齋藤代表については、台日関係と双方の利益を考えて、しばらくは最も平穏な処置を取ることにした』という
(中略)しかし、政府の立場は『適切に』伝えられなければならないため、国会議員による立場表明が割合妥当だと考え、5月4日の召還を求める決議という形になった

馬総統、怒りに震え日本に齋藤代表の更迭を求める 側近が慌てて止める (自由時報)

とのこと。あ、これも中国時報の記事で同じ内容が載ってます。
国民党が揃いも揃って恥の上塗りをしているというのはわかるんですが、いささか裏づけが弱すぎやしませんか。ちなみに、総統府から立法院に対してそのような働きかけがあったかどうかについて、王金平立法院長は「聞いたことがないな」と否定しています。
 http://www.libertytimes.com.tw/2009/new/jun/27/today-fo1-2.htm (自由時報)
 http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,50201066+112009062700192,00.html (中国時報)
 http://www.cna.com.tw/SearchNews/doDetail.aspx?id=200906270099 (中央通訊社)

肝心なのは彭顕鈞による特稿記事。おいらもすっかり忘れていたんですが、今年は「台日特別パートナーシップ促進年」でした。馬英九が勝手に決めたことなんですが、よく考えたら今年も折り返し地点なんですね。新型インフルエンザとか大不況の影響もあるけど、まったく促進されてないですね。
 【日台】馬英九政権、2009年を「台日特別友好関係促進年」とし、台日関係の強化を推進へ[01/19]
 http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1232370432/

記事ではこれに絡めて
馬政権がこの問題を放置し続ければ、台日関係および台湾の利益を逸するものであり、賢明な策とは言いがたい。
(中略)両国はともに民主的な政治体制を行い、自由で開放的な社会を維持し、強固な経済貿易の相互利益の基礎があるだけではなく、日米安保体制下の言葉で説明できない集団的安全構造を有してきた。
(中略)アメリカを除けば、全世界で最も台湾と台湾海峡情勢に関心を注いでいる国が日本だ。馬政権下で台湾と中国の交流は加速し、日米ともに『両岸の発展は速すぎないか』と懸念を抱いている。『親中』台湾が台湾海峡の現状を改変し、西太平洋の既存の安全体制を脅かすのではないかと心配しているのだ。
(中略)もし、齋藤の発言に馬政府の立場をテストする意味が含まれているのだとしたら、馬政府の激しい反応と、加えて中国政府が珍しい立場で齋藤と日本政府に疑問を呈したことを見れば、もしかすると既に日本側に対して馬政権について『親中反日』という解釈を与えてしまったかもしれない。さらに言えば、台日関係に構造的な負の影響を出現させてしまったかもしれないのだ。もし日本と緊密な友好的交流を維持することができないのなら、馬政権は一方的に中国との関係改善を考えているしかなく、その立ち位置はかなりマイナスのものとなる。

台日関係をほったらかしにしてデッドロックに持ち込むのは、賢明な策ではない (自由時報)

と懸念。うん、でも日本の一部の人たちはそれより前から『親中反日』という解釈をしているからある意味傷は浅いと思うんだ。
いや、そんな冗談はともかくも、ひたすらに西や北に向いている馬の視線は、どうにかして広げていかないといけないよね。交流促進年はどうせあと半年なんだけど、もっと長い目で見たときの関係においても、関係改善に残された時間は多くないと思うんだけどな。

そういう意味では、台日関係の「魚の骨」とも言うべきこの話、ネックになっているのは「馬英九のメンツ」と「台湾地位未定論を認めちゃった場合の政府の正当性」なわけだけど、前者についてはアホを晒した自業自得だし、後者は地雷を踏んだ自業自得。中国時報の記事では政府高官が「我が方には『齋藤外し』を解除する形跡など少しも無い。今後は日本が前向きな説明をするかどうかを注視する必要がある」とか言ってるみたいですが、それじゃ無理だろうなあ。
立法委員のコメントとして「馬英九の対応は正しかった(蒋孝厳)」「でも、そろそろ手打ちにしてやってもいい時期なんじゃないか(李嘉進)」というのがあるけど、これって単に齋藤代表の処遇をどうこうして終わりにする問題じゃないと思うんすけど。ちなみに、李嘉進は「日本の国会は9月までに選挙を行うことになる。なので台湾も9月を一つのタイミングに設定することができ、そのときに台日関係は適切な処理を行うべきだ」とも言っているんですが、え、友愛の精神をお待ちなんでしょうか。
 http://www.bcc.com.tw/news/newsview.asp?cde=931800 (中廣)

前回の「1Q84と18Q5と83Q1。」と無理矢理絡める必要はないんですが、奇しくも同じ4月に端を発した両国の「ちょっと前の出来事の解釈」の問題、どちらも気になるところではあるよね。日本の国内問題の色が濃いNHK訴訟の方は台湾でも軽く取り上げてくれたけど、齋藤代表の話に触れてくれる日本のメディアはあるのかな。

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このページは、◆YAUCHInowAが2009年6月28日 03:15に書いたブログ記事です。

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