もはや芸術的とも言える再着火。
よし、じゃあ今日こそ録画した「化物語」をゆっくり観ていってね!と思ったら、築地が消えかけた話題に再点火してくれました。
【日台】台湾、日本代表と面会せぬ、5月の「台湾の地位は未確定」発言で「報復措置」[07/06]
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1246882792/
もうね、アボガド。(ry
スレの中で、
23 名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん 投稿日:2009/07/06(月) 21:31:50という喜んでいいのかよくわからないレスがあったけど、これ自演じゃありませんから。じゃなくって、正しくはスレの>>57にもあるとおり、そのデジャブは1週間以上前に報じられて59レスでdat落ちしたこのニュースのせいだと思うんです。おいらがブログで書いたのはその記事のついで。
どこかで見たと思ったらやうちのブログか【日台】台湾、日本代表と面会せぬ、5月の「台湾の地位は未確定」発言で「報復措置」[07/06] (東アジアnews+板)
【日台】馬政権による「齋藤・交流協会代表外し」で馮寄台・駐日代表が報復に遭う? 日台関係に行き詰まりの様相[06/27]
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1246078738/
ところがこの記事、よく読むと巧妙に計算されたよくできた釣り記事。すごい!東亜+のスレに連なるレスを見てもさすがだなあって感じです。別においらが自由時報で立てたスレより伸びてるからじゃないですよ。せっかくなので全文を引用。例によって太字はおいらです。
【台北=野嶋剛】日本政府の台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(大使に相当)が孤立の憂き目にあっている。きっかけは、斎藤代表が今年5月に「日本がサンフランシスコ平和条約で台湾の領有権を放棄した後、台湾の地位は未確定」と発言した問題。反発した台湾側がその後2カ月にわたり、馬英九(マー・インチウ)総統ら政権幹部は斎藤代表と面会せず、同席も避けるなどの「報復措置」を講じている。記事の芸術性の話をするためには台湾地位未定論の話をしなきゃいけないんですが、既に何度も書いてる話なので、未見の人は手っ取り早くWikipediaでも読んでください。というかそれがわからないでスレに書き込んでいる人がいたとすれば、それは果たして面白いのだろうかと不安になります。台湾紙の報道によると、斎藤発言に馬総統は激怒し、斎藤氏更迭を要求するよう指示した。部下の説得で撤回したが、斎藤氏と政権幹部の接触を控えて抗議の意を表し、「早期の代表交代」を日本側に促す考えとみられる。
日台双方の外交筋によると、馬総統以外にも、蕭万長副総統、欧鴻錬外交部長(外相)ら政権幹部が面会を控えている。他国からの主要な代表や大使が招待され、馬総統らが出席する式典にもほとんど声がかからず、代表業務に支障をきたしている。
交流協会は、公式には「台湾側の措置には一切コメントしない」としている。日本外交筋は「代表交代はあり得ない。正常化を働きかけている」と語る。
微妙な戦後処理の問題である台湾の地位に関し、日本政府は従来、言及を避けてきた。斎藤氏はこれを「未確定」と述べたことで謝罪したが、馬総統が4月末に「台湾の主権は、52年締結の日華条約で中華民国(台湾)に返還された」との主張を発表した直後だっただけに、台湾側が深刻に受け止めた。
馬総統は就任後、対日重視を掲げ、今年を日台特別パートナーシップ促進年に指定。だが、斎藤発言をめぐり、関係が逆に冷却化している。
台湾、日本代表と面会せぬ「報復」 「地位未確定」発言 (朝日新聞)
この記事の計算高さは、まずタイミング。いちおう記事にもあるように、スタートは4月末の馬英九総統の発言でした。以下めんどいので時系列順に列挙。
・04/28:馬英九総統が日華平和条約調印57周年記念式典で、「日華平和条約により台湾の主権は中華民国に移転した」と台湾地位未定論を否定。(参考:「詭弁踊りはまたの機会に。」)
↓
・05/01:齋藤正樹・交流協会代表が中正大学で講演し、台湾地位未定論を展開。馬英九の発言を否定した形に。(参考:どいつもこいつも御都合主義者だ。)
↓
・05/02:外交部が抗議、齋藤代表も「発言は個人的なもので日本政府を代表したものではない」と一歩後退。(参考:同上。)
↓
・05/04:立法院、齋藤代表の召還を求める決議を採択。(参考:一方、台湾は齋藤代表を取っ掛かりにした。)
ここまでが第一段階。その後、
・05/19:聯合晩報が「齋藤代表が失言により馬政府から排斥されている」と報道。(参考:同上。)
↓
・06/27:自由時報などが「馬政権が齋藤代表を冷遇したことにより、馮寄台・駐日代表も日本政府から冷淡な対応を受けている」と報道。(参考:同上。)
↓
・06/29:馮寄台・駐日代表が台湾メディアに対し、「報道のような仕打ちは受けていない。問題の拡大は望まない」と答える。(参考:試される島国。)
と、先月27日に自由時報などが「このままだと台日の友好的な関係が冷却してしまう」ともう一度掘り起こしたのですがそこまで盛り上がらず、馮寄台発言もあり終息したかに見えました。おいらが「試される島国。」で
例によって日本のメディアはドスルーなんですが(仕方ないね)、台湾でも終息に向かいつつあります。ていうか終息しました。と書いてしまったのはそういうことだからです。まさかいつもワンテンポ遅れてブログを書くおいらよりもさらに遅く、しかも6/27の報道をベースに記事を書く在台北記者がいるとは思わなかったよ!
この記事のテクニシャンっぷりは、上にも書いたように今さら27日の時点での話を基にしているところ、しかもバスンと半分切り取ったかのように「台湾お怒りモード」を演出しているところです。どんだけ脚本家が遅筆だったんだよ。
記事冒頭の「政権幹部は面会せず、同席も避けるなどの「報復措置」を講じている」や「ブチ切れたけど側近に止められた」だとか「代表業務に支障をきたしている」だとか、とかく「台湾怒ってます。マジやばいっす」というのを伝えているんですが、これ全部27日の記事の一部をうまく抜き出したもの。
例えば報復措置を受けているというくだりについては、
これに対し総統府筋の者は、「齋藤の発言は適当ではなく、台湾の人々の感情を傷つけた。多くの批判を引き起こしたことは間違いないが、いわゆる『馬総統が齋藤を排斥している』という見解は事実と隔たりがある。馬総統が先日出席した国光生技公司での催しでも齋藤代表は招待を受けて出席しており、二人は短いながらも会話をしている」と話す。という報道があるし、馬英九を側近が止めたという話にしたって、ここぞとばかりに馬を突いた自由時報ですら総統府筋の話を入れています。いや、逃げ道を用意したのかもしれないけどさ。総統府:総統と齋藤代表には依然としてやりとりがある (中央通訊社)
総統府のスタッフは外部に対し、「この話はまさに『デマ』であり、当方は日本に齋藤代表を交代すべきだなどと取り上げたことはない」と話している。
一部メディアが、「馬総統が激怒し、日本に対して公に齋藤代表の交代を要求しようとした」と報じていることに対し総統府筋は、「齋藤の発言は、確かに総統府サイドを非常に不愉快にした。しかし報道されているような程度のものではない。総統府側は国家全体の利益を念頭に置いて考えている」と語った。もちろん、「向こうさんの言うことを額面どおり受け取るのとはアホか」というお叱りも受けるかもしれません。でも、今日の記事だけ読むと「齋藤代表の発言が台湾サイドを相当怒らせてしまっている」とだけしか受け取れないよね。よもや総統府側が(いちおう)「Take it easy」ばりの態度を示しているとは思わないでしょ。総統府:総統と齋藤代表には依然としてやりとりがある (中央通訊社)
そして、実は27日の報道の主旨にしても、自由時報のメインは「齋藤代表がハブられてます」というところではなく、「それの影響を受けて馮寄台も同じようなことされてます」というところ。これは全文引用しなくても「馬英九の『齋藤外し』によって、馮寄台が報復に遭う」という記事のタイトルを見てもわかるんじゃないかと。たぶん自由時報も「報復」の文字がこっちに使われるとは思わなかったんじゃないかな。むしろ、今日の記事には馮寄台の名前が全く出てこないため、「馬英九政権の報復が陰湿すぎてっっっぱねぇっす」だけが印象に残るという不思議。
既にお分かりのように、自由時報がやりたかったことってたぶん「馬英九のやってることって自分の首を絞めてるだけだから」というブーメランの指摘と、「っていうか自分で促進年とか言っておいて台日関係これ以上泥沼化しちゃダメでしょ」という馬英九政権の外交へのマクロな指摘だと思う。
じゃ何で今回の記事では馮寄台ルートを全力で見なかったことにしたのかなって考えると、上にもあるように29日の時点で馮寄台が「いや、大丈夫だから。これ以上騒ぎを大きくするなよ」と言ってるのと、「齋藤発言に乗っかった馬英九非難」じゃ面白い記事にならなと思ったからなんでしょ。きっと。
あくまで齋藤代表を起点にした「ギクシャクした関係」を演出したいようですね。それこそ最後に火消しの役割を果たしたはずの馮寄台の思惑とは裏腹に。
それが顕著なのが事の発端のお話、28日の聯合晩報が社論で、
事の発端は、齋藤正樹駐日代表の『台湾地位未定論』だ。この説は歴史的な問題の争いがあり、外交官が口にするのは極めて不適当だって、さも齋藤発言が悪かったかのように書いてますが、今回の記事もなんだかそんな感じに読めちゃうのは気のせいかな。今回の記事ではさすがに4月の馬発言にも触れているけれども、それでも齋藤代表が空気を読まずに発言したかのような書きぶりに読めて仕方ありません。台日関係には慎重な対応を (聯合晩報)
以前にも「どいつもこいつも御都合主義者だ。」で書いたように、確かに日本政府のスタンスとしては台湾の帰属について「独自の認定を行う立場にはない」というものです。けど、少なくとも日華平和条約の一方の締結国として誤った解釈を見過ごすことはできません。この二つを上手にごっちゃにするところも大した技術だなあと思います。
ことの発端である馬英九解釈にほとんど触れず、ましてや台湾でもそれに異論が出ていることなんて完全に流した上で、「台湾側が深刻に受け止めた」などとあたかも齋藤代表が台湾を逆なでしたかのように表現するのは、流石プロといった感じですね。
焚き火とかタバコの不始末は、「消えただろう」と思った瞬間が危ないとか。そのタイミングを逃さず燃えそうな部分だけを的確に取り出し、台湾がおかんむりであることとその手段の大人気なさも強調し、その原因は齋藤代表の「台湾地位未定論」発言だと綺麗にまとめるあたり、もはや芸術的な上手さだなあと感心せずにはいられません。
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