「変わらなきゃ」で変わるのか。
この昨今の日本の政界の状況は、中国や台湾といった中国語圏でもこまめに報道されています。もっとも、話のネタのなりやすさからしてポッポの故人献金なんかよりも麻生総理の動向や例の自民党の両院議員総会騒動なんかの方が話題になっているのですが。
とはいえ、各国のメディアとも先日の東京都議会議員選挙についても報道しているくらいですから、このまま突っ込めば高確率で民主党が躍進するというくらいは容易に見当がついています。となると、一部の気の早いメディアでは「じゃあ政権交代が起きたら日本はどうなるか」というところまで記事にしているところがあるわけですね。なるほど、確かに政権交代は過程であり手段であって、結果や目標にはならないからね。そういう意味ではポスターに「政権交代。」と書く本家の政党よりもよくわかっているのかもしれません。
あ、いちおう書いておきますが、おいらが引っ張ってきている以上おいらが記事を選択する際のバイアスは免れえません。「あー、まあこういう見方もある罠。はいはいわろすわろす」くらいで読んでください。特にそっち方面の支持者の方は。
まずは変化球な記事だけど、日米安保に焦点をあてた記事から。15日に台湾・聯合報の東京特派員、陳世昌が伝えたのがこれ。
同じ東京特派員でもシンガポールの華字紙、聯合早報の符祝慧は16日の国際面で「民主党が政権を握っても、『形だけが変わって中身は何も変わらない』のでは?」という記事を書き、自民・民主の顔ぶれを比べながら「政権交代」の功能についてかなり懐疑的に分析しています。もっとも、この記事の内容としては、「民主党の執行部は全員が(って、輿石東はスルーかよ)自民党出身だし(って、菅直人は社民連→さきがけ→民主党だから違うでしょ)、旧田中派に属していたような(って、鳩山や岡田はちょっと違うような希ガス)金権政治家だ。むしろ政界再々編を見越せば、自民党津島派や民主党小沢グループといった旧田中派から目が離せない」という、ちょっと前半の事実誤認が痛くて訳して起こすには忍びない記事。日本の政局が、麻生首相の自民党政権が守りきれない火急の状況に陥ったことにより、最大の同盟国であるアメリカにも焦りが広がっている。次の総選挙で日本の最大野党である民主党が政権を奪取する可能性があるが、かつて米軍の日本駐在問題でしばしば批判をしていたこともあり、アメリカは日本でもし政権交代があれば、日米安保同盟に衝撃をもたらすのではないかと心配している。
日本の麻生首相が8月30日に衆議院選挙を行うことを決めた後、アメリカ政府はとりわけ政権党と野党との間の安全保障政策の議論について関心を示している。
民主党の政策決定者の一人であり前の代表の小沢一郎は、かつて「日本にはこんなに多くの在日米軍は必要ない。第七艦隊だけあれば足りる」と発言し、民主党の対米外交政策についてワシントンに懸念を生じさせた。民主党はこの第七艦隊の議論のほかにも、日米同盟における在日米軍の改編計画への支持を修正するよう主張し、在日米軍の駐留費用の負担を下げるよう大きく主張している。これらのことからアメリカ政府は、もし民主党がひとたび政権に就けば、日米関係に衝撃をもたらすのではないかと考えている。民主党の主張と日米同盟の現状との間には多くの齟齬があることから、アメリカ政府のあるスタッフは疑いを持ち始めている。北朝鮮の脅威が日増しに増大しつつあるこの状況下で、民主党ははたして本当にアメリカと共に地域の警察としての役割を果たすのだろうか、と。
自民党が下野へ?アメリカは安保同盟を憂慮 (聯合報)
確かに民主党内に「自民党の分店」みたいな人たちがいることは否めませんが、だからって「政権交代してもあんまし変わらなくね?」とまで言うのはちょっと早計かと。
だからと言うわけじゃないだろけど、同じ聯合早報は17日、日本の龍谷大でも教鞭を執っている卓南生の署名入り論評記事を掲載。めちゃくちゃ長いのではしょり気味に訳。
「おお」と思うのは、いわゆる「政官財」のトライアングルができている以上、そのフレームに乗っかっている民主党になっても構造は変わらないのではないかという指摘。それじゃあなんでこんなに期待が膨らんでいるのかと言ったら、「マスコミが喧伝しているから」という分析はちょっとどうかと思ったけど、細川政権を持ってくると「なるほどね」って思うところがちょっとあったりして。
これと似たような記事が、同じ17日に台湾・中国時報の国際面にもありました。これについてもはしょり気味に訳。政権党の自民党と最大野党の民主党は、選挙の一票と希望を党首の顔とイメージに託している。はっきり言ってしまえば、両党は基本的に政策の上では明確な違いがないのだ。政策を問えば、両者はともに憲法改正と自衛隊派遣の急先鋒であるし(訳註:原文まま)、能力を問えば、両者はともに人材の欠乏著しく世襲議員が多い。両党首を見ても、日本の一部のものが両者の戦いを「孫と孫の戦い」と称するのも無理は無い。
両党のその他のマイナスイメージを見ると、共通点も多く、もっとも明らかなのは両者とも複雑に絡まりあった関係の財界に彼らの財源があるということだ。両党は清廉な政治を標榜しながらも、「政官商」が結託した体制が日本の政治の舞台から離れることはないことを誰もが知っている。したがって、カネに絡む事件が表沙汰になった時はいつも、自民党から名前が出ても民主党が逃げられることはできない。反対に民主党の者が捜査の対象になり、自民党の者もその渦に巻き込まれる。小沢一郎の事件がその典型的な一例だ。
自民党と民主党も、政策や財政的な後ろ盾に大きな違いはない。加えて、両党の執行部も根っこは同じで、自民党の出身者だ。8月30日の選挙の結果が、仮に大方の予想通りになり、鳩山がリードし舞台裏で小沢が操縦する民主党に政権が転がり込んでも、一部の日本メディアが同様に誇張している「日本政治の地殻に大変動が起きる」だとか「戦後の日本政治の分水嶺」だとかになることはない。1993年の細川政権誕生時ほど、いわゆる「政治地殻の大変動」あるいは「戦後政治の分水嶺」といった誇張が最も酷かった時期はない。小沢が背後から操った「非自民連立政権」成立の前後だ。当時の主要なマスコミは「新党」や「新風」などと吹聴したが、実際には自民党の包みを変えただけだった。その「政権交代」による政界再編の過程で本当に敗れ去ったのはただ一つ、自民党にとって目の上のたんこぶだった社会党だった。当時のいわゆる「政治改革」では最終的に大政党に有利な小選挙区比例代表並立制が導入され、結果として日本は二大保守政党の方向に進んだ。日本の政界は「総保守化」あるいは「総自民化」が形成され、「政権交代」は決して政治改革とイコールではなくなってしまった。
この問題をもっとも説明できるのは、日本のメディアに「清廉な首相」と改革の旗手と吹聴された細川護熙かもしれない。就任後数ヶ月で彼は「佐川急便から1億円を受け取った(訳註:原文まま)」として引責辞任した。日本人はこれにより政治に嫌気が差すようになり、同時に政治家に対して「どこのカラスも黒さは変わらぬ」という見方を持った。これは当時の日本のメディアが過度に「地殻大変動」「分水嶺」と喧伝し、一般市民に対して偽りの「政権(の本質的な)交代」に多くの幻想と期待を与えてしまった結果なのだ。その後、自民党は再び人々の注目を集める。小泉純一郎政権の前後だ。「聖域なき構造改革」や「自民党をぶっ壊す」といったスローガンを展開し、党内の人物を「抵抗勢力」と呼んだ。この結果、小泉の改革を誤って信じた有権者は自民党に票を投じ、自民党の「改革派」も「抵抗勢力」も勝利を収めた。しかし、実際のところ自民党の一部に壊れていない部分があることは、小泉が退陣した後に露呈した元の部分を見れば明らかだ。
その後も自民党は総裁の顔を変えることで支持率を維持してきた。安倍が逃げれば福田を配し、福田が逃げれば麻生を出演させた。同時に、日本の主なメディアは呼応して「安倍ブーム」や「麻生ブーム」を展開した。
現在、麻生体制も限界に近づきつつある。自民党にも見たところ起死回生の術はなさそうだ。政権はひょっとすると「ソフトクリーム」と称された民主党の鳩山由紀夫代表の手の中に転がり込むかもしれない。しかし、指摘すべき点として、民主党と鳩山代表の提起するものに、自民党や麻生総裁が出すものと明らかにカラーの異なる内外政策を期待することは、非現実的であるということだ。「政権交代すればよくなる」と言う者や、政党が代われば「政治の地殻大変動」と言う者はやめていただこうか!
やはり日本の「政官財」の構造がある以上、民主党の「政権交代」は「政治体制の変革」には繋がらないという厳しい指摘。民主党は政権を取ったらこの三角形の一つである官僚に手を伸ばそうとしているようですが、はたしてどうなることやら。
後半の二つの記事、両方とも「民主党政権になったとしても言うほど変わらんぞ」っていう点ではなんだか似たようなところがあるんですが、「言うほど変わらんのだからいっぺんやらせてみたら」という話にならなかったのがちょっと意外な感じかも。日本の戦後経済の復興と、以降のゆるやかな失速の原因は政治体制にある。日本国民が願う変革はこの体制の変革であって、何かしらの政策上の改革にすぎないのではない。
いわゆる政治体制は国会の内閣代議制度のことではない。日本は明治維新後欧米のやり方を取り入れ、戦後は民主的体制がさらに整った。日本はアジアの民主先進国家を自称し、欧米もまたそれをしきりにおだてた。
その一方で、日本には特殊な政治体制がある。「政治家+官僚+経済界」という三位一体の体制だ。これは自民党が発明した体制だがその他の政党もこの図式から脱却することができていない。自民党内はともかく民主党はどうだろうか?民主党と経済界の関係も同様で複雑に絡まりあっている。選挙にはお金がかかるが、金が天から降ってくることはない。そのため諸経済界に頼るしかない。小沢一郎がそのために代表職を辞さざるを得なかったように、また新代表の鳩山由紀夫も問題を抱えているように、自民党とは同じ穴の狢なのだ。
「改革」などというのは選挙で票を得るためのスローガンにすぎない。小泉純一郎はこの掛け声で首相になったが、今はどうか?引退後は地盤を息子に譲ろうとしている。これは他の父親と同じやり方ではないか。日本の有権者は騙され続け充分に悩んできた。今回もまた、半信半疑の中で民主党に試しにやらせてみようとしているのかもしれない。
日本の「政治改革」は実際のところ人を騙すもの (中国時報)
おいらは、はてなブックマークにも書いた「民主党の短絡的アホさ加減がどうにかなんない限りよりひどい結果になるでしょ」という考えから今のところ変わってません。これについてはまたいずれ。もっとも、あんまりうかつに国内政治の話をすると、ふぐすまの方からすごい厳しいツッコミが入りそうなのが唯一かつ最大の懸念材料なんだけど。っていうか、そうこう言っているうちにタイミングを逃しちゃうような希ガス。
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まりちゃん、おはよ~^ω^/
支那でも今回の総選挙は注目されているんだね、まぁ、我が国の動向は世界に大きな影響を与えるから無理も無いけど。
支那の方では民主党に政権が替わっても、我が国の基本的な姿勢は変わらないと見ているんだね。確かに政官財の三角形は自民党と同じだからね。
まりちゃんも民主党が政権を握ったら我が国がより悪くなると思っているんだね、私も同じ考えだよ。左翼色の強い民主党が政権を取ったら我が国に不利な法案が次次に成立して我が国は政治的に弱体化が進んじゃうよ…(>_
もし鳩山内閣が成立しても昔の細川政権と同じ事になると思う、我が国の国民はマスゴミの報道に踊らされて自分で考えない人が多くて困るよ。民主党の愚政のツケを払うのは結局は私達…特にまりちゃん達の若い世代が払う事になるのにね。その事を考えると団塊の世代の無責任振りに腹が立つよ。
私は出来る限り抵抗しているけど、無力でまりちゃん達に何もしてあげられない…ごめんね(>_
いつもまりちゃんの記事から勉強させて貰ってるよ(^o^)/頑張ってね!
> 雨彦さん。
シンガポールや台湾ではこんな記事もあったのですが、中国では先日環球時報が「民主党政権誕生で脱米近中になるか」と報じて逆にネットユーザから「それはないな」という意見が相次いでました。もっとも環球時報の掲示板なので「にっくき小日本は誰がトップになっても小日本」って考えが大きいですけど。
きっと「実際そんなには変わらないんだろうな」っていう感覚は万国共通で、じゃあ「あまり期待しないで見るか」と思うか「だったらやらせてみるか」と思うかっていう違いなんでしょね。