2009年11月アーカイブ

さすがにおいらはヒッチコック監督ではないので疑問形で。
28日、台湾では第46回金馬奨の授賞式が行われ、最優秀作品賞には戴立忍(レオン・ダイ)監督の『不能沒有你』が選ばれました。邦題は決まっていないようですが、『あなたなしには生きられない』みたいな感じになるのかな。同作品は、戴立忍監督が最優秀監督賞を受賞したほか、最優秀原作脚本賞、年度台湾傑出映画作品の4冠に輝いています。また、最優秀主演男優賞は史上始めて2人が同時受賞というのも目を引いたのが今回の金馬奨でした。
ひとまずまとめ記事をCNAから。

第46回金馬奨の受賞者が今夜発表された。今回、初めて二人の映画王が誕生し、香港の俳優・張家輝(ニック・チョン)と、大陸の俳優・黄渤(ホァン・ボウ)が同時受賞した。大陸の女優・李冰冰(リー・ビンビン)が映画女王に輝いた。戴立忍監督の『不能沒有你』は4部門で受賞し、最多受賞となった。
最優秀主演男優賞には『証人』の張家輝と『鬥牛』の黄渤がダブル受賞し、金馬奨の新しい記録を作った。最優秀主演女優賞には『風聲』のヒロインの一人、李冰冰が選ばれ、授賞式の際には感激のあまり涙をこぼした。

8部門でノミネートされた『不能沒有你』は、作品賞、監督賞、原作脚本賞の最優秀賞と、年度台湾傑出映画の4部門で選出され、今年の金馬奨で最も多くの栄冠に輝いた。
一方、『如夢』は最多の9部門でノミネートされたため失望もまた大きく、同じく6部門でノミネートされていた『陽陽』も無冠に終わった。

第46回金馬奨は24部門で授賞式が行われた。113もの映画作品がエントリーされ、3段階で審査が行われ、最終的に15人の審査員が今日の授賞式の前に議論し、今回の受賞作品らが選ばれた。
金馬奨の主席である侯孝賢(ホウ・シャオシェン)は、「今年の金馬奨は、エントリー資格を緩和し、広義の華語作品のほか、華人監督によるもの、華人が主要スタッフの1/2以上のものも金馬奨の華語作品の定義に合致するものとした」と述べた。また最優秀作品賞にノミネートされた5作品を例に「『純台湾産作品』である『不能沒有你』を除けば、他はすべて国を跨いだ合作作品であり、華語映画が多元的な時代に入ったことを表している」と語った。

『不能沒有你』が4部門を奪い、金馬奨の最多受賞作品に (中央通訊社)


一方で、今回の金馬奨は台湾映画の受賞が目立った年でもありました。以下めんどいので聯合報から抜粋。

今回の金馬奨では、製作予算がわずか600万元という台湾映画『不能沒有你』が、少ない元手で大きな功績を打ち立てた。8部門でノミネートされ4部門を受賞し、さらに「最優秀作品賞」を台湾に留めた。また、今年受賞対象となった24部門のうち、台湾映画が11部門で最優秀賞を手にし、受賞数は珍しく香港と大陸を上回った。

台湾映画『不能沒有你』 (聯合報)


ところがというかなんというか、やはり気がすまないのか自由時報、30日のコラム「自由談」はこんな感じ。

金馬奨で中国や香港の映画作品が得る賞がだんだんと多くなり、台湾映画はやがて二流の地位に退くことになるだろう。中国の台湾に対する侵攻は、既に商品や資金といった有形的なものではなく、文化思想上の統一戦線に力を入れている。その中でも、中国映画の果たす役割はますます重要になり、これからの金馬賞がすっかり陥落してしまうかどうかは、まったく楽観することができない。
台湾と中国における映画の先天的な条件には雲泥の差がある。最初から平等な基礎の上での競争ではないのだ。中国市場は大きく、撮った映画の費用を回収することも容易い。一つくらい客入りのある映画を当てれば、秘密の宝を見つけ出したようなもので、一夜にして財をなすことができる。
中国の映画会社、「華誼兄弟」がその最も良い例だ。華誼兄弟は創立からわずか四年で、いくつかのヒット作を生み、最近では深圳の新興企業向け市場「創業板」に上場した。創業者とその配下は映画スターに出資し、みなすぐに1億元以上の、中には数十億元以上の代金を得た者もいた。一方、台湾では一生を映画に深く投じる成功した映画人もいるが、やはり大変であり、両者はまったく比べようがない。
中国映画は勢い激しく、もし純粋な娯楽映画であれば、台湾が損をしたのは金銭的なものにすぎない。しかし、中国映画はそのほぼ全てが特定の任務を負っている。娯楽のための娯楽ではなく、政治のための娯楽なのだ。先日の『英雄(邦題:HERO)』にしても、統一の理念の宣伝のためならば、秦の始皇帝という独裁者を美化することも厭わない。最近のいくつかの国共内戦映画、日中戦争映画も、すべて中共の正統な地位を証明するためのものだ。
これら統一戦線の意味を色濃く帯びた歴史映画に対しては、台湾にファイアウォールは無いらしく、全て疑いなく受け入れてしまい、台湾の人々に対し洗脳の作用を発生させるかもしれない。中国に対して「国仇家恨」の感情を持つ蒋孝厳でさえも、中国の「建国大事業」に賞賛するくらいだから、言うまでもなく一般市民はどうしてその影響を受けないと言えようか。
金馬奨の舞台は中国映画の天下となってしまった。馬政権に対して言うことは、本当に価値のない大袈裟な騒ぎだ。彼らが金馬さえもいらなくなってしまっても、金馬奨を気にかけるだろうか?

誰が金馬奨を気にかけるのか? (自由時報)


そりゃあ中国と台湾との映画の環境の違いはわかるし、映画がプロパガンダに用いられた例は枚挙に暇がありません。ただ、ここまで露骨に警戒し非難するの見ると、「たかが映画じゃないか」と思ってしまうのは、やっぱりおいらが甘いのかなあ。

★ 補記予定。
先週末、円相場は一時1ドル=84円台という水準まで円高が進みました。すごいなあ。14年ぶりっていうことは、えーと、1995年かあ。Wikipedia見たら「史上最多の年間ミリオンセラー作品が生まれた年である」だって。へえ。

いや、そんなことはどうでもいいですね。先週の動きで円の独歩高がクローズアップされましたが、台湾から見ても今回の円高は気が気ではないようです。
もともと過去5年くらい(2003年~2008年夏)を見ても、1TWD=3.2円~3.8円くらいで推移していたのですが、昨年の後半にストンと円高が進み、2008年8月にはおよそ1TWD=3.5円だったものが、12月には一時1TWD=2.6円台まで進行していました。年明け以降相場は元に戻り始め、春から夏前にかけては1TWD=3.0円台を小突くほどには戻っていたものの、夏以降だんだんと円高傾向が進み、先週後半にはほぼ9ヶ月ぶりに1TWD=2.6円台に再突入しています。

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ともかくこの急激な円高に対する台湾での記事について。日曜日の自由時報からはしょり気味に。

この半年で、日本円の台湾ドルに対する相場は11.64%も上昇した。台湾の日本系製品には値上げの圧迫が現れたほか、日本への旅行費、自動車、家電、化粧品などの価格が今にも動き出そうとしている。旅行業者によると、今後三ヶ月間の日本旅行の費用は現在よりも10%上昇させるつもりであり、昨年の同時期に比べて25%ほど高くなるという。
日本の商品を代理購入する業者ももはややりきれなくなっている。代理購入のネットでは既に値段に反映されており、代理購入でのレートは10月から現在までに少なくとも5回値上げが行われた。
円高は台湾にとって「よくもあり」、「悪くもあり」だ。日本の商品が値上げに直面しているのは、台湾の消費者にとって惜しいことだ。しかし日系企業はコストを考える中で、台湾に対するアウトソーシングを増やしており、日本企業がさらなる「コスト削減」の圧力を受けることにより、今後数年間はアウトソーシングの進行がますます早くなるとみられている。

円高は、輸出志向の日本経済に対し間違いなく衝撃を与えており、今後、企業の利潤減少、労働者の賃金カット、家庭の支出先延ばしなどを招き、さらに債務の負担を増加させるなどのマイナスの結果をもたらすだろう。

円が急騰 円相場蠢動す (自由時報)


日本円のレートが大きく高騰し、12月から来年2月にかけての日本へのツアー価格は、現在よりも1割ほど高くなりそうだ。昨年の春節の時期に比べると日本へのツアー価格は25%ほど高くなっており、春節や冬休みの日本への旅行シーズンに大きな打撃を与えるだろう。旅行業者では、旅行客が30%以上減少するのではないかと懸念している。
世邦旅遊の陳静華は、最近の円高の進行こそ業者で差額を吸収できるものであったが、先週金曜の兆候は尋常ではなく、今週から販売価格へ直ちに反映せざるを得ないと語る。原則として、12月下旬から来年1,2月までの日本へのツアーの価格は、現在よりも1割あまり高くなり、東京5日間の行程で25,000元だったものに2,000元が加わるという。年末年始時期の値上げは旅行客を驚かせる心配があるけれども、値上げしないわけにはいかないという。
陳静華は、「先日の台北旅行展でも日本のコースの販売はよかった。安いツアーを狙う旅行客らはもう買ってしまっている。もともと業者は利益分として1割ほど見込んでいるので、現在の状況はそれらが全部食われてしまっているので、ツアーが増えればその分損も増えている」と話す。
今年閉店する日本向け専門の旅行会社、天喜旅行社は、かつて「日本円のレートが財務に影響を与えた原因の一つ」と語っていた。この円高の波が旅行会社の閉鎖や倒産を生むかどうかについて、呉志崧は「それほどのことはないだろう」と考えている。なぜなら、ほぼ全ての旅行会社はその他のコースを兼ねており、天喜旅行社のようにあまりに単一の市場で営業していないからだ。しかし、会社の営業収入は確実に減少することになるだろう。

円が急騰し、対ドルレートは14年ぶりの水準まで高くなった。輸入コストの圧力は大いに増したけれども、市場の購買意欲が依然として低迷している状況下では、日本からの化粧品、家電、自動車などはみな身動きができない状態であり、軽々しく値上げすることができずにいる。業者は、もし本当に為替変動分を反映させるのならば、季節の変わり目、新製品が市場に出てきた際に調製すると話している。
最近の断続的な円高で、美を愛する女性たちは「化粧品がまた値上げされるのか?」と心配せずにはいられない。現在、多くのデパートでは周年記念セールの期間にあり、このため化粧品業者は価格の値上げに対して全面的に成り行きを見続けたいと考えている。また、未だ価格調整の計画はないが、事実上、化粧品業者は今年の始めにすでに値上げを行っており、しかもその時の上げ幅が10~20%にも及んでいたことから、年内に再度の値上げを行うことは恐らく通らないのだろう。
今年頭に台湾元安になったため、化粧品は欧米系も日本系も問わず、2月から3月にかけて相次いで値上げを行った。価格を上げたブランドは、資生堂、シュウウエムラ、アナスイ、ビオテルム、ソニア・リキエル、アルビオン、ポール&ジョー、エテュセなどがある。欧米系のブランドでも、エリザベスアーデン、バーツビーズも流れに掉さし値上げを行い、金融危機によりさらに上積みされたことで、消費者らは大いに不満を叫んだ。また、これにより、今年の母の日には化粧品の購買意欲が大きくしぼむ結果となった。
家電においては、台湾松下が現在のところ値上げの予定はないとしているが、新製品が市場に出た後に、適度に反応させるだろうとしている。3C通路でも、家電製造業者と価格安定を維持する契約があることから、契約期間の1年の間は、原料側が一方的に値上げしても、販売価格には反映できないと答えている。
自動車分野では、日本系が値上げを計画しているものの、現在のところほとんど何もしていないような段階であり、来年の車市場の景気動向を見るとして、軽々しく値上げとは言えずにいる状況だ。最大の市場占有率を誇る和泰汽車は、先日新年式の「レクサス」全車種を約1~2%価格アップしている。さらに来年生産されるトヨタ国産車の価格を約2~5%上げたいとしている。裕隆日産も新年式の「インフィニティ」を平均で約5%上げる計画をしている。しかし、自動車メーカー側は、年末に期限を迎える三万元の貨物税減税が延長されなければ、来年の第1四半期の国内自動車市場は間違いなく悲惨なものとなり、市場の購買意欲が低迷している中、誰があえて値上げをするのかと打ち明けている。

日本留学情報雑誌の林鳳姿顧問は、円高によって日本に留学したいと考えている台湾の学生たちが途中で投げ出してしまうのではないかと危惧している。林顧問は、「日本留学の多くは半年以上前から申請しており、現在既に就学ビザの申請をしている学生の中には、取りやめてしまおうと考える者もいるのではないか」と心配している。

日本円の暴風 ツアー代は値上げ、商品の価格は様子見 (自由時報)


日本人の一般的な「円高の捉えかた」というのは、「輸出産業は、相手国から見て割高となるので減少する」「輸入産業は、日本から見て割安となるのでコストが下がる」「海外旅行先の通貨が日本から見て割安となるので海外旅行が伸びる」っていう感じかなあ。この発想をひっくり返せば、台湾から見たときには「日本円が割高になるので日本からの輸入を控える」っていう話になりそうなのだけど、単純にそうなるわけじゃないっていうのが個人的にはびっくりしました。
日本製品が高くなるけど仕入れを控えることはしづらい、かと言って消費が冷え込んでいる中で円高分を価格に上乗せすることもできない、となれば我慢しなきゃいけなくなるのは台湾側の企業、という「ちょwwwおまwwww」な展開になるんですね。うーん。あまりに不勉強なので、円高は日本の輸出産業が打撃を受けるという印象しか無かったけど、そういうこともあるのかあ。
また海外旅行という点で見ると、日本から台湾に行きやすくなるっていうことは、逆に日本への旅行は割高になるっていうこと。そういう観点での報道があるっていうのは、自由時報らしいといえば自由時報らしいのだけど、台湾独特だなあと思うのでした。年末年始 の冬コミ や寒假、春節に日本を訪れようとしている台湾の人たちにとっては、喜ばしくないニュースですね。同時に、台湾からのチャーター便誘致に力を入れている日本の各地域の人たちにとっても関わってくる話。逆に考えるんだ、となると「日本が行け」っていう話になるんですが、えーと、うーんと、なんだかまた慌しそうだなあ......。

なんてタイトルにすると、方々から「おまえは何を言っているんだ」(画像略)と言われそうですね。いちおう東アジアnews+板のφ★なわけですし。と言っても、今回は鳩山政権の描く「東アジア共同体」のお話です。
以前、「from A for A.」でも触れたように、「東アジア共同体」っていうものを構築するためには、台湾の位置付けを明確にせざるを得ません。それは中台関係をもってもそうだし、日台関係においてもそうです。2ヶ月前は「そこを次期政権がどう料理するのかは見所の一つではあるんですが、まな板の上の鯉にとっては気が気じゃないよね」って書いたんですが、18日の衆議院外務委員会で面白いやりとりがあったようです。まずは、その内容を伝えた19日付けの自由時報から。っていうか、なんで日本の国会の話を台湾の新聞のサイトで知らなきゃいけないんだろう。

日本の外務副大臣、武正公一は18日午前、衆議院外務委員会で中津川博郷衆議院議員の質問に答え、「鳩山首相の『東アジア共同体構想』では台湾だけを抜け落とすべきではない」という最初の問いでは賛否を曖昧にしたものの、「台湾は日本と非常に緊密な関係を持つ重要な地域であり、日本が台湾との関係を維持することを変えるつもりもなく、さらに各方面で協力を強めるべきである」と強調した。岡田外相も武正副大臣の答弁に同意した。

鳩山首相の「東アジア共同体」という考えは、未だに台湾について触れていなかったため、中津川は初めて質問をした国会議員ということになる。彼は今日から本格的に審議の始まった衆議院外務委員会での最初の質問の中で、文化、歴史、地理、安全保障の観点からしても、台湾と日本には非常に密接な関係があると指摘した。
中津川は、台湾と日本は自由民主と人権という同じ価値観があるばかりではなく、安全保障の面でも、台湾はますます日本と密接な関係にあり、お互いに国交が無いからと言って台湾を「東アジア共同体」の中から排除してはならないと述べた。
中津川はさらに岡田外相に向けて提案を行った。曰く、馬英九総統と中国との関係は非常に良好であり、共同して日本を押しのけようとする動きもある。もし日本が台湾を「東アジア共同体」に入れようと思っているのなら、中国からの妨害も民進党政権時よりも大いに低下するだろうから、台湾を入れることは日本の利益にもすっかり合致すると述べた。

日本の衆議院議員:東アジア共同体から台湾を排除すべきではない (自由時報)


この答弁、先日ようやく議事録がアップされたので該当する部分を抜粋して引用。前後の部分もひっくるめて引っ張ってきているのでちょっと見づらいかも。

○ 中津川博郷:今の大臣の御答弁に延長をして膨らまして考えて、次に質問したいんですけれども、台湾ですね。
 台湾を私は親台派の議員としてずっとやってきたわけでありますけれども、台湾というのは、確かに日本と国交がありません。しかし、自由と民主と人権を大切にする、もう選挙も行って、日本より早く政権交代をやっていますからね。そして、今、ほかのITとかいろいろなものでは日本より産業が進んでいるんですよ。何よりも日本人的な気持ちを持った、本当に、台湾へ行くと、ああ、僕は日本人なんだな、政治家でいる以上、日本の国をよくしなきゃな、義理と人情を大事にしなきゃだめだな、武士道精神というのを李登輝さんに教えてもらったな、そういう思いをいつも私はするんです。聞いたら、私だけじゃなくて、多くの皆さんたちも行って同じ考えをする。先般も行ってまいりました。
 そこで、私は、台湾と日本の経済的なつながり、文化、歴史的なつながり、それから安全保障上の今非常に大事なところですね。これは地域と答えた外務大臣もいますし、また、今まで国と言った人もおりますが、国交はないし、一応国としては認められていないというようなところですが、東アジア共同体構想の中で、私は、台湾の存在というのは、やはりこれなしには語れないんじゃないかと思っているんですが、大臣、いかがでしょうかね。
○ 武正公一:東アジア共同体構想、先ほど申し上げましたように、長期的なビジョンである、そしてまた、貿易、投資、金融、エネルギー、環境、命と文化などの可能な分野から、開放的で透明性の高い地域協力、これを着実に進めていくことが重要であると申し上げたところであります。
 今、台湾についてのお話でございますが、我が国にとって台湾が緊密な関係を有する重要な地域であることは言をまたないところでございます。台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場に変更はありません。その立場を踏まえて、台湾との間でも種々の協力のあり方について検討をしていく考えでございます。
○ 中津川博郷:積極的な答弁だと思いますね、副大臣。時間が来たんですが、岡田大臣も同じということでよろしいでしょうか、今の考えで。もし何かあったら。ないですか。
 今、台湾も国民党政権になって、馬英九になりまして、中国と非常に仲がいいんですよ。日本を外そうとしているのであって、ちょっと日本も入れて日台中でやったらいいじゃないかと私なんかは思っているんですが、ちょうどそういう折でもありますから、中国の方も緩やかに、その辺のところは前の民進党政権よりもやりやすいと思うんですよ。そんなことを思って、ぜひ、台湾の重要性というものを今副大臣は認識されておりましたが、大臣におかれましてもまた、ひとつそういう認識のもとで、重要な存在だというふうに、日本の国益を考えてやっていただきたいと思います。
 岡田外相におかれましては、とにかく我が国外交の先頭に立って、国益のために堂々と御活躍されることを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

平成21年11月18日 第173回国会衆議院外務委員会 (衆議院会議録・強調は引用者)


と、「台湾が東アジア共同体に含まれるのか」という点では微妙にぼかされたものの、「種々の協力のあり方について検討をしていく考えでございます」というのは、玉虫色な香りがするとは言え、やっぱり積極的な答弁と言っていいんじゃないでしょうか。まあこれも「今から首を突っ込むとめんどくさいことになるから、国民党と共産党との間で話がまとまってからでもいいんじゃね?」ってところに落ち着くっていう危険性も孕んでいそうなんですけど。

ここで思い出されるのは麻生太郎前首相が外相時代に提唱した「自由と繁栄の弧」構想。この時も台湾はちょっと不遇な扱いを受けていました。ちょうど3年前の平成18年11月、麻生外相がホテルオークラで行った「「自由と繁栄の弧」をつくる」という講演で使われた資料の地図を見ると、台湾の真上に「日CLV首脳会議」という文字が入ってきて見えなくなっています。もっとも、そのCLVにしたってカンボジアはほとんど消えかけているし、東欧は何が何だかっていう状態なので、台湾だけっていうわけじゃないんですけどね。ということで、それをネタに民主党の長島昭久衆院議員が行った質問も抜粋して引用。

○ 長島昭久:そういう中で、私はこの地図を見てあれっと思ったことが幾つかありまして、一つは、価値の外交、自由と民主主義、市場経済ということであれば、これは中国との関係で厄介な問題もあるんですが、台湾をどう見るか。
 (中略)恐らく、台湾を評価する点では外務大臣も人後に落ちるものではないと思うのでありますが、どうもこの地図を見ると、台湾が日・CLV首脳会議のラベルの陰に隠れちゃっているんですね。中国との関係もあり、なかなかおっしゃりにくいところもあるのかもしれませんが、価値の外交というのであれば、台湾の今まで努力してきた経緯なんかもやはり評価をされるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○ 麻生太郎:(前略)いわゆる地域と言われておりますが、御存じのように、APECの代表の一つである、中国とは別に台湾というのが代表を送っているというのも確かでありまして、日本としては、少なくとも貿易総額で今六百億ドルを超えたかな、それぐらいあろうと存じます。
(中略) それが国と言うからまた問題なんでしょうけれども、地域と言わにゃいかぬところなんでしょう。そこらのところが大事なところで、冷やっとさせるところも、なかなか答弁としては難しいんですけれども、ここのところは、台湾というこの地域というものがそれだけ発展していることは事実ですから、それを私どもとしては十分に認めた上でやっていかないといかぬというような御説は全く正しいと思います。

平成18年12月13日 第165回国会衆議院外務委員会 (衆議院会議録)


と、確かにこの「十分に認めた上でやっていかないといかぬというような御説は全く正しいと思います」に比べると、武正副大臣の先日の発言はかなり踏み込んだものだって言うのはわかりますね。しかも「自由と繁栄の弧」の場合は外交方針のイメージ像であるから、別に国家間の共同体という形にする必要はない。逆に「東アジア共同体」構想は国々の共同体というある程度固まった出来上がりがあるから、むしろハードルは上がっています。さてさて、いったいどういうビジョンを示すことができるのか、種々の協力のあり方についての検討というものに若干の期待をしたいところですね。
先週書いた「ご即位20周年記者会見を伝える香港紙が、「不本意な歴史」になる予感。」になぜか(おいらの感覚では)大量のはてなブックマークがついてしまい、なんていうか、すいませんあんな下手糞な身勝手訳で。っていう感じです。いや、本当にごめんなさい。

エントリの中心になったのは12日に発表された記者会見の内容なので、各紙の記事も13日のものがほとんどです。にもかかわらずブログとしてうpされたのが21日になってしまったのは、 いつものように遅筆だったからというよりも ちょうど直後の週末から翌週にかけてお出かけしていたからでした。はてなハイクやらTwitterでは道中のどうでもいいことを連ねていたので、ご存知の方もいるかもしれません。

その珍道中の最終夜、中の人の隣の人から送られてきたのがタイトルに書いた文面のメール。件名は「ブログのアクセスアップのためにさ」という極めて読み飛ばされる危険性の高いもの。これ、帰京後に読んでいたらどうするつもりだったんだろう。
しかも、夜に送られてきたってこちとら懇親会(何回懇親したんだろうね)で出来上がっている状態だから入浴なんて自殺行為はできないし、露天風呂っていうことは夜だと光源もあまりないので撮りようがない。仕方がないので翌朝、一緒に動いていた向こうのスタッフさんにお願いして撮ってもらったのがこれ。おいらはこの時間、ぐーすか寝てました。

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以下、めんどくさいので中の人の隣の人とのやりとり。

 隣:「うわ、何これ」
 や:「露天風呂の写真」
 隣:「そりゃわかるけど、ってそういう意味じゃないし。何の価値もないでしょ、こういう写真じゃ」
 や:「おいらも変なリクエストだと思ったんだよね」
 隣:「普通、入浴中の写真っていう意味だってわかるもんじゃないの?」
 や:「あ、多分これ湯船に浸かってシャッター押してると思うよ」
 隣:「被写体の話だっつーの」
 や:「いやー、そんな釣りにもならない写真撮ってきてもしょうがないじゃんか」
 隣:「むしろ、この露天風呂の写真のほうが中途半端な釣りになってるし」
 や:「じゃあいったいどういうのがお望みだったんだい?とあえて聞いてみるテスト」
 隣:「一発でキャップ剥奪されるようなのを期待していたんだけどね」
 や:「それ、キャップ云々以前に手が後ろに回るっつーの」
 隣:「なに、湯気がなんとかしてくれるさ」
 や:「なんねーよ」
気がついたら、去年の今くらいには9つくらいしか入っていなかったはずのmixiのコミュニティが53にまで膨れ上がっていました。うーん、いつの間に。これは今流行りの仕分けをするしかないですねと思い、とりあえず分野ごとに分けてみる(重複あり)。
 ・「ニコニコ・ボカロ」24件
 ・「台湾」16件
 ・「ACG(G無いけど)」11件
 ・「2ch」5件
ってあれー。たぶん1年前は「台湾」7で「2ch」2とかだったはずなのにね。どうしてこうn(ry
ということで、今回はACG(Anime, Comic, Game)のうちAとCを新旧織り交ぜて。っていうか、もともとあんまりGに興味はないんですけどね。なのでそういうのが苦手な人は今すぐリターン。

既にはてなハイクなんかでは垂れ流していますが、10月期のアニメで観ているものの中に「とある科学の超電磁砲」があります。それの原作コミックの内容にも触れるので、コミック未読で放送待ちという人はネタバレ(あんまりしないけど)の覚悟をするかやっぱりここでリターンしてくださいな。

さてこの作品、もともとはライトノベルの「とある魔術の禁書目録」のスピンオフ。その概要はと言うと、あえてWikipediaから引くとこんな感じ。

鎌池和馬のデビュー作。地球という範囲内でのあらゆるSFを取り入れ、超能力を代表にオーバーテクノロジーで満たされた科学尽くしの学園都市と聖書や錬金術など魔術で満たされた宗教世界という、水と油であるはずの2つの世界観を混ぜた作品となっている。

とある魔術の禁書目録 (Wikipedia)


すすすすすすすすみませんっ。理系崩れなくせに「用語解説」のところとか上から下まで読んでもさっぱり入ってきませんでした。もともとこういうジャンルの作品ってダメなんです。それこそ媒体の如何を問わずにね(あーでも「鋼の錬金術師」好きだったな)。
それでも今回の「超電磁砲」に途中からでも入っていけたのは、立ち位置や展開が中学生の生活(でも、正直あれが中学生とは思えません)にあることとか、「禁書目録」を読んでなくても比較的なんとかなるからとかなんだろね。
とは言っても、なんでこの子は超電磁砲が使えるんだろう、どういう設定なんだろうっていうのは気になるので調べてみると、こういう理屈でステキな能力が使えるらしい。

自分だけの現実(パーソナルリアリティ)と呼ばれるミクロな世界を操る能力を土台としており、「起こりえない」ことを「起こる」と思い込むことで超常現象の実現に結びつける。

超能力(ちょうのうりょく) (とある魔術の禁書目録 Index)


はい?これだけじゃさっぱりなんですが、「シュレーディンガーの猫」の例をうまく使いながら解説は続く。

現実にはさまざまな可能性が存在しており、『手から炎を出す』『他人の心を読む』といった超常現象が起きる可能性も存在はするが、「常識的現象99%超常現象1%」のように確率が偏っているため、普通の人が観測すれば「常識的現象99%」しか取り出せないわけである。
だが、ここでもしも「通常(常識的な世界)の法則からずれた認識」により「観測」を行うことができれば、本来の確率を無視して、「超常現象1%」を取り出すことが可能となる。この理論を実践したものが禁書世界における『超能力』の正体である。
能力を使用する際に用いる『異常な現実認識』を『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』と呼び、『手から炎を出す可能性』『他人の心を読む可能性』などの可能性を取り出すことで、超常現象を引き起こす。

超能力(ちょうのうりょく) (とある魔術の禁書目録 Index)


ああなるほど。通常の能力で観測できないことだからといって可能性は0%ではない、実は重なっているんだってことか。とは言え、やっぱりイマイチ想像しづらいね。だから21日深夜に放送された第8話「幻想御手<レベルアッパー>」でもこの「自分だけの現実(パーソナルリアリティ)」について授業している場面があったけど、うん、ぶっちゃけ捉えどころがありませんでした。そう、その想像できなかたっところがおいらの能力の限界点だったんだ。

ところが、この三連休に読んだとあるブログのエントリで一気に氷解。

ひとは、じっさいには可能なことでも、不可能だと思い込んでしまうことがある。そしてそう認識したとたん、本当に不可能になるのだ、ということ。

「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という言葉の意味。 (Something Orange)


そうか、そうだったんですね、安西先生!このエントリのタイトルにある「あきらめたら~」というのはAAにもなっている「SLAM DUNK」のこれ(ただしAAになっているのは、同旨の発言をした8巻に出てくる三井の回想シーン)。

「私だけかね・・・? まだ勝てると思っているのは・・・・・・・・・」
「あきらめたんじゃなかったのかオヤジ・・・・・・」
「あきらめる? あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・?」

井上雄彦「4POINTS」『SLAM DUNK』第27巻,1996,pp147-148


このid:kaienさんのエントリは200%「超電磁砲」とは無関係だし、コテコテの現実社会の話がSFのファンタスティックな世界観を理解するのに役立ったなんて言ったらしばかれると思う。それでも、「幻想御手<レベルアッパー>」では「妄想」と例えていたものをid:kaienさんの「思い込みの世界」という言葉に置き換えて捉えてみたら、手前勝手な解釈かもしれないけど、両方の言いたいことや「自分だけの現実」の存在がストンと腑に落ちたんだよね。じゃあ、それでおいらも超能力が使えるようになるかって言ったら、できるとは思ってないんですけどね。あはは。可能性の発現として、科学サイドは超電磁砲(レールガン)を生み、野球サイドは超雷射砲(レーザービーム)を育んだというそれだけだ(その差はすごく大きいけど)。うーん。これ読んでいる人に通じるんだろうか。

他方、この論理は何も「超電磁砲」でぶっ飛んだ世界を構築してしまっている人たちの存在を支えるためだけのものじゃありません。可能性を設定すると同時に、広げることもまた「あきらめたらそこで試合終了」なんです。というか、そのまんまなセリフもあったんだね。

「大方・・・能力開発の途上で壁にぶちあたってこれが限界だと自分で勝手に決めつけて諦めて拗ねてグレたクチかしら?」
「う゛っ・・・」
「あら?図星ですの
諦めたらそこで試合終了
ですわよ?」

冬川基,鎌池和馬,灰村キヨタカ「七月十六日」『とある科学の超電磁砲』第1巻,2007,p30

「知ってる? 常盤台中学の超能力者(レベル5)は元々は単なる低能力者(レベル1)だった
それでもそいつは頑張って頑張って頑張って・・・
超能力者(レベル5)と呼ばれる力を掴んだのよ」

冬川基,鎌池和馬,灰村キヨタカ「七月十八日(2)」『とある科学の超電磁砲』第1巻,2007,pp134-135


こういうのがあるから好きだなあ(2つ目のセリフはこの後が重要なんだけど)。
でも「超電磁砲」はそういう特殊な能力の持ち主がドンパチやってるだけかというとそうでもなかったりするのが心憎いところ。
たとえば作中で佐天さんという全く能力がない子(というか本当の意味で一般人)が出てくるんですけど、能力者とのあまりの落差に微妙な引け目と焦燥を感じ、能力者に対する羨望と劣等感と嫉妬もおそらく入り混じった感情を抱いていて、そんなところに猛烈なシンパシー。
これを読んでいる人たちは百どころか千や万くらいも承知のはずですが、おいらには学もなければ才もないし、さりとて高尚な趣味も誰かに感動を与える特技もありません。以前、「音楽を愛でる者たちと、音楽に愛でられし者たちと。」で、そういうのを持つ人たちへの自分の気持ちを妬みだって書いたけど、佐天さんたちに共感を覚えるのは、そういうどうしようもなく汚れた感情を都合よくきれいに着色したくて、重ねたくなっちゃうからなのかもしれないね。
だけど、「超電磁砲」はそんなしょうもない大人の目論見をも光の速さで砕け散らせます。幻想御手編のクライマックス、超電磁砲を放つ際のセリフは、数多の人の心を貫いたんじゃないでしょうか。っておいらだけですか、そうですか。

「悪いけど『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を他人に委ねるような人達には負ける気がしないわ
こんなとこで苦しんでないでとっとと帰んなさい」

冬川基,鎌池和馬,灰村キヨタカ「七月二十四日(6)」『とある科学の超電磁砲』第3巻,2009,pp88-89


安西先生もけっして「あきらめなければ必ず成功する」とは言ってません(しかも、あきらめなかった結果とも言うべき「SLAM DUNK」のラストを見ると、ちょっと考えてしまうし)。それは徒労に終わることが多いだろうし、ぶっちゃけ諦めたほうが幾らか楽なんだもん。悪態をついて、自分より諦めるのが遅かった者を嘲笑うこともできるしね。けれど、そこで可能性を閉ざしたら世界は一気に収束するし、逆に世界を築き拓こうとした者だけが可能性を紡ぎだせる。おいらはそういう人たちの確固たる気高さに魅せられるのです。
そういう点では、このSF世界の超能力の原理はひどく現実に近いものがある気がしてなりません。というか、それゆえに受け入れられているという部分がけっこうあるんじゃないのかと思ってみたり。

って、何マジレスしてんですか。というわけで、定期的に読んでくれてる人の半分くらいを失ったエントリでした。

★ 追記。(12/24 19:00)
マジレスにマジレスした結果が「色褪せてく現実に揺れる絶望には負けたくない。」だよ!

★ 補記予定。
久々に国内政治の話から。例の「事業仕分け」についてです。その手法や運び方に関する是非は、今さらおいらが何を書くまでもなくがいしゅつ(なぜか変換できない)なので別に詳しく触れるつもりはありません。面白いことだとは思うんですけどね。
これまでほぼ財務省内だけで行われてきた予算要求の作業が表に出てきたということだけでも大きなことだと思いますし。ただ各省庁側も財務省側も双方手探り状態で、予算要求の体をなしていない凄惨なセレモニーになっちゃったのは残念なところ。おかしいなあ。事業仕分けってこれまでも一部の省庁でやってきたはずなのにね。
そして、じゃあこれが財務省原案の作成のために再び省内に舞台が戻ってどうなるのか、復活折衝が数日で済むんだろうかとけっこうwktkしています。例年のスケジュールであれば財務省原案作成まで1ヶ月を切っている中で、今週もまた会議は踊るし、政権は今さら各省庁に概算要求の見直しを求めたりとおおわらわ。最初は「これって財務省の中の人が楽できるだけなんじゃないの」なんて思ったけど、そうもいかないような感じ。
ただ、3兆円3兆円と、さも概算要求からの削りこみが難しいように伝えられていますけれど、過去数年を見てみても、H16~H18年度予算の編成時には3.3兆円から5.6兆円を財務省原案時までに圧縮してます。仕分け人よりも主計局の方が優秀なんじゃないか、なんて言うつもりはないんですが、省内でなんとかしてくれるでしょう。むしろその前段階で、またしても数字合わせと「俺らGJ」という自己満足の成果品にならなきゃいいなあと生暖かく応援してみたり。

いつもどおり走り始める前から脱線しました。さーせん。
というわけでこの「事業仕分け」の作業なんですが、先週13日に仙谷由人行政刷新担当相がこんな発言をしてしまい物議に。って、物議にあんまりなってないじゃないですか。なにそれこわい。
 【政治】「政治の文化大革命が始まった」 民主・仙谷行刷相、事業仕分けの意義強調 都内シンポで
 http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1258044782/

えーと、政治以外に文化大革命ってありましたっけ。なんか「頭痛が痛い」くらいに間抜けなフレーズなんですが、本人としては「政治文化の大革命」とでも言いたかったっていうことかなあ。いや別にフォローするつもりはないです。むしろ、公然とこんなことを言ってまかり通ってしまう状況というのは、「なにそれこわい」以上の怖さがあるからです。国費支出の粛正ができなかったら粛清するつもりなのでしょうか。
まあそんなことはさておき(いいのかよ)、ざっと見たところこの発言は故意か不作為か(ほぼ一緒やん)大陸のメディアには伝えられていないようです。あ、百度とかは知らないっす。まあ、億単位の予算を要求して獲得するっていうのにはそれぐらいの殺伐さがあってもいいかもね、ぶっちゃけ省庁によってはちゃっかりほぼ無傷な部局とかもあったりするし完全に吊るし上げとまではいかないしね、などとすっかり忘れていた頃に22日の聯合報から。

「あなたのところでは、結局何人の天下り官僚がいるのですか?」
テレビの画面の前では、数人の一年生国会議員の若者たちが、答弁に来た機関のトップたちを厳しく非難し、その1オクターブ高い声は、人の心を不安に陥れている。

これは日本の鳩山新政権下でのとある一場面だ。
最近になって新設された「行政刷新会議」は、前政権の残した各種の特殊法人組織の清算や国費の浪費がないかどうか調べて明らかにすることに対し責任を持っている。これらの組織の担当者は彼らに呼ばれて質問を受け、その場で経費削減や経費の凍結が決定され、あるいはきっぱりと組織が廃止されることもある。

この動きのもともとの目的はよいもので、国民の支持も大きかった。しかし実施されると、人々は中共の「文化大革命」時期に知識人たちが臭老九(*1)とされた往時を連想するようになり、批判闘争にかけられたこれらの者たちを思わず心配してしまうようになった。

仕分け人の役割を担う「紅衛兵」は全て政権党の民主党の議員で、1年生や2年生の新人たちだ(*2)。その無遠慮な話しぶりのせいで反感を買っている。ある週刊誌では、もともとクリーンなイメージのあった蓮舫(台湾系)議員も、今回の清算会議を経てそのイメージに大きなダメージを負ったという。

日本人初の宇宙飛行士である毛利衛は宇宙開発事業の第一線から退いた後、日本科学未来館の館長に就任していた。その経験は尊敬され重視されていたが、間に特殊法人組織が挟まり国費の大きな浪費をしているとして批判された。
毛利衛の弁解も甲斐なく、苦笑いで「よもや、皆さんは未来館が科学知識の増進に役立っていることを否定するつもりはありませんよね?」と語った。

文部科学省が毎年莫大な予算を投じていたスーパーコンピュータの開発は、日本の得意分野であり、世界の頂点の地位を維持することは容易いものではなかったが、これも「凍結」という判決が下されてしまった。
これには計画には参加している東京大学や筑波大学の教授たちが連名で抗議し、「開発の凍結は、世界における日本の科学技術分野の競争力を失わせるものだ」と指摘した。

日本の宇宙開発計画の中には水星の探査も含まれていた。議員たち(*3)が「水星の探査が日本にどんな利益をもたらすか?」と質問すると、担当者(*3)は息を荒げて「日本に対する利益は無いが、人類共通の利益になる」と答えた。しかし、結果は経費の凍結だった。

このほか、日本の宇宙事業の発展に非常に重要なGXロケットの開発計画も、年度予算では58億円を要求していたが無駄遣いという批判を浴びた。この予算も削除されることが決まり、技術者たちは呆気に取られ物も言えなかった。

日本の「紅衛兵」が予算を押さえる 官僚たちを清算 (聯合報)

★ 訳註。
(*1) 直訳すると「9番目の鼻つまみ者」の意味。文化大革命時の知識人に対する蔑称。地主、富農、反革命分子、悪人、右派分子、裏切り者、スパイ、資本主義転向者のさらに下に位置付けられたため。
(*2) 原文まま。ただし実際にはこうした若手議員は入っていない。
(*3) 原文まま。ただし18日の読売「「仕分け」前半終了、無駄遣い大胆カット」によれば、「財務省の主計官が(略)述べると、仕分け人で科学者の松井孝典・東大名誉教授は(略)と反論した」とある。


宇宙開発やスパコンの話を持ってくるあたり、聯合報の中の人の感度は大したものだなあと。というより、「えっ、それを削るんですか」という感性のポイントは日本も台湾も一緒なのかな。ここで科学未来館の上に位置する特殊法人についてもっと切り込んでいたら脱帽だったんですが、それは些か高望みですか。

この記事、先の仙谷発言を知ってか知らずでか、いわゆる「仕分け人」を「紅衛兵」に見立て各省庁や関係機関の担当者を「反革命分子」に位置付けていますが、これは面白い視点。というのも、仙谷発言は言ってみれば「うわ、こいつ正気か」「やっぱこいつ馬鹿」あたりで終わる話。いや、オチてないですけど。ところが仕分け作業の主役たる仕分け人が「紅衛兵」と例えられてしまうのは、それすなわち仕分け作業そのものが「お前らのやってること(文化大革命)は間違っていますから」と言われているのと一緒。マイナスのイメージしかありません。
若干救うべき点があるとすれば、どうもこの記者さんは仕分け作業をやっている仕分け人たち(大半が民間の委員)を「民主党の若手議員たち」と思っているようです。確かにそうだとすれば、小沢チルドレンたちから紅衛兵を連想するのも仕方ないのかなあ。
ただそれならそれでなおさら救えないのは、まがりなりにも選抜されて国家予算の仕分けを行っている人たちが学生たちの集まりにすぎない(と言うには影響力がありすぎたけど)紅衛兵の行状に見えてしまったということ。もっと言ってしまえば、鳩山政権のご執心で立ち上げた刷新会議の作業が、せめて文革小組くらいならまだしも紅衛兵の糾弾のように見えてしまったということ。聯合報というのを差っぴいても、アチャー(AA省略)としか言いようがありません。

さてこの「政治の文化大革命」、単発のイベントじゃ意味無いわけで、仕分け作業の結果も過程も(それこそ数年かけて)磨いていかないといけないわけだけど、果たして成功裡に終わるんでしょうか。仙谷発言が最大の失敗フラグな気がして仕方ないんですけどね。
12日は天皇陛下のご即位20周年にあたりました。
逃げ腰熱湯浴の端くれとして、さっそく香港各紙の取り上げ方でも。

今回のご即位20周年、中国や香港、台湾の各紙が記念式典や街角の様子なども伝えているのですが、いちばん取り上げられたのは12日に発表された20周年に際しての記者会見の内容。なかでも皇室継承問題などよりも着目されたのが、在日外国報道協会からの代表質問であったこのくだりです。

問3 両陛下にお伺いしたいと思います。陛下が即位なさったのは,いわゆるバブル経済のただ中でありましたが,この20年は日本にとって大変厳しい時となりました。ご存じのように高齢化が進み,人口が減少し始め,経済は不安定です。両陛下は,日本の将来に何かご心配をお持ちでしょうか。お考えをお聞かせください。

天皇陛下
今,日本では高齢化が進み,経済が厳しい状況になっています。しかし,日本国民が過去に様々な困難を乗り越えて今日を築いてきたことを思い起こす時,人々が皆で英知を結集し,相携えて協力を進めることにより,日本が現在直面している困難も一つ一つ克服されることを願っております。
私がむしろ心配なのは,次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです。昭和の時代は,非常に厳しい状況の下で始まりました。昭和3年,1928年昭和天皇の即位の礼が行われる前に起こったのが,張作霖爆殺事件でしたし,3年後には満州事変が起こり,先の大戦に至るまでの道のりが始まりました。第1次世界大戦のベルダンの古戦場を訪れ,戦場の悲惨な光景に接して平和の大切さを肝に銘じられた昭和天皇にとって誠に不本意な歴史であったのではないかと察しております。昭和の60有余年は私どもに様々な教訓を与えてくれます。過去の歴史的事実を十分に知って未来に備えることが大切と思います。
平成も20年がたち,平成生まれの人々がスポーツや碁の世界などで活躍するようになりました。うれしいことです。いつの時代にも,心配や不安はありますが,若い人々の息吹をうれしく感じつつ,これからの日本を見守っていきたいと思います。

天皇陛下ご即位二十年に際し(平成21年) (宮内庁・強調は引用者)


さて、この2つ目の段落にある「昭和初期の状況に対する昭和天皇の心中」が今回のブログの話題の中心。例えば韓国の朝鮮日報はこんな感じに伝えています。
 【朝鮮日報】天皇即位20周年、戦争の歴史が忘れられることを懸念[11/13]
 http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1258067598/

ところが中国ではというと、中国新聞網が共同電という形で記者会見の内容を引く形で、「日本明仁天皇が即位20周年を迎える 『歴史を忘れることなかれ』と強調」と伝えているのですが、特段の解説などは加えられていません。また人民日報も「日本明仁天皇、『歴史を忘れることなかれ』と強調」と、ごく短い記事で報じています。特に人民日報のほうは、上に引用した部分のうち「私がむしろ心配なのは~大切と思います」のうち、太字強調の部分をそっくり省く形で引いているのが気になるところ。

一方、台湾ではどんな感じかというと、聯合報と中国時報から。聯合報の陳世昌と、中国時報の黄菁菁という東京特派員の署名記事から当該部分を抜き出して。

裕仁は1926年から1989年まで在位し、年号は昭和であった。75歳の明仁は、裕仁が開戦には反対であったと述べ、かつて皇太子として第一次世界大戦のフランス・ベルダンの悲惨な戦場を訪れたことことから、「平和を維持する重要性に強い関心を抱いていました。したがって私が思うに、戦争を招いたそれらの出来事は、きっと願っていたことでは無かったでしょう」と語った。
裕仁が第二次世界大戦以前および戦争期間中における日本の侵略行為に対して責任を負うかどうかについて、また軍部や政治のリーダーたちの傀儡にすぎなかったのかについては、歴史学者の間でも意見が割れている。明仁はこれまで、裕仁の戦時中の立場について語ることを避け続け、最も踏み込んだものでも、日本が戦争に向かう過程の中で多くの「困難」に面した、とだけ触れたにすぎなかった。12日のコメントは、彼が初めて直接裕仁の弁護を行ったものだった。

日本の天皇が即位20年 初めて父のために弁解 (聯合報)


明仁はまた、珍しく父の昭和天皇のために弁護した。第二次世界大戦時期の日本の侵略行為は父の本意ではなかったと述べた。

日本の明仁天皇、歴史が忘れ去られることを憂慮 (中国時報)


と、聯合報(発言に若干手を加えているんですが)が記事のタイトル含めて多少踏み込んで伝えているものの、やはり大陸や韓国と大差はありません。
むしろ「おや?」と思うのは香港の各紙の伝え方でした。まずは中道と言われる東方日報と星島日報からそれぞれ抜粋で。

今年は日本の天皇である明仁が即位してから20周年にあたる。彼は12日、国民に向けて第二次世界大戦の教訓を忘れてはならないと呼びかけるとともに、珍しく父親である裕仁の弁護を行った。日本の侵略行為を指して、裕仁の本意とは異なった部分があり、裕仁もまた日本が戦争に向かうことに反対していたという。

明仁は、父の裕仁が即位前に第一次世界大戦のベルダンの古戦場に赴いたことがあると話し、「彼(裕仁)は平和を維持する重要性を深く感じていました。......私が思うに、戦争を引き起こしたいくつかの出来事は、彼の本意とは異なるものがあったでしょう」と語った。明仁はまた、裕仁の在位期間に発生した出来事は、多くの者に様々な教訓を与えたと指摘した。また、日本の将来について、歴史がだんだんと忘れ去られてしまうことを懸念し、大事なことは史実を充分に理解して将来に備えることと考えていると述べた。

日本の天皇:戦争は裕仁の本意と異なっていた (東方日報)


オバマ大統領の訪問の前、日本の天皇明仁は木曜日に即位20周年を祝い、珍しく亡き父である裕仁の戦時中の記録を弁護し、日本の対外侵略は彼の本意では全く無かったと言明した。75歳になる明仁は、父裕仁は戦争の開始に反対していたと考えていると述べた。これは当時日本人からは神として奉られ、連合国側からは侵略者として見なされていた裕仁について述べたもので、稀な論評だ。
明仁は、父がかつて皇太子の身分でフランスにある第一次世界大戦のベルダンの戦場を訪れたことについて触れ、「彼は平和を維持する重要性について非常に大きな関心を持っており、私の見解としては、戦争を招いたことはきっと彼の望んでいたことではなかったでしょう」と語った。
裕仁が第二次世界大戦前と戦争期間の日本における侵略行為に責任を負うかどうか、あるいは軍部や政治のリーダーたちの傀儡にすぎなかったのか、歴史学者たちの間でも意見が割れている。戦時中の首相である東条英機を含む7人の軍部および政府のリーダーたちは、東京裁判で死刑に処されているが、裕仁は審判を受けることはなかった。
日本の上智大学の中野晃一助教授は、明仁の話には、裕仁の立場を美化したいという思いからいくらか誇張が見られると考えている。

明仁天皇、父は反戦だったと詭弁を弄す (星島日報)


おっと。星島日報は「詭弁を弄する(狡辯)」なんていう単語も持ち出して、ちょっと踏み込み気味。歴史的評価のところとか引用部分とかで聯合報とちょっと被る部分がありますが、東京裁判の話といい、上智大学の助教授といい、妙にけしかける気満々ですね。
となると、いわゆる親中紙はどうなのかっていうのが気になるところ。ところが意外にあっさりです。大公報と香港文匯報からこれも抜粋で。

9月に誕生したばかりの民主党政権は、アジア諸国との関係改善に尽力すると宣言している。それまでの自民党政権とは異なり、民主党は日本の戦時中の侵略行為に対する傾向も改めている。
明仁は父裕仁について触れた際、昭和天皇の名が第二次世界大戦や日本軍の侵略、占領、アジアの植民地化や敗戦といった歴史と永遠に共にされることを遺憾に感じている。父が即位して6年後にすでに満州に侵入したことについても「父の時代は、非常に苦難に満ちた時代に始まりました。私たちはその60年余りの在位期間から多くの教訓を汲み取るべきです」と語っている。
明仁は「昭和天皇は第一次世界大戦でのベルダンの戦場を訪問した時に、戦争の惨状を目のあたりにし、平和の重要性を理解したと考えています。これは、彼が望んだ歴史ではなかったでしょう」と語った。

第二次世界大戦での敗戦以前の日本では、天皇は日本人から神として奉られていたが、多くの人々は皆、天皇が本当に政策を決定する人であるべきではないと知っていた。しかし国家の名目上のリーダーとして、汚名を背負わねばならない。

日本の天皇、若者が歴史を忘れてはならないと願う (大公報)


明仁天皇はまた、初めて父裕仁天皇の戦時中の立場について公に評論し、父は深く平和を愛し、日本が戦争に向かう道を歩んだことは裕仁の願いとは異なるものであったと指摘した。

日本の天皇が即位20年 父について「平和を深く愛していた」 (香港文匯報)


民主党は関係ないだろ、民主党は。この辺がさすが大公報、ぬかりないっす。文匯報も話題の中心には持ってきているものの比較的ドライな内容です。逆にこれら親中紙や星島日報よりも非難の色合いが強かったのが明報。正直驚いた記事を全文訳。後半はタイムズなどかららしいんですが、これは後述。

日本の天皇明仁は、即位20周年の慶祝にあたり、父裕仁の第二次世界大戦の期間中における立場を擁護し、裕仁が「平和を愛していた」とし、戦争はその「本意」ではなかったと初めて公に言明した。この稀な振る舞いは、裕仁の第二次世界大戦に対する責任問題の争いを再び巻き起こすものだ。ある日本の学者は、明仁が父親を美化しようとしていると考えている。また中国の学者は、明仁の言葉は日本が未だに歴史問題を正視できないことを示すものであり、歴史を粉飾することで国家のイメージを守ろうとしていると指摘している。

昨日は明仁の即位20周年にあたり、宮内庁は明仁が先週木曜日に皇宮で行った記者との応答の記録を発表した。明仁は日本の未来に何か懸念することはあるかという問いに対し、日本人は困難を克服できると信じていると簡潔に答えたが、すぐに言葉の方向を一転させ、最も心配していることは「歴史がだんだんと忘れられようとしている」ことだと語った。
明仁は父裕仁の時代について、日本が極めて困難な時期に置かれていたと語った。彼は、裕仁が即位の大典を行う少し前に中国軍閥の張作霖が暗殺され、3年後には「満州事変」が勃発し第二次世界大戦の導火線になったと語った。さらに、裕仁は皇太子時代に第一次世界大戦の戦場であるベルダンを訪れており、「平和を維持する」重要性を深く理解していたと話し、「したがって私が思うに、交戦を招いた出来事は絶対に彼の本意に反するものだった」と答えている。
明仁はかつて、裕仁が第二次世界大戦時に「困難」に対面したと語っている。2005年には「私はしばしば、昭和天皇はどのような気持ちであの時代を生きてこられたのかと考えます」と語っているが、裕仁が戦争に反対していたと公に表明したことはこれまでになかった。裕仁の第二次世界大戦中における立場についてはずっと大きな論争が続いており、中国など被害を受けた国の国民は彼を戦争における悪事の張本人と見なし、日本が戦争の責任問題を回避し、侵略と植民地化という暴行を美化していると非難している。アメリカの日本政府は戦後、彼を軍人と政治的な野心を持つ者たちの暴走を阻止することができなかった君主という像を作り上げた。

【The Times】上智大学の中野晃一助教授は、裕仁は風に乗って揺れ動くことに長けていると指摘する。「進歩的な潮流の際には進歩的になり、日本が着々と勝ちを重ねている時には彼も喜んでいる。明仁の言論には誇張が見られ、昭和の役割を美化しようとしていると考える」と述べている。
また香港保釣行動委員会の元主席である柯華は、本紙に対し「日本軍の中国侵略について、戦犯たちは彼の責任ではないと言っている。天皇もまた天皇の責任ではないと言っている。まさか責任は中国人にあるとは言うまい?」と語る。柯華は、日本が当時侵略戦争を行ったことは明らかであり、日本で崇高な地位にいた天皇は、どのような言葉をもってしても責任を免れることは絶対にできないと話している。柯華は、保釣行動委員会では会合を開いて抗議行動を取るかどうか検討すると話している。

明仁の出席した公式慶祝行事には、1,300人にものぼる議員や外交官、来賓らに対面し、国民に向けて歴史をよく覚えておくよう呼びかけた。「今日の日本は重大な犠牲の上に経っているという事実を忘れてはなりません。正しく戦後世代に伝えることが、国家の未来にとって重要なことです」と。昨日は9,000人を超える人々が東京の皇居に記帳に訪れ、明仁の即位20周年を祝った。また約5万人の参加者がそれぞれの組織による記念活動に参加した。明仁の即位20周年記念行事のためにアメリカのオバマ大統領も今日日本を訪れ、東京の警視庁では1万6,000人を動員して警備にあたる。
タイムズ/AP/AFP

日本の天皇、第二次世界大戦における父の犯罪を美化 即位20周年で初めて「戦争は裕仁の本意に非ず」と語る (明報)


ちなみに、記事中にある平成17年のお言葉についてはソースがわからないので原文訳で勘弁して下さい。あと、星島日報にも出てきている上智大学の中野助教授の発言なんかについては、やっぱりタイムズ紙からの引用ですね。元記事は、「Japan's Emperor Akihito attempts to cast his father in peace-loving light」というRichard Lloyd Parry記者の「またおまえか」な記事。詳しくは記者名でぐぐってくだしあ。

とはいえ、比べてみるとわかるように、「不本意な歴史」という部分に東アジアのメディアの中でも香港紙が特に食いつき、中でも比較的「ど真ん中」な印象の強い明報でこれだけ強い論調になったのは紛れもない事実。これには意外を通り越して驚きといった感じがします。特に明報は引用した記事の他にも「学者:歴史を粉飾し国家のイメージを守るもの」「裕仁は戦時中実権を握っており、戦争の政策決定に参与」といった記事も書き、かなりの力の入れよう。
さて、これはいったいどういう理由があるのか、と考えてみるのですが、哀しいことに皆目見当がつきません。なんだかもやもやするのですが、ひとまずはこのへんで。
まあ、こすもたんの新曲「R-18」のことなんだけどね。
 


月曜の朝っぱらからフェイPの「ねじ恋ベクトル」と、こすもたん(withノッツさん)の「R-18」がきたこれ、で大忙しですよ。2曲とも聴けた上に初音ミクWikiで項立てまでできて、早起きした甲斐があったというものです。特にこすもたんのは項立てまでできると思っていなかったので嬉しかったな。

さてさて、積み残しの話題がいくつかある中で、今年の6月から始まった日本と台湾とのワーキング・ホリデーについての話を取り上げたいと思います。これも18歳から30歳までなので、ある意味R-18とU-30だね。ってその話まだ引っ張るのかよ。
そもそも「ワーキング・ホリデーって何なの?働くの?遊ぶの?」という人は、日本ワーキング・ホリデー協会のサイトとか外務省のサイトとか見てください。あ。台湾とのワーキング・ホリデー査証については協会のサイトで。めんどくさい説明は全部他人任せっていう。
この制度、二国間での若者の交流と相互理解を促進するため、ある程度の長期滞在が可能なように短期間の就労を認めるというものなんですが、このご時世とお互いの相手国への温度差もあって半ばストロー効果状態になっています。

外交部は27日、日本が台湾の青年に対し日本へのワーキング・ホリデー査証を開放して以来、1,209件の申請があったと示した。一方で、台湾へのワーキング・ホリデー査証を申請した日本の青年はわずか56件に留まっており、台北駐日経済文化代表処を通じてより多くの広報を行うこととしている。

外交部亜東関係協会の陳調和秘書長は外交部で記者会見を行い、「18歳から30歳までの青年たちは、皆日本へのワーキング・ホリデーを申請でき、日本の文化と生活スタイルについて深く立ち入って経験できる。最長で1年間日本に滞在して合法的に働くことができ、旅費を稼ぐことができる」と話した。
陳秘書長は、「日本は上半期・下半期と年に2回に分けて台湾の青年の申請を受け付けており、年間で2,000人に査証を与えることになっている。今年の第2回は11月2日から6日に申請を受け付ける」と話す。
陳秘書長はまた、「日本の交流協会の統計によれば、今年6月1日から5日まで行われた第1回の1,000人分の募集では1,209件の申請があり、台北事務所で818件、高雄事務所で182件の許可を行った」と述べた。

ワーキング・ホリデーで台湾に来る日本の青年が少ない 外交部:よりPRを (中央通訊社)


確かに、日本でのワーキング・ホリデーの認知度や、豪州やカナダ、欧米各国といった他のワーキング・ホリデー制度のある先発国と比べて考えると、この制度を使って台湾に行く日本人が少ないのもやむを得ないところはありそう。例えば「じゃあ自分はどうなの?」って振られたら自分が申請するかっていうとかなり考えるもん。っていうかごめん。正直に言うと100%申請しません。ごめんなさい。
そう考えると、逆に台湾で定員の1,000人をオーバーする申請があったというのはとても嬉しいこと。でも同時に、受け入れる側の日本人として想像してみるとちょっと「いいのかな」と過度な期待に不安になったりもするのです。

ここでちょっと脱線して同じ27日の中央通訊社の記事から。

台湾と日本の青年のワーキング・ホリデー査証が開放されて以来、1,000件以上の申請があった。日本の交流協会の高雄事務所は27日、「少数の不合格はあるが、その主な理由は資料が揃っていなかったり、旅行計画が不明確であるためだ。例えば、日本に行ってあらゆるラーメンを食べ歩きたいと計画したものも審査を通過している」と述べている。

高雄事務所の統計によれば、今年の6月1日から台湾と日本とのワーキング・ホリデー査証の申請受付を始めて以来、これまでに台湾全体で1,209件の申請があり、1,000件が合格しているという。このうち男性が223名、女性が777名だ。うち高雄事務所では220件の申請に対して182件の合格を出し、うち42名が男性で140名が女性だった。高雄事務所によると、不合格の原因の多くは、資料がきちんと揃っていなかったり、旅行計画書が不明確だったりすることだという。

高雄事務所は、「ワーキング・ホリデー査証の申請では、書式と条件に注意すれば通過できないということにならずに済む。ワーキング・ホリデー査証は休暇が主体で働くことは補助的なものであり、計画書を充実させることを提案する。ある計画書はわずか3行で説明を済ませていたが、これでは通過は非常に難しい。通過した計画書の中には、日本に行って様々な味のラーメンを食べ歩き、日本の世界文化遺産を巡りたいと書いていたものもあった」と話す。

今年2回目のワーキング・ホリデー査証の受付は11月2日から行われ、18歳から30歳までの青年全てが申請可能で、最長1年間滞在できる。交流協会高雄事務所によると、雲林以南の人は高雄事務所で査証の申請ができるという。

ワーキング・ホリデー査証の申請、目的が明確なものが通りやすい (中央通訊社・強調は引用者)


これにはその交流協会から案の定ツッコミが入ります。

10月27日、中央通訊社(ニュース配信会社)が配信した「ワーキングホリデー申請 目的が明確であれば通過しやすい」なる標題の新聞記事のなかで、「例えばラーメン食べ歩きをするという計画をすれば、ワーキングホリデー査証に通過する」「高雄事務所によると、合格者の計画書に日本各地のラーメン食べ歩きをすると書かれたものがあった」との記載がありましたが、当事務所では一切こういった回答をしておりません
このような記事は、ワーキングホリデー査証申請者に対して、来日目的が単にラーメン食べ歩きであることだけでも査証を取得することができるといった軽々しく審査が行われているかのような誤解をあたえる恐れがあるため、10月30日、別添のとおり同社に申入れをし、訂正を求めました。
ワーキングホリデー査証申請者の皆様におかれましては、このようなあたかも「軽々しい審査を行っている」が如き誤解をされないようご注意ください

台湾メディアによる事実と異なった報道に対する申入れについて (交流協会高雄事務所・強調は引用者)


そもそもの目的から言えば、ラーメンの食べ歩きが合致していないとも言い切れないと思うんですが、確かに滞在資金のための就労を認めるには「ん?」ってなるもの。審査する側としては対応もこうなりますね。ていうか、中央社も「日本の文化を学ぶとはどういうことか、ラーメンも日本の文化か」なんて聞くなよ。でも旅行の範囲を飛び越えて、毎日毎日食べ歩いて日本のラーメン文化を研究する、なんていう話だったらどうかななんて思ったりもして。いひ。
このように申請を受け付ける側が「軽々しく行っているわけではない」のと同じように、申し込む側もまた熟考の上のものです。たぶん。今年2回目の申請受付を開始した2日の中央通訊社の記事から。

日本の交流協会は、今日から5日間にわたって2回目のワーキング・ホリデー査証の申請受付を行う。午後には200名あまりの申請者があった。ある女性申請者は、30歳になる前に日本を深く体験するため仕事を辞めたといい、「それだけの価値は充分にある」と話す。
台湾と日本の青年の相互ワーキング・ホリデー査証制度は6月1日に始まった。交流協会は2日から6日まで2つの窓口を開設し、午前9時15分から午後4時まで2回目となるワーキング・ホリデー査証の申請を受け付ける。

日本文化に熱中しているある申請者は、「通常の観光ビザでは日本に滞在できる日数に限りがある。しかしワーキング・ホリデー査証なら、18歳から30歳までしか申請できないが1年間滞在できる」と話す。
彼女はまた、「30歳を超えてしまったらチャンスは二度となくなってしまうのを心配して、ためらうことなく会社に辞表を出しました。ぜひ今回の機会を得て、観光しながら日本語の勉強もして自分に投資したい」と語った。さらに、「日本でよい仕事を見つけることができなくても、休暇という軽い気持ちを持っているし、既に旅費には充分足りる準備をしている。サービス業かスーパーに関する仕事が見つけられることを願っているが、日本の今の失業率は高く、競争も熾烈だ。心の準備もできている」と話す。

日本語の能力は査証発給の審査の基準となるのだろうか?交流協会文化渉外室の桧山主任は「申請者の日本語能力が不足していていることを理由に査証の発給を拒むことはない」と話す。しかし比べて言えば、もし申請者の数が多かった場合、日本語の能力は査証発給の考慮の一つにはなるだろう。
桧山主任は「台湾の青年は、日本ワーキング・ホリデー協会あるいは台湾の旅行業者の紹介などを通じて、自分で仕事の形態を選ぶ。台湾のいくつかの旅行業者はワーキング・ホリデー制度を商機として見ており、パッケージツアーの工程と仕事のつながりを計画している」と話す。

一方、安全面について外交部亜東関係協会の陳調和秘書長はインタビューを受けた際、「仕事または観光で訪日する際の緊急対応体制は、ワーキング・ホリデーでも同じだ。もし駐在機関が助けを求める連絡を受けたら、すぐに対応する。また、空港には24時間のサービス電話があり、駐在機関も当直のスタッフを配置し、サービスが提供できるようにしている」と話している。

ワーキング・ホリデー制度での訪日 哈日族は仕事を辞めることもいとわず (中央通訊社・強調は引用者)


おお。彼女のように、日本だって必ずしもそこまで余裕があるわけではないことをわかった上で訪日するというのは、ちょっとだけ安堵かも。いや、台湾でこれだけたくさんの人が希望しているのは嬉しいことだと思ってますよ。でも、その決意に水を差すわけじゃないけれども、日本に行った時にある程度水を差されることはあるよね、っていう勝手な心配。う。確かに余計なおせっかいかも。そのへんの期待感というかイメージみたいなものは、台湾の人に聞いてみたくもあり怖くもあり。
ワーキング・ホリデーを使って日本に来る台湾人の全員が全員、彼女のように不退転の決意ではないと思うけれど、仕事を辞めてまで日本に1年間滞在したいというのならば、その想いが裏切られないことを切に願います。そのためには、抱くものは幻想ではなく憧憬であってほしいなあ、と。ほら、日本から台湾を見るときに「台湾は親日」って十把一絡げで妄信する人がいるじゃない。あれの逆はあってほしくないなあ。日本は夢の国でも2次元の世界でもジパングでもないのだから。

(★ 補記予定。)

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