台湾は東アジアに含まれるのか。

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なんてタイトルにすると、方々から「おまえは何を言っているんだ」(画像略)と言われそうですね。いちおう東アジアnews+板のφ★なわけですし。と言っても、今回は鳩山政権の描く「東アジア共同体」のお話です。
以前、「from A for A.」でも触れたように、「東アジア共同体」っていうものを構築するためには、台湾の位置付けを明確にせざるを得ません。それは中台関係をもってもそうだし、日台関係においてもそうです。2ヶ月前は「そこを次期政権がどう料理するのかは見所の一つではあるんですが、まな板の上の鯉にとっては気が気じゃないよね」って書いたんですが、18日の衆議院外務委員会で面白いやりとりがあったようです。まずは、その内容を伝えた19日付けの自由時報から。っていうか、なんで日本の国会の話を台湾の新聞のサイトで知らなきゃいけないんだろう。

日本の外務副大臣、武正公一は18日午前、衆議院外務委員会で中津川博郷衆議院議員の質問に答え、「鳩山首相の『東アジア共同体構想』では台湾だけを抜け落とすべきではない」という最初の問いでは賛否を曖昧にしたものの、「台湾は日本と非常に緊密な関係を持つ重要な地域であり、日本が台湾との関係を維持することを変えるつもりもなく、さらに各方面で協力を強めるべきである」と強調した。岡田外相も武正副大臣の答弁に同意した。

鳩山首相の「東アジア共同体」という考えは、未だに台湾について触れていなかったため、中津川は初めて質問をした国会議員ということになる。彼は今日から本格的に審議の始まった衆議院外務委員会での最初の質問の中で、文化、歴史、地理、安全保障の観点からしても、台湾と日本には非常に密接な関係があると指摘した。
中津川は、台湾と日本は自由民主と人権という同じ価値観があるばかりではなく、安全保障の面でも、台湾はますます日本と密接な関係にあり、お互いに国交が無いからと言って台湾を「東アジア共同体」の中から排除してはならないと述べた。
中津川はさらに岡田外相に向けて提案を行った。曰く、馬英九総統と中国との関係は非常に良好であり、共同して日本を押しのけようとする動きもある。もし日本が台湾を「東アジア共同体」に入れようと思っているのなら、中国からの妨害も民進党政権時よりも大いに低下するだろうから、台湾を入れることは日本の利益にもすっかり合致すると述べた。

日本の衆議院議員:東アジア共同体から台湾を排除すべきではない (自由時報)


この答弁、先日ようやく議事録がアップされたので該当する部分を抜粋して引用。前後の部分もひっくるめて引っ張ってきているのでちょっと見づらいかも。

○ 中津川博郷:今の大臣の御答弁に延長をして膨らまして考えて、次に質問したいんですけれども、台湾ですね。
 台湾を私は親台派の議員としてずっとやってきたわけでありますけれども、台湾というのは、確かに日本と国交がありません。しかし、自由と民主と人権を大切にする、もう選挙も行って、日本より早く政権交代をやっていますからね。そして、今、ほかのITとかいろいろなものでは日本より産業が進んでいるんですよ。何よりも日本人的な気持ちを持った、本当に、台湾へ行くと、ああ、僕は日本人なんだな、政治家でいる以上、日本の国をよくしなきゃな、義理と人情を大事にしなきゃだめだな、武士道精神というのを李登輝さんに教えてもらったな、そういう思いをいつも私はするんです。聞いたら、私だけじゃなくて、多くの皆さんたちも行って同じ考えをする。先般も行ってまいりました。
 そこで、私は、台湾と日本の経済的なつながり、文化、歴史的なつながり、それから安全保障上の今非常に大事なところですね。これは地域と答えた外務大臣もいますし、また、今まで国と言った人もおりますが、国交はないし、一応国としては認められていないというようなところですが、東アジア共同体構想の中で、私は、台湾の存在というのは、やはりこれなしには語れないんじゃないかと思っているんですが、大臣、いかがでしょうかね。
○ 武正公一:東アジア共同体構想、先ほど申し上げましたように、長期的なビジョンである、そしてまた、貿易、投資、金融、エネルギー、環境、命と文化などの可能な分野から、開放的で透明性の高い地域協力、これを着実に進めていくことが重要であると申し上げたところであります。
 今、台湾についてのお話でございますが、我が国にとって台湾が緊密な関係を有する重要な地域であることは言をまたないところでございます。台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場に変更はありません。その立場を踏まえて、台湾との間でも種々の協力のあり方について検討をしていく考えでございます。
○ 中津川博郷:積極的な答弁だと思いますね、副大臣。時間が来たんですが、岡田大臣も同じということでよろしいでしょうか、今の考えで。もし何かあったら。ないですか。
 今、台湾も国民党政権になって、馬英九になりまして、中国と非常に仲がいいんですよ。日本を外そうとしているのであって、ちょっと日本も入れて日台中でやったらいいじゃないかと私なんかは思っているんですが、ちょうどそういう折でもありますから、中国の方も緩やかに、その辺のところは前の民進党政権よりもやりやすいと思うんですよ。そんなことを思って、ぜひ、台湾の重要性というものを今副大臣は認識されておりましたが、大臣におかれましてもまた、ひとつそういう認識のもとで、重要な存在だというふうに、日本の国益を考えてやっていただきたいと思います。
 岡田外相におかれましては、とにかく我が国外交の先頭に立って、国益のために堂々と御活躍されることを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

平成21年11月18日 第173回国会衆議院外務委員会 (衆議院会議録・強調は引用者)


と、「台湾が東アジア共同体に含まれるのか」という点では微妙にぼかされたものの、「種々の協力のあり方について検討をしていく考えでございます」というのは、玉虫色な香りがするとは言え、やっぱり積極的な答弁と言っていいんじゃないでしょうか。まあこれも「今から首を突っ込むとめんどくさいことになるから、国民党と共産党との間で話がまとまってからでもいいんじゃね?」ってところに落ち着くっていう危険性も孕んでいそうなんですけど。

ここで思い出されるのは麻生太郎前首相が外相時代に提唱した「自由と繁栄の弧」構想。この時も台湾はちょっと不遇な扱いを受けていました。ちょうど3年前の平成18年11月、麻生外相がホテルオークラで行った「「自由と繁栄の弧」をつくる」という講演で使われた資料の地図を見ると、台湾の真上に「日CLV首脳会議」という文字が入ってきて見えなくなっています。もっとも、そのCLVにしたってカンボジアはほとんど消えかけているし、東欧は何が何だかっていう状態なので、台湾だけっていうわけじゃないんですけどね。ということで、それをネタに民主党の長島昭久衆院議員が行った質問も抜粋して引用。

○ 長島昭久:そういう中で、私はこの地図を見てあれっと思ったことが幾つかありまして、一つは、価値の外交、自由と民主主義、市場経済ということであれば、これは中国との関係で厄介な問題もあるんですが、台湾をどう見るか。
 (中略)恐らく、台湾を評価する点では外務大臣も人後に落ちるものではないと思うのでありますが、どうもこの地図を見ると、台湾が日・CLV首脳会議のラベルの陰に隠れちゃっているんですね。中国との関係もあり、なかなかおっしゃりにくいところもあるのかもしれませんが、価値の外交というのであれば、台湾の今まで努力してきた経緯なんかもやはり評価をされるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○ 麻生太郎:(前略)いわゆる地域と言われておりますが、御存じのように、APECの代表の一つである、中国とは別に台湾というのが代表を送っているというのも確かでありまして、日本としては、少なくとも貿易総額で今六百億ドルを超えたかな、それぐらいあろうと存じます。
(中略) それが国と言うからまた問題なんでしょうけれども、地域と言わにゃいかぬところなんでしょう。そこらのところが大事なところで、冷やっとさせるところも、なかなか答弁としては難しいんですけれども、ここのところは、台湾というこの地域というものがそれだけ発展していることは事実ですから、それを私どもとしては十分に認めた上でやっていかないといかぬというような御説は全く正しいと思います。

平成18年12月13日 第165回国会衆議院外務委員会 (衆議院会議録)


と、確かにこの「十分に認めた上でやっていかないといかぬというような御説は全く正しいと思います」に比べると、武正副大臣の先日の発言はかなり踏み込んだものだって言うのはわかりますね。しかも「自由と繁栄の弧」の場合は外交方針のイメージ像であるから、別に国家間の共同体という形にする必要はない。逆に「東アジア共同体」構想は国々の共同体というある程度固まった出来上がりがあるから、むしろハードルは上がっています。さてさて、いったいどういうビジョンを示すことができるのか、種々の協力のあり方についての検討というものに若干の期待をしたいところですね。

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