2010年2月アーカイブ
1980年代の中国で生まれた彼らのような世代は「80後」と呼ばれ、1979年に始まったいわゆる「一人っ子政策」の下、また特に沿岸部では改革開放の波もあり、親の寵愛と経済的な豊かさを一手に受けた「幸せな世代」としてみなされることが多い世代でした。日本では「小皇帝」っていうイメージが強いかもしれないですね。強引に日本に当てはめるといわゆる「バブル世代」にあたるのかなあ。おっと、これには異論が多々あると思います。年代の捉え方もそうだし、その年代を一括りにすることも含めてね。おいらだって、自分たちの世代が「失われた世代」と十把一絡げに言われるのは嫌だもん。
そんな「80後」世代なんですが、15日の広州市(広東省)の党機関紙、広州日報が報じた調査によれば、必ずしも「幸せな世代」とは言えないようです。元の記事は広州日報の「「80後」の生活状況大調査」を見てほしいのですが、今回はそのまとめ版とも言える香港の明報の記事から訳。だってこっちの方が短いんだもん。
「80後」と言えば香港では最もホットなキーワードの一つだが(註:この場合、2012年のダブル選挙での普通選挙導入や、広深港高速鉄道などを訴え、ネットを中心に集まってデモなどを行う20代の若者を指す。)、内地の多数のメディアが先日共同で行った「80後」の調査が行われ、広東、北京、上海、浙江などから3,300人あまりの「80後」がネットでの調査に回答した。調査の結果、70%近い「80後」が「幸福感が強くない」「生活水準に満足していない」と回答し、中でも家を買うことが彼らの生活の最大のプレッシャーになっていることがわかった。また、約3分の1の回答者は、社会が彼らを「反抗的、身勝手、オタク」などとマイナスなレッテルで過度に見ているとして不満を述べている。
内地のいわゆる「80後」は、中国で行われた「一人っ子政策」の後に生まれた世代の者たちを指しており、ある統計によれば2億人を超えるグループだという。「広州日報」は新浪網や大洋網そして「現代国際市場研究」とともに先日、「80後」世代の生活の有様を調べる大調査を行った。報道によると、今の中国社会は「80後」の青年らの独自性を育てるものに転換しており、こうした温室育ちの「小皇帝」には「ビート・ジェネレーション、反抗的、利己的、ひ弱」といったマイナスの評価が乗っかり、さらに「どら息子、房奴(註:長期の住宅ローンを組んだ人を見下した言い方)、カード奴(註:同様にカードで多くの債務を抱えてしまった人)、蟻族、オタク」などの社会現象も生み出した。
調査によると、都市部に住む「80後」の暮らしのプレッシャーは相当のものがあるようで、40%の回答者は「家の購入、子供の養育」がプレッシャーだと感じており、30%近くの者が仕事で感じているようで「仕事を飛び出ることが非常に大変だ」と答えている。またある回答者は「社会全体に圧力の元があり、息が詰まりそうだ」と答えている。
30%の「80後」は「月光族(註:月給を全て使ってしまい貯蓄する余裕が無い人のこと)」で、毎月の収入は基本的にその月のうちに使いきってしまうという。また「車を持っている者」は10%に満たない。さらに、家を買うことについて40%近くが「結婚のため」と答えているが、「自分の預金から一括で払える」と答えたのは20%のみだった。このほか、40%近くの「80後」は毎月毎月父母に対して仕送りを行っていることがわかり、このことからも、決して一部の人が憶測で語っているような「親の脛齧り」ではないことが説明できる。
仕事面では、回答者の多くがこれまで転職を経験しており、うち50%近くがすぐにでも転職したいと答えている。これは、共通して彼らのグループが自分の今の成果に不満を抱いているが、頻繁に転職しても適した職に巡りあえていないことが反映されている。このほか調査では、「80後」の理想は4つの分野に集中していることがわかった。一つは「家があり車があること」で、特に家を持つことだ。第二は「事業で成功すること」、三点目が「金持ちになること」で、特に老板になることだった。最後が「公務員あるいは科学者のような『社会にとって役に立つ人』になること」だった。
とまあ、日本でも記事にあるマイナスなイメージの残る「一人っ子政策」世代ですが、現実はそうでもないようです。考えてみれば、結婚したら夫婦で4人を支えなきゃいけないし(まあ、4人を支えようとする子ばかりかっていう話もあるんですけど)、子供が生まれればなおのことだもんね。自ら少子化を進めた国の最大の被害者なのかもしれません。
しかも、蟻族のように自分ひとり分の幸せすら手元に残せない人も多くいるようで、迷路人さんのところにあるような叫びもますます痛切に感じてくるというものです。
昨年5月の「「けいおん!」の原作マンガが台湾で6月 12日に発売になるらしい。」や7月の「「けいおん!」の原作マンガ第2巻が台湾で8月12日に発売になるらしい。」に続き、いよいよ来月から台湾のアニマックスでアニメ第1期が放送されるそうです。日本では4月から第2期が放送されますけど、台湾ではどのくらい人気を得ることができるかな。もっとも、人によっては台湾でも既に、......いやなんでもないです。
というわけで、今さらですが3日のぐぬぬから訳。
人気アニメ作品『けいおん!(中国語題:K-ON!輕音部)』の第1期アニメが3月から台湾でも放送開始になることが正式に決まった。
漫画家かきふらいによる四コママンガが原作。この『けいおん!』のストーリーでは、廃部になりかけていた「軽音楽部」が、4人の部員を揃えなければ廃部という運命を避けられないというところから始まる。田井中律、秋山澪、琴吹紬の3人の女子生徒が加入した後、主人公の平沢唯が思いがけず最後の1人として入ってくる。
音楽についてはずぶの素人である平沢唯だったが、部活ではギタリストとなり、さらにベース、ドラムス、キーボードの3人とともに、青春らしい楽しさに満ちたスクールライフを展開していく。
アニメ『けいおん!』は3月24日からAnimaxアニメチャンネルで放送を開始する予定だ。興味のある者は、公式サイトで公開される詳細な放送時間をチェックし損ねないように。アニメ『けいおん!』が3月から台湾Animaxで放送開始 (巴哈姆特)
ちなみに、放送時間は月曜から金曜までの20時30分~21時、今の『彩雲国物語』2期の枠になるみたいです。これとは別に香港のアニマックスでも3月9日から放送されるとか。
もう一つおまけで誰得情報。昨年夏に公開されヒットした映画『サマーウォーズ』ですが、5日のぐぬぬによれば、台湾でも5月28日から公開される予定だそうです。
最後に。くどいようですが、このブログはまず何よりもニk(そげぶ
よくよく考えてみれば、あの北京五輪からも2年、正確に言えば1年半もたつんですね。そんな北京五輪に沸いた2008年の暮れ、いわゆる「08憲章」が発表されました。その起草者の一人である劉暁波に先日、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の刑言い渡されたところです。
これについては日本でもそこそこ報道されていますが、今日のお話はその後の出来事について。判決が出た11日は、折りしも春節前最後の外交部報道官定例記者会見の日(もっとも、オバマ・ダライ=ラマ会談を受けて12日にも記者会見してますけど)。この話題についても記者から質問があったみたいだけど、そこでこんなやり取りがあったそうです。産経ソースで11日共同電から。
「中国にはディシデント(反対派)は存在しない」。中国外務省の馬朝旭報道局長は11日の定例会見で、中国共産党独裁体制の廃止などを呼び掛け、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を受けた劉暁波氏らを指して外国記者が使った表現に「あなたの言葉は誤りだ」とかみついた。
局長は「中国は法治国家であり、犯罪か非犯罪かの区別があるだけだ」と強調。劉氏は反対派だから投獄されたのではなく、法に反したからだと言いたかったようだが、「反対派」存在の否定は、かえって党や政府の考え方しか認めない中国の独裁体質を印象付ける形となった。
別の記者がさらに「ディシデントは政府の政策に同意しない者の意味だが、中国にはいないのか」と追及すると、局長は「言葉の定義で議論したくないが、中国ではこの言葉の使用は適切でない」とかわした。(共同)「中国に反対派は存在しない」外務省報道官が記者の質問にかみつく (産経新聞・強調は引用者)
この概念の話に触れてしまうと、『ザ・ワールド・イズ・マイン』の「体制か、反体制かだ」という台詞を引っ張ってきたりしておいら自身が止まらなくなってしまうので、まずはどのような応答があったのかを見てみましょ。中国外交部のサイトから11日の定例記者会見を訳。長いので、今回の「反対派」とは関係ない話題は記者からの質問のみ訳します。
皆さんこんにちは。春節前最後の記者会見にお越しいただきありがとうございます。まず初めに、楊外交部長から皆さん宛ての挨拶をお伝えします。「皆さん、新年明けましておめでとうございます!」さて、慣例に倣い、春節の休暇期間は定例記者会見をお休みします。春節明け最初の記者会見は、2月23日(火)に行います。皆さんどうかご参加ください。
続けて一つお知らせがあります。中国政府の特使として文化部長の蔡部長が2月18日に行われるクロアチアのイボ・ヨシポビッチ新大統領の就任式典に出席します。
それでは、皆さん質問があればどうぞ。Q:オーストラリア政府は先日、中国政府が透明な方法により速やかにリオ・ティント社の事件を解決するよう求めている。中国政府はこれに対しどのように応えるか?また二つ目の質問ですが、イラン政府への新制裁実施について、中国政府はどのような状況になれば、フランスやアメリカなどの国に呼応し賛成するのか?
Q:報道によれば、アメリカ経済に回復の兆しが見えることから、FRBでは必要な際に「出口戦略」を実施することを考慮しているそうです。中国政府のこれに対する立場はいかがか?
Q:中国政府は、最近設立が決まった朝鮮半島事務特別代表にどのような考えをお持ちか?
Q:スリランカの最近の情勢と、反対派のリーダーが逮捕されたことについて関心をお持ちか?また、中国政府とスリランカ政府との間でこの件でやりとりは?
Q:報道によれば、アメリカの空母ニミッツが来週香港に寄航するそうだが事実か?
Q:北朝鮮の金桂冠・外務次官の訪中日程について回答可能か?また武大偉は今後も六者会談で中国代表団の団長を務めるのか?
Q:ミャンマー政府は先月、22人のウイグル族を送還したが、彼らはどのような理由で送還されたのか?また近況如何?
Q:リオ・ティント社の事件の具体的な進展をもう少し教えてほしい。この事件は公開審理がなされるか?オーストラリア政府の強い関心に対し何らかの回答はあるのか?
Q:先ほど、スリランカ情勢について「内政の話だ」と答えたが、近年ではEUやアメリカ、日本などの国もスリランカ情勢に関心を示している。また同時に、中国は港湾や空港の修繕などスリランカへの援助を増加させ続けている。中国政府として、この大幅な援助とスリランカの内政に対する不干渉との関係についてどのように説明するのか?
Q:EU各国は先日、ギリシャの債務危機に対する援助措置を呼びかけていたが、中国政府としてギリシャに対して救いの手を差し伸べるつもりはあるか?
Q:ある報道によれば、中国政府はイランに存する石油利益のため、制裁実施を望んでいないとされている。これに対する見解は?
Q:中国政府はかつていかなる企業も台湾に対して武器を売却することに反対していた。しかし台湾は先日ヨーロッパの企業から3機のEC225型ヘリを購入した。中国政府として、この企業に対する制裁の実施を考えているか?もし他に質問がないようであれば、同僚である秦剛と姜瑜を代表し、皆さんに新年の挨拶を伝えたい。皆さん寅年を迎えおめでとうございます。皆さんにとってよいことがありますように!来年も、我々の記者会見がスムーズに、かつ内容豊かに行われることを願っています。また、皆さんの仕事も順調に、取材で新たな進展が得られることを祈っています。
皆さんありがとう!ごきげんよう!2010年2月11日外交部発言人・馬朝旭による定例記者会見 (中華人民共和国外交部)
っておい、終わっちゃったよ!11日の朝日新聞の報道によれば、この会見では劉暁波の控訴審判決そのものについてもコメントがなされているはずなのですが、どうやらこの話題そのものについてカットされている模様。
(略)中国外務省の馬朝旭報道局長は同日の記者会見で「中国の内政と司法の独立に干渉すべきではない」と反発した。最高人民法院(最高裁)は9日、国家や政権に危害を及ぼす行為に対し、さらに厳罰で臨む方針を発表していた。今後、人権活動家に対する国家政権転覆罪による摘発がいっそう強まる可能性がある。(略)
「08憲章」起草者の実刑確定、二審も国家転覆行為認定 (朝日新聞)
試しに百度のニュース検索で、劉暁波をキーワードに検索してみたら「その検索結果は、関係法規や政策に合致しない内容に触れてしまっている恐れがあるので、見せることはできません」って怒られてしまいました。仕方ないね。
辛うじて簡体字メディアで報じているのはVOAとシンガポールの聯合早報ぐらいかな。聯合早報の記事によれば、この質問をした「外国記者」はVOAの記者だったみたい。なんていうか、あ、やっぱり。ということで12日北京電の聯合早報から抜粋して訳。ごめんね、香港紙はチェックしてないっす。
(略)中国外交部の馬朝旭発言人は11日の記者会見で「中国にはdissident(異なる政治的見解を持つ者や異なる意見を持つ者)は存在しない。我々は法に基づき物事を行うのみで、そこには犯罪者か犯罪者でないかの区別があるだけだ」と語った。
これについて、馬朝旭はVOAの記者の質問に答える際、以下のように解説した。
「dissidentの定義に関してだが、あなたの英語はきっと私よりも上手だろう。しかし私はこの定義についてあなたと議論をするつもりはない。あなたはきっとこの皆さんが同意するような定義を見つけ出すことはできないだろう。この類いの人物、あなたが言うようなこの類いの人物が中国に存在するかというと、あなた自身で判断するべきではないだろうか。しかし、私の理解において言えば、この言葉をこの場所で使うことは適当ではないと考える」(略)二審への上訴でも原審を維持 劉暁波に懲役11年 (聯合早報)
上手く定義をはぐらかしてますが、要は「反対派などいない!」という中の人理論ですし、「(反対派なんて)中国に誰もいませんよ」という、......ってごめんなさい、超脱線しました。もとい、考え方としては中の人理論なんでしょうね。傍から見るといかにも「そういう人がいる」んだけど、当人にしてみれば「その言葉は不適切だ。少なくとも俺にしてみればそんな人はいない」という。
いずれにしても驚きなのは、というよりも「ああやっぱりか」というのは、反対派の存在どころか、そういう応答があったことさえオフィシャルには存在を否定してしまうところ。それだけセンシティブな内容っていうことなんだろうけどね。それ以上に、この国はまだそんなことをやるのか、っていう虚無感にげんなりっす。
そういえば、上で書いた外交部の記者会見の記事では、トラの縫いぐるみを持った馬局長の写真もあるのですが、まあ「寅年を迎えるにあたってのちょっとした小ネタかな」と思いきや、このトラ、張子の虎どころかきちんと牙も持っていたようです。以下、当該記者会見を報じる11日の中国新聞網から抜粋で訳。
(略)記者からの10あまりの質問に答え終わり、記者会見がまもなく終わろうとしていた際、馬朝旭局長は寅年の吉兆のシンボルであるトラのおもちゃを取り出し、会場の内外の記者に早めの新年の挨拶を行った。
(略)会場の雰囲気はにわかに暖かく活気を帯びた。内外の記者たちは次々にカメラを持ち、発言台でトラを携えた馬局長を何度も何度も写真に収めた。
馬朝旭はユーモアを交え、来年は寅年であるから、記者会見場で質問する際には特に注意し、特に慎重であってほしいと語った。「さもなければ、『こいつ』はきっと答えないだろう」。馬朝旭は笑いながら手にした獰猛なトラを持ち上げてみせた。(略)外交部発言人、内外の記者に向けて「寅」年の挨拶(写真あり) (中国新聞・強調は引用者)
虎の尾を踏むことなかれ、ってとこですかね。おお、こわいこわい。
前フリもいろいろめんどくさいので、泣く子も黙るバレンタインデーに向けて1日の聯合報の社説でも。
台湾の女性は昨年、平均すると1人の子供しか産んで育てていない。出生率(訳註:この場合は、単純に人口1人あたりに対する1年間に産まれた子供の数)は、0.00829(訳註:つまり人口1,000人あたり8.29人しか産まれていない)となり、世界でも最も少ない国となった。結婚人数も過去最低を更新し、わずか11万組あまりしかカップルが生まれず、逆に離婚者は5万組を超えた。さらに注意すべきは、高齢での出産育児の風潮が出来上がり、30歳以上の妊婦が「増産報国」の主力となっていることだ。
この数字は、経済建設委員会にとって強烈なパンチとなった。一年余り前、経建会は次のように揚言した。すなわち、台湾の人口に「ゼロ成長」が生じる時期について、当初推計では2018年だったが2027年まで遅れるというものだった。その理由として、政府が既に多くの奨励策を講じていることが挙げられ、若者が出産育児をしやすくなり、合計特殊出生率は1.1人から1.4人に上昇すると見込まれていた。しかし、若い世代は政府の独りよがりな奨励策に全く無関心で、出生率が上昇に反転しないのは、政府の人口政策が机上の空論にしかすぎないことを証明している。
台湾の人口の変遷は、結婚離れに始まり少子化、高齢化に達した。実際にはより深い社会的要素や心理的要因があり、全般的な視点からに明らかにしてこそ、有効な対策が打ち出せる。出産補助を行うことを軽々しく考えるのは、確かに若い世代の出産育児を奨励することになるかもしれないが、単に政府が一方通行な考えをしているだけでは、少子化の解決には根本的に何の役にも立ちはしない。
結婚の件数減と出生数の減少は、全世界の社会の移り変わりにおける共通の現象であり、台湾独特のものではない。異なる点としては、欧米の先進国が1960年代に低出生率に陥ったものの、調整を行い再出発したことで、この10~20年は回復傾向が見られていることだ。アメリカの出生率は、このところ2人前後を維持している。ヨーロッパの平均も1.4人だ。これとは対照的に、台湾では民国40年代こそ1人の女性から平均6人の子どもが産まれていたのに、政府は「2人がちょうどよい」という産児制限政策を推進した。この結果、わずか半世紀で台湾は世界最低の水準まで落ち込み、このような激しい変化は、油断によるものではない。
台湾の若者たちにおける結婚や出産の願望は、なぜこんなにも低くなってしまったのか?正面から見ると、若い世代が自由を求め、拘束されない生活をより好む傾向にあり、父母のように結婚や家庭に束縛されたくないと思っていることがある。これは自我の実現を趣旨とする人生観であり、それそのものは非難するべきものではない。出生数の適度な低下は、環境への負担を低減することにもなり、生存競争の圧力を下げることから、必ずしも良いことでないとは言い切れない。仮に、仲が悪くなった夫婦が、同居する相方への不満から喧嘩の絶えないようなことに耐えられず、離婚人口が毎年増加していても、社会の考え方がより開放的な観点に移りつつあるのを考えれば、これもまた全く悪いこととは言えないだろう。
減少せず逆に増える、これは若者世代に対するプレッシャーを軽減する方法がないことが主要因だ。より一歩進んで台湾自身の特殊な要因を見てみると、この10~20年来、政治的ないざこざが絶え間なく続き、族群や社会の亀裂はだんだんと大きくなっていった。より重要なのは、政争が激しくなる過程の中で、台湾の経済的な実力も頓挫し、国家の誉れも霧散してしまったことだ。考えてもみてほしい。心配事や不安に満ちた社会の中で、国民は自分の幸福を探すことなどできない。いったい誰が、後世の世代をこのようなつまらない環境に産まれさせたいと思うだろうか?
新竹市では数年前から出産育児の補助の政策を開始している。第一子を産んだ母親に、少なくとも1万元の手当を支給するというものだ。これにより、新竹市は台湾全体で出生率1位に輝いた。一時期、その他の各県市も出生の特効薬になると考えこぞってこれに倣った。しかし、実際には新竹の奇跡というものは、科学技術ブームによる新興富裕層というベースの上に出来上がったもので、決して若者たちの「生」への思いを呼び起こしたものではない。さらに忘れてはならないのは、メディアの注目を集める各種の富豪の結婚式などは、しばしば官僚たちが集いその費用もばかにならない。このように「結婚というのはこのようなものだ」という華美な意識がひけらかされることによって、市井の人々の結婚に対する素朴な幻想がぶち殺されているのだ。とりわけ、昨今のネットオタクたちについて、彼らのリアルな人生の中で関係を作り知り合う機会をいかに増やすかが、恐らく出産育児の補助よりもはるかに有効なものになるだろう。
もともと出生率が極めて低かったフランスだが、最近ではヨーロッパで最も出生率が高い国に変わっている。その秘訣は、家庭が子供の面倒をみることについて、政府が補助することを国家の責任だと捉えているのことだ。さらに、面倒をみる年齢を3歳に繰り上げようとしており、3歳から5歳の全ての子供が公立の託児所に入れるようにするという。また、フランスでは非婚による子供の割合が半数を超えているが、政府はこれを区別しない。仕事と家庭という難しい取捨選択をする必要がないため、フランスの働く女性たちが子供を産まない比率は極めて低く、また35歳以上の母親が新たに子供を産む割合も2割を超えている。この点を見ると、台湾の子供を産む女性の高齢化は、実は正常な現象だといえる。
政府は、結婚離れと出産離れという時代の総合的な合併症を認めねばならない。また、解決の手段について真剣に考え、安価な手当政策を再び打つようなことをしてはならない。台湾の高齢出産の増加は、これらの年齢層の女性にとって仕事と生活のバランスが安定に向かっていることによるものだ。政府がなおも「若い時期の出産が最良だ」と高らかに謳うのであれば、それはまったく現実を見ていないものだ!
★ 補記予定。

