バレンタインデーが日曜っていうのも、案外面倒なんです。
前フリもいろいろめんどくさいので、泣く子も黙るバレンタインデーに向けて1日の聯合報の社説でも。
台湾の女性は昨年、平均すると1人の子供しか産んで育てていない。出生率(訳註:この場合は、単純に人口1人あたりに対する1年間に産まれた子供の数)は、0.00829(訳註:つまり人口1,000人あたり8.29人しか産まれていない)となり、世界でも最も少ない国となった。結婚人数も過去最低を更新し、わずか11万組あまりしかカップルが生まれず、逆に離婚者は5万組を超えた。さらに注意すべきは、高齢での出産育児の風潮が出来上がり、30歳以上の妊婦が「増産報国」の主力となっていることだ。
この数字は、経済建設委員会にとって強烈なパンチとなった。一年余り前、経建会は次のように揚言した。すなわち、台湾の人口に「ゼロ成長」が生じる時期について、当初推計では2018年だったが2027年まで遅れるというものだった。その理由として、政府が既に多くの奨励策を講じていることが挙げられ、若者が出産育児をしやすくなり、合計特殊出生率は1.1人から1.4人に上昇すると見込まれていた。しかし、若い世代は政府の独りよがりな奨励策に全く無関心で、出生率が上昇に反転しないのは、政府の人口政策が机上の空論にしかすぎないことを証明している。
台湾の人口の変遷は、結婚離れに始まり少子化、高齢化に達した。実際にはより深い社会的要素や心理的要因があり、全般的な視点からに明らかにしてこそ、有効な対策が打ち出せる。出産補助を行うことを軽々しく考えるのは、確かに若い世代の出産育児を奨励することになるかもしれないが、単に政府が一方通行な考えをしているだけでは、少子化の解決には根本的に何の役にも立ちはしない。
結婚の件数減と出生数の減少は、全世界の社会の移り変わりにおける共通の現象であり、台湾独特のものではない。異なる点としては、欧米の先進国が1960年代に低出生率に陥ったものの、調整を行い再出発したことで、この10~20年は回復傾向が見られていることだ。アメリカの出生率は、このところ2人前後を維持している。ヨーロッパの平均も1.4人だ。これとは対照的に、台湾では民国40年代こそ1人の女性から平均6人の子どもが産まれていたのに、政府は「2人がちょうどよい」という産児制限政策を推進した。この結果、わずか半世紀で台湾は世界最低の水準まで落ち込み、このような激しい変化は、油断によるものではない。
台湾の若者たちにおける結婚や出産の願望は、なぜこんなにも低くなってしまったのか?正面から見ると、若い世代が自由を求め、拘束されない生活をより好む傾向にあり、父母のように結婚や家庭に束縛されたくないと思っていることがある。これは自我の実現を趣旨とする人生観であり、それそのものは非難するべきものではない。出生数の適度な低下は、環境への負担を低減することにもなり、生存競争の圧力を下げることから、必ずしも良いことでないとは言い切れない。仮に、仲が悪くなった夫婦が、同居する相方への不満から喧嘩の絶えないようなことに耐えられず、離婚人口が毎年増加していても、社会の考え方がより開放的な観点に移りつつあるのを考えれば、これもまた全く悪いこととは言えないだろう。
減少せず逆に増える、これは若者世代に対するプレッシャーを軽減する方法がないことが主要因だ。より一歩進んで台湾自身の特殊な要因を見てみると、この10~20年来、政治的ないざこざが絶え間なく続き、族群や社会の亀裂はだんだんと大きくなっていった。より重要なのは、政争が激しくなる過程の中で、台湾の経済的な実力も頓挫し、国家の誉れも霧散してしまったことだ。考えてもみてほしい。心配事や不安に満ちた社会の中で、国民は自分の幸福を探すことなどできない。いったい誰が、後世の世代をこのようなつまらない環境に産まれさせたいと思うだろうか?
新竹市では数年前から出産育児の補助の政策を開始している。第一子を産んだ母親に、少なくとも1万元の手当を支給するというものだ。これにより、新竹市は台湾全体で出生率1位に輝いた。一時期、その他の各県市も出生の特効薬になると考えこぞってこれに倣った。しかし、実際には新竹の奇跡というものは、科学技術ブームによる新興富裕層というベースの上に出来上がったもので、決して若者たちの「生」への思いを呼び起こしたものではない。さらに忘れてはならないのは、メディアの注目を集める各種の富豪の結婚式などは、しばしば官僚たちが集いその費用もばかにならない。このように「結婚というのはこのようなものだ」という華美な意識がひけらかされることによって、市井の人々の結婚に対する素朴な幻想がぶち殺されているのだ。とりわけ、昨今のネットオタクたちについて、彼らのリアルな人生の中で関係を作り知り合う機会をいかに増やすかが、恐らく出産育児の補助よりもはるかに有効なものになるだろう。
もともと出生率が極めて低かったフランスだが、最近ではヨーロッパで最も出生率が高い国に変わっている。その秘訣は、家庭が子供の面倒をみることについて、政府が補助することを国家の責任だと捉えているのことだ。さらに、面倒をみる年齢を3歳に繰り上げようとしており、3歳から5歳の全ての子供が公立の託児所に入れるようにするという。また、フランスでは非婚による子供の割合が半数を超えているが、政府はこれを区別しない。仕事と家庭という難しい取捨選択をする必要がないため、フランスの働く女性たちが子供を産まない比率は極めて低く、また35歳以上の母親が新たに子供を産む割合も2割を超えている。この点を見ると、台湾の子供を産む女性の高齢化は、実は正常な現象だといえる。
政府は、結婚離れと出産離れという時代の総合的な合併症を認めねばならない。また、解決の手段について真剣に考え、安価な手当政策を再び打つようなことをしてはならない。台湾の高齢出産の増加は、これらの年齢層の女性にとって仕事と生活のバランスが安定に向かっていることによるものだ。政府がなおも「若い時期の出産が最良だ」と高らかに謳うのであれば、それはまったく現実を見ていないものだ!
★ 補記予定。
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