菅直人新総理に対する台湾論評をちょっと見てみる。
まずはめんどくさい前置きは放っておいて、菅新代表が誕生した5日の自由時報から抜粋して。2つ目の記事は駐日特派員の張茂森。
(略)政界の「火爆(キレやすい人)王」と称される菅直人は、過去4年間の日本で5人目の首相となる。しかし、政治一家以外からの出身という点ではこの中で唯一となり、権勢を嫌う日本の有権者たちを引き付けることが期待される。菅直人は首相を引き継ぐと、仕事と挑戦に向き合わねばならない。まず最初は組閣と党内人事である。その後、7月の参院選に全力を注がねばならない。このほか、普天間基地の問題では鳩山政権の決定を継続することとなり、消費税率などを含む税制改革の財政問題については、就任後の政策の重点課題になると予測される。(略)
火爆王・菅直人 日本の首相へ (自由時報)
日本の菅直人新首相ははたして親中派なのか、それとも親台派なのか。さまざまな異なる見方があるようだが、正しい答えは「親日派」というものだろう!
民主党は基本的には旧社会党系と旧自民党系の2つの流派で構成されており、前者は菅直人に代表され、後者は党幹事長を辞任したばかりの小沢一郎を主としている。表面的には旧社会党は親中であり、旧自民党系は親台と見ることができるが、実際のところはそうではない。
冷戦中、日本の政治家は親米、親ソというイデオロギーがかなり明確になっていた。親中、親台というのもある程度分かれていた。しかし、冷戦が終わると彼らは「親日派」に変わり、誰が親中か親台かと分けることが難しくなった。例えば、たいへん多くの国会議員が台湾友好議員団体である「日華懇」の会員ではあるが、同時に「日中議連」の会員でもある。これは日本の政治家たちが自国の利益を守るためのあるべき態度だ。2002年5月4日、当時民主党の幹事長だった菅直人は、上海での検討会で、「台湾の国際組織への参加、特に国連への加盟を認めねばならない」と公に発言した。これに対し中国側は強い不満を示したが、菅は「中国が台湾の国連加盟に反対していることは私も知っている」と述べる一方、「台湾の国連加盟と将来における中国統一とは矛盾しない」とも話し、さらには「台湾問題は平和的な方法によってこれにあたるべきで、いかなる場合であろうとも軍事力を行使することは反対する」と強調している。
同年、菅直人は外交政策論文の中で対アジア政策として「中国は台湾の国連加盟を認めるべき」という部分で以下のようにも指摘している。「安全保障の面で、(日本は)対中国、対台湾の関係を軽視することはできない。アメリカは台湾関係法を制定し、台湾を防衛する義務を引き続き担っている。......台湾と中国の経済的な関係は日々緊密になってきている。中国が武力で台湾を脅かすような可能性も低くなっている。しかし、中国が武力により台湾の独立を阻止する可能性はなおも存在している」、「中国が武力を用いて台湾を解放することを阻止するのは、日本として当然の立場である」と。台湾の国連加盟を支持するという点に関して彼は、「この問題は台湾と中国の国内問題ではない。また、米中両国の問題でもない。国連のあらゆる加盟国の問題であり、国連の場で平和的に解決するべき問題だ」と指摘している。
これは8年前の考え方であるけれども、成熟した政治家は8年の歳月を経たからといって思想を容易に変えることはないだろう。過去数代の台湾駐日代表は口をそろえてこう言っている。「台湾は、日本に対してとりわけ親台であることを決して求めない。日本が自らの国家の利益を守る『親日』の立場を堅持し、中国のご機嫌を取るために親中に偏向しなければ、そのことが台湾の利益につながるからだ。」
と、台日関係に関するスタンスとしては「『親台派』というよりも、日本の国益を鑑みて中国に傾倒しない人物、言い換えれば台湾にとっても有益な方向になるのでは」というなんとも言いがたい評価。また、もともと「初外遊は上海万博日本デーに合わせて中国か」という話もあったし、普天間基地の問題もあるので対中国、対アメリカの姿勢はやはり気になるようです。聯合報はというと、5日には4日電で東京特派員の陳世昌による菅直人の人物評が載っているのでこちらを訳。
菅直人は、官僚に対してかなり厳しい態度を取ることから、「挑剔(難癖をつける人、細かいことに厳しい人)菅」と呼ばれている。しかしこの半年ほどは「閉口菅」に変わっていた。聞くところによれば、菅は鳩山がじきに辞任し、好機が自分の身にやってくることを察知し、口をつぐんで官僚を批判しないようにしたという。
菅直人が自らの名声を確立したのは、1996年に厚生大臣として初入閣した時だった。当時の日本では、血液の病気を治療するために使われていた薬品がHIVに感染していたという問題が発生していた。その際、菅は官僚勢力の反対を退け、これが薬品によって引き起こされたHIV感染であることを明らかにすることに尽力した。この優れた行動能力により、「最も首相にふさわしい政治家」の呼び声を勝ち取ることとなった。
役人の世界で浮き沈みするとは思わず、さらに日本の政治的局面の変化もあり、14年の時を隔てて、菅直人はなんと本当に日本の第94代首相に就任することとなった。まさに人の世は無常であると感嘆せずにはいられない。菅直人は政治家の家系の出ではない。東京工業大学を卒業すると、特許事務所の所長を務めながら市民運動に関わった。1974年、著名な女性活動家である市川房枝の参議院選挙出馬に協力し、市民運動から政治活動で身を投じ始めた。当時、彼は社民連(社会主義のカラーが色濃い)系の活動家だった。
1976年、菅直人は確固たる支持基盤を持たない状況の中、初めて衆議院選挙に立候補し、その後3回にわたる落選を経験しながらも、国の政治に関わるという意志を変えることはなかった。後に衆議院選挙に当選し、政界でも一流の雄弁さにより、人から抜きん出るようになっていった。菅直人は格好よい顔立ちで、笑った時は有権者にも非常に好評だ。しかし、一転して、難癖をつける時には扱いが非常に難しい。2008年秋、菅は衆議院を解散するかどうかを決めなかった麻生太郎に対し、公然と「選挙から逃げた弱虫太郎」と皮肉り、その年の政治流行語の一つになった。その後、麻生太郎は本当に総選挙で敗北し、自民党も政権の座から退くこととなった。
菅直人は政治の風向きを観察することにも長けている。彼が鳩山と共に旧民主党を創設した際、二人はともに党代表に就任した。鳩山は、「私は時に忘れてしまうことがあるが、菅さんは攻撃することに長けている」と話している。したがって、この二人は非常に良いパートナーであった。
民主党が野党であった時代、菅直人は2度にわたって党代表を務めたが、一方で4回も党代表選挙を戦って敗れるという痛ましい経歴もある。小沢一郎の旧自由党と旧民主党との合併は、菅直人が党代表を務めていた時期に合意に向けて尽力されていた。しかし、鳩山政権のナンバーツーの人物として、菅直人はずっと首相後継の最右翼の人選として見られていた。
新首相がどのような政策を実施するか、日本国民は期待の目で見ている。
他の記事もそうなのですが、「菅直人が首相になるとこうなるんじゃないか」という論評よりも、「こういう菅直人という人物が首相になるんだ」というソフトな人物紹介や、「こういう課題を取り組むことになる」みたいな感じが多いですね。
そんな中、個人的にツボったのは9日の経済日報の外電記事の最後の一文。菅直人が正式に就任した後の会見で「奇兵隊内閣」と自らの内閣を評したことに対しての記事です。
新しく日本の首相に就任した菅直人は、明治維新の時期の志士である高杉晋作を手本としており、高杉晋作の勇猛果敢な奇兵隊精神を見習うよう新内閣のメンバーたちを励ました。この奇兵隊隊長が独自の経済政策で日本経済を活性化させ、経済の長患いを治すことができるか、期待されている。
江戸時代末期の志士である高杉晋作は、19世紀の末に奇兵隊を創設し、日本の歴史に新しい頁を作った明治維新の中で大きな力を発揮した。菅直人は、日本の新しい局面を切り開くため、この高杉新作の果敢なリーダー気質、迅速な戦闘スタイルにより、気迫を表に出すよう自らにはっぱをかけた。
菅直人は現在、間違いなく多くの挑戦すべき課題に直面している。財政面ではタカ派の彼だが、その両腕となる新しい財務大臣の野田佳彦、経済財政政策担当大臣の荒井聡とも財政改革推進論者であるものの、彼らは巨額な国債の削減が迫られている中で、経済の持続的な成長も確保するよう同時に配慮しなければならない。日本の名目GDPは20年前の水準で停滞しており、国債負担額も先進国の中で1,2を争う大きさになっている。このため、菅直人は政府の国債発行を抑制することを提唱し、併せて日銀に対してインフレターゲットの議論を含めたデフレ対抗策を促している。
しかし人々を心配させているのは、菅直人が健康福祉部門への支出を支援するために消費税の引き上げを提起していることだ。また菅は、必要でないインフラ整備の支出は間違っていると攻撃している。しかし、彼が選択する小泉純一郎元首相と同じ民営化路線は、人々から疑わしく思われている。
もし、菅直人政権が名目GDPを平均利率である1.4%で維持することができれば、仮に急進的な改革計画が無くても、財政規律を厳守することだけで日本の国際は安定的に減少していくだろう。現在、名目GDPは既に2季続けてプラス成長しているが、過去20年はどれも国債の利率水準よりも下回っている。このほか、日銀に物価の下落を阻止する意向はあるけれども、政府も日銀も病気の治療法を出せずにいる。
幸いなことに、日本の国際の多くは国内の投資化が保有しており、未だに債権の信用危機には陥っていない。菅直人は現在、行動力を全面に出し、6月末には財政改革計画を出す予定にしており、これが最初の試練となるだろう。しかし、菅直人に覚えておいてほしいのは、奇兵隊の隊長であった高杉晋作は27歳にして病により夭逝し、奇兵隊も1868年に解散して、近代化した日本を見ることは叶わなかったということだ。
鉄騎「奇」兵は経済を救えるか? (経済日報)
さて、奇兵隊内閣は最小不幸社会を達成できるのか、それともその命名こそが死亡フラグになってしまうんでしょうか。
★ 補記。(06/18 23:30)
永山英樹さんのブログ「台湾は日本の生命線!」の「親日たれ!台湾紙が菅直人政権に渾身のエール」というエントリで、自由時報の張茂森の記事の話がきれいにまとめられていたので、ご参考に。しかし、毎度毎度思うけど、コメント欄がとんでもないことになっているなあ。そして、毎度毎度、fc2はTBを受けてくれないという罠。
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まりちゃん∩^ω^∩
今度の癇ナオト内閣は台湾でも話題になっているんだね。
>日本が自らの国家の利益を守る『親日』の立場を堅持さえすれば、中国のご機嫌を取るために親中に偏向してはならないのであり、そのことが台湾の利益につながるからだ。
台湾の方は政治を理解しているね、この事を癇や民取党が分っている…とは到底思えないよ。我が国の政治家が台湾の方々の百分の一でもこの事が分っていたら、今の様な情けない状況にはならなかっただろうね(-_-;
最近は変な陽気のせいか体調崩している人が多いよ、まりちゃんも体調管理には気をつけてね(^_^)
> 雨彦さん。
返事が遅くなってしまい申し訳ないです。
まあ、内政と外交のバランスというのは難しいですし、7月の参院選や以降の国会運営なんかを考えると、菅首相や民主党もここからがより厳しく見られるんじゃないかと思いますけどね。
>この事を癇や民取党が分っている…とは到底思えないよ。
それは、あなたが民主党を色眼鏡で見て最初から敵視しているからでしょ?
民主党は結党当初から、菅系の枝野や仙谷らが民進党との交流に力を入れてきたくらい、台湾についての理解は深い政党。
むしろ自民党のほうが、右派は蒋介石マンセー、左派が媚中で、どっちにしても民進党はじめ台湾の親日・民主・市民勢力を無視してきた。
民主党がどれだけ台湾と親しいかを知らないとしたら、あなたこそ台湾について理解できていない証拠。
>我が国の政治家が台湾の方々の百分の一でもこの事が分っていたら、今の様な情けない状況にはならなかっただろうね(-_-;
自民党は従米、媚中の売国政党だったけど、民主党の特に今回の布陣は、まともなリベラルがはじめて政権をとったという意味で、これからよくなるでしょうね。
昔の日本の左翼が媚中だったのは事実だけど、いまどきのリベラルは媚中じゃなくて日本の国益を考えているし、台湾や韓国のリベラルとの連携にも積極的で、中国に批判的だよ。
そういう意味で、民進党のリベラルな本質がわかっておらず、韓国のリベラルを敵視して、中国利権から手を抜けなかった自民党やウヨクのほうが、時代から取り残されているわけ。だから自民党は大敗したの。