そりゃ、「反中」と「親台」はバーターじゃないはずだどさ。
若干遡りますが、先週11日の金曜日に菅首相が所信表明演説を行いました。外交政策のうち対アジアについて抜粋するとこんな感じです。
アジアを中心とする近隣諸国とは、政治・経済・文化等の様々な面で関係を強化し、将来的には東アジア共同体を構想していきます。中国とは戦略的互恵関係を深めます。韓国とは未来志向のパートナーシップを構築します。日露関係については、政治と経済を車の両輪として進めつつ、最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結すべく、精力的に取り組みます。ASEAN諸国やインド等との連携は、これを、さらに充実させます。今年開催されるAPECにおいては、議長として積極的な役割を果たします。EPA・広域経済連携については、国内制度改革と一体的に推進していきます。
第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説 (首相官邸)
と、なんとなく教科書通りといった印象を受けました。
さて、前回は自由時報の東京特派員である張茂森記者の記事を引っ張ってきましたが、今回は15日の香港・明報が掲載した林泉忠・琉球大学助教授の論評記事から。どういう人かというのは、Wikipediaの項目でも参考に。うんまあ、そういう方のようです。タイミングドンピシャで話題になった菅直人の「沖縄は独立した方がよい」発言をどう受け止めたのかなあ。
おっと。明報ですね、明報。
鳩山内閣が電撃的な辞職を遂げた後、菅直人が速やかにその後を継いだ。今回の組閣において、日本と両岸三地のメディアがスポットを当てた一つに参議院議員の蓮舫が行政刷新担当相に就任したことだ。日本のメディアが蓮舫に焦点を合わせたのは、彼女が芸能界の出身であることと若くして立身出世したことにある。一方、中華系のメディアや日本の華人コミュニティが彼女に関心を集めたのは、彼女の能力ではなく彼女の一族である台湾という背景だ。実際のところ、「親中」と見られている菅直人と彼の新内閣のメンバーには「親台」の背景が色濃い。果たして菅直人新政権は「親中」なのだろうか、それとも「親台」なのだろうか?
菅直人が日本の新首相に決まった後、中国外交部は直ちにお祝いのコメントを出した。「菅直人首相は日中関係の発展を重視すると何度も強調してきた。我々はこのことに対し賞賛を表す」と。中国側がなぜ菅直人に対する信頼を増したのか、3つの視点から分析できる。第一に、菅直人が日中友好を重視することについてだが、その歴史は長く、1984年にまで遡ることができる。当時、中国共産党中央委員会総書記だった胡耀邦が3,000人の青年を日本から招いた際、菅直人もその中の一人であった。この時の中国訪問は、菅直人の「親中」姿勢に与えた影響は大きなものがある。理工科の名門である東京工業大学を卒業した菅直人は、政界に入った後も毎年欠かさず中国からの留学生を家に招き、餃子を振舞ったり友好交流を進めており、この伝統は今も続いている。
第二に、民主党の対中華、対韓国政策の決定や、アジアの隣国との関係に対処する上での政策決定プロセスにおいて、菅直人は野党時代から重要な役割を担ってきたということが上げられる。鳩山内閣が発足した後に見られた一連の「親中華」の動きは、鳩山よりも多く中華圏との交流経験がある菅直人が無関係とは言えない。
第三に、鳩山や小沢と異なり、菅直人が自民党出身者でないことがある。そればかりか彼は若い頃に市民運動に参加し、後に左派政党である社会民主連合に加入したという一連の経歴があり、彼の政治理念の中には左派の色合いが濃いことを見出すのは難しくない。1990年代以降、彼は次第に現実主義に歩み寄るが、しかしそれは現在にあっても、政治的スペクトルにおける彼の位置は、なおも「中道左派」に属すと言える。過去、日本と隣国の摩擦の主要なカードであった「歴史問題」において、過去に対する反省が欠けた日本側の挙動と言論を見ると、全て自民党とその他保守勢力から出てきたものだった。逆に、左派政党はこれまでずっと、アジアの隣国との関係を重視することと平和を主張してきた。このため、菅直人の左派色はより中国の信任を得やすくなっている。しかし、菅直人と彼の内閣の「親台」という背景も同じく3つの視点から立証することができる。
まず、菅直人の台湾問題に対する立場だ。彼は一方で台湾独立に反対を唱えつつ、もう一方で台湾の国連加盟を支持している。2002年、彼は『月刊現代』に「救国的自立外交私案」というタイトルの論文を発表した。その中で、台湾が「地区」という立場で国連に加盟することを中国は認めるべきであると主張し、加盟問題は各加盟国が共同で解決すべきものであると述べている。
さらに、菅直人内閣の18人の新閣僚のうち、半数が親台超党派議員連盟である「日華議員懇談会」や民主党の「日台安保経済研究会」のメンバーであり、6人の民主党幹部を見ても半数がこれらの親台組織に参加している。菅直人を含む民主党の中核の多くはこれまでに台湾を訪問したことがあり、台湾経済界とも良好な相互関係がある。
菅直人に抜擢されて破格の入閣を果たした蓮舫は、父親が台湾人であり、一家は祖母の陳杏村が興したものだ。陳杏村は戦前に上海で商売を始めて成功し、当時上海を占領していた日本軍や戦後の国民党政府とも良好な関係を維持した。蓮舫自身は日本で生まれ、2004年に参議院議員に当選した後、台湾を訪問して陳水扁とも会談したことがある。また、「民主党が政権を取れば、日台関係はより緊密になるだろう」と語るとともに、台湾独立を支持する発言も行っている。これらのことからわかるように、菅直人は既存の心からの「親中」という経歴がある一方で、同時にある程度の「親台」という要素も持っている。実際のところ、この現象は日本において決して珍しいものではない。戦争を反省し、首相の靖国神社に反対する傍ら、台湾の独立に賛同するというのは、多くの日本人からすれば別に矛盾していることではない。大陸と台湾の両方と同時に友好関係を保ち続けることを主張することは、日本社会の主流であると言えよう。肝心なことは、菅直人と蓮舫らは民主党の人間であり、自民党の一部の「右翼」の政治屋にように、親台にかこつけて大陸を牽制し、ひいては「反中」という目的を達成するような人物ではないということだ。
もちろん、政権を取った後の民主党が両岸関係を取り扱う中で、「親中」であり「親台」であった鳩山と同じように、自然と1972年の日中国交正常化当時の約束を遵守することになり、台湾との「民間交流」を保つという限界を超えることはできないだろう。林泉忠:菅直人は親中か親台か? (明報)
個人的には、そもそも「菅直人って中台関係(というより台湾のこと)をそこまで真面目に考えたことって無いんじゃないかな」と思っているんですが、それは置いておくにしても参考になるお話だと思います。
まず、前回の自由時報の記事にもあったように、例えば「日華懇に所属しているから親台湾派議員だ」ということは無いということ。日華懇のメンバーでありながら日中友好議連にも入ってる議員さんなんてたくさんいるしね。もちろんそうじゃない人も中にはいますよ。おいらもそこらへんの線引きが曖昧なのは、決して悪いことじゃないと思ってます。林泉忠も書いていますが、今日び「親台」であれば「反中」であり「親中」であれば「反台」という安っぽい二元論は成り立たないはず。というか、「反中」のための「親台」なんて日露戦争の風刺画の構図みたいで嫌なんですよね。
ただ、この「中国か台湾かのどちらかを取る」というシーソーを止めるということは、一見現実的ではあるものの、それをマジでやろうとすると実は結果として「中国は中国、台湾は台湾」っていう「中国は捨てられていないけれど、台湾が拾われている」選択をすることなので、大陸がブチ切れるのは明白な展開。その障壁に対する覚悟をした上で、菅直人が当時ああいう発言をしていたらたいしたものだと思うんだけどね。この記事の最後にある「結局、対台湾では『民間交流の拡充』から踏み込むことはできないんじゃないの」という嘲笑を是非乗り越えていただきたいものなんですが、
迎賓館で朱鎔基首相と面談をした。私から中国と台湾の関係について「かっての西ドイツと東ドイツのような関係と同じに考えることはできないのか」とたずねた。つまり西ドイツと東ドイツはともに国連に加盟しており、中国と台湾の関係も将来平和的に統一するとしても当面は二つの政府を国際的に認めることが現実的と考えたからである。これに対し朱鎔基首相は「ポツダム宣言で台湾は中国の一部と認められており、西ドイツと東ドイツは人為的に二つに分割されたものでまったく違う」という趣旨の答えであった。時間の関係もありこれ以上の質問はしなかったがかなり本質的問題に触れたようだった。
朱鎔基首相との面談 (菅直人公式サイト)
これはだめかもわからんね。
いや、「将来平和的に統一するとしても」って、それ前提がおかしいでしょ。この発言は2000年のなので、その後の「救国的自立外交私案」までに若干の軌道修正をしたとも言えそうだけど、お前これを今の立場で絶対に口にするなよ、な。あと、ポツダム宣言とカイロ宣言の関係だとか、そもそも当時中共は無かっただろとか何か言ってくださいよ。しかも朱鎔基から「いや、戦後統治の関係で分割された東西ドイツと、内戦の結果の中台関係は違うだろ、常識的に考えて」って言われているのに「かなり本質的問題に触れたようだった」っておい、本質的に間違えてるって指摘されただけでしょうに。
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>個人的には、そもそも「菅直人って中台関係(というより台湾のこと)をそこまで真面目に考えたことって無いんじゃないかな」と思っているんですが、それは置いておくにしても参考になるお話だと思います。
いやいや、菅直人が2002年10月に民進党と民主党共催で開かれた政党シンポジウムに団長として出席、民進党本部で「台湾の国連加盟支持」と「民進党への政権交代はたんなる政権交代というだけでなく、外来政権から土着勢力への交代」という発言をしている事実を知らないあなたよりは、よっぽど菅直人のほうが台湾に関与しているし、台湾の緑勢力に対する貢献は大きいですよ。
しかも民主党内でも親台湾(民進党)派として有名な枝野幸男と仙谷由人は今回重用されたでしょ?枝野は菅直系だから、台湾について枝野が菅に常に吹き込んでいるし、ももともと菅とはしっくりいっていなかった仙谷が菅と親しくなったのは2002年の台湾でのシンポジウムで一緒になったことから。
というわけで、今回の内閣の布陣は、2002年の台湾でのシンポジウムに淵源があるわけ。
これは民進党のニュースレターその他に載っている公開情報。
それも丹念にチェックしていないあなたこそ、台湾について真面目に考えていない証拠でしょう。
>これはだめかもわからんね。
>いや、「将来平和的に統一するとしても」って、それ前提がおかしいでしょ。
あんたのような一市井人なら、「台湾支持」という場合、台湾独立も公然と支持するかも知れないけど、当時でも有力野党の政治家なら発言には微妙なバランスをとらざるを得ないでしょ?まして、中国で公然と台湾国連加盟支持なんて中国がもっとも嫌がることをいっているんだから、中国をそれ以上刺激しないためにも「将来の平和統一」くらいのこといって中国の面子を立てるのは、政治家の発言としては間違っているとはいえないでしょう。
いや、むしろ両岸関係の機微をよく心得ているといえるかも。
これは、あなたのような評論家と有力政治家の違い。
中国は2005年ごろ日本の政界に関する内部報告つくっているんですが、そこでも、中川昭一のようなあからさまな右派親台湾は「単なる反動」と切り捨てているし、加藤紘一のような媚中派もなめられているんだけどw、菅のように南京虐殺も謝罪するくせに、台湾とも親しいのは、ウヨクだと切り捨てるわけにもいかないし「なかなかしたたかで難しい人物」みたいに評価されていたんだわw。
要するに、あなたは右派だから、民主党を過剰に敵視して、菅のようなリベラルは「左翼だから媚中だ」と勝手に決め付けて、色眼鏡で見ているだけ。
でもね社民党や共産党のような旧左翼と違って、環境派に近い菅のような新しいタイプの左派は、欧州の左翼や緑の党がそうであるように、台湾やチベットに同情的で、中国に対する反感が強いんですよ。
枝野はその典型。枝野は菅の子飼いなので、台湾についての情報は枝野が吹き込んでいるわけ。
そういう意味で、あなたがウヨク的な感情から「菅は左翼だから、媚中に違いない」と根掘り葉掘り、歪曲も含めて、菅を敵視しても、意味ないの。
左翼がこれだけ変わったのに、右翼が変わっていない。だから、自民党は大敗したの。自民党はあなたのようなウヨクに支持されているようでは、復活の見込みはないでしょう。