時はめぐりまた夏が来て。

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8月というのは、手を合わせる機会の多い月です。8月8日は、八八節という台湾の「父の日」にあたる日だったのですが、同時に、いわゆる「八八水災」から丸1年が経過した日でもありました。昨年の8月9日には、高雄県甲仙郷で小林村という集落が土砂崩れで壊滅するなどの被害が発生しています。このへんは、「とんだ八八節になっちゃって。」「昨日はちょっとはしゃぎすぎました。」あたりを参照ください。と、改めて自戒の意味を込めて。

この八八水災1周年に合わせるようにして、日本で今年6月にNHKスペシャルで放送された『深層崩壊が日本を襲う』が、台湾でも公視で『當土石崩落』というタイトルで放送されました。
まずは公共電視のサイトから番組紹介を意訳。

昨年8月、世界の防災専門家たちはある大規模な土砂崩れ災害に震撼し、その場所が注目を集めた。それは台湾の南部で発生したものだ。この災害は、山腹の地中深くから発生したもの――「深層崩壊」による土砂崩れで、これにより小林村という集落が消滅し、500人の命が奪われる結果となった。この「深層崩壊」と今までの土砂災害には、いったいどんな違いがあるのだろうか?
「深層崩壊」は、日本の各地方自治体が防災対策の中でこれまで考えてこなかった新しいタイプの災害だ。NHKの「NHKスペシャル」は台湾で取材を行い、また多くの専門家もいっしょに現地を見て、『深層崩壊が日本を襲う』というドキュメンタリー番組を制作した。

モーラコット台風による被害から1年を迎え、公共電視ではNHKが制作した「NHKスペシャル」、『當土石崩落』を特別に放送する。放送では、2009年のモーラコット台風の大雨が南台湾に大きな爪痕を残した様子を掘り下げて研究し、さらに小林村が壊滅した地層崩壊の原因を分析する。また、小林村の生存者である黄金宝さんを訪れると共に、動画で小林村が壊滅した様子を擬似的に再現する。
NHKの山崎登解説委員が「表層崩壊」と「深層崩壊」の状況の違いを解説し、CGで再現する。本番組では、日本の各地震地域に赴いて地層を調べ、台湾の小林村の地層と比較を行い、さらに動画のシミュレーションと結びつけることにより、地形崩壊や大規模な土石流の成因、将来の防災の道を分析する。

當土石崩落 (公共電視)


長期間、広範囲にわたる地道な調査、そして最新の技術を使って検討しそれを表現するという点においては、日本のメディアの中でNHKの右に出るものはないと思ってます。タイムリーなテーマ、そして重厚な内容ということも相まってか、台湾でも放送前から注目されていました。例えば5日の中国時報から。

昨年のモーラコット台風は台湾に大きな被害をもたらした。気に掛けたのは台湾人ばかりでない。地球の気候問題の一環としてこの災難が世界中から注目されている。日本のNHKは昨年12月に調査チームを結成し、ドキュメンタリー番組『當土石崩落』を撮影を台湾で行い、事件の原因と結果を検証して、日本で広く議論を引き起こした。

(略)調査チームからはいくつかの疑問が上がった。なぜ25度という大型の土石流が発生することがほぼ不可能な斜度で、このような大災害が発生したのか? また、小林村では避難訓練が3ヶ月前に行われていたにも関わらずどうして直ちに避難することができなかったのか? 調査チームは、日本の地形や防災対策が台湾と似ており、この10年近くで「深層崩壊」の発生が倍に増えている状況を心配しており、事前の準備の必要性や対応方法を提示している。
番組では、科学的な方法により災害が発生した原因を検証し、また動画を用いて分かりやすく示している。例えば、調査チームが小林村上部の崩壊現場を実地調査し、深さ84m、20階建てのビルに相当する高さの変形岩盤が、3,000mm以上の大雨に耐え切れず崩壊したさまが、動画によってその過程が明快に表現されている。(以下略)

深層崩壊が世界を驚嘆させる NHKが八八水災を記録 (中国時報)


一方、小林村の事例を詳細に検証し、その後に生かそうという姿勢を見せたのが被災した台湾ではなく日本だったということも、少なからず取り上げられています。6日の聯合報と5日の台視から抜粋して訳。

(略)NHKの調査に協力した「南方文化工作室」の鄭水萍研究員は、台湾の学者や専門家が小林村の災害の主要因に関して誰も動かなかったが、日本の学者は非常に仔細に渡って追求したと語り、「たいへん恥ずかしくなった」という。また、「政府の姿勢は、どうしてこんなに違うのだろうか?」と思ったという。
(略)鄭研究員によれば、この番組が日本で放送された後「日本人は愕然とした」といい、日本ではこうした類の新しい形の災害への防災対策が足りていないことに不安を覚えたと語る。彼は、誰かに責任を追及するのではなく、また隠蔽しようとするべきでもないと話す。さもなくば「日本人は台湾に来て経験を積み上げたというのに、我々はまったく研究もしていない」というのが、どうして間違っていると言えようか。
小林村の住民で生存者の黄金寶は、NHKの番組の中でインタビューを受けた。彼が感心したのは、日本人が皆、災害の原因を見つけ出すために彼を訪問する必要があるとわかっていたことだった。なぜもうじき1年が経過しようとしているのに、台湾政府は彼らのような目撃証人をまったく探そうとしなかったのか? 関係機関が速やかに高危険度地区の調査を完成させ、小林村壊滅の悲劇を繰り返すことのないよう期待している。立法委員の田秋菫と黄淑英は、同じ轍を踏まないよう一日も早い「地質法」の成立を呼びかけている。

NHKが小林村崩壊を解析 被災者:台湾は何をやったのか? (聯合報)

(略)番組の中で、日本の学者は悲劇の原因を深層崩壊だと突き止めた。当時、土石流の深さは84mにも達し、それがかくも恐ろしい破壊力をもたらしたのだ。まもなく八八水災から1年になろうとしている。我々の政府は、災害の検証について、どれだけのことをしただろうか?

八八水災がまもなく1年 NHK全記録、災害の映像を再現  (台視)


もちろん、防災に対する意識や、災害に関する知識・経験の蓄積なんて国によって、いや同じ国でも地域によって違いがあるから、日本と台湾とで取り組みに温度差があることは、ある程度仕方の無い事だと思うんだけどね。まあ、それを差っ引いてもこの反応というのは、やはり当時の対応が今なお引きずられていることが伺えます。
天災というのは忘れた頃に来るのが相場と決まっていますが、近年の気候変動も考えると、こうした土砂災害は毎年あってもおかしくない災害になっています。どうか、日本でも台湾でも同じ悲劇が繰り返されませんように。

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このページは、◆YAUCHInowAが2010年8月11日 17:56に書いたブログ記事です。

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