2011年2月アーカイブ

おかしいなあと思うのは、30,000アクセスになったのが昨年11月の頭で、前回に続き放談会をやったのが正月明けなんですよ。つまり、「20,000ヒット時の話をしようと思うのだが、そんなタイミングで大丈夫か?」の時はgdgd企画を実行してからアップするまで7ヶ月も放置していたものを、今回は1ヶ月半でまとめるといういい仕事をしたはずなのに、どうしてカウンタが既に39,900を超えているんでしょう。

( ◕‿‿◕ )<わけがわからないよ。

さてさて。
前回の20,000アクセスの時には、「次回はニコ生でやろう」などという素っ頓狂な意見が飛び出たものですが、妥協に妥協を重ねて同じスタイルになりました。20,000アクセスに到達した直後のエントリ「リア充? なにそれ? おいしいの?」から、30,000アクセスになる前にアップした「尖閣漁船衝突ビデオ流出なんて知るかボケ的な勢いで。」までの22エントリについて、中の人の隣の人と適当に振り返ります。そんな訳で、相変わらず「お互いにいちばん遠い山手線の駅」という意味不明な縛りの元、三が日最終日の午後、浜松町駅からかなり遠いファーストフードのお店で2人組が非生産的なお話を繰り広げたのでありました。

★ 出オチ
隣:ごめん、遅れた。
や:駅から遠かったし仕方ないね。
隣:そういや、コミケ行ったの?
や:いや行ってないし! てか、今年最初の挨拶がそれかよ。(註:01/03です。)
隣:だって喪中の人に言う訳にいかないだろ。
や:いやいやいやいや、別に不幸は無かったから。あえて言うなら今のが今年最大の不幸になりそうだよ。
隣:あれ?

★ No.239 リア充? なにそれ? おいしいの?(10.05.23)
や:これが最初かあ。今回振り返る部分って、前半はほとんど「39's Giving Day」の話な気がする。
隣:ブログが「アニメだょ」だからしょうがないね。
や:前回使ったネタをまだ使うか。
隣:実はあの後、キャプチャ画像が出てきて、これは無理にでも取り上げざるを得ない、と思って最初のうちに無茶振りしてみた。
や:おーおー、今すぐ紅茶ぶっかけた方が良さそうだ、このノートPC。

★ No.241 台湾・中視が伝えた「39's Giving Day」のニュースにちょっと困惑した件。(10.05.25)
★ No.242 中視の「39's Giving Day」報道について、台湾のお前らが侃々諤々。(10.05.26)
★ No.243 日本でも台湾でも、VOCALOIDに光あれ。(10.06.06)
隣:で、その中視の「中視新聞6一下」3連発。
や:個人的には「リア充? なにそれ? おいしいの?」から一連かなって思ってる。途中ちょっと間が空いちゃったけど、最後のやつまで訳せて良かったかな。No.242までだと中視が叩かれて終わりだし。
隣:やっぱり掲示板の翻訳って難しいもんなの?
や:んー。ブログなんかもそうだけど、掲示板って話し言葉を文字にしている事が多いし、ネットスラング的なものもあるから、おいらみたいに語彙や経験が少ないと大変だね。
隣:じゃあ、中国や韓国の掲示板を翻訳してまとめてるブログは、けっこうな労力を投じているんだ。
や:いや、そこは当人の語学力とセンス次第じゃないかな。(遠い目
隣:ちなみに、No.242は個別エントリのアクセスランキングで4位まで入ってるね。
や:あー、なんかK島にも貼られてたしね。訳した中にあった「リン酸」氏もPlurkで、「俺の日本語がこんなに上手なわけがないwww」って書いてリンクしてくれてたわ。
隣:充分上手じゃねえかwww

★ No.248 なんで台湾がそこまで防空識別圏の変更を嫌がるか。(10.06.30)
隣:はてなブックマークで2桁のブックマークがついたのってこれが初めて?
や:そうそう。珍しく伸びた。話自体はそんなに珍しい話題じゃないのに不思議。
隣:アクセス数自体はあんまり伸びていなくて、個別ランキングだと、えーと、13位かな。
や:この後のエントリでも書いたけど、耳目を集めるのとブックマークをもらうのってやっぱり違うと思うんだ。
隣:ふーん。やっぱり「これはブックマークしたい」って思われる方が、単にアクセス数が多いよりも嬉しいもんなの?
や:......。
隣:え、悩むの?
や:さ、さーせん......。

★ No.249 台湾版「けいおん!」第3巻の着せ替え表紙をとっかえひっかえ着せ替えてみた。(10.07.26)
隣:なんでこう力の入れ方を間違えるんだwww
や:いやー、なんかこう、「誰もやらないよなー、もったいないよなー」っていうニッチな話って拾いたくなるじゃん。
隣:反響ほとんど無かったけどな。
や:それこそ、そういうのは求めてないしね。
隣:ところで、これ、まだ持ってるの?
や:......3冊(台湾版2+日本版1)ともあるよ。
隣:......ちょっと後悔してるだろ、その言い方。

★ 幕間
隣:さて蛸壷屋の薄い本の話だけど、
や:こんな場所で前フリゼロで始めるなwww。むしろ、なぜピンポイントでそこをwww?
隣:好きそうだから。
や:それはまた微妙な......。
隣:んー。ああいう「主人公やヒロインが救われそうで救われない」展開って、好きそうだなと思ったわけ。
や:......うーん。
(中略)
隣:例えば、去年あたりご贔屓の『禁書目録』だって、最新刊ではほとんど全員が救われないでしょ。
や:おぉぅ、そういう捉え方で来たか。まあ『禁書目録』は途中だから置いておくとして、100%ハッピーエンドや120%バッドエンドよりかは好きだね。
隣:いや待て、なんで当社比20%増量した。
や:さっきの言葉を使っちゃうと、救われそうで救われない話ってさ、ドラマチックな「いい話」と違って、「現実はそうそうドラマチックに事なんて運びやしないよ」っていうのをドラマチックに描くからいいんだと思う。
隣:なんか矛盾してる気もするけどまあいいや。一段自分側に下げてくれるから安心するのかね。
や:あー、悔しいけどそれはあるかも。嫌な言い方をすれば「ざまぁwww」っていうのがあるんじゃないかな。
隣:創作としての向こう側を安全サイドから見てほっとするわけだ。
や:ただ同時に、自分の周りにもそういう展開が作れるんじゃないか、あるだけで気が付いていないだけなんじゃないか、っていう期待感を持ちたいってのもあるんじゃないかな。「いやー、あいつらズタボロだったあ」じゃ面白くない。
隣:え? それなら最後は救われてくれないとダメなんじゃないの?
や:そうそう。だから100救われなくても20くらい救われてくれるのがいいの。「これくらいだったらお前も頑張れるんじゃねえの?」って問いかけが欲しいわけwww
隣:面倒くさい奴だなあwww
(中略2)
隣:という事は、自分で書くときもそういう話が多いの?
や:いやそれ無理。
隣:えっ。
や:だって、ああいうのって、美学とか信念とかがある人が折れちゃったり折れかけちゃったりするから美しいのであって、その前提が作れないんだから折ろうとしたって醜悪になるだけだもん。
隣:お前が筆を折れよwww
(中略3)
隣:などと言っている間に30分が経過したわけですが、
や:うお! 本当だ!
隣:こんな場所で『マンガ夜話』をするつもりもないからさっさと再開しよう。
や:どうしてこうなった......。
隣:孔明の罠だな。
や:孔明そんなに暇じゃないだろ......。

★ No.251 今さら菅談話の話でも。(10.08.27)
や:あ、この期間のエントリの中では、これがいちばん好きかも。
隣:えっ。
や:何その「えっ」は。
隣:防空識別圏かと思った。
や:えっ。
隣:おい待て!
や:『けいおん!』だと思われてるのかと思った......。それはさておき、レコチャイやサーチナが引っ張ってきたニュースを見て「おいおいおい」って言いたくなる記事は、書いてて楽しいよね。
隣:やっぱり、破滅的に歪んでるな。
や:ああいうサイトで翻訳している人っておいらと違って書いてる人たちも忙しいだろうし、世の中に有益なサイトなのはわかっているんだけど、ちょっとね。
隣:でもあれを読んでそのまま受け取る人も多いでしょ。
や:そこが難しいわけだ。どっちが悪いのかって言ったら、結局どっちもどっちな気がする。

★ No.253 あちらが立てば、こちらも立たねばならない訳で。(10.09.14)
★ No.254 外交部記者会見でのトラブルに思う「どうしてそうなった」。(10.09.19)
★ No.257 もう一回尖閣諸島の話をしようと思ったら「ほぼ終わった」とな。(10.09.27)
や:ああそっか。尖閣諸島での中国漁船のニュースがあったっけ。
隣:ちょwwwおまwww。この分野で去年最大のニュースと言ってもいいだろうに。
や:なんかこう、全部が全部、どこかのドラマみたいな展開でさ。
隣:そりゃ互いにいろいろメンツがあるからでしょ。どっち側もいちばん極端な立場の人が頑張っちゃうし。
や:日中のどうでもいい空中戦のさなか、よくあれだけ書けたなあと思った。

★ No.256 「赤さん」の話が日本どころか台湾にも広まるという「まさに外道」。(10.09.24)
隣:これか!
や:いやー、この自由時報の林翠儀っていう記者さんはかなりシンパシーを覚えるね。今回は範囲外だけど、この後のエントリでも使わせてもらってます。
隣:ますますこのブログが迷走しそうで期待大だな。
や:いやいや、真面目な記事も書いているから、この人。

★ No.262 尖閣漁船衝突ビデオ流出なんて知るかボケ的な勢いで。(10.11.05)
や:あれ? これで最後?
隣:まあ前回は約10ヶ月分だったけど、今回は半年にも満たないから。
や:そ......そうなんだ。なんで毎回間隔が短くなってんだろ。明らかに質と更新頻度は落ちているはずなのに。
隣:今回は、2回ほどアクセスが集中した時期があったから、これが原因かも。
yaguyagu124.jpg

や:何これ?
隣:一つは5月25日。「台湾の「けいおん!」第3巻は、尖端出版が着せ替え表紙×2を作るらしい。」に対してばばっと台湾からアクセスがあって、一日で1,000以上カウンタが回ってるね。
や:その後にも書いたけど、あれ、台湾のソースを訳しただけなんだよね。なんであんなにアクセスがあったのか謎。それにしても1,000overとか......。
隣:もう一つは10月20日前後。「中視の「39's Giving Day」報道について、台湾のお前らが侃々諤々。」と「「反中デモを取り上げた海外メディアが増えるよ!!」「やったねt(ry」の相乗効果でグラフが伸びてる。
や:待って待って。後者は更新直後だからわかるけど、中視はだいぶ前の話なのになんでだろ。―――って、ああ! そうだ。K島とplurkに貼られた時だ!
隣:相変わらず、台湾のネットユーザがアクセス数の鍵を握る変なブログだな。そして、最後に30,000アクセス時点での「このブログで最初に訪れたページ」トップ10でも。

◆ 第1位:「自分だけの現実(パーソナル・リアリティ)」と「あきらめたらそこで試合終了ですよ」。(09.11.26) ↑
◆ 第2位:台湾の「けいおん!」第3巻は、尖端出版が着せ替え表紙×2を作るらしい。(10.05.24) New !
◆ 第3位:ほんこーんの記事。(09.05.11) ↓
◆ 第4位:中視の「39's Giving Day」報道について、台湾のお前らが侃々諤々。(10.05.26) New !
◆ 第5位:北一女の制服のスカートとハーフパンツにまつわるエトセトラ。(08.10.16) ↓
◆ 第6位:「反中デモを取り上げた海外メディアが増えるよ!!」「やったねt(ry(10.10.19) New !
◆ 第7位:「けいおん!」のアニメ第1期が台湾で3月24日から放送されるらしい。(10.02.14) ↓
◆ 第8位:「けいおん!」の原作マンガが台湾で6月12日に発売になるらしい。(09.05.28) ↓
◆ 第9位:台湾・中視が伝えた「39's Giving Day」のニュースにちょっと困惑した件。(10.05.25) New !
◆ 第10位:2323なのれす。(08.12.16) ↓
や:うは。ほんこーんがついに陥落した。
隣:上がったのは『超電磁砲』だけで、4つが新着記事かあ。入れ替わりが激しいなあ。前より認知度が上がってるんじゃないの?
や:いやあ、ACGとニコニコ動画とVOCALOIDでトップ10のうち7つを占めてると、どういう認知をされているのか不安しか湧いてこないんですけど。
隣:そのまんまだろうから心配しなくていいと思う。

隣:えっと、前回みたくタイトルの補足ってするの?
や:捻ったのは少ないし、いらないんじゃないかな。
隣:やるやらないは別にして、「捻ったのが少ない」だけは異議を唱えていいか?
や:えー。まあいいや。こんな感じでっす。
★ No.239 リア充? なにそれ? おいしいの?(10.05.23)
 ⇒ネットスラングの「○○? なにそれ? おいしいの?」から。
★ No.243 日本でも台湾でも、VOCALOIDに光あれ。(10.06.06)
 ⇒『EXIT TUNES PRESENTS Vocalogenesis』にちなみ、旧約聖書・創世記の一節から。
★ No.245 ところで、君は「はやぶさ」を見たか?(10.06.14)
 ⇒劇団ヨーロッパ企画の講演、『ところで、君はUFOを見たか?』から。
★ No.250 時はめぐりまた夏が来て。(10.08.11)
 ⇒言わずもがな、星間船一・さとう宗幸の曲『青葉城恋唄』の歌詞から。
★ No.260 「反中デモを取り上げた海外メディアが増えるよ!!」「やったねt(ry(10.10.19)
 ⇒成人指定のマンガ『コロちゃん』に登場する台詞「家族が増えるよ!!」「やったねたえちゃん!」から。

隣:最後の『コロちゃん』っていうのが、何かを雄弁に語っている気がする。
や:そういう精神分析もどきはしなくていいから。
隣:あと、劇団ヨーロッパ企画なんて、これまででいちばん分かりにくいネタを見た。
や:直接演劇を見た訳じゃなくて、この劇団の演劇『サマータイムマシン・ブルース』が映画化された時に、その中で出てきた映画の題名で知っただけ。

後日談というか 今回のオチ
や:というわけで、もうお終いにしよう。
隣:面倒だから次回は無しにしようか。
や:言いだしっぺが撤退宣言かよ。
隣:時期次第だね。
や:まあそれはそれで楽だからいいんだけどさ。あー、駅はJRでいいよね。
隣:あ、ごめん大門から大江戸線。
や:は? 大江戸線で新宿に出るの?
隣:いや、引っ越したんだ。今は(註:山手線の東側の駅名だけどいちおう伏せておきます。)だよ。
や:今すぐランナーと一緒に走って帰れよ!(註:くどいようだけど01/03です。)

タイトルのとおり、次は1回飛ばして50,000アクセスにしようと思います。それならしばらく時間を稼げるかな。とにもかくにも、訪れてくださったのべ30,000人の方々に改めて感謝でっす。
先週は農暦で年が改まり、例によって中華圏では新年を祝うドンパチが大変盛んに行われたようです。中国の遼寧省では花火が原因でビルが全焼したとかで、相変わらずやることが桁違いすなあ。

さて、一方で春節を挟んで台湾海峡の両岸では別の火種が継続中なので、今回はちょっとそちらの話でも。事の発端は昨年12月にフィリピンで逮捕された国際詐欺グループの容疑者たちの扱いでした。総勢24名のうち14名が台湾籍、残り10人が中国籍というこのグループ、いったいどこがどう裁くか、という話です。中国とフィリピンはいわゆる犯罪人引渡し条約を締結していたため、中国政府は全員の身柄引き渡しを要求。台湾側も外交ルートで折衝を続けていたようですが、先週2日、ついにフィリピン政府は全員の中国移送を決定します。以下、2日の外交部プレスリースから。

外交部は、フィリピン政府による法律手続きおよび国際法の「国籍国管轄原則」に基づかず、2月2日に突如、国際詐欺グループのうち14人の台湾人を中国大陸に移送した事に対し、強い抗議を表明する。併せて、現在の台湾とフィリピンとの各種の交流関係についても厳粛に検討する。

フィリピン国家調査局と中国大陸の公安部によって作られた特捜チームは、昨年12月27日にフィリピンのメトロマニラで国際的な詐欺に関与した24人の容疑者を逮捕した。このうち14人が台湾人で10人が中国大陸籍であった。
外交部では本件の情報を入手した後、直ちに駐フィリピン代表処に対し、職員を何度も派遣してわが国の容疑者と面会するよう命じ、併せて各種のルートを積極的に通じてより詳しい事件の経緯を入手するよう指示した。本件の被害者は全員が中国大陸の市民であり、かつ詐欺の被害額が1.4億人民元(約6億NTD)であったことから、中国大陸は2001年に締結したフィリピン・「中国」引渡し条約に基づき、容疑者全員を中国大陸に移送するようフィリピン側に強く求めていた。わが方は、フィリピン政府が法律に則り手続きを行うか、「国籍国管轄原則」の基づいて台湾人をわが国に移送して審理を行うよう強く主張してきた。外交部もフィリピンの駐台代表であるアントニオ・バシリオと副代表のカルロ・アキノを2度にわたって呼び、同様の厳正な立場を伝えていた。
しかし、フィリピン政府は容疑者24人全員を中国大陸に移送することを決定し、すでに本日2日の早朝に移送の手続きを終えてしまっている。この間、わが方の駐フィリピン代表処の者が、容疑者の台湾人が呼んだ2人の弁護士とともに、フィリピンの上訴裁判所が発行した人身保護命令書を持って対応しに向かったが、フィリピン側からわが国の国民の釈放に関する同意は得られなかった。

外交部は、これらフィリピン政府による法律手続きに基づかない本件手続きに対して強い抗議を表明し、駐フィリピン代表の李伝通からアキノ大統領へ書簡を送ったほか、外交部の沈斯淳・常務次長が本日、カルロ・アキノ駐台代表代理と面会して厳正なる抗議を行い、現在の台湾とフィリピンとの各種交流関係について厳粛な検討を行うことを申し伝えた。
外交部はすでに法務部および行政院大陸委員会に対し、「海峡両岸共同犯罪取締りおよび司法相互協力」の枠組みを通じて大陸と協力し、わが国の国民の台湾への移送を要求して、わが国国民の利益を保護するよう伝えている。
こうした国際詐欺は多国間で共同して取締りを行う重大な犯罪行為であり、くれぐれもこうした行いをしないよう外交部では国民に呼びかけをおこなっている。

駐フィリピン代表処による人身保護命令書を使っての連夜の大陸移送阻止も叶わず フィリピン政府に強い抗議と関係の全面検討を通知 (中華民国外交部/強調は引用者)

この分野は不得手なのですが(そもそも得意分野なんてないけど)、外交部の言う「属地主義ならフィリピンで、属人主義なら中華民国で」というのは一見して筋が通っている。属人主義が成立するには、まずはそのための法律がなければならいけれど、日本の刑法第3条(国民の国外犯)に相当するものが中華民国刑法第7条にあって、そこでは「本法は、中華民国国民が中華民国の領域外で犯した前二条(訳註:すべての国外犯を規定した第5条(日本の刑法の第2条に該当)および公務員の国外犯を規定した第6条(同第4条に該当)のこと)以外の罪に対して、その刑罰が最低でも3年以上の有期懲役となる者にこれを適用す。ただし、その犯罪地の法律で罰せられない者については、この限りではない」とあり、確かに台湾で裁くという理由がないわけじゃない。
ただ一方で、詐欺の被害者が大陸の人間であるということもあるのがややこしくなっています。消極的属人主義を採れば(中華人民共和国刑法第8条)、外国人が中華人民共和国の領域外で中華人民共和国の国民に対して犯した罪(ただしこれも最低で懲役3年以上の罪に限る)は、中華人民共和国の刑法を適用することができます。

一見、どの国でも問題はないように思えるのですが、穿った見方をすれば「一つの中国の原則に基づいて、犯罪者の国籍国である中国に移送した」とも取れるし「被害者の国籍国である中国に移送した」とも取れる(フィリピン側はこっちで言っているけど)というのがやっかいなところ。かと言って、正直な話どうなのと問われれば、フィリピンとしても本当はぼかしたいところかもしれません。
ところが、こういうぼかしたいところに限って意味を求めてしまおうとする人がいるもんです。まずは移送直後の緑系の反応を含めて、3日の自由時報から抜粋で。

(略)民進党の立法委員は、馬政権の政策が親中に偏っているために、「一つの中国」を承認し、フィリピン政府が我が国の主権を無視するようになり、台湾人が中国に移送されてしまうようになり、台湾の主権は国際社会から消失してしまった、と痛烈に批判した。また、馬政権はフィリピンに対して抗議するだけではなく、同時に中国に対しても抗議を行うべきだったが、馬政権は中国に抗議をしなかった事から、中国に対して気が弱いことが見てとれると述べた。
調べによると、この電話詐欺グループは、数名の中国高官とその家族から大金をせしめたことから、北京当局を激怒させたという。このため捜査の命令が下りフィリピンに人員が派遣され、さらに容疑者が逮捕された後も、中国に送り裁判を行うよう強硬な交渉が行われたという。フィリピンの国内法の規定では、いかなる外国人も判決前に移送や引き渡しを行う事はできないが、中国の強い圧力により、2日に24人全員が中国に移送された。
外交部によれば、事件発生後、駐フィリピン代表処は何度も職員を派遣して我が国の容疑者に面会に行ったという。また、本件の被害者が全員中国の市民で、被害額は1.4億人民元(約6億NTD)に達することから、中国はフィリピンに対し2001年に締結した引き渡し条約に基づき、容疑者全員を中国に引き渡すよう強く求めたという。我が方は、フィリピンで審理を行うか、「国籍国管轄原則」に拠り我が国の人間を台湾に戻して裁判を行うべきだと主張していた。(略)

極めて不当 台湾籍の容疑者、中国に移送される (自由時報)

ここで一瞬だけ脱線。日本では普通「比律賓」あるいは略した「比」と書くフィリピンですが、台湾では「菲律賓」と書きます。上の自由時報の記事のタイトルは「菲常無理」。「非常」の「非」と「菲」をかけたんでしょうね。

さて、一方その後の情勢はというと、中国からの引き渡しについては先延ばしにされ、抗議した相手のフィリピンからも世論を納得させるだけの回答は得られませんでした。4日と8日の自由時報からそれぞれ抜粋して訳。

呉敦義・行政院長は3日、フィリピン政府が国際詐欺グループの14人の台湾人を中国に移送した件で、政府として厳正な抗議を行ったと述べた。法務部も3日、既に中国の公安部と連絡を取り、台湾への引き渡しを要求した。しかし、春節の休暇期間が終了した後に、双方で協議をおこなって対応するので待つよう求められた。法務部政務次長の陳守煌は、仮に中国が最終的に14名の容疑者を台湾に引き渡し取り調べを行う事に同意するとしても、事件に関係する状況を確認し終えた後になり、今しばらく待たねばならないだろうと考えている。

14名の台湾籍容疑者、中国へ移送/我が国は引き渡しを要求 中国は強硬:春節明けに再協議 (自由時報)

フィリピン政府が台湾人容疑者14人を中国に移送してから数日が経過したが、発表された声明にはわずかに『たいへん遺憾である』としかコメントされなかった。外交部はすぐに声明を発表し、今週中のうちに駐フィリピン代表の李伝通を台湾に召還することを決め、併せてフィリピン人に対するネット登録によるビザ無し入国の待遇を取り消すとともに、各種フィリピン人労働者のビザ申請案件を厳格にすることを決定した。

台湾人容疑者の中国移送/フィリピンは声明の中で謝罪せず 我が方は駐比代表を召還へ (自由時報)

ここで念のため7日の外交部のプレスリリースを読んでみたのですが、台湾側としてはそこまで厳しい評価ではありません。自由時報のタイトルだけ読むといわば強い意志をもって「大使召還」を行った差し迫った感があるけど、そこまでは考えていないような。以下、外交部のプレスリリースから訳。

フィリピン政府は7日、中国大陸において国際電話詐欺グループが関与した詐欺事件で14名の我が国民が中国大陸に送還された件に対し、手続きの経緯の説明を行うとともに、我が政府に対し、以下のようにいかばかりかの善意と謝意を示した。
 1.我が国の正式国号と正式な肩書きを用いて、楊外交部長宛に書簡が送られた
 2.国民が本件に関与したことに対し深い遺憾の意を示すとともに、我が国の政府の反応や、フィリピン政府の対応に対する国民の不満の感情についても理解を示した
 3.我が方の在フィリピン代表処の李伝通・代表が2日、空港において勾留されてた14名の我が国民との面会を認められなかった点と、移送作業に入る前に事前に代表処に通知を行わなかった点について遺憾の意を表した
 4.今後、台湾とフィリピンとの間で似たような事件が発生した際により緊密な協力関係を確実なものにするため、双方は関係する仕組みづくりの議論をすべきであり、このような不幸な事件を再び発生することを避けなければならない
 5.マニラ経済文化弁事処のAmadeo R.Perez, Jr.理事主席と、駐台代表であるAntonio Basilioは、フィリピン側を代表して楊・外交部長に書簡を手交した際、李・代表を通じて我が国に遺憾の意を示した。

我が方としては、フィリピンによる国際犯罪への多国間共同摘発活動への周到さには理解を示しつつも、フィリピン政府が正当な法律手続きを経ずに容疑者を移送したこと、またあらかじめ駐フィリピン代表処とフィリピン政府機関との間で直接のやりとりが行われず、我が国の意見が適切に尊重されなかったことについて、あらためて深い遺憾の意を表するものである。

外交部は、春節の期間中に台湾とフィリピンとの現在の相互交流関係を深く検討し、内政部、法務部、行政院大陸委員会および行政院労工委員会などと充分な意思疎通を行い、以下の措置を採ることを決定した。
 1.フィリピン人労働者が台湾に来る際の申請を厳格に行う。ただし、すでに台湾において職に就いている者、合法的なフィリピン労働者の台湾入国および緊急で特殊な保護案件はこの限りでない
 2.フィリピン人に対する(アメリカ・カナダ・日本・EUシェンゲン協定締結国・オーストラリア・ニュージーランドなどのビザがあるかを確認する)「東南アジア5ヶ国民来台先行審査作業システム」の適用した、ネット登録によるビザ免除待遇を取り消す
 3.今週中に、我が国の駐フィリピン代表処の李伝通・代表を報告のため本国に召還させ、併せて台湾とフィリピンとの関係に関する新たな情勢について対策を検討する

外交部としては、我が国はフィリピンとの友好関係を維持したいと考えていることを強調したいが、フィリピン側が先に台比関係に傷を付けたものであり、国家主権の尊厳を維持し、フィリピン側に不満を示すために、上記の措置を採るものである。今後、我が政府は周到かつ慎重にフィリピン側の善意を確かめ、フィリピンとの交流措置の根本を再検討する。外交部は同時に、フィリピン側に対して、共同で多国間国際犯罪を取り締まるための我が国との協力体制を作り上げるために速やかな協議を行うことを呼びかけるものである。
外交部では、多国間通信ネット詐欺は世界的に共同で取り締まる重大な犯罪行為であり、くれぐれも法を破る行為を行わないよう 国民に対して重ねて呼び掛ける。

フィリピン労働者の入国審査の厳正化、ネット登録によるビザ免除待遇を取り消し、併せて駐フィリピン代表を召還 (中華民国外交部)


現在、中国からの引き渡しがどうなるのか、というのが見えてこないので何とも言えないのですが、下手をすると中途半端に台比関係が悪化して終わりというマイナスしか残りません。むしろ、台湾における東南アジアからの労働者、という別の問題にも火が付きかねないので、台湾としても難しいところなんじゃないかな。
というか、犯罪被害者が中国人なので、という大義名分が仮にもある以上、今回はやむなしって感じがしなくもないんですよね。しかも、緑系が政権を非難する理由である「一つの中国」という観点を前面に出し過ぎてしまうと、仮に14人を台湾に戻しても「一中問題で揺れ、一旦は中国に渡ってしまったけれども、最終的には台湾に移送した」という前例になっちゃいます。同様のケースで「被害者が台湾人でも中国人でも無かった場合」に、中国が圧力をかけて(いや、そのメリットって無いんですけど)同じ展開になってしまい「あの時と同じでいいよね」となると、今度は一切の逃げ場がなくなるんじゃないかな。フィリピンを発った時点で既に敗戦処理に動かなきゃいけないはずなのですから、ここは緑系も「被害者が大陸の人間だからってのはわかるけどね、でもこっちにも権利があるんだから引き渡せよこら」で行って、上に書いたような「被害者が台湾人でも中国人でも無かった場合」には、「あの時はあの時」で改めて勝負すべきなんじゃないかなあ、と素人としては思ったり。むしろ、「非民主的な中国で裁判にかけられる」という一点突破で国人保護の点から一刻も早く台湾に戻したいという方が、まだわかるかも。

この件に関しては、比較的 ほむほむ ふむふむと思える意見が8日の聯合報に寄せられていたので、最後にそれを訳。ただ、被害者の国籍国に送るってのはけっこうイレギュラーのはずだから、これも若干弱気すぎやしませんか、って気もするけど。これ、書いたのが陳長文ってあるけど、元海峡交流基金会秘書長の方かなあ。うーん。

フィリピン政府が14人の台湾籍詐欺容疑者を中国大陸に送還した件で、我が国の外交部はすぐさまフィリピンに対して抗議を行い、大陸委員会も大陸側と交渉を行い、容疑者の台湾引き渡しを求めた。しかしながら、「両岸コンプレックス」が絡みついたイデオロギーを排し、法や道理に拠った場合、これら14人の台湾籍容疑者を台湾に引き戻す事が、はたして最も法理に適する手段なのだろうか?
台湾の主張は、容疑者が台湾人であるから(行為を行った人物の国籍国が管轄)というものだ。大陸の主張は、犯罪の被害者が大陸の人間であり(被害者の国籍国が管轄)、さらに犯罪の結果も大陸で発生しているから(客体領域原則)というものだ。また、フィリピンの主張は、犯罪が発生したのがフィリピンであるから(主体領域原則)というものだ。これらを見るに、いずれの主張ともその根拠があり、理由がある。

それではいったい、どこが管轄するべきであろうか? 筆者が考えるに、一つの要因(容疑者の国籍、被害者の国籍、犯罪地)の結びつきの重要性が最も深いところとみるべきだろう。すなわち、管轄した際に、もっとも真実を発見することができ、正義を実践することができ、犯罪に罰を与える(脅威を阻止する)ことができるところだ。
一般的に言って、領域管轄(特に犯罪の発生した国)を管轄とするのが通常採られる方式になる。したがって、フィリピンが領域管轄原則により管轄権を主張することは正当性がある。他方、中国大陸が主張する管轄に対する法理の根拠にも一定の強さがある。やはり被害者が大陸の人間(犯罪の結果も大陸でである)であり、被害者が大陸にいるのだから証拠調べにおいて利便性がある。しかし、相対的に、この事件に対する台湾の唯一の結びつきは、容疑者が中華民国の国籍を有しているというものだけである。
考えてみてほしい。仮に、フィリピンが容疑者たちを大陸に送らずに台湾に送ったとして、あるいは大陸がいったん容疑者たちを引き受けた後に台湾に移送したとする。ここで尋ねるが、台湾はどのようにして犯罪の捜査を行うのだろうか? 犯罪の発生地はフィリピンであり、結果は大陸だ。我々はどのようにして証拠を集めるのか? どのようにして大陸の被害者を台湾に呼び出し証言をさせるのか? このことからわかるように、台湾の裁判所は、本件を審理するための最も有効な「利便性の高い法廷」ではない。

台湾の刑事犯罪に対する証拠要求の強さは高いものがある。本件の容疑者たちが台湾に移送された場合、証拠収集が容易でなく、被害者の召喚もできない状況下においては、容疑者たちは証拠不足で釈放されるであろう。そうなった場合、かえって形を変えて国民に第三国を通じて海外犯罪を奨励するのと等しくなってしまう。このような不正義は台湾人民の希望す結果だろうか?
他人の気持ちになって考えてみると、もし同じような犯罪の被害を受けたのが台湾人であった場合、我々はどのような感想を抱くだろうか? 当然、そして明らかに、フィリピンが容疑者たちを大陸に移送すれば、法理にのっとった判断の結果だとは絶対に言えないだろう。考えられるとすれば、フィリピンと大陸との国交関係だけだ。この一点において、台湾が外交上不利な立場にあるという「現実」は疑いようがない。しかし、このような「現実」にあっても、法により、また理により、訴えなければならない。さもなくば、この現実に際して台湾がそうした立場に立たなければ、「法理」は立つことを支える脚になりえず、我々はいったいどのようにして権利を広げ、台湾(あるいは、より正確には、公平な正義)の利益を守ることができるだろうか?

両岸コンプレックスを排除し、法理を優先せよ (聯合報)

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