リークせずにはいられないな。

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まずは、割と今さらではありますが、この拙いブログのカウンタが5万回も動いたそうなので、お礼申し上げます。例のくだらないイベントはやるかどうかも含めて調整中ですので、あまり期待しないでください。

さてさて、さっそくだけど前々回の「八月の宿題は八月のうちに。」で書いたさらなる宿題の件です。なんとか9月中ではあるけれど、既に時期を完全に逸した感は否めません。今月の上旬に台湾を賑わせたウィキリークスの話ですね。
ウィキリークスと言えば、去年の暮れに「「馬英九と胡錦濤が毎週Skypeで雑談しているという機密、WikiLeaksで流出」が大爆釣。」なんてのがありましたけど、今回は本家のウィキリークスからの実際の流出です。まずは2日の共同通信から。

【ロンドン共同】英紙ガーディアン(電子版)は2日、内部告発サイト「ウィキリークス」が、保有する約25万件の米外交公電の全てを未編集のままネット上で公開したと報じた。情報提供者の実名などが明らかになり、危害が及ぶ可能性がある。

ガーディアンやドイツのシュピーゲル誌などウィキリークスと協力関係にあったメディアは同日、ウィキリークスの未編集公電の公開を非難する共同声明を発表、「不必要な全てのデータ公開(の判断)を擁護することはできない。われわれは一致して(公開決定を)非難する」とした。

ウィキ未編集公電を全て公開 英紙報道 (共同通信)

と、まるで子供の癇癪のように投げ出された外交公電は、アメリカの250近くの在外公館と国務省とのやりとりのもの。現地職員が作成したメモや、現地での報道を訳して報告しただけのものまで、文字通り玉石混交といった感じです。
台湾を賑わせたというウィキリークスの内容は、このうちAITこと米国在台湾協会の台北事務所が発したものについて。台湾の内政から外交、それこそ台湾海峡問題から馬英九のグリーンカードの問題、九二共識まで多岐にわたっています。なのですが、意外に波紋を呼んだのは、台湾の政界の人間関係でした。まずは与党・国民党に関する話題を適当に抜粋して訳。7日の自由時報から。

馬英九総統と与党系政治観との間の恩と仇が「ウィキリークス」上で踊っている! ウィキリークスが公表した'07年から'09年にかけての米国外交機密公電によれば、当時桃園県長だった朱立倫が与党系政治家たちの内幕を暴露している。朱は、米国在台湾協会(AIT)で台北事務所長を務めていたスティーヴン・M・ヤング(訳註:2006年から2009年にかけて台北事務所長。現在は米国駐香港・マカオ総領事)に対し、馬英九が宋楚瑜のことをたいへん嫌っており、また連戦の話を聞けなかったと明かし、さらに、連戦、王金平、宋楚瑜、呉伯雄といった国民党系の長老たちの引退を望んでいたという。(略)

ウィキリークス:朱立倫、2009年4月に話す 馬英九は連・呉・王・宋の引退を希望 (自由時報/強調は引用者)

あらら。自由時報の記事によれば、「朱立倫は当時、国民党内でポスト馬英九と目されており、米国側も朱の台湾政局の観察眼に着目していた」という。
これに対し当の朱立倫は、というと、

(略)朱立倫は、かつてAITが関心を寄せている話題について簡単に意見を述べたことはあったかもしれないが、AITはそれをもって朱の見解とすることはできないと述べ、またスティーヴン・M・ヤングとも親しい付き合いはなかったという。また、4年も前に話したことなので完全に覚えていないが、ウィキリークスの多くの内容は、明らかにスティーヴン・M・ヤングかAITの何者かの個人的な解釈だろう、と話している。(略)

朱立倫:スティーヴン・M・ヤングの個人的な解釈 (自由時報/強調は引用者)

一方、民進党も無傷というわけにはいきませんでした。8日と9日の自由時報からまたまた抜粋で訳。

ウィキリークスが暴露した米国の外交電文によれば、蘇貞昌・元行政院長は2008年、当時の米国在台湾協会台北事務所長であったスティーヴン・M・ヤングと会談した際に、民進党主席の蔡英文には政治の経験が乏しく、民進党の草の根運動的なものについても理解が足りていないと話していたという。蘇貞昌は7日、蔡英文に執政経験がなく、草の根運動も理解が不充分だと語ったことを認めたが、当時は多くの者が懸念したけれども「今はもう問題にならない」と述べた。

蔡英文:私は優れた力強いリーダー (自由時報/強調は引用者)

AITの電文によると、'06年11月16日、スティーヴン・M・ヤングが呂秀蓮が総統になる可能性について尋ねたところ、それまでずっと慎重だった蘇貞昌から驚くべき言葉が飛び出したという。蘇貞昌は、呂の思考と行動は完全に「予測不可能」であり、もし呂が総統になれば両岸関係などの分野で大きな傷を負うだろうと話したという。
(中略)その後、游錫堃が呂に関する率直な見解をヤングに示した。呂はごく少数の党員から指示されているが、もし彼女が総統になれば重大な変化を巻き起こし、彼女の号令をただ聞くだけの腹心を高級幹部に据えるようなことも含まれるだろう、と話した。

蘇・游が呂を評す:党内の支持は決して高くない (自由時報/強調は引用者)

とまあ、出てくる出てくる。なんというかまあ、「皆さん、よく喋りますね」としか言いようがありません。若干安心して記事を探せるのは、米国の在外公館が発した公文だからでしょうかね。さすがに、日本に関する内容はそんなに多くありません。'09年の齋藤正樹・交流協会代表による「台湾地位未定論騒動」の後、馬英九がヤング所長にアメリカの見解を問い質した、という記事が10日の自由時報に載ったくらいでしょうか。

と思っていたら、ありましたよ。9日の聯合報から抜粋で。

ウィキリークスがもたらした一連の政治的な嵐は、日本の交流協会をも巻き込んだ。2007年末、当時の池田維・交流協会代表は米国在台湾協会(AIT)台北事務所長のスティーヴン・M・ヤングに対し、日本政府は表面上中立を保たねばならないが、内々には民進党の勝利を望んでいると話していた。ヤングは、池田が国民党に対し軽蔑と憤慨の念を抱いていおり、たいへん驚いたと述べている。
(略)二人の話題は、まもなくやってくる総統選挙に及んだ。池田は歴史、個人に関する要因により、日本政府は国民党に対してあまり好感を抱いておらず、民進党が勝つことを望んでいると話した。池田はまた、馬英九に比べ、京都大学を卒業した謝長廷の方がより好感を持てることや、蒋介石の時代以来、国民党は日本に対して大いに敵意を見せているなどと述べている。
ヤングは報告の結びで、池田は優れた連絡員であり、経験豊富な中国通であると述べている。一方で、池田が国民党して示す軽蔑のレベルは、ヤングにとって大きな驚きだったと語り、池田は表面的には冷静な分析に基づいたようであったが、長らくの恨みや憤りの気持ちを感じたという。

ウィキリークス:日本の駐台代表、日本は非公式に民進党の勝利を期待 (聯合報/強調は引用者)

ぎゃあ。ウィキリークスの信用性、そして何よりヤング所長というバイアスが掛かっているとはいえ、これはなかなか踏み込んだ発言でしょう。というわけで、ウィキリークスで公開されたその公電とやらを見てみましょう。問題となったのは2007年10月26日付けの「TAIPEI2406」というもの。ヘッダ部分は一部省略して全文訳。

件名:スティーヴン・M・ヤングAIT所長による日本の池田代表との昼食

1.要旨
カウンターパートである日本の池田維・代表と行った10月25日の昼食の席で、彼は10月19日の陳水扁・総統との夕食について、および中国国民党の総統選挙候補者である馬英九の日本訪問予定について話した。池田は、日本は次の台湾の総統選挙において表面上中立を保つが、人物的および歴史的な理由から、感情としては民主進歩党の謝長廷に傾いているとも明らかにした。

2.池田は、先週金曜に陳水扁・総統と邸宅で夕食を共にした。彼は、事実を公の場で強く示さないという東京の選択があるにも関わらず、アメリカと日本が民進党の国連加盟に関する国民投票に対し反対する事について、詳細な補足意見を強調した。台湾は、我々の間の僅かに異なる戦術的アプローチにおけるいかなるギャップも読みとろうとするべきではない、と。これを受けて陳は、この問題に関しどうにかして日本に手心を加えてもらおうと求めないことを約束した。
池田はまた、陳に対して2000年に公表した「四つのノー」に関する説明を求めた。陳は、それが米国政府との相談、民進党および専門家との熟議、そして大陸に対する遠回しな連絡を経た後にできたものだと話した。陳は、就任式の草稿を自身で書いたことを認めた(註:しかしこの原稿はワシントンから求められたようであるということを回顧するヒントであったことを記しておく)。
個別の会話としては、池田が邱義仁・行政院副院長に対し、民進党の謝長廷が総統に選ばれたら陳の「四つのノー」を踏襲するかどうか尋ねた件がある。邱は、謝がそれをしないであろうと示唆した。一方で、現状を一方的に改変しないという同様の誓約をいくつか行うであろうと暗に示したという。

3.池田は、馬英九陣営が近々行われる東京および大阪への訪問においての限界点を日本側と交渉し始めたことを伝えた。国民党は、(ワシントンとは異なり)現地に党の事務所が無く、また駐日経済文化代表処に補佐を依頼したくないため、日本側に対して公式なプログラムを望んでいる。これについて日本側は、それを馬サイドの者に責任を持たせたいと考えている。これまでは、妥協点として、日本の国会の事務局に要請することにより、彼らが規則正しくこれをさばくというものだった(註:それが日本の議会の者だけに対するものか、あるいはより広い者にかは不透明であるが)。
池田は、馬が前回の日本訪問の際に、あまり強い印象を残していないことを認めた。また、国民党の対中姿勢および防衛に関する諸問題への見解について、来日中に鋭く質問されることだろうと述べた。

4.池田は、次の台湾の総統選挙で我々が中立なままでいるかどうか、アメリカの立場を注目していた。これは東京の正式なスタンスも同様であるのだが、彼は続けて、歴史的に彼の政府は国民党に対して好意的ではないと話した。さらに、京都大学で学んでいたことのある謝長廷の方が、馬英九よりも日本に好感をもたれていることを彼は認めた。
しかしより根深い部分では、1845年(訳註:原文まま)から1945年まで過酷な占領を行った台湾と同じように、第二次世界大戦中に中国大陸で侵略行為を行った日本に対して、国民党が大いなる敵意を見せた蒋介石の時代に遡る。例えば、国民党時代の台湾の教科書では、植民地時代が「悲惨な50年間」と描かれるのが常であった。また、池田の主張によればおよそ2万から3万人の台湾の一般市民が何度かの大きな命令によって死刑執行されたそうだが、これが60万人の台湾人が日本人によって殺されたことに誇張されている。
一方これとは対照的に、民進党の成長とともに教科書の内容も過去10年でずいぶんと改められ、植民地時代も好意的に描かれている。候補者に関して実際には公にコメントしないと再び断言しているけれども、要するに池田は、彼の国は民進党の勝利を望んでいることを明確にさせている。

コメント
5.池田は良い相手方であり、経験豊かな中国通だ。しかし、日本の国民党に対する軽蔑的な厳しい姿勢に私は衝撃を受けた。それはあたかも、表面上は冷静沈着な分析をする彼のすぐ内側に、積年のわだかまりの感情が横たわっているかのようだった。

YOUNG

TAIPEI2406 スティーヴン・M・ヤングAIT所長による日本の池田代表との昼食 (Wikileaks/強調は引用者)

うーん。これは難しいところですね。日中戦争まで遡ってうんたらかんたら、というのも断交前の状況を考えれば「あれれ?」という気になるし、民進党の勝利を望んでいるかどうかというのも、これだけだと何とも何とも。
これに対する池田元代表の見解ですが、9日夕方の中央通訊社によればこう。抜粋して訳です。

ウィキリークスが引き起こしている政治的騒動に、日本の交流協会台北事務所の元代表、池田維も巻き込まれてしまった。池田は9日、中央通訊社の記者に対し、中国国民党に対して心中で軽蔑しているという意見は「たいへん誇張されたものだ」と語った。

(略)この件について池田は中央通訊社の記者に対し、個別のことに評論するつもりはないが、報道の内容を見て「大いに仰天した」と話し、ウィキリークスが暴露した内容は非常に大げさでねじ曲げられた誤った見方だと思ったという。特に指摘したのは、彼が国民党に対して軽蔑、憤怒の感情を抱いていたという点だった。
池田は、彼とヤングの関係は良好だったと述べ、しばしば会って意見交換をしていたと言うが、今回書かれている内容を見ると非常に主観的であり、池田自身が持っている見解とは異なっていると話した。池田によれば、彼は国民党に対していかなる憎しみも持っておらず、それは普段から付き合いのある者ならわかるはずだと述べている。

また、池田が台湾と中国大陸に対する見解について触れた際、彼が昨年9月に書いた『日本・台湾・中国 築けるか新たな構図』という本についても話した。この本は、まもなく中国語版が刊行されるという。
池田によれば、2008年7月に交流協会台北事務所を離任し日本に戻った後、何度も講演の依頼を受けたが、そこで多くの日本人が台湾を分かっておらず、また馬英九総統の政府が「親中反日」かどうかをとても気にかけていたという。そこで、池田はより多くの人に台湾のことを知ってもらうために、台湾に駐在した間に見たことを整理して本にまとめたという。

ウィキリークスに掃き出された 池田維:たいへん大げさ (中央通訊社/強調は引用者)

と。まあ、外交の世界は腹の探り合いみたいなところがありますから、本当のところはどうなんだろうね。それより、池田元代表、ちゃっかり自書の宣伝を絡めているじゃないですか!

えーと、この本ですが、産経新聞出版からで1,785円です。読書の秋にぜひ一冊。
などと、無理矢理入れてみたんですが、そもそもアフィリエイトも何もしていないこのブログでそんなものを混ぜ込んでも何の意味もないのでした。えっ。それでもいいから、そろそろまぜろよ、ですか、はい。

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このページは、◆YAUCHInowAが2011年9月30日 00:53に書いたブログ記事です。

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