台湾の総統選挙&立法委員選挙について書くと思った? 残念、書く書く詐欺に定評のあるやうちさんでした!

と言うのも、まず前回の「日本の「治安神話」は崩壊しているのか。」で、台湾人留学生殺害事件での台湾のメディアvs日本の警察の話を「また別途」なんて投げてしまった手前、そのボールは受け止めないといけません。
今回の事件ですが、日本での報道以上に、実は台湾で報じられています。ご存じのように、台湾では翌週に大型国政選挙が控えていたのですが、それに次ぐ扱いで取り上げられていました。まずは7日の産経新聞から引用。

東京都台東区で台湾人女子留学生2人が殺害された事件は、14日に総統選、立法委員(国会議員に相当)選の投開票を控えた台湾でも、主要各紙やテレビ局が、選挙戦の話題をおさえて大きく扱い、事件への関心の高さをうかがわせている。
事件発生翌日の6日は聯合報、自由時報、中国時報などがこぞって1面トップで報道。聯合報は被害女性の着物姿の写真などで、愛日家ぶりを紹介し、「日本社会の安全神話は崩壊した」などとする識者の寄稿を大きく掲載した。また自由時報は共通の知人の台湾人男性が事情を知っている可能性にまで踏み込んだ。
7日は、服役中の陳水扁前総統の義母の葬儀に伴う一時出所や、総統選3候補の最後の政見放送内容などがトップニュースとなったが、これらに次いで、行方不明の知人男性に関する続報が大きく掲載された。
主要テレビ各局も関連ニュースに時間を割いており、6日は被害女性のうち、林●●(=さんずいに瑩)さんの遺族が台湾中部・台中市の実家でインタビューに応じ、「親孝行で、悪い友人を作るような子ではない」と話す様子などを繰り返し報じていた。

台湾2女性殺害 現地メディア、大きく報道 (産経新聞)

この「識者の寄稿」というのは、前回のアレです。
台湾のメディアもそのあたりの温度差について取り上げてました。東京特派員の陳世昌(8日東京電)がこの産経の報道にも触れながら書いた記事を9日の聯合晩報から訳。

台湾の女性2人が日本で殺害された事件は、7日の「張という姓の容疑者が大阪で既に身柄を確保された」という大誤報を経て、8日になって落ち着いてきている。この一夜の「情熱」は、台湾と日本のメディアの間にある「温度差」を露わにした。日本の記者はみな冷静に対応しているが、台湾のメディアはあらゆるチャンネルを通じて次々と即座に報じて煽っていた。
産経新聞は、台湾の各メディアがこの事件を重大ニュースとして報じていると伝えたほか、8日の朝刊では、部屋に侵入した犯人がすぐさま林さんを襲い、抵抗する時間が無かったと報じている。
(略)しかし、この他の日本のメディアは、この事件に関する突っ込んだ報道をしていない。日本経済新聞は小さな記事で、行方がつかめなくなっている台湾の男子学生について、被害者の女性につきまとっていたことがあり、女性が周囲の友人に「相談」するなど人間関係に悩みがあったことを伝えている。(略)

台湾2女性殺害事件の取材、台湾は過熱、日本は冷静 (聯合晩報/強調は引用者)

と、記事の冒頭にもあるように、今回の事件で台湾のメディアは「張という姓の容疑者が大阪で捕まった」という誤報をかましています。日本では通常、警察の発表に基づいて報じるというのがセオリーなのですが、このあたりもお国柄の違いなんでしょうか。この「行き過ぎ」については8日の自由時報と聯合報からそれぞれ抜粋で訳。

台湾2女性の殺害事件で、重要参考人の張という男子学生が、事件の発生以降行方不明になっている。日本の警察は彼に狙いをつけて追跡を行っており、彼が大阪にいる可能性がわかっているものの、未だ捕えることができていない。日本の警察が7日午後に再び彼の住まいに「踏み込み」、証拠物件の捜索範囲を拡大した。警察の捜査の状況から、この張という男性が重要な鍵を握っており、彼の身柄を確保することが事件の全容解明につながるとみられている。

(訳註:この省略した間に、張容疑者のFacebookや2000年の前科など、日本のメディアに先んじて報じられているのは特筆すべきなのですが、今回は略)この張という男子学生を追跡する中で7日、一日の間に何度も驚かされ情報が錯綜した。台湾メディアは7日、確認をしないまま、15時の時点で2人を殺害した容疑者が「関西で身柄を拘束され、まもなく警察によって東京に身柄を移される」と報じた。16時以降、台湾のメディアは捜査本部のある東京の蔵前警察署の前に集まり、日本の記者たちも話を耳にして続々とやってきた。けれども、最後まで日本の警察からの裏付けは得られなかった。
日本の報道の方法は台湾とは異なる。通常、日本の警察が容疑者を逮捕すると、「身分の確認」を行った後、記者会見が行われる。日本の警察がもし本当に関西で容疑者を逮捕していたのならば、いつもならまず現地でメディアに情報を発表し、その後、新幹線を利用して東京へ「身柄を移す」。しかし、今回はいつもと異なり遅々として動きが伝わってこなかった。長い待機時間と取材の後、日本のメディアの記者たちもこの情報の信ぴょう性を疑うようになった。
19時になると、日本のメディアも次々に警察署から引き揚げるようになった。20時、台湾の駐日代表処の新聞組長である許國禎が飲み物や軽食といった差し入れを持って、警察署に詰めている台湾の記者たちの「慰問」に訪れた。再度の調べによって得られた答えは、大阪の警察は確かに1人の容疑者を捕えていたが、台湾留学生殺害事件とは無関係の、しかも張という姓の男子学生でも無かったというものだった。

日本の警察が張という男子学生の足取りを急いで追う 台湾メディア「解決」を先走り (自由時報/強調は引用者)

日本に留学している女子学生が殺害された事件で、7日の午後、台湾の張という男子学生がこの事件に関して逮捕されたと伝えられた。張のFacebookは同日、ネットユーザたちから「台湾の恥さらしが」などの非難のコメントで埋め尽くされた。しかし、夜になって誤報であったことがわかると、ネットユーザたちは急ぎコメントを削除し、一転して「台湾のメディアはデタラメばかりだ」と批判した。
(略)夜になって誤報と明らかになると、ネットユーザたちはメディアに対し「裏付けの無い情報を発表したのか」「台湾のメディアはデタラメばかりだ」と批判を展開した。ある者は「台湾のメディアを100%信用してはいけない。お前ら、まずは一旦落ち着いて、日本の警察の発表を待つんだ」となだめていた。(略)

台湾メディア、日本の警察よりも早く事件解決 (聯合報)

とまあ、決して笑いごとではないのですが、確かに台湾のメディアってアクセルの踏み方が半端ないイメージってあります。一方で、「日本の警察の発表を待て」とは言うものの、それはそれで台湾のメディアにとって歯がゆい問題があるのでした。容疑者が指名手配されたのは、この誤報の翌日、つまり8日ですが、その記者発表の場に台湾のメディアはいませんでした。成り行きを最も注目している国のメディアが、その場に居合わせることができないのですから、かような過熱した先行報道も無理からぬ......だめですね、やっぱり。以下、9日の中国時報から訳。

台湾人が日本で殺害された事件で、日本の警察が記者会見を行った。しかし、台湾のメディアはこれに立ち会うことができなかった。これは、極めて無茶苦茶な世界的な笑い話ではないか!
日本の警視庁は8日、東京で記者会見を行い、日本に留学した女子学生が殺害された事件で、張志揚容疑者を指名手配したと正式に発表したが、台湾のメディアはすべてこの会場から締め出された。その理由は、単に警視庁の「記者クラブ」のメンバーではないからというだけであった。

台湾のメディアは、日本のいわゆる「記者クラブ」制度というものをよく熟知していないかもしれない。しかし、日本駐在の外国メディアは以前からその深刻な被害を受け続けてきた。そのため「外国特派員協会」を通じて、、閉鎖的で保守的なメディアのしきたりと長年にわたって争ってきたが、未だに改善されていない。外国籍の記者は、日本の各省庁から多少なりとも門前払いを受けており、その都度声を挙げているが効果が見られない。
日本の各省庁には、それぞれ一つだけの記者クラブがあり、主要メディアのみがその会員となっている。会員でないメディア、たとえばスポーツ紙や週刊誌、そして外国メディアなどはほぼ全て、各省庁の記者会見に参加することができずにいる(訳註:原文まま)。
台湾の日本駐在メディア記者たちも、国会の記者証や外務省の記者証などを持っているが、国会や首相官邸に入ることはできても、警視庁の記者会見には参加することができずにいる。警視庁の広報職員が言う理由は簡潔で、「警視庁記者クラブの会員でなければ、記者会見に参加できない」というものだ。
しかし、日本の警視庁が取材の自由を制限することは、我が駐日代表処が国威を発揮していないという問題ではない。真に批判されるべきは、日本の主要メディアが排他的な「記者クラブ」制度によって、自分たちが情報源を独占して享受できるという権益を守るというシステムだ。また、この特殊な状況下でも警視庁が特別な対応を取らず、台湾のメディアの取材の自由を無視したという問題もある。

駐日副代表の陳調和は7日、台湾のメディアに対し、警視庁の記者会見は日本の記者クラブのメンバーを対象に行われるもので、台湾の記者はメンバーではないため参加できない、警視庁はこれまで一切例外を設けていない、と説明した。代表処は交流協会を通じて警視庁に働きかけているが、警視庁は広報担当の主任をホールに派遣して台湾メディアに対して説明しただけだった。

日本で記者会見が行われる 警視庁は台湾メディアの取材を拒絶 (中国時報/強調は引用者)

おっと。東京特派員の黄菁菁がかなりご立腹な様子。ところがこの中国時報の報道、思わぬ伝わり方をします。まずは、この記事をベースにして9日のサーチナ。

台湾メディア・中国時報は9日、日本の警視庁が台湾人留学生殺害事件の記者会見への台湾メディア出席を拒否したことに対して「荒唐無稽だ」と不満を示す記事を掲載した。

警視庁は8日東京で記者会見を開き、台湾人女性留学生殺人事件にかんして台湾人男性の指名手配を発表した。台湾メディアも会見用に足を運んだが「記者クラブ会員」ではないことを理由に追い出されてしまった、と記事は伝えた。
記事は、日本の各省庁がそれぞれ大手国内メディアで構成される「記者クラブ」を持っていて、会員でないスポーツ紙や週刊誌はもちろん、外国メディアでさえ各省庁の記者会見に出席できないことを紹介。台湾メディアの記者は「国会記者証」や「外務省記者証」を持っていて国会や首相官邸に出入りできるにも関わらず、警視庁の記者会見に参加できないとした。
そして、批判すべきは「日本の大手メディアが排他的な『記者クラブ』で情報を独占しようとする体制」「警視庁が(台湾人関連の殺人事件という)特殊な状況下で緊急措置を取らず、台湾メディアによる報道の自由を無視したこと」であると断じた。
記事はさらに、台北駐日経済文化代表処の陳調和代表は台湾メディアに「記者クラブ」の存在について説明したこと、同処が警視庁に連絡してようやく警視庁側が説明係を1名派遣してきたことを明かした。

台湾メディア、台湾留学生殺人事件の警視庁会見締め出され憤慨 (サーチナ/強調は引用者)

と、サーチナが中国時報の記事をほぼ全文訳していることがわかります。ところが、これがそのままコピペされた2chのニュース速報板のタイトルは、「「台湾と北朝鮮は国じゃねえから」 警視庁、留学生殺人事件の記者会見場から台湾メディア追い出す

いやいやいや、「台湾と北朝鮮は国じゃねえから」なんてコメント、記事にねえから!  というか、タイトルを捏造するくらいだったら、オーソドックスに「おめーの席、記者会見場にねえから!」って入れるべきだろ、常識的に考えて。 もしかして、サーチナが書いていないだけで、原文には「台湾と北朝鮮」なんてくだりがあったらどうしよう、とも思っていたのですが、そうでないのは前掲のとおりです。しかも、多くのいわゆる「まとめサイト」がニュース速報板のレスをさらに「まとめ」たことから、このタイトルで拡散するわするわ。台湾も台湾でなんだかなーという感じですが、日本も日本でなんだかなー。

この事件、容疑者が身柄を押さえられた直後に自殺、という形で終わったのですが、容疑者の家族の件についてはまた別途。あれ? またボール投げちゃうの?
連休前に東京で発生した2人の台湾人留学生殺害事件は、急転直下の結末を迎えてしまったようですが、この事件に関するとある投稿記事の話でも。

その記事というのは6日の聯合報の「民意論壇」に載った、蔡増家・政治大学国際関係研究センター第二研究所所長によるもの。この記事をはてなブックマークに登録し、Twitterに流したところ、予想外の反応がありました。うへえ。ブックマークするにあたって訳したのは冒頭のほんの一部分でしかないので、まずはちゃんと全部を訳してみたいと思います。

5日、2人の台湾女性留学生が東京で惨劇に遭ったことが報じられた。この非常に残忍な殺人事件は、日本の治安は良好だという外部の定型的なイメージを打破したばかりか、日本が失われた20年に陥った後の奇異な社会現象のベールを開けたとも言える。

日本文化を知る者たちは皆、戦後の日本が低い犯罪発生率を維持してきたことを知っている。重要なポイントは社会の制約力であり、法律による制約力ではない。社会環境による束縛の力が法律のそれよりも大きな日本では、罪を犯した事のある者が社会でまともに立脚することがたいへん難しい。また同時に、こうした観念形態は株連九族(訳註:罪を犯した者の親族まで罰せられること)を招き、家族までもが社会から冷たく排除されることになる。
2004年に台湾人女子大生が河口湖で殺害された時に、日本人の犯人の家族が隣近所からのプレッシャーに耐えきれず、すぐに引っ越したということからも明らかだろう。
こうした社会の集団としての拘束力の下、日本人は不用意に犯罪に手を染めることができなくなり、またしたいとも思わなくなったのだ。同時に、この長期にわたる低犯罪率の下、日本の警察も持つべき捜査能力を次第に失っていってしまった。

戦後の日本の社会が、犯罪に対して高度な集団の制約力で応じたことは、その存在だけに拠るものではない。二つの基礎の上に立つものであり、その相互作用によって効果を生じていたのだ。
一つ目は、高度経済成長の持続だ。日本はかつて猛スピードに経済を成長させていた頃、終身雇用制度によって世に名高い低失業率を達成した。しかし、1990年に(訳註:原文まま)バブル経済が崩壊した後、派遣労働者制度がだんだんと終身雇用制度に取って代わるようになった。
派遣制度の下での労働者は、健康保険を享受することができないばかりか(訳註:原文まま)、定年後の国民年金もないという(訳註:これも原文まま)、日本の福祉制度から見捨てられた一団となってしまうのだ。日本の社会学者によれば、これらの数から見て300万人近い派遣労働者たちが「下流社会」を形成しているという。「下流社会」は政府と世の中に対し強い不満を抱えており、最近の日本で発生している奇怪でショッキングな犯罪事件の多くを引き起こしている。

二つ目は、閉鎖的な社会体制にあるという点だ。過去、日本は島国で排他的だったこともあり、また優越感が災いし、加えて日本の大学には独特なシステムがあったことも手伝い、日本に留学する外国人学生の数は多くなかった。
しかし、2000年以降、少子化の波が到来し、日本の多くの私立大学ではだんだんと入学生が減少し、閉校の危機に直面しようとしていた。
日本政府はこうした大学を救済するため、一千万人留学生計画を打ち出し(訳註:原文まま)、各地方大学に海外からの留学生を採用することを奨励した。
こうして日本にやってきた大量の留学生の素質は一様ではなく、同時に、留学の名目で来日し不法就労する者も多くいた。こうした数多の外国人留学生は、日本の最近の外国人犯罪の増加スピードを加速させ、同時に多くの新たな犯罪手法を生み出してしまった。

経済の衰退が日本の社会体制における拘束力を次第に瓦解させ、大量の外国人留学生が日本の社会の高い壁を徐々に突き破り、また日本の警察制度も過去の低犯罪率という過去の夢の中に酔いしれていたようだ。
最近の日本では、最重要の指名手配犯が警察署に自首してきたところ、認識できなかったばかりか追い返し、3つの警察を回ってようやく自首できたという話が飛び出した。これは日本の警察の捜査能力にたいへん大きな疑問を抱かせるものだ。
失われた20年に墜ち込んだ日本を見てみると、日本の社会には既に巨大な変化が生じているが、日本政府は何も変わっていないと言えそうなことに気づく。

日本の低犯罪率神話が崩壊 (聯合報/強調は引用者)

この記事に関して、というか、はてブのポストに対して、Twitter上で意見や反論が来るわ来るわ。これにはおいらも面喰らいました。それにしても、いちいち訂正していませんが(訳註:原文まま)が多いなあ。
記事に出てきた「株連九族」というのは、註釈でも入れているとおり「一人の罪は一族の罪」という考え方です。「史記」によれば秦の時代には既にあったようで、犯罪者の両親や妻子も刑罰が加えられたり財産を没収されたりしたそうです。そこまで直接ではないけれど、日本でも似たような例はありますよね。村八分に始まり、中島みゆきの「出てくならおまえの身内も住めんようにしちゃるって言われてさ」、最近では数多の人肉検索や映画『誰も守ってくれない』を思い出します。なるほど、その「社会による拘束力」はあるかもね、と、この一点だけはおいらも同意です。あれ? ということはまだこの力は生きているんじゃ? などと。
もっとも、この蔡増家(とおいら)の意見に対する賛否や正誤は、きっと山ほどあると思います。その辺は皆さんに譲るとして(逃げた)、翌7日の聯合報の「民意論壇」、つまり同じ場所に淡江大学中国大陸研究所の楊景堯・副教授が異論を投げていますので、参考までにこちらも訳。

6日の本紙「日本の低犯罪率神話が崩壊」を拝読し、その内容の一部に疑問を抱いた。筆者は両岸とアジアの主要国の学生の移動を研究しているが、今学期も日本の広島大学教育学院教授であり、日本比較教育学会会長である大塚豊・教授を淡江大学の訪問研究として招いている。大塚教授との意見交換の後、今回のミスリードを明らかにすることができそうだ。

まず、当該記事では日本の高度な「社会の拘束力」が2つの基礎の上にあると論じている。高度経済成長がその1つであり、文中では経済の衰退が犯罪の増加を招いたと述べている。しかし大塚教授はこれに賛成できないとはっきり述べた。中国大陸の経済発展は「お金が全て」だったが、かえって犯罪は増加している。日本の経済は、道徳や責任感を低下させるようなひどい状況を作らなかった。
第二に、日本と外国の交流は、アジアの他の国々を圧倒している。国際留学生の出入りはアジアで唯一の輸入超過、すなわち海外に留学する日本人より日本に来る留学生の方が多く、2010年には14万人あまりに達している。
先の記事では留学生を招く際のハードルについても触れているが、大塚教授は日本語の学習の困難さが本当の原因だと考えている。日本の文部省(訳註:原文まま)が2008年に発表した「留学生30万人計画」は2020年に目標達成を目指しているが、特に各大学には英語を使っての授業を可能にして、言語の障壁を低くしてより多くの留学生を引き込もうとしている。
ここ数年、日本の私立大学の入学生数は安定しており、問題はそのように深刻ではない。日本全国の高等教育の規模は300万人に達しない程度であって、決して「留学生一千万人招致計画」など打ち出す可能性はない。

日本の高等教育に神話は無い (聯合報/強調は引用者)

おおなるほど。「日本の安全神話は崩壊したのか」というより、論拠そのものを否定しているような感じでしょうか。確かにいわゆる「移民一千万人計画」とごっちゃになっている時点で、前述の投稿記事は既にアレな感じがあします。ということは、6日のブックマークやポストは、割と「ごめんなさい」な感じかも。
むー、何だかタイトル詐欺っぽくなってしまいましたが、最後に「安全神話」に関して触れた8日の中国時報の記事で終わりにしましょう。こちらはおなじみ東京特派員の黄菁菁による署名記事。

日本が外国人に与えるイメージとして治安の良好さがある。しかし、ここ数年、外国人犯罪率が上昇する傾向にあり、日本の警察にとっても頭痛の種になっている。今回の台湾女性留学生の事件では、日本の安全神話も疑われている。しかし、今回は容疑者が日本人でなかったことで、多くの日本メディアが安心しているようだ。もし容疑者が日本人であったのなら、日本のメディアはきっと大いに盛り上がったことだろう。

日本の警察庁が2011年1月に発表した統計によれば、全国の警察本部の捜査1課が「捜査本部」を設置した重大殺人事件は2011年(訳註:原文まま。2010年の誤り)の1年間で合計77件で、前年に比べて9件の減少となり、1979年に統計を取り始めて以来、最少となった。
このうち容疑者が逮捕されたのは61件、解決率は79.2%だった。この数字には前年以前に捜査本部が設置された事件も含まれている。61件の解決事件のうち、31件が発生から1ヶ月以内に解決し、半数以上に達している。
日本の治安は良好で解決率も高い、というのは、これまで世界的に非常に高い評価を受け続けてきた。同時に、日本人の犯罪に対する警戒心を低いままにさせた。鞄を背中に掛けても盗まれる心配をせず、電車で鞄を地面に置いたまま寝てしまい、ほとんどの家には鉄の門や窓がなく、出かける際に鍵を掛けないという光景も珍しくない。このせいで、日本人は外国に出ると、しばしば現地の悪人たちからカモと思われてきた。

今回の留学生の事件を担当する蔵前警察署の前で待機していた日本人記者は次のように分析する。犯人がもし捕まった場合、日本の警察は安全な日本という世界的なイメージを取り戻すために、メディアと全力で協力するだろう、と。例えば、警視庁が容疑者を護送する際には、専用のパトカーをわざとゆっくり進ませて、メディアが顔をよく捉えられるようにし、日本の世界的名声を蘇らせるのだという。日本の警察では今回の事件をかなり重く見ており、警視庁は初日に200人の警察官を動員し、早期解決の意気込みを示そうとした。

外国人犯罪率の上昇、日本の警察を悩ませる (中国時報/強調は引用者)

最後の方でも少し出た、台湾メディアの報道と警察の対応についてはまた別途、ということで。

★ 追記。(01/10 09:50)
2012年最初のお話は何にしようかと思ったのですが、どうせ来週になれば台湾の報道も総統選・立法委員選で慌ただしくなるでしょうし、おいらもそれを華麗にスルーするでしょうから、昨年の「あれは今から36万...いや、1万4000年前...じゃなくて2010年を振り返る。」に続き、台湾の巴哈姆特のまとめ記事の訳でも。

2011年は新年4日に記事を書いていた巴哈姆特が、今年はなんと暮れの30日に更新するやる気を見せていました。おのれ、コミケ3日目に大事件があったらどうするつもりだったんだ。というわけで、2011年にアップされた約11,000件の記事から、閲覧数にニュースの重要性を加味して選ばれたAC(アニメ・コミック)分野十大記事です。

◆第10位:【漫博11】『ハヤテのごとく!』の畑健二郎が9時間のマラソンサイン会、実写版についても語る(08/15)

毎年、台湾で行われる書展(訳註:日本での通称は『台北国際ブックフェア』)と漫画博覧会は、はるばるやってくるゲストに多くの人が期待を寄せている。2011年は「絵が描かれてこそサインは完成する!」を貫き9時間のマラソンサインイベントを行った畑健二郎のほか、初音ミクの父であるKEI、声優の井上和彦、高橋広樹、小西克幸、伊藤静などが来台した。他にも、模型の巨匠である山田卓司、大陸から来た漫画家の夏達などがいた。2012年ははたしてどんな大物が来るのだろうか?

巴哈姆特GNN2011年十大アニメ・マンガニュース (巴哈姆特)

2011年も10位は来台した海外の漫画家、声優などの話題。このほか、2月の書展では矢口高雄、赤松中学、的良みらん、岡野玲子などが、8月の漫博には蒼山サグ、許斐剛、木村心一、藤島康介、平野綾、平坂読、ブリキなども招かれていました。

台湾にやってきたのは人だけではありません。順位は大きく飛びますが、日本でも大ヒットの作品が2位に。

◆第2位:九族文化村の『ONE PIECE』の全貌を単身で直撃! 今日、正式に台湾初登場(07/08)

人気作品『ONE PIECE』のテーマパークが初めて日本以外に誕生する。その場所として台湾の九族文化村が選ばれたというニュースが報じられると、多くの人から白熱した議論が展開された。巴哈姆特GNNでもオープン初日のために特別に南下、多くのファンたちがWebを通じて初めての現場ルポを見られるようにした!
この件に関する楽しいニュースとして、この企画が大好評であったことから、九族文化村が企画の終了日を当初の12月から延期し、2012年4月にすることを決めたことがある。まだ体験していないファンは、急いでチャンスを掴むんだ!

巴哈姆特GNN2011年十大アニメ・マンガニュース (巴哈姆特)

飛ばしてしまった話題の中で、やはり多かったのは日本のアニメに関するもの。第8・7・6位と3つ続いているので抜粋して訳。

◆第8位:『魔法少女まどか☆マギカ』のオフィシャルサイトが更新、劇場版制作が決定!(11/10)

2011年1月に日本で放送が始まったオリジナルテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』は、監督を新房昭之、脚本を虚淵玄、そしてキャラクタデザインを漫画家の蒼樹うめが担当した。一般人が思い浮かべる萌え系アニメを脱却し、平凡で幸福な夢のあるお話であるかのようなストーリーと、人を絶望の深淵に落とし込みそうな展開が背中合わせで進み、その捻じ曲がった面白さと幸せの猟奇的なストーリーが、視聴者たちによる熱烈な議論を各所で巻き起こした。
この作品は、ブルーレイ・ディスクの販売数が何度も新記録を更新し、さらに、日本の文化庁によるメディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞した。年末近くには、三部作による劇場版作品の制作が大々的に発表されるなど、まさに、今年の話題の新作だったと言っても過言ではない。

◆第7位:新たなるスタート! マッドハウスがアニメ『HUNTER×HUNTER』を制作(08/02)

毎回毎回、登場するたびに話題になり続ける漫画家、冨樫義博による書き下ろし作品『HUNTER×HUNTER』は、既に何年も前にアニメ化され、どれも多くの人から愛されてきた。今回はマッドハウスが制作の重要な部分を担うという点、前作の続編という形ではなく最初から始まるという点、そして出演する声優陣も大幅に入れ替わっている点が特筆される!
しかしながら、より多くの人が関心を持っているのは、「はたして原作の漫画はいったいいつになったら終わることができるのだろうか?」という点ではないだろうか?

◆第6位:ガンダムシリーズの最新作、アニメ『機動戦士ガンダムAGE』のPVと内容が公開!(06/14)

ガンダムシリーズでは初のテレビゲーム化を前提とした、メディアミックスによる企画シリーズ『機動戦士ガンダムAGE』は、有名ゲームメーカーのレベルファイブが企画制作に協力した。これまでのガンダムシリーズを見たことがない子供たちから、逆に近年のガンダムシリーズを見ていない大人までを視聴者のターゲットにしたもので、そのストーリーは「100年」、祖父から孫まで三世代にわたる戦いを中心にするものとなった。これにより、ガンダムシリーズのファンの間でもホットな話題となった。

巴哈姆特GNN2011年十大アニメ・マンガニュース (巴哈姆特)

もっと上かと思ったんですが、二次元は案外下位のランクインでした。一方、日本をはじめとする外国からの作品を輸入し続けるだけではありません。9位にはこんな話題も。

◆第9位:台湾、アングレーム国際漫画祭2012のアジアのテーマ国に(08/31)

2011年、台湾政府はアニメ産業の発展に力を注ぎ、立て続けに世界的に著名なイベントへの出展を果たしたほか、国内でも創作の分野で開拓を行った。金漫奨の手続きを延長したほか、年末には台湾漫画資訊網もオープンさせ、新北市や高雄市などの地方政府部門も新世代のクリエイターを育成し続けようと努力している。

巴哈姆特GNN2011年十大アニメ・マンガニュース (巴哈姆特)

そして、2011年を語る上で外せないのが東日本大震災です。巴哈姆特の十大ニュースでも5位に入ったのがこれ。

◆第5位:週刊少年ジャンプ×鳥山明、YouTubeに動画をアップロード 広告収益は義援金へ(03/16)

2011年3月に日本の東北地方で発生した地震による被害に対し、日本の漫画家、鳥山明はすぐに週刊少年ジャンプの公式サイトで人々を応援し、激励するイラストを発表した。さらに週刊少年ジャンプはそれらをもとに公式に動画を制作、YouTubeに掲載し、全ての広告収益を義援金として送ることを発表した。
この地震の影響により、日本では今年の東京国際アニメフェアおよび初開催が予定されていたアニメコンテンツエキスポの両方が中止を余儀なくされた。しかし、現在のところ両イベントとも2012年の開催日程を既に発表している。
今年の震災に関連して付け加えると、台湾人が日本に対して大きな支援を行ったことに対し、日本から台湾を訪問した多くの漫画家、作家、ゲストたちが、揃って台湾に対する感謝を述べ、今後も台湾が日本とより緊密な交流、協力関係を続けられることを願っていると話していた。

巴哈姆特GNN2011年十大アニメ・マンガニュース (巴哈姆特)

巴哈姆特の記事から拾うと、例えば震災後に開催された8月の漫博11では許斐剛が「震災で、私たちは台湾からとても多くの支援を受けた。私は、『台湾はきっととても人情味溢れ、温かみのある場所なんだ』と思ったんです。なので、ずっと台湾に行きたいと思っていました。実際に台湾に来てみて、その期待に対する失望はまったくありませんでした。食べ物はどれもとても美味しいし、とてもよい国ですね(抜粋のうえ意訳)」と語ってます。同じく漫博11に招かれた平坂読とブリキは、「謝謝大家」の特大パネルを返礼として持参しています。やはり、絆は互いに引き合ってこそですね。
それはそれとして、ジャンプの応援メッセージですが、個人的にいちばんやられたのは、不覚にも『銀魂』の空知先生のメッセージでした。

それでは残った上位陣、第4・3・1位は、いずれも「実写化」がキーワードでした。以下、抜粋して訳。

◆第4位:実写版『るろうに剣心』が2012年ロードショー! 主演は佐藤健が決定(06/28)

和月伸宏による漫画を原作とする『るろうに剣心』が、アニメ化15周年を迎えた。これを記念して新ゲーム化や新作アニメといった各種の企画が立て続けに発表されている。さらに、2012年には実写による映画の公開が予定されている。実写版では、『仮面ライダー電王』の佐藤健が主役の剣心を演じることになる!

◆第3位:実写版『らんま1/2』のキャラ衣装が大公開! 新垣結衣のショートカットが発表に(10/21)

高橋留美子の人気アニメ作品『らんま1/2』が2011年、実写版TVドラマがスペシャルドラマとして放送された。人気女優の新垣結衣が主演のあかねを演じたことや、日本と台湾の放送がほぼ同時(訳註:日本で12月9日に放送されたのに対し、台湾の緯来日本台が放送したのは翌10日)に放送されたことより、多くの台湾のファンたちにとって、古典的な作品の違う見方を初めて観ることができた。
トップ10に入った『らんま1/2』や『るろうに剣心』のほか、2011年は『ハヤテのごとく!(訳註:台湾の八大電視によるもの)』、『荒川アンダー ザ ブリッジ』、『忍たま乱太郎』、『進撃の巨人』などの実写化が報じられて大いに注目を集めた。まもなくやってくる2012年には、より多くの期待される作品が登場するだろう!

◆第1位:ジャン・レノがドラえもんに扮する! 山下智久がスネ夫! 実写版CM第2弾が公開(11/18)

トヨタ自動車が、人を驚喜させるイマジネーションを発揮した。『ドラえもん』をテーマに撮影された一連の実写版TVCMは、人々がよく知っている『ドラえもん』の20年後の世界を舞台にしている。妻夫木聡がのび太を演じ、ジャイアン役には総合格闘家の小川直也があてられている。このほか、山下智久がスネ夫の、水川あさみがしずかの役となっている。
しかし、ここまではまだ良い。最も衝撃的だった人選は、丸々っとしたドラえもんをなんと世界的な名優、ジャン・レノが演じるというところだろう。もともと日本文化を大変好んでいるというジャン・レノだけに喜んだそうだが、いったい誰がそんな想像をすることができたろうか。これによって、このシリーズCMは一気に、今年もっとも印象に残った話題となってしまった!

巴哈姆特GNN2011年十大アニメ・マンガニュース (巴哈姆特)

なるほど、そう来たか! って......言っていいのかどうなのか。いちおう当該記事のコメント欄を見ると......ああ、やっぱり1位に対する反応が大半でした。中でも気になったのがこのコメント。

9 名前:名無しのくせになまいきだ@台湾
  この1位は強敵ではあるが、しかし上位はみんな三次元の記事じゃないか。......三次元がだんだんと二次元の世界を飲み込もうとしているのか。

巴哈姆特GNN2011年十大アニメ・マンガニュース (巴哈姆特)

2012年はいったいどうなるんでしょうか。割といまさらですが、本年もよろしくお願いします。
さまざまなことがあった2011年も、なんだかんだ言いながら終わろうとしています。日本時間であと3時間半、台湾でも4時間ほどですかね。
今年、この拙いブログにアップされたエントリは、「そういえば、正化23年になりましたね。」から始まり、実は今回でちょうど50個目になります。狙ったわけじゃないですよ。そんな器用な真似はできません。月別で見ると、意外にも地震のあった3月がいちばん多くて7回更新しています。ただし、震災前のものが3回あるので、「発生後の報道を頑張って拾った」というわけではないのですが。
去年の大晦日に書いた「歌がつなぐは、誰が想いか。」を見ると、2010年の更新回数は42回だったそうなので、あれ? 増えてるってことですか? それもどうかなあと思ってしまったり。いずれにしても、いつも読んでくださっている方にはありがとうございます。Google先生の悪魔の誘導で辿り着いてしまった方には全身全霊でごめんなさい。

さて、紅白歌合戦の超絶個人的裏番組ということで、去年に続いて取り上げ損ねたニコニコ動画の歌でも。というか、今年は本当にニコニコ動画から引っ張ってきていないんですね。5月の「街は過保護なくらい彼女の願いに忠実だった。」で持ってきた『家出少年と迷子少女』の1曲だけだったとは。これはもしかして、おいらの中でニコニコ動画離れが進んでいるのかもしれません。いや、実際は違うんですがそれは後ほど。
あえて言うなら無理にこじつける傾向が無くなった、というところなんだと思います。今年「取り上げ損ねたなあ」と思ったのは、この4曲。今年もまた4曲。

★ ライン(アルバム『supercell tribute ~Stowaways~』から)(supercell/ジミーサムP)


一般流通が今年に入ってからだから、今年の曲ってことで。「supercellの曲を他の人がリミックスする」ということで、1stアルバム『supercell』と聴き比べると面白いCDでした。聴く側もわがままだから、「やっぱsupercellの曲はすごいね!」と同時に「この人がアレンジするとこうなるんだ!」という両方を楽しみたいものなのです。なので、あえて最初は誰がアレンジしたのかを見ないで聴くというのも一興かと。
だから、その両方が感じ取れる曲、たとえば『嘘つきのパレード』は流石の小林オニキスさんでしたし、疾走感溢れる『初めての恋が終わる時』がバラードになるならこの人、と誰もが考える人選で期待通りにdorikoさんを持ってきたのは嬉しくなるし、「ここでハンドクラップ入ったら間違いなくKNOTSさんだなあ」と思って聴いてた『その一秒、スローモーション』で本当に聴こえてきてびっくりしたし、ichiさんの『またね』のまさかの長さに恐れ入るのです。
でも、やっぱりこの曲の右に出るものはないかなあ。原曲と違って長いイントロ、ああもうこの時点でこの人しかいないよ、というジミーサムPの音。それでいて切なくも懐かしい歌詞は明らかにryoさんのそれ。好きな曲が、それと同じくらいに別の輝きを放つアレンジに出会えたという点で、トリビュートアルバムを含めて良いのなら、この『ライン』が入っているというだけで、今年いちばん良かったCDに挙げたいと思います。

脱線しますが、ちょうどこのアルバムを繰り返し聴いていた頃に、米澤穂信のいわゆる古典部シリーズを読んでいました。supercellの中二感がぴったりきますね。あれ、高校が舞台ですけど。『遠まわりする雛』の最後に収められている表題作を読んでいる時に、ちょうど『ライン』が流れてきて、そのままリピート再生。実際、この歌詞にハマるような場面はありそうで出てこないのだけど、あの「やきもきする感」とマッチしていたように思います。
うお、なんかすごく長くなったな。以下、蕎麦もあるので足早に。

★ アニヴァーサリィプレイス(かごめP)


後述する10選から今年も漏れた歌愛ユキ。と言っても、去年は単純に絞っていく過程で『生きてます』(蜜蜂/No-H)が残らなかっただけですが、今回は伸びてしまったという理由。いや、それにしたって伸びるならもっと伸びてもいいと思うわけですよ。

★ 綺麗な世界(アルバム『小さな自分と大きな世界』から)(40mP)


今年手にしたCDのうち、個人によるもので「これ!」という1枚を選ぶとしたら、40mPの『小さな自分と大きな世界』でしょう。前作の『LIFE SIZE NOTE』も持っているのですが、実はあまり印象に残ってなかったのでした(おい)。この一枚でトリノコ......虜にされたと言っても過言ではありません。でも、ごめんなさい。いちばん好きなのはニコニコ動画に上がっていない、クロスフェードの3分8秒あたりからのこの曲だったりします。

★ Hello, Worker(KEI)


今年もまたここで紹介せざるをえなかったKEIさんの曲。年金にしろ税金にしろ失業率にしろ、働く者、働かない者、働けない者、働きたくない者、働いてきた者、働こうとする者、「働く」という行為に対する価値観や立場がすごく際立った年だったんじゃないかなあ。KEIさんの感性は今年も光っていました。

ということで、一昨年と去年に続いてまたもやってしまった「VOCALOID曲10選」。記念日的な動画が2つあったので、10+2になりました。今年は特にそうだったんですが、ニコニコ動画をまとまった時間で観る機会がなくて、ぼからんも全く観ませんでした。その代わりに日刊を観ていたのですが、あれ? トータルするとそっちの方が結果的に長くなっているような。その時に「この曲いいな」と思ったのをひょいひょい集めていったら、なぜか年末までに45曲(上に書いた+2を除いて)になってしまったので、10曲にするのに苦労しました。特に45→20くらいは簡単だったんだけど、そこから10にするのにえらく時間がかかった気がする。自分でも玉石混交だなあとは思いますが、そんな45曲と合わせて、よろしければどうぞ。



こんなおいらですが、2011年も引き続きよろしくおながいします。
来年はどんな曲に出会えるんでしょうか。じゃなかった、どんなニュースに出会えるんでしょうか。皆さまどうかよいお年を(ここまでテンプレ)。
そういえば「『COLORFUL DREAMS 3』がやってきた。」も2年前の12月だったんですね。タイトルのとおり、先月末の「馬英九・蔡英文も登場する台湾のマンガ『台大裸體藝術社』が全く自重していない。」で紹介した、『台大裸體藝術社』が届きました。
実は、これを買うつもりはあまりなかったのですが(おい)、まず韋宗成がPlurkの中で先のエントリに触れているのを見つけてびっくり。しかもエントリをわざわざ中文訳してくださる方までいて、だんだんと「あ、これは『ついうっかり 票を入れて 買ってしまいそうです』じゃなくて、ちゃんと手にした方が良いかも」と思うようになった次第。発売開始直後の博客來で、まさかの品切れに直面するといったハプニングも経つつ、ようやく届いたのがこちらになります。

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あ。やっぱり自重していない(くどい)。
この本、タイトルそのままに、架空の「國立台彎大學」を舞台にしたコメディ漫画です。『裸體藝術社』というサークルでのドタバタ劇がメインとなるわけですが、なんと主人公の卓健吉が登場2P目、実質3コマ目で素っ裸です。

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そして何がすごいかって、その後しばらく男性の裸体が出てこない見開きがない。イントロにあたるストーリー漫画っぽい部分が終わり、最初の4コマからしてこれ。

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こうも男の裸が男の裸が、と書くと、なんとなくBL的な雰囲気を警戒しそうですが、そっち方面のネタは(おいらが見た限りでは)ありません。むしろ、大半が4コマということもあって、また作者の絵の雰囲気からも、どことなく「まんがタイムきらら」系の香りを感じます。まあ、芳文社さんには申し訳ありませんが、あまり読んだことがないので正しい表現なのか甚だ疑問なんですが(おい)。
一方で、『裸體藝術社』という名前や設定からも分かるとおり、ネタのテンションは限りなく少年誌です。じゃあそれでいて4コマならば「コロコロ」や「ボンボン」かと言うとそれも違う。後述するように政治家や文化人のパロディも登場するので、むしろギリギリ「少年ジャンプ」。大学が舞台だけどそんな感じ。日本だと『東京大学物語』という作品がありましたが、同じ裸でもあれとは違います。そうだねえ、あえて言うなら『すごいよ!! マサルさん』が「まんが4コマぱれっと」に載っているような感じです。って、それは一迅社じゃんか。
そう考えると、ネタの範囲とテンションと画風と表現方法は、かなり独自の世界かもしれません。日本だと拾える雑誌が無いんじゃないかなあ。もっとも、良くも悪くもネタに応じてキャラのビジュアルが変わるので、ちょっとデフォルメが激しいとついていくのが大変でしたけど。

この作品が実在の人物をパロディにしているのは、前回のエントリでも触れたとおりです。ところが、実際に読んでみて「おおっ」と思ったのは、日本のサブカル文化をベースにしたパロディがことのほか多いという点です。上の4コマの画像の最後のコマで気付いた人がいるかもしれませんが、「まずは紹介しよう。これが俺のガールフレンドの愛花だ」という台詞のとおり、どう見ても「ラブプラス」です。本当にありがとうございました。
初っ端からこの調子ですが、台詞にしろキャラクタにしろシチュエーションにしろ「どこかで見た事があるような」がポロポロしています。ちょろっと拾い上げてみようかと思ったのですが、『銀河鉄道999(たぶん)』『DEATH NOTE』『大改造!! 劇的ビフォーアフター』『名探偵コナン』『涼宮ハルヒの憂鬱(たぶん)』『けいおん!』『ドラゴンボール』......と、半分くらいまで読んでる間にこの程度の「どこかで見た事があるような」ネタが入っています。もしかしたらまだあるのかも。
なんで半分で切ったかと言うと、第6章で裸體藝術社のメンバーが「開拓動漫『紀』」に参加するのですが、ここから先は元ネタを列挙したらそれだけで1エントリ書けそうな気がする分量です。そういう意味では、これは日本人が読んでもとても面白いと思うんですよね。だって、ここまで出版社や作家を気にせずやるのって、久米田康治でも無理なんじゃないかなあ。そういう点でも「まったく自重していない」と言えそうです。良い意味で。
ちなみに、おいらがいちばんツボったのは、『魔法少女 まどか☆マギカ』でも『トリビアの泉』でもなく、マラソンが競技種目だと発表された時のコマが『LIAR GAME』だったところでしょうか。

さて、第7章を経て第8章からは完全に時事ネタです。それはそれは、主人公の影が薄くなるほどに。

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きっと当選者にはなれないお前たちに告げるっ!
前回のエントリを書いた時には、蔡英文こと蔡櫻文があまりに可愛くデフォルメされていたので、「彼女が馬総統をやりこめる話なのかなあ」と勝手に思っていたのですが、そう一筋縄でもなかったです。霊能力を使ってドンパチが繰り広げられるという展開は、それまでのキャンパスコメディの空気をひっくり返しそうになるのですが、キャンパスの構造と、何より李学長がいい味を出しています。こういう設定は割と好きですねえ。
これは個人的な感想ですが、馬も蔡も都合よくドラマティックに描かれているものの、善悪両面のあるキャラクタになっていたのが上手いなあと思いました。まあ、馬総統が心霊空間で「すまなかった! 良い政治が全然できてなくて」と懺悔したのに対し「いや、そんなことみんな知ってるから」とツッコまれる場面があったり、繰り返しになるけど蔡櫻文のキャラクタデザインを考えれば、若干の凸凹は感じますがね。
それにしても、オチがそのパロディか......。

いろいろ書いてしまいましたが、感想を一言で表せば面白かったと思います(月並みだなあ)。おいらの中国語力がイマイチなのと、何より繁体字を読むのが苦手なので、狙ったものを全て受け止められているのか自信は無いんですけどね。ただ、絵の安定感とコマあたりの情報量を考えると、4コマじゃない方が良いような......なんて。

ところで、この本には未來數位へ感想を送れる受取人払の葉書が入っていたんですが、これって日本から送ってもタダなの?←

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