市長よ、お前の命のために走れ。

前回の更新から、気がつけば1ヶ月以上たっています。うぅん。2月は3回も更新できたので、個人的には出だしは上々って感じだったのですが、急ブレーキ。本当は、二二八事件70周年に関するニュースや前瞻基礎建設計画‎など、書こうとしていた話題はいくつかあったんです。ただ、モタモタしているうちにどれも旬を過ぎてしまい、ご覧の有様。うん、前と全く変わっていないね。

今年8月、台北ではユニバーシアードが開催されます。台湾だと「世大運」と略されることが多いみたい。その世大運のメイン会場となるのが、台北田径場、日本語に直すと台北陸上競技場です。今回、開催に向けて昨年9月から進められてきた改修工事が、先月29日に終わりました。柯Pこと柯文哲・台北市長が出来映えを視察し、ユニバーシアード出場選手や同大会のマスコットキャラクタ「熊讃」らとともに、新しくなったトラックの試走を行うことに。

まあ、ここまではよくある「大会PR」なのですが、大切なお披露目にも関わらず、走り出した柯Pは数歩進んでから泳ぐように急ブレーキし、前のめりにダイブ。また、おいらのはてブの「柯P何やってんすかシリーズ」タグが増えるじゃないすか。これはこれでケチがつくんじゃないかと思いきや、7日の自由時報によれば、しばらく走っていなかったのと準備運動が不充分だったため、身体の動きがチグハグになってしまったことが転倒の原因だし、怪我をしなかったことは、かえってトラックの弾力性が充分な品質を備えている証左だとコメントしたとか。確かに、初っぱなから怪我されたんじゃ縁起が悪いというのは各国共通なのかも。この転倒、自由時報がYouTubeに動画もあげているので観てみましょう。うん、いいコケっぷりですね。ちなみに、8日の中央通訊社によれば、山ほどサロンパスを貼って凌いだとか。

また、柯Pは7日にFacebookで走り直した後のゴールの時の写真を載せています。その写真に付けたコメント「転んでしまっても、また起き上がればよい。立ち上がったら、もう一度勇敢にゴールを目指すのだ」や、微妙にネタに走っているハッシュタグなどが、ネット上でも話題になっていると、7日の聯合報が伝えています。

ここまでであれば、若干「いいはなし」で終わるのですが、柯Pが走り出してから転ぶまでの数秒間の素材を駆使して、PTTではクソコラグランプリ状態に発展しました。またか。またお前らか。以下、各紙(中央通訊社自由時報中国時報TVBS)が、「まとめサイト」化して集めてくれたPTTの画像を。うぅん、ハードル競走のやつは違和感なさすぎて怖い。

クジャクヤママユより佐久間まゆ。

このところの『けものフレンズ』の爆発力に乗じて何か書こうかと思ったのですが、前にもTwitterで触れたとおり、文字にしてしまうと一気にトラウマ案件になってしまうので、やっぱ無しで。


それにしてもこの作品、爆発力もさることながら、時限爆弾のような一拍置いた盛り上がりにしても、その後の持続力にしても、昨今例を見ない不思議な反応を展開しています。

初回はそこそこ期待値高かったけど、ちょっとすると人気が下がって落ち着くところで水平飛行、というのは何もおまいらの大好きな作品に限りません。いつもと同じ強引な前フリですが、16日にTVBSが報じた台湾の政治家の声望調査(人気度調査と思ってそんなに外れなさそうです)の結果によれば、総統選挙から1年あまりを迎えた蔡英文・総統ら台湾の政治家・元政治家15人で、明暗が分かれています。以下、「満足」/「不満足」/「満足-不満足」について、「満足」の高い方から順番に、ドン。なお、データ元はTVBS民意調査センターの結果(pdf)でっす。

  • 第1位:陳菊(高雄市長)… 62 / 17 / +45
  • 第2位:頼清徳(台南市長)… 58 / 17 / +41
  • 第3位:柯文哲(台北市長)… 50 / 13 /+37
  • 第4位:鄭文燦(桃園市長)… 50 / 28 / +22
  • 第5位:林佳龍(台中市長)… 46 / 20 / +26
  • 第6位:宋楚瑜(親民党主席)… 42 / 26 / +16
  • 第7位:朱立倫(新北市長)… 38 / 27 / +11
  • 第8位:陳建仁(副総統)… 36 / 26 / +10
  • 第9位:蘇嘉全(立法院長)… 35 / 31 / +4
  • 第10位:馬英九(前総統)… 33 / 36 / -3
  • 第11位:蔡英文(総統・民進党主席)… 29 / 47 / -18
  • 第12位:林全(行政院長)… 27 / 45 / -18
  • 第13位:洪秀柱(国民党主席)… 27 / 45 / -18
  • 第14位:黄国昌(時代力量主席)… 24 / 48 / -24
  • 第15位:李登輝(元総統)… 23 / 38 / -15

もともとこういうのって、地方の首長の方が優位になっちゃうんだけど、上位2人が思っていた以上に強い。災害対応で数字がピョンと上がっていた頃に比べれば減っているものの、それでも6割前後キープ。そして柯Pが善戦している一方で、朱立倫が伸び悩んでいる感じ。先ほどのTVBSの記事によれば、それでも去年の選挙後の数字(満足が31%)よりは伸びているみたい。

下の方に目を移すと、10位になぜか出てくる馬英九。TVBSは解説の中で、去年は満足が24%だったので9pt回復しているが、それでも不満足が36%、と。もう許してやれよ。そしてここから下が「満足の割合<不満足の割合」という方々です。ということは、「満足している人の方が多いかどうか」=「馬英九より上か下か」ということなるため、図らずもネトウヨの皆さんにもたいへん伝わりやすくなりました。

続いてみていくと、11位に蔡英文、12位には林全が、そして13位洪秀柱まで、それぞれ差し引き-18ptという結果で並んでいます。蔡英文は、当選した直後(2016年3月)の満足度63%から比べると、-34ptという大きな落ち込みです。TVBSの記事の解説にもあるとおり、支持政党別のクロス分析を見ても、民進党支持層(87%→55%)、国民党支持層(40%→8%)とも32ptの大幅なダウン。というか、両方とも去年の数字が高すぎという感じがします。就任1年後の総統の満足度が30%って大丈夫なのか、という話もありますが、馬英九も2期目の開始約1年後(2013年4月)に行われたTVBSの調査(pdf)では、満足度で16%、不満足を引くと-48ptという結果だったので、うんまあ、なんとかなるんじゃないかな。

上でクロス集計の話が出たけれど、民進党、国民党、そして時代力量の各党主席の満足度について、支持政党別の集計をかけているのが興味深いですね。まず、今回の政党別支持率を見ると、1年前(2016年3月)と比べて民進党(25%→24%)や国民党(20%→21%)がほぼ横ばいに対し、時代力量が大きく減らし(15%→8%)ている点で、なんというか時代力量の力量が問わr(自粛

また、前回・今回の2回×党主席3人(ただし、前回の調査時点では黄国昌の満足度が調査対象になっていないので)の計5パターンについて、「満足」でも「不満足」でもない「意見なし」な人たちが最も少ないのが、すべて時代力量の支持層。言ってみれば、好みがはっきりしているわけで、こういう人たちをつなぎ止めておくのは大変だろうし、逆に増やしていければ大きな力になりそうです。確かに、今回の満足度調査で、民進党支持層の蔡英文「満足」の割合(55%)や国民党支持層の洪秀柱「満足」の割合(46%)よりも、時代力量支持層の黄国昌「満足」の割合(75%)が圧倒的に光ります。さて、コアな層の路線で行くか、もっと裾野を広げていけるか。ただ、時代力量支持層の蔡英文「満足」が今回56%(不満足を引いても+22pt)に対し、民進党支持層の黄国昌「満足」が36%(不満足を引くと-10pt)というのを見ると、流れていってしまいそうな予感が見え隠れしていたり。

さて、結果に対する反応でも。まずは緑系からいくと、16日の自由時報は記事題で「上位2人は順当だが3位が驚きの結果」としているほか、蔡英文が馬英九よりも下だということも書いています。やっぱり比較対象はそこなのかな。

政治家の捉え方も見てみましょう。まずは1位に輝いた陳菊おばさんから。17日の聯合報によれば、世論調査は参考にすぎないとしつつも感謝を述べたうえで、11位だった蔡英文とは役割が違いすぎるのだから、このような比較は好ましくないとバッサリ。同じ17日の聯合報(一次ソースは中央通訊社)には3位に入った柯文哲・台北市長のコメントを紹介されていますが、世論調査は株と一緒でたまに見るのがいいのであって、毎日気にしていたらやっていられない、というなんとも柯Pらしい感じ。

一方、国民党側はというと、元総統府秘書長の羅智強が17日の聯合報で吠えています。いわく、両岸政策が悪くなれば経済が悪化するし、経済が悪化すれば内政に影響が出るし、内政に影響が出れば政権が崩壊する、と。なので、蔡英文がうまく政権運営をしたければ両岸の安定は不可避であり、それは馬英九路線の継承を意味する、と。おう。

また、折しも国民党は過去最大の乱戦となっている党主席選挙の真っ最中。蔡英文の満足度が大きく減ったにも関わらず、洪秀柱がさらにその下を行ってしまったので、他陣営はここぞとばかりに乗っかります。これも17日の聯合報からですが、有力候補の一人、郝龍斌・副主席は、党の顔である主席がこの体たらくでは、今後の党のイメージに影響が大きいと憂慮しており、遠回しに「やっぱ俺じゃないと」と言っているような言っていないような。

確かに政治家にとってイメージは重要だし、政治家のイメージが党のイメージに直結するというのもわかるんだけど、15人を並べて「YesかNoか」と問われた調査で、「あんまり人気がないんだ」「ダメじゃん」とか「なんか好かれてるみたい」「やってくれそうな予感」みたいなのもなんだかなと思うのです。でもまあ、こういう一時の評判をもって判断する危うさは、別に台湾に限った話じゃないし、政治家に限った話でもないよね。「馬英九より上か下か」みたいな安直な評価を提案してしまったおいら自身を含め、巡り巡って自分に返ってくることに気を付けたいものです。


びえええ。

ポストの中の休日。

まずは前回の「また「はじめまして」のご挨拶。」というタイトルの答え合わせから。『ラブライブ!』かと思った、という指摘があって「何のこっちゃ?」と思ったら、CDのボイスドラマにそういう名前のものがあったのね。いやー、しらなかったなー。なにしろここアニメのブログじゃないしなー。

なお、出題者の意図した解答は、『夢灯籠』と『ミカンズのテーマ』でした。いや、別に問題を出したわけじゃないんだけど。

さて、再開早々に長期のお休みをしてしまったので、ここで休み癖がつかないようにちょっとだけ頑張りましょう。とはいえ、今や労働時間に対しかなりセンシティブな世の中です。よしわかった。来年から本気出す(農暦的な意味で)。

「来年から本気出す」で働き方が変わったのが台湾です。昨年改正された改正労働基準法が1月1日から施行され、主に労働者の休日について改まりました。ものすごく乱暴に書くと、実質的に完全週休二日制になりました。乱暴すぎるのでもうちょっと足すと、これまでの「1週間のうち、1日は法定休日(例假)」に加え「それとは別に1日の休日(休息日)」で計2日の休息を設ける必要が出てきました(改正後の労働基準法第36条)。この「1日の例假+1日の休息日」という改正点から、「一例一休」がキーワードになっています。つまり、この語でぐぐれ。他にも変わっているから。さらに驚くべきは、使用者がこの休息日に勤務を命じた場合、最初の2時間は時給の4/3倍以上の額を加算、それ以上働いたら時給の5/3倍以上の時給を加算するというところ(同法第24条)。また、時間計算は4時間単位で繰り上げというおまけつき(同法第24条)。「あれ、1/3を加算して4/3にするんじゃないの?」と思ったんだけど(日本だと、35%以上の加算なので)、おいらの語学力では「その賃金は、通常の時給とは別に1と1/3倍以上の額を加算して支給する」としか読めない。つまり、休息日に勤務を命じるということは、実質的に「倍プッシュだ……!」ということに。平日の時間外は変わらず「1/3倍以上を加算」のままなので、露骨に「休息日には働かせるなよ、な」感が前面に出ています。すごい。プレミアムフライデーのプレミアムじゃない感と天と地の差。やっぱ、ここまで荒療治をしないと労働環境というか社会的な空気というかは変わらないのかな。

もっとも、この法改正、蘋果日報の記事によれば昨年12月6日の深夜に立法院で成立して1月1日施行という、周知期間もへったくれもないスケジュールで動いているので、たぶんその対応でものすごい時間外労働が発生しまくっているような気がします。また、コストを抑えて企業活動を回そうとすると、その分の労働力の調整も図らなければならないのですが、急には難しいよね。となると、当面は休息日の加算を覚悟のうえで動かしていかなければならないので、コストに転嫁されることも容易に想像されます。

事実、8日の中央通訊社によれば、今年1月の消費者物価指数は前年同月比で+2.25%という結果。記事によれば、食料品が同+2.98%、外食費が同+1.60%となっているが、これが一例一休によるものかはまだ分からない、とのこと。いやまあ、それ以前に台湾の消費者物価指数って、グラフで見ると一目瞭然のとおり、日銀もビビるレベルで上がっているので前年比で言われてもだし、主計処によれば去年12月と比べちゃうと-0.02%、季節調整値で-0.20%だとか。

一方で、コストに転嫁しないように労働力を調整しようとすると、それは総労働時間または一人あたりの労働時間の縮小を意味します。っていうか、それが主目的のはずです。これをめぐって二転三転、樹海に迷い込んだのが中華郵政でっす。もともと台湾の郵便局は全土で1,311局ありますが、基本的には月曜から金曜までが営業日。土曜も開いている(ただし基本的に午前中だけ)ところが287局ありました。あ、郵政代弁所と呼ばれる民間の代理店はノーカンです。昨年12月24日の経済日報の記事を見ると、中華郵政の陳憲着・総経理が「一例一休で、休息日の加算額が年間2億元から3億元増えそう。土曜営業局の半分はやめて、その代わり残り半分は16時まで営業にしたい」と公表し話題になりました。今週5日の聯合晩報では、「国民にとって不便となるのでは」と賀陳旦・交通部長が懸念を示したこともあって、消息筋の話として、「土曜営業をやめるのは、40から50くらいになるのでは」と規模縮小を匂わせています。同じ記事では「土曜も開いていた方が便利」という市民の声も載せていますが、うんまあ、そりゃ利用者はそう言うよね。他方で、働いている局員の悲鳴も掲載しています。そして、迷走の果てに7日王淑敏・副総経理が発表した方針はと言うと、「土曜営業の郵便局を増やします」。

!?

ちょっと何言ってるか分からないので7日の中央通訊社の記事を見ると、交通部から「国民の世論も考えて」と言われたため、「287局から半減」というアドバルーンを速攻で回収したうえで、25日から高雄佛公郵便局を第2土曜日に営業させることで「288局に増やす」という方向に方針転換。あれれ。25日って第4土曜日じゃないすか。って、そこじゃないか。ただし、これまで8時30分から12時までという土曜の営業時間を9時から12時までに改めるという泣きの一撃もかましています。これ、4時間単位で切り上げという改正内容を踏まえてのことかなあ。なお、これによって増加する人件費は年間2億元と想定されますが、全部中華郵政がやりくりするとのこと。

うーん。そもそもこういう公的な企業が率先して働き方を見直した方がいいとも言えるし、社会的に一例一休が浸透する前に休まれると会社員が困るとも言えるし難しいところ。導入期の混乱ぶりも、人件費増の生々しい数字も、全部中華郵政が体現してくれた感じでしょうか。もっとも、実は台湾の郵便局で日曜もやっているのは故宮博物院内の1局だけ(例によって代弁所はノーカン)。180局以上が窓口営業し、ゆうゆう窓口まで含めると1,000局以上も人が動いている日本と比べると、「休む時は休む」というバッサリ感が出ています。おいらに未来の絵姿は見通せませんが、もしかすると、一例一休が進むと台湾の郵便局も変わってくるのかな、とも思ったり。