どこの「姫川」で回せば姫川さんをお迎えできるのか。（その7・最終）

前々回の「その5」、前回の「その6」と、なぜか3ヶ月おきの更新です。備忘というよりも、月末のフラグになっているような気がします。

さて、「その1」のときに挙げた6ヶ所の「姫川」と、おまけで寄り道した「姫川原」は前回までに訪問し終えました。6ヶ所を拾ったのは、Wikipediaの「姫川（曖昧さ回避）」、goo郵便番号検索および角川日本地名大辞典の別巻2で調べたものですが、その後、「地理院地図」で念のため検索したところ、なぜか福島県南会津郡下郷町が引っかかりました。

小字だったら目を瞑ろうかとも思ったのですが、会津バスの路線図を見ると、「姫川橋」というバス停もあるみたい。これは仕方がない。行ってみるしかないでしょう。それにしても、この姫川橋が架かっているのは戸石川という川で、姫川という名前ではありません。これはちょっと気になるので『下郷町史』を調べると、「高倉宮以仁王にまつわる伝説」として、宇治川の戦いで敗れた以仁王が上州沼田から南会津を回って越後に落ち延びた話が出てきました。またか。義経伝説が由来の乙部町の姫川に続いて、またしても『鎌倉殿の13人』の周辺の逃亡劇が由来ですか。ともあれ下郷町史に載っている伝説によれば、この以仁王を追いかけて、正室の紅梅御前と側室の桜木姫が白河から大内宿までやってきたそうです。ところが、一足違いで以仁王は越後に向かってしまっており、二人は失意のあまり、相次いで当地で亡くなってしまう。二人が亡くなったことはすぐさま越後に入っていた以仁王に伝えられ、以仁王は二人を弔うよう仰せられたとか。このうち紅梅御前については、戸赤に祠を作ったとのこと。

いま、戸赤の渓流をへだてた岸辺に小祠が祀られているのも哀れである。

ここの渓川を姫川というのは、悲歎の極に逝（な）くなられた橘姫（紅梅御前）をしのんで呼び、また、御前の墓と村との間には橋がない。幾度橋を架けても一夜の雨で流失してしまう。人目をさけての憂き旅に、生死の始末の情けなさを人に見られるのが辛いという。病魔に苦しみ、子どもも産めずにあの世に旅発って行った、誰にも会いたくない姫の悲痛な心を汲んで、流れてしまうのだと伝えられている。

下郷町『下郷町史』第5巻 民族編,1982,p649

日本語がなんだか微妙だけど、橋がない理由も含めて神秘的な伝説です。せっかくなので、その祠の近くまで行ってみることにしましょう。

なお、今回の訪問にあたっては、2020年7月に行ったときのものをベースにしていますが、2021年6月にスマホを修理した際にガシャ結果のスクショを退避し損ねるという大失態を犯したため、2022年4月に再訪してガシャを回しています。ガシャの結果は2022年の方が若干良かったのですが、本来の目的からすると大差はありません。

福島県南会津郡下郷町姫川橋（難易度：SR）

2回も行っておいてなんですが、下郷町に入るまでがけっこう時間を要します。2回とも東武鉄道の特急で行き来しましたが、だいたい4時間程度。時間帯によっては郡山まで新幹線を使ったあと、会津若松経由というのが最速みたい。日帰りはちょっとキツいので、おいらは2回とも1泊2日で行きました。

さて、会津鉄道の会津下郷駅（地図の①）まで来てしまうと、実は8割がた辿りついたも同然です。姫川橋は駅から歩いて10分もかかりません。しかし、今回は戸赤集落のさらに先にある紅梅御前宮まで行くので、「駅カフェしもごう」でレンタサイクルを借ります。南会津のレンタサイクルとあって、冬場は当然やっていません。また、平地の感覚で「もう春だから」も通用しません。2022年4月の訪問時はちょうど桜の時期でしたが、事前に確認したところ「今年はまだです。連休前後から貸出します」とのことだったので、予め問合せするのが正解でしょう。

（写真は2022年）

会津下郷駅の駅前から坂を下り、国道121号に行き当たったら北に折れてしばらく行くと、「姫川橋」のバス停が見えてきました（地図の②）。その奥に見えるのが姫川橋です。反対側から見ると分かるとおり、下り線側の路肩側に導流帯が続いています。橋の上にわざわざ導流帯を作るなんて珍しいので、いずれ車線をシフトして右折レーンでも作るのかなあ。また、下り線側から橋の外に目を移すと、戸石川の渓流といっしょに会津鉄道の鉄橋も見えます。

忘れないように、姫川橋で回すことにしましょう。ここでSSR姫川さんが来てしまうと、過去6回は何だったんだという気もしてくるのだけれど。

まあ、杞憂ですよね。デレステはSR2枚、モバマスはSR［なぞときツアーズ］安斎都という結果でした。これから山に向かうのに「なぞときツアーズ」は、やめてほしいんですが。気を取り直して、さらに国道を北に向かいます。県道131号との交差点を越えたところに、富田商店さんがありました（地図の③）。こちらのお店というよりは、店先に立っている電信柱が重要です。NTTの電柱番号の部分を拡大すると、「姫川1」。そうですね、「[1番センター] 姫川友紀」というわけですね。超強引だけど、こうでもしないと今回、ガシャを回す場所が無いんですよ。

テレステでは、なんとびっくりSSR[自称・アイの女王］輿水幸子が引けたほかSRも3枚。一方、モバマスはRのみでした。まさかフェス限が引けるとは思いませんでした。ん、待てよ。ということはもしかして。

などと邪なことを考えながら、国道を北へ進みます。地理院地図ではこの周辺に「姫川」という記載がありましたが、今の住所では「下郷町栄富」というのが大字。小字まで見たらもしかしたら「姫川」も出てくるのかな。ただ、やはりこの辺の一帯が姫川と呼ばれていたのは事実のようで、国道沿いにあった古峯神社の石灯籠か何かには「村中 安全 姫川丁」と彫られていました。また、さらに進んで国道が阿賀川を渡るあたりでは町営住宅が整備されており（地図の④）、こちらは「姫川団地」という名前が付けられているみたい。大字に姫川の文字が残っていなくても、ここなら住所に「姫川」と書けそうですね。

姫川団地から、今度は線路沿いの小道を南に戻ってみます。途中には姫川公会堂がありました（地図の⑤）。公民館じゃなくて公会堂というのは珍しいような。県道131号まで戻ってきたら、西に展開していよいよ戸石川を上っていきます。途中、「姫川区長宅」という木札の掛かったお宅がありました（地図の⑥）。どれだけ功徳を積んだら掲げられるのかなと思ったのですが、たぶん地域で持ち回りなんでしょうね。とか思っていたら、2022年の訪問時にもまだ区長だったのでびっくりしました。えっえっ。名誉監督みたくずっと続けられるものなの（たぶん違う）。

このお家、前に来ときも区長さんだった気がする。 pic.twitter.com/zKrTpR0Fiv

— やうち。 (@Yauchi) April 17, 2022

県道131号は戸石川に沿って山の方に向かっていく、比較的整った道路です。とはいえ、各集落の中では2車線なかったり、謎のクランクもあったりするので気を付けて進みましょう。あとはそうですね、最初のころは「なんだか、すごく『田舎の夏休み』みたいだぞ」などという、汗とともに水分と語彙力が奪われたような感覚で風景写真も撮っていた（下の二枚が、地図の⑦と⑧）のですが、勾配がきついのと風景に変化が見られないので、途中からはかなりの苦行でした。

おっととっと夏だぜー。 #あつい。 pic.twitter.com/1c62dk6DdX

— やうち。 (@Yauchi) July 18, 2020

県道131号から分かれて県道346号をひたすら進んでいきます。山の中のレンタサイクルとあって、変速ギアのごついやつで本当に良かったです。国道121号の分岐から約11km、標高差で約180m（約470mから約650m）を上ってきたので、地図もこれまでにない縮尺で。紅梅御前宮が地図の⑨です。

県道には何の案内看板もなく、しかもうっそうとした木立ちの中に隠れるように建っているので、事前に調べていないと分からないと思います。なるほど、これは『下郷町史』にあった伝説の記述も腑に落ちます。祠に向かう参道は、川岸から突如として階段になっていて、確かに橋がありません。せめて洗い越しくらいにすればいいのにと思いつつ、そうしないあたりも言い伝えを大切にしている感じが伝わってきます。こちら側の岸のたもとに大きな脚立みたいなのが置いてあって、まさかこれを架けて渡ってやしないよね、とは思ったけれど。

ふと我に返って、来た目的を思い出しました。姫川の由来がこの紅梅御前宮ならば、回してしかるべきです。平安の御代の悲しい伝説もどこへやら。さっそくスマホを取り出したところ、当然のように圏外。ですよねえええええ。旅行としてはそこそこ美味しく、このブログ的には何の成果も得られないまま、来た道を戻りました。帰りは下りだから楽だよね、とか考えていたものの、積もり積もった疲労のせいか小さなアップダウンに対応できず、しんどいのなんのでした。

小括

今回の2ヶ所での結果はこんな感じ。その1からの総括は、この後で。

市町村	引いた場所	モバマスSR （うち姫川さん）	デレステSSR（同）	デレステSR（同）
福島県南会津郡下郷町栄富	姫川橋	1 (0)	0 (0)	2 (0)
福島県南会津郡下郷町栄富	富田商店横のNTT柱（姫川1）	0 (0)	1 (0)	3 (0)

宮崎県のどこか（難易度：∞）

って、総括の前に脱線していいですか。おいらとしてはですね、今回の訪問先に、姫川さんの出身地である宮崎県が一度も出てこなかったのが気がかりでしょうがないのです。もちろん、「出身地は単なる設定であって、名前とは関係がないだろう？」という疑問が出てくるのももっともだと思います。けれど、モバマスの運営はこの辺をけっこう考えているような気がしています。例えば、メジャーな名字でいうと、工藤ちゃんはやっぱり津軽っぽいし、おいらが今まで見たことのなかった苗字の「砂塚」は、新潟県の中越地方ではそこそこいらっしゃるようで、例えば柏崎市のハローページを見ると、砂塚がずらり。もっとも、この大半の方が柏崎市街ではなく、山間部に位置する旧石曽根村の地域なので、砂塚あきらPが、ここまでスカウトしに行ったのかと思うと、かなりの執念を感じます。

ということはですよ、宮崎県にも姫川姓のたくさん住んでいる地域があるのではないでしょうか。そのゆかりの地で回すときっと出るような気がします。うん、きっとそうに違いない。というわけで、2020年の5月に某図書館で宮崎県の全地域のハローページ、個人名と企業名の両方で「姫川」を探してみました。なにこの力業な探し方。

が、全部外れ。一つもありませんでした。26市町村×2（個人・企業）＝52回も空振ったので、17アウトかあ。もうほとんどプロ野球記録じゃんか。つまり、残酷な結論として、「宮崎県に『姫川さん』は一人もいない」ということになります。いや、ちょっと待って。ハローページに登録していない人がいるかもしれません。夢が壊れるので、「宮崎県に『姫川さん』は一人もいない、っぽい」ということにしておきましょう。全然、フォローになってないけれど。

総括

それでは、その1から今回までにかけて、ガシャを回した全21回の記録をまとめて振り返ってみましょう。モバマスのSR、デレステのSSRとSRの出現枚数と、カッコ内に赤字で姫川さんの枚数を内数で書いています。

市町村	引いた場所	モバマスSR （うち姫川さん）	デレステSSR（同）	デレステSR（同）
岐阜県多治見市姫町四丁目	めぐり逢い	3 (0)	0 (0)	4 (0)
福井県越前市姫川二丁目	姫川町生活改善センター	0 (0)	0 (0)	2 (0)
北海道茅部郡森町姫川	旧姫川小学校	4 (0)	1 (0)	2 (0)
北海道茅部郡森町姫川	姫川バス停	3 (0)	1 (0)	0 (0)
北海道茅部郡森町姫川	姫川信号場	1 (0)	0 (0)	3 (0)
北海道茅部郡森町森川町	森川姫川生活改善センター	0 (0)	0 (0)	1 (0)
北海道爾志郡乙部町館浦	おとべ温泉郷 光林荘 「姫川」の間（の前）	0 (0)	1 (0)	2 (0)
北海道爾志郡乙部町姫川	生命の泉 ひめかわの水（の入口）	1 (0)	0 (0)	3 (0)
北海道爾志郡乙部町姫川	旧姫川小・中学校	1 (0)	0 (0)	2 (0)
新潟県妙高市姫川原	姫川原交差点	0 (0)	1 (0)	1 (0)
新潟県妙高市姫川原	旧姫川原小	1 (0)	0 (0)	1 (0)
新潟県妙高市姫川原	姫川原バス停	1 (0)	0 (0)	2 (0)
新潟県糸魚川市大野	姫川駅	0 (0)	0 (0)	1 (0)
新潟県糸魚川市大野	美山球場	0 (0)	1 (0)	1 (0)
長野県北安曇郡小谷村大字北小谷	姫川温泉バス停	3 (0)	0 (0)	1 (0)
長野県北安曇郡白馬村大字神城	姫川源流湧水	0 (0)	1 (0)	3 (0)
和歌山県東牟婁郡串本町姫	紀伊姫駅	0 (0)	1 (0)	4 (0)
和歌山県東牟婁郡串本町姫	姫橋	2 (0)	0 (0)	2 (0)
和歌山県東牟婁郡串本町姫	姫川踏切	0 (0)	1 (0)	2 (0)
福島県南会津郡下郷町栄富	姫川橋	1 (0)	0 (0)	2 (0)
福島県南会津郡下郷町栄富	富田商店横のNTT柱（姫川1）	0 (0)	1 (0)	3 (0)

あれ？　ちょっとちょっと、「カッコ内に赤字で姫川さんの枚数を内数で書いています」って言っておいて、カッコ内はゼロしかないじゃん。その1で掲げていた「アクセス、現地の状況、ガシャの結果を総合的に判断して、『フェス限に姫川さんが来た時に引く場所（天井含む）』を決める」は、どうやって決めれば……、えぇと、うぅん、そうだなあ……、出るまで回せば、好きな場所でいいんじゃないかな。

★ 補記

砂塚姓を探しに柏崎市石曽根まで行ったときのお話は、「ひとりじゃ手の届かないこんな場所。」で。