君は派手なクレーマー。

ニコニコ動画が復活したので、昨年末にするはずだったアレに手を付けなければならないのですが、改めて見てみると分量が多くて尻込みしてしまっているような感じです。このところ、「夏にまとまったお休みが取れたら、あれをしよう、これをしよう」と考えてみても、結局手が付けられないままになることが多く、困ったものです。もっとも、小さな頃にしたって、休みが長くても最後の直線勝負で凌いでいたから、まるで成長していないだけなのかもしれません。この夏は、あまり遠出もしなかったので(当社比)、突発的に映画を観た回数がいつもより多いくらいかしらん。先日も、グランドシネマサンシャイン池袋の開業5周年を記念した『天気の子』の再上映に行ってきました。

一方、台湾では9月13日から8年ぶりに『君の名は。』が上映されることになりました。21日の民視は、「ファンたちは、大きなスクリーンで再び、運命の逆転を見ることができる」と軽くネタバレしながら喜びを報じています。20日の巴哈姆特には2種類のポスター画像が載っていますが、いずれも「9.13(五)回到那一天」と、再上映を祝うような、なんか五月天っぽいなと思うような、そんな上映開始日が小さく踊っています。

実は、中国でもこの7月から再上映が始まっていて、その興行収入が1億元を突破し、新海監督が謝意を示したことも話題になりました。

なのですが、好事魔多しとはよく言ったもので、中国で配給している路画影視が8月12日に微博に流した「上映延長のお知らせ」が物議を醸します。こちらも同じ「9月の日付」が、ただし「上映開始日」ではなく「上映終了日」が火種でした。16日の鏡週刊を引く形でレコードチャイナが17日に記事を書いているのでこちらを引用します。

2024年8月16日、台湾メディア鏡週刊は、中国で上映されている新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」がロードショー期間を9月18日まで延長することを発表したところ、中国のネットユーザーから批判を浴びたと報じた。

(略)9月18日は1931年に中国東北部を武力侵攻した「918事変」(満州事変)のきかっけとなった柳条湖事件が起きた日であることを紹介した上で、情報やポスターを見た中国のネットユーザーから「わざわざこの日を選ぶとは」「918だと?」「9月17日は中秋節、22日は週末で区切りとしてちょうどいいだろうに9月18日を選ぶなんてわざととしか思えない」「チームの中に中国人はいないんだろうな」など批判的なコメントが続々と寄せられたとした。

記事は、上映期間の延長日が映画の興行収入以上に注目される結果となり、あっという間に中国のSNS・微博(ウェイボー)のトレンドワードランキングに登場したと紹介するとともに、配給会社がすでにポスターを撤去し、告知を削除したと報じた。

「君の名は。」中国での再上映期間延長も「9月18日まで」で批判浴びる―台湾メディア (Record China)

こと「日本絡みの案件」において、9月18日は注意しなければならない日付の一つですが、これで燃えるというのはちょっと無理がすぎるというか、他に燃えやすいものは無かったのですか、という感じがする。あでも、日本でだって、例えば「映画『オッペンハイマー』の公開日を8月6日にします」とか配給会社が言ったら、猛烈な勢いで叩かれる希ガス。感覚的には、その日付にあった過去の出来事と、今の内容が紐づいている場合には日本でもまずくて、とにかくダメなのが中国というところかなあ。

この件、ちょっとびっくりしたのが、16日の自由時報の投書欄に載った意見でしょうか。タイトルからして「小粉紅崩潰!」と煽る煽る。一方で内容は比較的冷静に始まり、「ある映画が、そのような重い歴史的禍根を背負うことができるのか? そのような反応は本当に適切なのか? と思わざるを得ない」と投げかけます。また、『君の名は。』の内容からすれば上映期限と歴史上の事件とは一切関係がなく、日付が同じであることのみで結びつけようとすること自体、それこそ「わざとやっている」と指摘しています。それは、わかるわ。いや、ここまではいいんだけど、そこから「これだから中国のネット民は」という感じで厳しい言葉が連なっていくので、ちょっと、というかかなり引く。さすが自由時報というか何というか。日本の作品がとばっちりを食った形になるので、まったく無関係とは言えない今回のお話。日本ではほとんど話題にならないのに、台湾では複数のメディアに報じられたり、強い口調で反駁する投書が載ったりするのは、立場の入れ替わりのようなものが起きているなあと不思議に思うのでした。