豪雨の日は学校に避難しないわけにはいかない。

また半年も間が開いてしまいました。日夜、尋常ではない暑さが続いていますが、今月頭に西日本を中心に大きな被害が発生した豪雨の話でも。

今回の豪雨では、台湾からの温かい支援も話題になりました。7日には蔡英文・総統がTwitter上で日本語を用いてお見舞いと支援の意思を表明し、翌週12日には、台北駐日経済文化代表処から日本台湾交流協会に義援金が送られました。交流協会経由というのが日台の微妙な関係を表していますが、それは置いておくとして。


一方、台湾での報道を見ると、あまり大々的に取り上げられているような印象はありません。被害が次第に明らかになっていたのとちょうど同じ頃、タイでは洞窟に閉じ込められた少年たちの救出が劇的な展開を迎えていたため、そっちに持って行かれたような感じでしょうか。

独自の視点で取り上げた記事を探すと、まずは10日の自由時報にあった林翠儀・駐日特派員らのもの。上に書いた日本への義援金に対し、日本のネット上で台湾への謝意が示されているということを伝えています。ただ、記事中に「日本最大のネット掲示板である『2ちゃんねる』やYahoo!ニュースのコメントでは」ってあるけど、うん、2chは、その、まあ、あれな。

また、実際に記者が被災地に入って取材した記事もありました。蘋果日報の記者が10日に広島入りし、2名が亡くなった府中町を取材しています。その様子を記した11日の記事では、下半身が泥まみれになりながら、ゴムボートを押して救出活動を続ける警察や消防の姿、なお危険があることから避難を呼びかける防災無線など、災害が「続いている」状況を伝えているほか、救助活動に随行して取材していたところ、浸水した住宅の2階からの救助を聞きつけ、女性2人を救出する場面に遭遇したことが生々しく書かれています。りんごは、さらに翌11日には8人が亡くなっている三原市に入り、12日の記事では、泥まみれになった商店や、機能できなくなった病院の状況を報じています。また、避難所で活動する自衛隊の姿や、前向きに頑張ろうとする被災者の声を連ね、最後にこう〆ています。「三原市について、日本人にとって最も知られているのは、タコと三原だるまだ。大雨と洪水の被害の後、三原市はまさにだるまの『倒れない』精神によって、廃墟の中から立ち上がろうと努力している」。え。そもそも「三原はだるま」って知らなかったし、起き上がり小法師と違って、だるまに「倒れない」とか「倒れそうになっても起き上がる」とかっていう意味はないんじゃないかな。と思っていたら、確かに三原観光協会のWebサイトは「タコとだるま」の画像があちこちにいるし、下半分にしっかりおもりが入っているらしく、「三原のだるまは、転んでも必ず起き上がります」って、めっちゃ書いてある。知りませんでした。ごめんなさい。同じ三原市の取材では、12日のこっちの記事も丁寧に市民の声を拾っていて、新鮮な驚きでした。海外のメディアだからこういうピンポイントな取材も逆に可能なのかな。

また、「災害は多いけど、災害に強い国」という日本の印象や、同じく豪雨や土砂災害の多い台湾との比較について書いている記事もいくつかありましたね。例えば聯合報の東京特派員である蔡佩芳は、「驚異的な降水量は、日本の防災体制を無力化した」と、ややドキッとするような書き出しで10日の記事を始めています。しかし読み進めると「今回の被害は、決して事前の予報の失敗によるものではない。7日正午頃には300万戸、800万人強に避難指示や避難勧告が出された。しかし実際に避難したのは1万人あまりであった。言い換えれば、勧告を聞き入れて避難したのは、800人中1人しかしなかったのだ」と、問題点を指摘。それでは、なぜ避難しなかったのか。記事では「避難しようかと思った時、既に家の前の道路が冠水していたので、このまま留まった方が安全だと思った」という被災者の声を引くなどしたうえで、こう簡潔にまとめています。「日本はこれまで、水害が比較的少なく、主だった災害は地震によるものであったため、政府や自治体、企業および市民に至るまで、水害に対する危機感がまったくなかった」と。耳が痛い痛い。さらに、昨今の異常気象によって日本でも過去に例のない大雨が記録されていることを踏まえ、これからの災害対策の計画には「地震+α」とすべきだと提案し、それは同様の災害頻発国でもある台湾も同じだと述べてます。むう。

投書記事にも目を移すと、10日の自由時報には、かつて経済部水利署の水利行政組長を務めていた張炎銘が、先島諸島や台湾の北側を抜けつつあった台風8号に絡めて警鐘を鳴らしていました。冒頭の「防災に関する科学技術の面では大国であった日本で、なぜこのように深刻な被害が生じたのか?」や、後半の「日本のような科学技術大国でまさか警報や避難の呼びかけを出さなかったとでもいうのか? それとも、災害を予測する情報を市民が持っていなかったのか、そればかりか最初からこうした情報を軽んじたとでもいうのか?」と、なんかもう、持ち上げてそのまま投げっぱなしジャーマン感がぱない。結びの「台湾は、最近の日本の経験を戒めとし、市民は、台風の警報や避難をないがしろにしてはならない」あたりは、もう本当にごめんなさい。似たような投書は、11日の聯合報にもありました。書いているのは、台湾の利水・治水の技術者の連合会の陳賜賢・理事長。

ちょっと強引に絡めすぎてないですかね、という投書や記事もちらほら。先に書いた蔡英文・総統のツイートに安倍晋三・首相が返信したことなどを挙げ、「台日関係をより良好にするため、福島県など5県を対象とした食品輸入規制を撤廃すべし」という11日の自由時報の投書は、気持ちはありがたいのだけれど、規制されている5県って今回の被災地とほとんど重なってない(輸入規制は、福島県、茨城県、栃木県、群馬県および千葉県の5県。7月豪雨では、負傷者が千葉県で、家屋の損傷被害が福島県と千葉県であったので、まったく重なっていないわけではないのねん)から、ものすごく一足飛びした感じが。

また、コラム記事でも18日の聯合報「即時短評」では、文部科学省が17日にパブコメを開始した「高等学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置案」に激しく反応。いわゆる新高等学校学習指導要領の導入にあたり、移行期間である来年度からさっそく先行適用する内容の案が公表されたのですが、そこに領土関係の内容も含まれている、つまり「尖閣諸島は日本の固有の領土であって、領土問題は存在しない」という点も入っているわけ。これについて聯合報は、「蔡英文の支援表明に安倍晋三が感謝するなど、台日の友好関係が示されていた一方、教科書の問題に対して、蔡英文や外交部はだんまりだ」などと厳しい指摘。最後の「釣魚台の立場に関する我々の声がどんどん小さくなってしまうと、将来、本当に『共同開発』となった時に、実を勝ち取れうような大声を上げることができるのだろうか」というのは分からなくはないんだけど、せめてこういうときは切り離さないと、かえって禍根を生むんじゃないかなあ。

とは思いつつ、じゃあ日本を見た時に切り離せているかって言ったら、どうかなあ。困難な時の支えをいいことに、「どんな時でも日本を助けてくれる」と、嫌な言い方をすれば「日本の言うことに逆らったり、文句を言ってこない」と、そんな風に思っている人たちが絶対にいないかって言ったら、ああ、やっぱりちょっと自信がないなあ。