クジャクヤママユより佐久間まゆ。

このところの『けものフレンズ』の爆発力に乗じて何か書こうかと思ったのですが、前にもTwitterで触れたとおり、文字にしてしまうと一気にトラウマ案件になってしまうので、やっぱ無しで。


それにしてもこの作品、爆発力もさることながら、時限爆弾のような一拍置いた盛り上がりにしても、その後の持続力にしても、昨今例を見ない不思議な反応を展開しています。

初回はそこそこ期待値高かったけど、ちょっとすると人気が下がって落ち着くところで水平飛行、というのは何もおまいらの大好きな作品に限りません。いつもと同じ強引な前フリですが、16日にTVBSが報じた台湾の政治家の声望調査(人気度調査と思ってそんなに外れなさそうです)の結果によれば、総統選挙から1年あまりを迎えた蔡英文・総統ら台湾の政治家・元政治家15人で、明暗が分かれています。以下、「満足」/「不満足」/「満足-不満足」について、「満足」の高い方から順番に、ドン。なお、データ元はTVBS民意調査センターの結果(pdf)でっす。

  • 第1位:陳菊(高雄市長)… 62 / 17 / +45
  • 第2位:頼清徳(台南市長)… 58 / 17 / +41
  • 第3位:柯文哲(台北市長)… 50 / 13 /+37
  • 第4位:鄭文燦(桃園市長)… 50 / 28 / +22
  • 第5位:林佳龍(台中市長)… 46 / 20 / +26
  • 第6位:宋楚瑜(親民党主席)… 42 / 26 / +16
  • 第7位:朱立倫(新北市長)… 38 / 27 / +11
  • 第8位:陳建仁(副総統)… 36 / 26 / +10
  • 第9位:蘇嘉全(立法院長)… 35 / 31 / +4
  • 第10位:馬英九(前総統)… 33 / 36 / -3
  • 第11位:蔡英文(総統・民進党主席)… 29 / 47 / -18
  • 第12位:林全(行政院長)… 27 / 45 / -18
  • 第13位:洪秀柱(国民党主席)… 27 / 45 / -18
  • 第14位:黄国昌(時代力量主席)… 24 / 48 / -24
  • 第15位:李登輝(元総統)… 23 / 38 / -15

もともとこういうのって、地方の首長の方が優位になっちゃうんだけど、上位2人が思っていた以上に強い。災害対応で数字がピョンと上がっていた頃に比べれば減っているものの、それでも6割前後キープ。そして柯Pが善戦している一方で、朱立倫が伸び悩んでいる感じ。先ほどのTVBSの記事によれば、それでも去年の選挙後の数字(満足が31%)よりは伸びているみたい。

下の方に目を移すと、10位になぜか出てくる馬英九。TVBSは解説の中で、去年は満足が24%だったので9pt回復しているが、それでも不満足が36%、と。もう許してやれよ。そしてここから下が「満足の割合<不満足の割合」という方々です。ということは、「満足している人の方が多いかどうか」=「馬英九より上か下か」ということなるため、図らずもネトウヨの皆さんにもたいへん伝わりやすくなりました。

続いてみていくと、11位に蔡英文、12位には林全が、そして13位洪秀柱まで、それぞれ差し引き-18ptという結果で並んでいます。蔡英文は、当選した直後(2016年3月)の満足度63%から比べると、-34ptという大きな落ち込みです。TVBSの記事の解説にもあるとおり、支持政党別のクロス分析を見ても、民進党支持層(87%→55%)、国民党支持層(40%→8%)とも32ptの大幅なダウン。というか、両方とも去年の数字が高すぎという感じがします。就任1年後の総統の満足度が30%って大丈夫なのか、という話もありますが、馬英九も2期目の開始約1年後(2013年4月)に行われたTVBSの調査(pdf)では、満足度で16%、不満足を引くと-48ptという結果だったので、うんまあ、なんとかなるんじゃないかな。

上でクロス集計の話が出たけれど、民進党、国民党、そして時代力量の各党主席の満足度について、支持政党別の集計をかけているのが興味深いですね。まず、今回の政党別支持率を見ると、1年前(2016年3月)と比べて民進党(25%→24%)や国民党(20%→21%)がほぼ横ばいに対し、時代力量が大きく減らし(15%→8%)ている点で、なんというか時代力量の力量が問わr(自粛

また、前回・今回の2回×党主席3人(ただし、前回の調査時点では黄国昌の満足度が調査対象になっていないので)の計5パターンについて、「満足」でも「不満足」でもない「意見なし」な人たちが最も少ないのが、すべて時代力量の支持層。言ってみれば、好みがはっきりしているわけで、こういう人たちをつなぎ止めておくのは大変だろうし、逆に増やしていければ大きな力になりそうです。確かに、今回の満足度調査で、民進党支持層の蔡英文「満足」の割合(55%)や国民党支持層の洪秀柱「満足」の割合(46%)よりも、時代力量支持層の黄国昌「満足」の割合(75%)が圧倒的に光ります。さて、コアな層の路線で行くか、もっと裾野を広げていけるか。ただ、時代力量支持層の蔡英文「満足」が今回56%(不満足を引いても+22pt)に対し、民進党支持層の黄国昌「満足」が36%(不満足を引くと-10pt)というのを見ると、流れていってしまいそうな予感が見え隠れしていたり。

さて、結果に対する反応でも。まずは緑系からいくと、16日の自由時報は記事題で「上位2人は順当だが3位が驚きの結果」としているほか、蔡英文が馬英九よりも下だということも書いています。やっぱり比較対象はそこなのかな。

政治家の捉え方も見てみましょう。まずは1位に輝いた陳菊おばさんから。17日の聯合報によれば、世論調査は参考にすぎないとしつつも感謝を述べたうえで、11位だった蔡英文とは役割が違いすぎるのだから、このような比較は好ましくないとバッサリ。同じ17日の聯合報(一次ソースは中央通訊社)には3位に入った柯文哲・台北市長のコメントを紹介されていますが、世論調査は株と一緒でたまに見るのがいいのであって、毎日気にしていたらやっていられない、というなんとも柯Pらしい感じ。

一方、国民党側はというと、元総統府秘書長の羅智強が17日の聯合報で吠えています。いわく、両岸政策が悪くなれば経済が悪化するし、経済が悪化すれば内政に影響が出るし、内政に影響が出れば政権が崩壊する、と。なので、蔡英文がうまく政権運営をしたければ両岸の安定は不可避であり、それは馬英九路線の継承を意味する、と。おう。

また、折しも国民党は過去最大の乱戦となっている党主席選挙の真っ最中。蔡英文の満足度が大きく減ったにも関わらず、洪秀柱がさらにその下を行ってしまったので、他陣営はここぞとばかりに乗っかります。これも17日の聯合報からですが、有力候補の一人、郝龍斌・副主席は、党の顔である主席がこの体たらくでは、今後の党のイメージに影響が大きいと憂慮しており、遠回しに「やっぱ俺じゃないと」と言っているような言っていないような。

確かに政治家にとってイメージは重要だし、政治家のイメージが党のイメージに直結するというのもわかるんだけど、15人を並べて「YesかNoか」と問われた調査で、「あんまり人気がないんだ」「ダメじゃん」とか「なんか好かれてるみたい」「やってくれそうな予感」みたいなのもなんだかなと思うのです。でもまあ、こういう一時の評判をもって判断する危うさは、別に台湾に限った話じゃないし、政治家に限った話でもないよね。「馬英九より上か下か」みたいな安直な評価を提案してしまったおいら自身を含め、巡り巡って自分に返ってくることに気を付けたいものです。


びえええ。

ポストの中の休日。

まずは前回の「また「はじめまして」のご挨拶。」というタイトルの答え合わせから。『ラブライブ!』かと思った、という指摘があって「何のこっちゃ?」と思ったら、CDのボイスドラマにそういう名前のものがあったのね。いやー、しらなかったなー。なにしろここアニメのブログじゃないしなー。

なお、出題者の意図した解答は、『夢灯籠』と『ミカンズのテーマ』でした。いや、別に問題を出したわけじゃないんだけど。

さて、再開早々に長期のお休みをしてしまったので、ここで休み癖がつかないようにちょっとだけ頑張りましょう。とはいえ、今や労働時間に対しかなりセンシティブな世の中です。よしわかった。来年から本気出す(農暦的な意味で)。

「来年から本気出す」で働き方が変わったのが台湾です。昨年改正された改正労働基準法が1月1日から施行され、主に労働者の休日について改まりました。ものすごく乱暴に書くと、実質的に完全週休二日制になりました。乱暴すぎるのでもうちょっと足すと、これまでの「1週間のうち、1日は法定休日(例假)」に加え「それとは別に1日の休日(休息日)」で計2日の休息を設ける必要が出てきました(改正後の労働基準法第36条)。この「1日の例假+1日の休息日」という改正点から、「一例一休」がキーワードになっています。つまり、この語でぐぐれ。他にも変わっているから。さらに驚くべきは、使用者がこの休息日に勤務を命じた場合、最初の2時間は時給の4/3倍以上の額を加算、それ以上働いたら時給の5/3倍以上の時給を加算するというところ(同法第24条)。また、時間計算は4時間単位で繰り上げというおまけつき(同法第24条)。「あれ、1/3を加算して4/3にするんじゃないの?」と思ったんだけど(日本だと、35%以上の加算なので)、おいらの語学力では「その賃金は、通常の時給とは別に1と1/3倍以上の額を加算して支給する」としか読めない。つまり、休息日に勤務を命じるということは、実質的に「倍プッシュだ……!」ということに。平日の時間外は変わらず「1/3倍以上を加算」のままなので、露骨に「休息日には働かせるなよ、な」感が前面に出ています。すごい。プレミアムフライデーのプレミアムじゃない感と天と地の差。やっぱ、ここまで荒療治をしないと労働環境というか社会的な空気というかは変わらないのかな。

もっとも、この法改正、蘋果日報の記事によれば昨年12月6日の深夜に立法院で成立して1月1日施行という、周知期間もへったくれもないスケジュールで動いているので、たぶんその対応でものすごい時間外労働が発生しまくっているような気がします。また、コストを抑えて企業活動を回そうとすると、その分の労働力の調整も図らなければならないのですが、急には難しいよね。となると、当面は休息日の加算を覚悟のうえで動かしていかなければならないので、コストに転嫁されることも容易に想像されます。

事実、8日の中央通訊社によれば、今年1月の消費者物価指数は前年同月比で+2.25%という結果。記事によれば、食料品が同+2.98%、外食費が同+1.60%となっているが、これが一例一休によるものかはまだ分からない、とのこと。いやまあ、それ以前に台湾の消費者物価指数って、グラフで見ると一目瞭然のとおり、日銀もビビるレベルで上がっているので前年比で言われてもだし、主計処によれば去年12月と比べちゃうと-0.02%、季節調整値で-0.20%だとか。

一方で、コストに転嫁しないように労働力を調整しようとすると、それは総労働時間または一人あたりの労働時間の縮小を意味します。っていうか、それが主目的のはずです。これをめぐって二転三転、樹海に迷い込んだのが中華郵政でっす。もともと台湾の郵便局は全土で1,311局ありますが、基本的には月曜から金曜までが営業日。土曜も開いている(ただし基本的に午前中だけ)ところが287局ありました。あ、郵政代弁所と呼ばれる民間の代理店はノーカンです。昨年12月24日の経済日報の記事を見ると、中華郵政の陳憲着・総経理が「一例一休で、休息日の加算額が年間2億元から3億元増えそう。土曜営業局の半分はやめて、その代わり残り半分は16時まで営業にしたい」と公表し話題になりました。今週5日の聯合晩報では、「国民にとって不便となるのでは」と賀陳旦・交通部長が懸念を示したこともあって、消息筋の話として、「土曜営業をやめるのは、40から50くらいになるのでは」と規模縮小を匂わせています。同じ記事では「土曜も開いていた方が便利」という市民の声も載せていますが、うんまあ、そりゃ利用者はそう言うよね。他方で、働いている局員の悲鳴も掲載しています。そして、迷走の果てに7日王淑敏・副総経理が発表した方針はと言うと、「土曜営業の郵便局を増やします」。

!?

ちょっと何言ってるか分からないので7日の中央通訊社の記事を見ると、交通部から「国民の世論も考えて」と言われたため、「287局から半減」というアドバルーンを速攻で回収したうえで、25日から高雄佛公郵便局を第2土曜日に営業させることで「288局に増やす」という方向に方針転換。あれれ。25日って第4土曜日じゃないすか。って、そこじゃないか。ただし、これまで8時30分から12時までという土曜の営業時間を9時から12時までに改めるという泣きの一撃もかましています。これ、4時間単位で切り上げという改正内容を踏まえてのことかなあ。なお、これによって増加する人件費は年間2億元と想定されますが、全部中華郵政がやりくりするとのこと。

うーん。そもそもこういう公的な企業が率先して働き方を見直した方がいいとも言えるし、社会的に一例一休が浸透する前に休まれると会社員が困るとも言えるし難しいところ。導入期の混乱ぶりも、人件費増の生々しい数字も、全部中華郵政が体現してくれた感じでしょうか。もっとも、実は台湾の郵便局で日曜もやっているのは故宮博物院内の1局だけ(例によって代弁所はノーカン)。180局以上が窓口営業し、ゆうゆう窓口まで含めると1,000局以上も人が動いている日本と比べると、「休む時は休む」というバッサリ感が出ています。おいらに未来の絵姿は見通せませんが、もしかすると、一例一休が進むと台湾の郵便局も変わってくるのかな、とも思ったり。

また「はじめまして」のご挨拶。

前回の「ブログの再開にあたって。」から、なんだかんだ言って1ヶ月たってしまいました。先が思いやられるというものです。何から書こうかと思っていたのですが、やはり仕切り直し後最初のエントリですし、新しい年の冒頭では前の年を振り返るべきかと考えたので、「はじめまして」の合図として台湾のACGサイト・巴哈姆特から、2016年のアニメ・漫画10大ニュースの話を。余計なことも紹介しよう。またか、またですか。

2016年に巴哈姆特で扱われた3,663本のニュースから、選ばれたのは、以下の10本でした。日付は巴哈姆特の記事の日付とのこと。

第10位:第1回高雄国際マンガ・アニメフェスティバルが4月2日から5日まで高雄アリーナで開催(10/14)
2013年から台北で行われていた「台北国際動漫節」の高雄版が初めて開かれました。こういう催しは東京一辺倒になりがちな日本も参考になるのでは。
第9位:人気アニソン歌手藍井エイル、無期限の活動休止を発表(10/14)
記事でも「声優や歌手の業界で、引退や休養はよくあること」としながらも、中島愛の復活と併せて第9位にランクイン。たびたび台湾でコンサートを行い、「最も印象的で美味しかった食べ物は?」に対し「臭豆腐」の話を持ってくるあたりも影響しているのかな。
第8位:『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の最新予告で仰天のキャラクタが登場(03/11)
2016年、台湾の映画館を席巻したのは、いわゆるアメコミが原作の作品でした。これについては後述で。
第7位:虚淵玄×霹靂『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』、人気声優を集めてこの夏放送予定(02/05)
台湾に脈々と伝わる伝統芸能と、日本が誇るバッドエンドのお家芸という、混ぜていいのか悪いのか、台日の異色な文化交流。7月期にTOKYO MX等で放送されたあと、続編も決定しています。
第6位:新海誠の最新作『君の名は。』が10月21日から台湾で公開(07/28)
ランキングの説明では、5月に台湾でも公開された『ガールズ&パンツァー 劇場版』と共に取り上げられています。あれれ。6位?
第5位:『DRAGONBALL EVOLUTION』、実写映画公開から7年たって脚本家が世界中のファンに謝罪(05/05)
よりによって、この順に並べた上に、「実写化するなら、見栄えもそうだけど、ちゃんとプロに任せろや」と苦言を呈する巴哈姆特さんかっけー。
第4位:巴哈姆特の無料アニメ配信サービス「動書瘋」がオープン!(01/06)
ちなみに、こちら。巴哈姆特の会員になって3ヶ月以上たっている人は、冒頭の広告視聴と引き換えに無料で観られるみたい。みたい、と書いたのは、日本のIPだと弾かれるのねん。
第3位:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、9月に完結 単行本200巻をもって40年の連載にピリオド(09/03)
これも2016年でした。「名作の完結を悲しむとともに、新世代のジャンプ作品に期待しよう」という巴哈姆特のコメントがジャンプっぽい。
第2位:水瀬いのり、殺害予告を受けて「リスアニ!LIVE TAIWAN」などのイベントがキャンセル(11/25)
嫌な事件だったね。巴哈姆特が〆で書いている「いろいろな応援の方法はあるけれど、一線を越えてまで注意を引くようなことはかえって逆効果になるということを申し上げておきたい」は、自戒したいですね。
第1位:『ああっ女神さまっ』の藤島康介と、著名コスプレイヤーの御伽ねこむが結婚を発表(06/29)
えっ。(素

例年基準がよくわからないランキングなので、順位の妥当性を問うのは野暮というもの。それにしても意外に感じたのは、『君の名は。』が6位というところ。もっと上でもいいんじゃないのかと。日本にいる身とすれば、国内での爆発的な大ヒットはもちろんのこと、「アジア6冠」というニュースも見ているだけに、「もうちょっと上でもいいんじゃない」と思ってしまうのです。

大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」(新海誠監督)が、1月4日に公開した韓国でも初日の興収・動員で1位となったことが6日、分かった。動員13万人で興収1億円を突破した。

「君の名は。」は中国、タイでも公開された日本映画として歴代興収の新記録を樹立したほか、台湾、香港でも映画ランキングで1位となっており、日本を含め6か国・地域で首位となった。

「君の名は。」アジア6冠、韓国でも初日興収・動員1位」に(スポーツ報知)

スポーツ報知の記事にもあるとおり、「台湾でも映画ランキング1位」というのは正しくて、「台灣偶像劇場」によれば、正式に公開された去年10月21日の週末(金曜から日曜の3日間)に、台北で1,928万元の興行収入を数え、週間1位になっています。なお、2位は台北で1,788万元の『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』。ちなみに、このランキングだと公開2週目扱いになっちゃているのは、先行上映した前週(台北で453万元で3位)がカウントされているからかと。

ところが、1位というのはこの週限りで、翌週には1,392万元と健闘したものの『ドクター・ストレンジ』(台北で3,273万元)の後塵を拝し2位に。もっとも、前週比-28%というのは、『ジャック・リーチャー』(台北で590万元で3位)の-67%なんかと比べると、かなり優秀なように見えますし、さらにその翌週も『ドクター・ストレンジ』に続いて2位をキープしています。とはいえ、「台湾で1位」というのは1週限りですので、言ってみれば数ある「全米ナンバーワン」とそんなに変わりません。あれ。なんだか俄かにしょぼくなってきた。

それならば年間の興行成績で見てみましょう。台湾全土の年間興行収入上位10傑は、12月24日の蘋果日報によるとこんな感じ。3位と10位を除きタイトルは日本公開時のものに合わせているのと、後ろの数字が興行収入でっす。

  1. 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(5億3,098万元)
  2. 『デッドプール』(4億2,000万元)
  3. 『屍速列車(中文題/日本未公開)』(3億4,000万元)
  4. 『ドクター・ストレンジ』(3億0,035万元)
  5. 『スーサイド・スクワッド』(2億9,900万元)
  6. 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2億9,700万元)
  7. 『ズートピア』(2億8,890万元)
  8. 『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2億3,400万元)
  9. 『X-MEN: アポカリプス』(2億2,500万元)
  10. 『葉問3(中文題/日本未公開)』(2億2,000万元)

3位の『屍速列車』は韓国映画、10位の『葉問3』は香港映画で、あとは洋画。つまり、台湾では、年間の数字で見てもトップ10圏外だし(ちなみに、2億元強で12位だそうです)、アジア映画最高とも言えなければ、最も観られたアニメ作品でもなかったのです。あれま。

ちょっと脱線します。ここまで「台北」と「台湾全体」の数字を使い分けているのですが、決して都合のいいように選んでいるわけじゃありません。そんなことするんだったら、もっと上手く書きます。前にもブログだったか東亜板だったかに書いたんですが、台湾の興行収入の計上方法って一定していません。両方の数字が使われています。しかも、かつては「台北の収入×2=台湾全体の収入」などというざっくりした出し方を使っていました。今では「台北市の映画館の数」よりも「台北市以外にある映画館の数」の方が多いので、この換算はたぶん使っていないはずです。逆に言えば、確かな数字として比較可能なのは「台北での興行収入」しかないんですね。

さて、閑話休題。こう書くと、「台湾では、言うほどパッとしなかった」と見えてしまうのですが、そうとも言い切れなかったり。例えば、当たり前ながら昨年台湾で公開された日本映画ではトップになりますし、実は歴代で見てもトップです。

実質公開3週目にあたる11月3日の時点で台北での興行収入は5,700万元に達し、台北での日本映画の興行収入記録(5,083万元)を17年ぶりに更新しています。へえ。17年間もトップを維持してきた映画ってなんだろうと思って、11月4日の自由時報を見たら、『七夜怪談』の文字。あ。中田秀夫監督の『リング』か。って、えええ。どんだけ古いんだよ。もうブラウン管のテレビから貞子が出てくるどころかVRの時代ですよ。

同様に、10月29日の自由時報によれば、台湾全土で比べたとしても、実質公開10日目の10月27日の時点で1億元を突破、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』が持っていた9,545万元を超えています。日本映画の記録が2種類あるのは上に書いたような理由からですが、今後、「台湾で最もヒットした日本映画」が『君の名は。』で一本化されたという意味でも大きな出来事ですね。ちなみに、宮崎作品と言えば『千と千尋の神隠し』の方が相性良さそうな気がしますが、2013年の蘋果日報の記事を見ると、『千と千尋の神隠し』は7,454万元で、宮崎作品の中では2番目なのね。

また、息の長さも特筆すべき点かもしれません。先ほどの「台灣偶像劇場」の資料を見ると、実質公開10週目となる12月25日まで台北の興行収入ランキングトップ20に留まり続けていました。これは『ズートピア』の15週、『ビリー・リンの永遠の一日(日本では今月11日公開)』と『レヴェナント: 蘇えりし者』の11週に次ぐ記録です。また、実質公開11週目にいったん圏外に外れたものの、年が明けて実質公開13週目にあたる1月15日にも10位にカムバックするという動きを見せています。

ちょっと変わったところでは、12月13日に台湾のYahoo奇摩が発表した「映画のタイトルの検索キーワード」ランキングも。このランキング、1位は『屍速列車』だったのですが、『君の名は。』が2位に登場します。3位は『ズートピア』ですね。11月までの検索語が対象なので、公開から1ヶ月ほどの『君の名は。』がこの位置というのはすごいんじゃないかな。5位に『リリーのすべて』が入っているので、ネットで話題になるかならないか、という要素もあるのかもしれないです。

Yahoo奇摩では、併せて「映画の満足度」ランキングも発表されています。1位は『ズートピア』、2位は『ハクソー・リッジ』、3位で『名探偵コナン 純黒の悪夢』が日本映画最上位で出てきます。以下、4位『死霊館 エンフィールド事件』、5位『イーグル・ジャンプ』、6位『我們的那時此刻(中文題/日本未公開)』、7位『リリーのすべて』、8位『惡女訂製服(中文題/原題は『The Dressmaker』/日本未公開)』、9位『君の名は。』、10位『久美子的奇異旅程(中文題/日本未公開)』というラインナップ。ぴああたりの満足度ランキング以上に「興行収入とさっぱり一致しない」顔ぶれの中でもしっかり1位に君臨するあたり、うんうん、やっぱりすごいな『ズートピア』は。って、あれ?