ワイルドじゃなくても、もう少したくましく。

さて、新年を迎えたということで、本年もよろしくお願いします。1月最初のエントリと言えば、毎年恒例のアレ、台湾のACGサイト・巴哈姆特から、2024年のアニメ・漫画10大ニュースの話を。さも昨年もやっていたかのように書き始めましたが、このブログでちゃんと取り上げたのは6年前が直近でした。てへぺろ。

さて、2024年に巴哈姆特で扱われた5,398本のニュースから、選ばれたのは、以下の10本でした。日付と記事の題名は、巴哈姆特の当時の記事の日付と題名です。

第10位:『ちいかわ』のポップアップストア、「Chiikawa POP UP STORE 台北」が華山1914に明日オープン(06/13)
6月から1ヶ月半にわたって開設されたポップアップストアの記事が10位に。おいらは、あの魅力とやらがいまいち分かっていないのだけれど、振り返りの記事によれば台湾でも人気のようで、関連記事にもあるくら寿司とのコラボキャンペーンは、当初1ヶ月を予定していたもののわずか11日で終了するほど。

第9位:一行の冒険はまだ続く 『葬送のフリーレン』アニメ第2期の制作決定(09/28)
台湾でも配信されていた『葬送のフリーレン』。2024年の話題と言えば、5月21日に台中捷運で発生した傷害事件で、犯人を取り押さえようと抵抗した乗客が報道陣に答えた「ヒンメルならそうした」の話があってもよさそうですが、さすがにそれはACGネタで扱うのは不適切にもほどがあると判断したのか、言及はありませんでした。

ちなみに、当該発言が出たのは6月4日に台中市政府が乗客らを表彰した際の取材でのことですが、中央通訊社自由時報聯合報で、微妙に言葉がずれていて、話し言葉を伝えるというのは難しいなあと思ったり。なお、どの記事も「もし勇者ヒンメルだったら、彼もそうしただろうと思う」という発言なので、実際に喋ったのもこのような感じなのでしょう。さすがに「ヒンメルならそうした」から三社ここまできれいに広げたとも思えないので。
第8位:ディスニー映画『白雪姫』実写版の予告編が初公開 台湾での上映は2025年3月(08/10)
アニメ作品の実写版に対して賛否両論が出ている、というのもこのランキングで定番の話題。特に今回の『白雪姫』はいろいろ言われていますが、さてどうなることやら。なお日本での公開も台湾と同じ3月20日の予定でっす。
第7位:アニメ制作会社のガイナックスが破産手続き 40年の歴史に幕を下ろす(06/07)
これもなかなか衝撃的な出来事。ちょっと意外だったのは、文中で「知的財産権はきちんと引き継がれるので、我々は続編を見ることもできるし、後継企業は作品の精神をよく継承して、こうした古典作品の知的財産権を継続していってほしい」と触れているところ。あと、ガイナックスが手掛けた過去の作品の名前もいくつか出ているのですが、『男女[足尭][足尭]板』がカレカノとは分からなかった。
第6位:ロバート・ダウニー・ジュニアがマーベルに帰ってくる 『アベンジャーズ』シリーズ第5弾で敵役「ドクター・ドゥーム」を演じる(07/28)
これもランキングの常連と言えるアメコミ系の話題。ただし、「近年はだんだんと熱が冷めているマーベル作品だが」と、出だしから冷や水を浴びせているので、割と正念場なのかもしれません。
第5位:いよいよクライマックス! 芥見下々の『呪術廻戦』が残り5話での完結を発表(08/19)
前も何かで言ったけれど、「叙述トリック」と同じくらい言いにくいこの作品。累計発行部数も1億部を超えているというのは、まさにオバケ作品ですね。呪術だけに。それはそれとして、「人気作品がどんどん完結していく状況で、週刊少年ジャンプは、このような主力作品をまた出すことができるだろうか?」はさすがに余計だと思う。
第4位:マクドナルドと『HUNTER×HUNTER』がコラボ 限定包装、トレーディングカードなどが続々登場(10/21)
台湾マクドナルドが初となる『HUNTER×HUNTER』とのコラボ企画を実施。これだけでも充分に話題になるのですが、グッズが速攻で完売となるなか、多くのインフルエンサーに限定グッズを渡していたことが裏目に出てしまい、果てはねとらぼでも記事になるほどに。
第3位:アニメ『鬼滅の刃』は無限城編へ突入 最終決戦は劇場版で(06/30)
台湾でも根強い人気の『鬼滅の刃』がトップ3に入ってきました。12月の関連記事にもあるとおり、台湾でも今年、第1部が公開される予定とのこと。
第2位:ホロライブ2期生の湊あくあが卒業を発表 8月28日に卒業ライブを開催(08/06)
巴哈姆特をして「ここ数年の流行のトレンドと言えば、VTuberは必ず入ってくると思っている」と書かれているように、日本のバーチャルYouTuberの話が第2位に入っています。一方で、記事にもあるとおり「芸能界と同じで、新人の参入があれば、おのずと別れを選ぶ者たちも出てくる」とあるとおり、入れ替わりの激しい世界で大変だなあ(こなみかん)。
第1位:『ドラゴンボール』 日本の伝説的漫画家、鳥山明が68歳で病没(03/08)
ACGに関するニュースのランキングである以上、その全てのジャンルに影響を与えた人物の弔事は、やはり最後に出てくるのでしょう。記事でも「我々は、改めて鳥山明先生の作品を思い出し、彼の作品で描かれた物語から素晴らしい記憶が蘇ることに、楽しさ、勇気、そして共感を与えてくれたことに感謝しよう」とあるとおり、これからも何度も感動を呼び覚ましてくれることでしょう。

このランキングを紹介し始めて……えっと何回目でしたっけ。なかなか巴哈姆特まで読みに行く機会も少ないのですが、ここで初めて知る日本のニュースもあったりするので、もうちょっと食らいついていきたいと思います。さて、2025年の十大ニュースはどんな顔ぶれになるんでしょうか。今年もよろしくお願いします。

幾多の物語をその手に重ね。

前回の「君は派手なクレーマー。」でチラッと予告していたアレ、こと「VOCALOID曲10選」なのですが、結局12ヶ月遅れで公開することにしました。そういえば、2021年の分も12ヶ月遅れだったので、訳の分からない周期になっています。



いちおう言い訳をしておくと、まず仮でリストアップした曲が100曲近くもあり、絞る作業をする一歩目が踏み出せなかったこと。それと、その曲たちの中に時雨沢恵一の『レイの世界 ―Re:I― Another World Tour』の公式イメージソングも入っていたのですが、よりによって2023年12月に第3巻にして完結巻が刊行されたとあって、「あれ? やっぱりそれを読んでからじゃないとダメじゃない?」となったのですね。第1巻・第2巻は肩の力が抜けた面白い作品だったけれど、最終巻で一気に物語を〆にかかり、事実上1話半で全部を収束させたのはお見事でした。おいらはこういうお話(典型的なのは、ハインラインのアレ)がたいそう苦手で、「あっちに行って、このタイミングでこっちに戻って……」ってなりながら涙目で読む羽目になったんだけどね。結局、読むのを先送りにしていたら、夏前にはニコニコ動画へのサイバー攻撃があり、秋冬は特に理由はないけれどこの時期になりました。ダメじゃん。いやあ、なんかカッコ悪いしお蔵入りでもいいかなあとか考えていたものの、今月に入って怒涛の勢いで2023年の話をしはじめる某ブログを読んでしまったので、まあそれなら不格好でも良しとしようか、となった次第でっす。はい、徹頭徹尾他人のせいにするダメ人間です。


改めてマイリストを振り返ってみると、4月に発売された重音テトSVにかなり惹かれていたことがうかがえます。まさか15年の歳月を経てかような進化を遂げるとは思いもしませんでした。その間においらは、ん? ん?? と問われているような気もしてくるのですが。

この12ヶ月遅れの影響もあって、2024年分はお休みです。マイリストに突っ込むこともしていなかったし。こんなおいらですが、2025年も引き続きよろしくおながいします。来年はどんな曲に出会えるんでしょうか。じゃなかった、どんなニュースに出会えるんでしょうか。皆さまにとって良い年になりますように(ここまでほぼテンプレ)。

君は派手なクレーマー。

ニコニコ動画が復活したので、昨年末にするはずだったアレに手を付けなければならないのですが、改めて見てみると分量が多くて尻込みしてしまっているような感じです。このところ、「夏にまとまったお休みが取れたら、あれをしよう、これをしよう」と考えてみても、結局手が付けられないままになることが多く、困ったものです。もっとも、小さな頃にしたって、休みが長くても最後の直線勝負で凌いでいたから、まるで成長していないだけなのかもしれません。この夏は、あまり遠出もしなかったので(当社比)、突発的に映画を観た回数がいつもより多いくらいかしらん。先日も、グランドシネマサンシャイン池袋の開業5周年を記念した『天気の子』の再上映に行ってきました。

一方、台湾では9月13日から8年ぶりに『君の名は。』が上映されることになりました。21日の民視は、「ファンたちは、大きなスクリーンで再び、運命の逆転を見ることができる」と軽くネタバレしながら喜びを報じています。20日の巴哈姆特には2種類のポスター画像が載っていますが、いずれも「9.13(五)回到那一天」と、再上映を祝うような、なんか五月天っぽいなと思うような、そんな上映開始日が小さく踊っています。

実は、中国でもこの7月から再上映が始まっていて、その興行収入が1億元を突破し、新海監督が謝意を示したことも話題になりました。

なのですが、好事魔多しとはよく言ったもので、中国で配給している路画影視が8月12日に微博に流した「上映延長のお知らせ」が物議を醸します。こちらも同じ「9月の日付」が、ただし「上映開始日」ではなく「上映終了日」が火種でした。16日の鏡週刊を引く形でレコードチャイナが17日に記事を書いているのでこちらを引用します。

2024年8月16日、台湾メディア鏡週刊は、中国で上映されている新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」がロードショー期間を9月18日まで延長することを発表したところ、中国のネットユーザーから批判を浴びたと報じた。

(略)9月18日は1931年に中国東北部を武力侵攻した「918事変」(満州事変)のきかっけとなった柳条湖事件が起きた日であることを紹介した上で、情報やポスターを見た中国のネットユーザーから「わざわざこの日を選ぶとは」「918だと?」「9月17日は中秋節、22日は週末で区切りとしてちょうどいいだろうに9月18日を選ぶなんてわざととしか思えない」「チームの中に中国人はいないんだろうな」など批判的なコメントが続々と寄せられたとした。

記事は、上映期間の延長日が映画の興行収入以上に注目される結果となり、あっという間に中国のSNS・微博(ウェイボー)のトレンドワードランキングに登場したと紹介するとともに、配給会社がすでにポスターを撤去し、告知を削除したと報じた。

「君の名は。」中国での再上映期間延長も「9月18日まで」で批判浴びる―台湾メディア (Record China)

こと「日本絡みの案件」において、9月18日は注意しなければならない日付の一つですが、これで燃えるというのはちょっと無理がすぎるというか、他に燃えやすいものは無かったのですか、という感じがする。あでも、日本でだって、例えば「映画『オッペンハイマー』の公開日を8月6日にします」とか配給会社が言ったら、猛烈な勢いで叩かれる希ガス。感覚的には、その日付にあった過去の出来事と、今の内容が紐づいている場合には日本でもまずくて、とにかくダメなのが中国というところかなあ。

この件、ちょっとびっくりしたのが、16日の自由時報の投書欄に載った意見でしょうか。タイトルからして「小粉紅崩潰!」と煽る煽る。一方で内容は比較的冷静に始まり、「ある映画が、そのような重い歴史的禍根を背負うことができるのか? そのような反応は本当に適切なのか? と思わざるを得ない」と投げかけます。また、『君の名は。』の内容からすれば上映期限と歴史上の事件とは一切関係がなく、日付が同じであることのみで結びつけようとすること自体、それこそ「わざとやっている」と指摘しています。それは、わかるわ。いや、ここまではいいんだけど、そこから「これだから中国のネット民は」という感じで厳しい言葉が連なっていくので、ちょっと、というかかなり引く。さすが自由時報というか何というか。日本の作品がとばっちりを食った形になるので、まったく無関係とは言えない今回のお話。日本ではほとんど話題にならないのに、台湾では複数のメディアに報じられたり、強い口調で反駁する投書が載ったりするのは、立場の入れ替わりのようなものが起きているなあと不思議に思うのでした。