ポストの中の休日。

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まずは前回の「また「はじめまして」のご挨拶。」というタイトルの答え合わせから。『ラブライブ!』かと思った、という指摘があって「何のこっちゃ?」と思ったら、CDのボイスドラマにそういう名前のものがあったのね。いやー、しらなかったなー。なにしろここアニメのブログじゃないしなー。

なお、出題者の意図した解答は、『夢灯籠』と『ミカンズのテーマ』でした。いや、別に問題を出したわけじゃないんだけど。

さて、再開早々に長期のお休みをしてしまったので、ここで休み癖がつかないようにちょっとだけ頑張りましょう。とはいえ、今や労働時間に対しかなりセンシティブな世の中です。よしわかった。来年から本気出す(農暦的な意味で)。

「来年から本気出す」で働き方が変わったのが台湾です。昨年改正された改正労働基準法が1月1日から施行され、主に労働者の休日について改まりました。ものすごく乱暴に書くと、実質的に完全週休二日制になりました。乱暴すぎるのでもうちょっと足すと、これまでの「1週間のうち、1日は法定休日(例假)」に加え「それとは別に1日の休日(休息日)」で計2日の休息を設ける必要が出てきました(改正後の労働基準法第36条)。この「1日の例假+1日の休息日」という改正点から、「一例一休」がキーワードになっています。つまり、この語でぐぐれ。他にも変わっているから。さらに驚くべきは、使用者がこの休息日に勤務を命じた場合、最初の2時間は時給の4/3倍以上の額を加算、それ以上働いたら時給の5/3倍以上の時給を加算するというところ(同法第24条)。また、時間計算は4時間単位で繰り上げというおまけつき(同法第24条)。「あれ、1/3を加算して4/3にするんじゃないの?」と思ったんだけど(日本だと、35%以上の加算なので)、おいらの語学力では「その賃金は、通常の時給とは別に1と1/3倍以上の額を加算して支給する」としか読めない。つまり、休息日に勤務を命じるということは、実質的に「倍プッシュだ……!」ということに。平日の時間外は変わらず「1/3倍以上を加算」のままなので、露骨に「休息日には働かせるなよ、な」感が前面に出ています。すごい。プレミアムフライデーのプレミアムじゃない感と天と地の差。やっぱ、ここまで荒療治をしないと労働環境というか社会的な空気というかは変わらないのかな。

もっとも、この法改正、蘋果日報の記事によれば昨年12月6日の深夜に立法院で成立して1月1日施行という、周知期間もへったくれもないスケジュールで動いているので、たぶんその対応でものすごい時間外労働が発生しまくっているような気がします。また、コストを抑えて企業活動を回そうとすると、その分の労働力の調整も図らなければならないのですが、急には難しいよね。となると、当面は休息日の加算を覚悟のうえで動かしていかなければならないので、コストに転嫁されることも容易に想像されます。

事実、8日の中央通訊社によれば、今年1月の消費者物価指数は前年同月比で+2.25%という結果。記事によれば、食料品が同+2.98%、外食費が同+1.60%となっているが、これが一例一休によるものかはまだ分からない、とのこと。いやまあ、それ以前に台湾の消費者物価指数って、グラフで見ると一目瞭然のとおり、日銀もビビるレベルで上がっているので前年比で言われてもだし、主計処によれば去年12月と比べちゃうと-0.02%、季節調整値で-0.20%だとか。

一方で、コストに転嫁しないように労働力を調整しようとすると、それは総労働時間または一人あたりの労働時間の縮小を意味します。っていうか、それが主目的のはずです。これをめぐって二転三転、樹海に迷い込んだのが中華郵政でっす。もともと台湾の郵便局は全土で1,311局ありますが、基本的には月曜から金曜までが営業日。土曜も開いている(ただし基本的に午前中だけ)ところが287局ありました。あ、郵政代弁所と呼ばれる民間の代理店はノーカンです。昨年12月24日の経済日報の記事を見ると、中華郵政の陳憲着・総経理が「一例一休で、休息日の加算額が年間2億元から3億元増えそう。土曜営業局の半分はやめて、その代わり残り半分は16時まで営業にしたい」と公表し話題になりました。今週5日の聯合晩報では、「国民にとって不便となるのでは」と賀陳旦・交通部長が懸念を示したこともあって、消息筋の話として、「土曜営業をやめるのは、40から50くらいになるのでは」と規模縮小を匂わせています。同じ記事では「土曜も開いていた方が便利」という市民の声も載せていますが、うんまあ、そりゃ利用者はそう言うよね。他方で、働いている局員の悲鳴も掲載しています。そして、迷走の果てに7日王淑敏・副総経理が発表した方針はと言うと、「土曜営業の郵便局を増やします」。

!?

ちょっと何言ってるか分からないので7日の中央通訊社の記事を見ると、交通部から「国民の世論も考えて」と言われたため、「287局から半減」というアドバルーンを速攻で回収したうえで、25日から高雄佛公郵便局を第2土曜日に営業させることで「288局に増やす」という方向に方針転換。あれれ。25日って第4土曜日じゃないすか。って、そこじゃないか。ただし、これまで8時30分から12時までという土曜の営業時間を9時から12時までに改めるという泣きの一撃もかましています。これ、4時間単位で切り上げという改正内容を踏まえてのことかなあ。なお、これによって増加する人件費は年間2億元と想定されますが、全部中華郵政がやりくりするとのこと。

うーん。そもそもこういう公的な企業が率先して働き方を見直した方がいいとも言えるし、社会的に一例一休が浸透する前に休まれると会社員が困るとも言えるし難しいところ。導入期の混乱ぶりも、人件費増の生々しい数字も、全部中華郵政が体現してくれた感じでしょうか。もっとも、実は台湾の郵便局で日曜もやっているのは故宮博物院内の1局だけ(例によって代弁所はノーカン)。180局以上が窓口営業し、ゆうゆう窓口まで含めると1,000局以上も人が動いている日本と比べると、「休む時は休む」というバッサリ感が出ています。おいらに未来の絵姿は見通せませんが、もしかすると、一例一休が進むと台湾の郵便局も変わってくるのかな、とも思ったり。

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